米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.30]2022年1月10日配信
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米国株式投資の真実を伝える
川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
[Vol.30]2022年1月10日配信
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***目次***
マーケット振り返り
今週のピックアップ記事
川田の気になる銘柄
投資のヒント
川田のお散歩
活動情報
質問コーナー
休刊日:1月31日号
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
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1.マーケット振り返り(1月3日~1月7日)
<主要指数>
・NYダウ -0.3%
・S&P500指数 -1.9%
・ナスダック総合指数 -4.5%
=駆け足バージョン=
年初の株式市場は強気地合いを引き継いで上昇して始まったものの、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の発表を受けて金融引き締め観測が強まり、長期金利が約2年ぶりの高水準に達したことが嫌気されて下落しました。
=ちょっとだけ詳しく=
金利上昇を受けて銀行株が上昇したことやテスラがナスダック市場をけん引したことから、年明け月曜日は上昇して、NYダウとS&P500指数は史上最高値を更新しました。水曜日に発表されたFOMCの議事録で米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め姿勢が予想以上に強いことが示されたため、長期金利が大きく上昇しました。金曜日に発表された12月の雇用統計では非農業部門雇用者数の増加が市場予想を下回ったものの、失業率の改善や賃金の上昇加速を受けて労働市場がひっ迫しているとの見方が強まったため、長期金利は約2年ぶりとなる1.8%台を付けました。株式市場は金利上昇が嫌気されて成長株を中心に売られ、ナスダック総合指数の下落率が大きくなりました。
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2.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 成長の未来図(4)動くか「社会エレベーター」 めざす明日は見えますか 1/5
一定の格差は今よりも良い未来を渇望する原動力になりうる半面、固定化すれば絶望や諦めにつながる。肝心なのは格差を乗り越えるという目標と手応えを持てるかだ。
「社会エレベーター」とは格差克服のための難易度測定批評:
最貧層が平均所得に到達するのにかかる世代数
7世代 中国、インド
6世代 フランス、ドイツ
5世代 英米
4.5世代 OECD平均
4世代 日本
3世代 フィンランド、ノルウェー
日本は4世代(90年以上かかる)
OECD平均(4.5世代)より短いが、京都大の橘木俊詔名誉教授は「格差の大きさより全体的な落ち込みが問題だ」と指摘。
膨らむ低所得層
低成長で賃金は約30年伸びず、所得の低い層が膨らんだ。2018年の年収が400万円未満の世帯は全体の約45%を占め、1989年比で5ポイント近くも増えた。日本の問題は平等主義がもたらす弊害だ。突出した能力を持つ人材を育てる機運に乏しく、一方で落ちこぼれる人たちを底上げする支援策も十分でない。自分が成長し暮らしが好転する希望が持てなければ、格差を乗り越える意欲はしぼむ。
【川田コメント】
欧州の古くて厳しいくびきから逃れるために建国された米国は人種と宗教の壁が厚い。一方で明治になってからの日本は身分制も階級制も他の国に比べるとそのバリアは薄いはずだ。
OECDの調査では日本で最貧層が平均所得に到達するのに4世代かかると公表されている。1世代が30年とすると曾祖父が意思を持ってアクションを起こして私の代でやっと平均に追いつく恰好だ。
我々が体験した「社会エレベーター」の実相
我々の親世代で大学教育を受けた人は少ない。しかし我々が大学に入った1970年代から大学進学を目指す人が増えた。中学の同級生の多くは工業高校や商業高校に進んだが、その後大学に進学した人も増えてきた。そして終身雇用の大企業に就職する人も増えた。それもあって高度成長期には「一億総中流」と言われるほど所得が伸びて平準化が進展したと理解している。
しかし、バブル崩壊後の30年間は賃金が伸びていない。そうなると終身雇用、正規、非正規という身分制にも近い階層化で所得間格差が拡大し、固定化した事実はあるだろう。その上でDX(デジタルトランスフォーメーション)がもたらす就業機会の不均等化や所得格差の拡大は市場型経済の宿命だ。そこにコロナ危機が追い打ちをかけ、この傾向がより鮮明になった。
日本の特殊性
しかし日本の特殊性も指摘しておきたい。4世代といっても戦後のある時期までは2世代で所得階層のかなりの上位に登れた人もいたはずだ。そのけん引力は“学歴”や“大学格差”が大きい。
ただし学歴や有名大学の“称号”を得るためには親の意識と資金力が必要だ。それは1989年のバブル崩壊までの高度成長期ならなんとか工夫のしようがあったのではないか。
しかし、この30年は、超有名大学を除けば元々「効能」が薄かった学歴の価値の“看板にいつわりあり”が露わになっている。
それでも我々世代までは一流企業に入社すれば終身雇用の恩恵に浴することができた。その場合は、子供らの教育資金はなんとか工面できただろうから、あとは価値観の刷込みに成功すれば同じ階層に留まる選択肢を彼らに与えることができる。
「グローバル社会エレベーター」下降の中の「国内社会エレベーター」
ただし日本全体では痛みを共有しながら相対的に貧しくなっている。そして我々の孫の世代では、日本の乗っている「グローバル社会エレベーター」は今後も緩やかに下降していく公算が高い。
その下降エレベーターのそのまた国内にある「社会エレベーター」で上層階を目指す価値観の刷込みに、どうしたら成功するのか?ほっておけば下層階行きエレベーターに乗っているやも知れぬ。
親は自分の子や孫に自分より豊かで幸せになってほしいと思う本能がある。その思いやりが子や孫の価値観に照らせば迷惑千万かもしれない。“ええい、ままよ。子は子の、孫は孫の人生だ(ところで私には孫はいません、念のため)”
これが私の観察だが皆さんはどう分析しているのか?
ここでのメッセージ
「米国株式を使った資産形成は“親としての本能”」
【2】革命家レーニン 20世紀を変えた男 - ザ・プロファイラー~夢と野望の人生~ - NHK 初回放送日: 2021年1月14日
「史上初の社会主義国・ソビエトを建国したレーニン。ロシア帝国の下級貴族に生まれながら、農民や労働者のユートピアを目指して革命運動に身を投じる。家族との死別、迫害を受けての国外逃亡とロシア国内での内戦。レーニンは、どんなに血が流れても革命運動を止めることは無かった鉄の男。私生活では、妻と愛人を大切にし、良く笑い、質素な暮らしだった。レーニンが夢見たユートピアとは何だったのか?ソ連崩壊から30年にあたる2021年に、その生涯を振り返る。」
【川田コメント】
上記の話題に関連するが正月休みに見たこのTV番組が面白かった。階級社会の非情と不合理に我慢がならず、命を賭して戦った男を描いた番組だ。開放しようとした農民のために革命を起こしたが、最後のほうではその農民にさえ銃口を向けた。人間いつの時代にも抑圧する側とされる側がいる。「社会エレベーター」の記事を読みながらこの番組を思い出した次第だ。
【3】日経新聞 コロナ危機を超えて(3)人材の「鎖国」、質向上を阻害 苅谷剛彦・オックスフォード大学教授 1/6
2007年から2017年の間に、生産年齢人口の主軸と考えられる40代の男女雇用者のうち、大卒以上がおよそ100万人増えた。その一方で、日本の労働生産性や実質賃金の停滞が目立つ。謎解きの鍵は、日本の人的資本市場における交換と競争にある。
グローバル市場
卒業生が参入する労働市場でも、求職者はその能力に見合う職を巡り国境を越えて競争し、雇用主は高い質の人材を引きつけるための賃金や処遇、特に能力発揮の機会提供を巡る競争を繰り広げる。質の高さを巡る競争が両者で生じれば、雇用者の労働生産性の上昇に応じて企業の生産性も高まり利益を生む。それが雇用者の処遇に反映する。
日本市場
日本の人的資本市場の特徴:大学入学者市場と新卒就職市場への参入者はほとんどが日本人。入学者市場での受験競争がどれほど激しくても、入試での成功と交換されるのは質の高い教育とは限らず、大学の威信や地位(ステータス)といったシンボリックな財(象徴財)。
(日本の労働市場は)人的資本の価値を高める循環を生まない
第1に市場への参入が閉ざされており、
第2にその副産物として市場での交換の対象が大学や企業の「格」といった象徴財になるからだ。
新卒就職市場で勝ち抜き「正社員」になった後の内部労働市場では、交換と競争の対価は地位を巡る昇進の機会となる。それに伴う能力発揮の機会の獲得も年数をかけて行われ、組織への同調が求められる。外部からの参入者が競争を脅かすことも、大きな報酬格差が生じることもない。
この循環から逃れるには交換と競争の仕組みを見直すしかない。日本にとって分の悪いグローバル人材市場に一挙に向かうのは得策でない。新自由主義とは一線を画してこの仕組みを変えるには、ジェンダーや年齢、国籍を含め、異質性を高める人的資本市場の多様化を図るしかない。異質性を嫌い、自国内の安心と一部の人々の安定を優先する「鎖国」意識にとらわれていてはなし得ない、コロナ後の日本の課題である。
<ポイント>
○日本は高学歴化でも労働生産性上昇せず
○人的資本市場の閉鎖性が非正規にも影響
○自国内に安住せず人材の異質性を高めよ
かりや・たけひこ 55年生まれ。ノースウエスタン大博士。専門は現代日本社会論・社会学
【川田コメント】
私も就職した証券会社で刈谷先生ご指摘の大企業社員の行動原理を体験している。当時頭の中を巡っていたのは、
①当時、大和証券に入社した大卒男子139人の中から何人の役員、副社長そして場合によっては社長が誕生するのだろう?
②その場合、どういう基準で昇進・昇格が決まるのだろう?
③その出世ゲームに参加する場合にはどんな資格が必要なのか?そしてなにを犠牲にしないとダメなのか?
④ゲームに参加しない場合に自分には社内にどのような自己実現の選択肢があるのか?
そんなことを考えながら入社後10数年を過ごした。その間に出世ゲームの参加資格や選考基準を自分なりに分析し解釈し、そしてそれを自分の価値観と照らし合わせてみて退社を決意した。良い選択だったと思う。
【4】日経新聞 賢い支出へPDCA回せ 1/4
この2年、日本の政策運営にはいくつもの疑問符がついた。四半期ベースで2度もマイナス成長に陥った21年は残念ながら、同じ災禍からの回復をたどる米欧の国々との差が歴然とした。
なぜ彼我の差はついたのか。人々の価値観に視点を当てた仲田泰祐東大准教授の研究は興味深い。「経済をもう少し回すこと」と「感染をもう少し抑制すること」は一定条件下でトレードオフの関係になる。そして、そのバランスをいかにとるかは社会の価値観を反映するのだそうだ。
そんな前提で「コロナ死者数を1人減少させるためにどの程度の経済的犠牲を払いたいか」を試算すると、日本は約20億円に届く。米国の約1億円、英国の約0.5億円だ。(21年12月3日付日本経済新聞朝刊「経済教室」)。何十倍の違いを知ると、日本経済の低迷が必然とも受け取れる。
以下は【4】の記事で引用されている昨年12月3日の日経「経済教室」だ。
仲田泰祐・東京大学准教授
なかた・たいすけ 80年生まれ。ニューヨーク大博士。専門はマクロ経済学。元FRB主任エコノミスト。
「コロナ死者数を1人減少させるためにどの程度の経済的犠牲を払いたいか」という試算をすると、地域間で大きな違いがある。
日本は約20億円、オーストラリアは約10億円で、米国の約1億円、英国の約0.5億円よりも高い。地域でも違いがあり、東京都・大阪府では約5億円だが、鳥取・島根両県では500億円以上だ。
冷酷非情な試算にも見えるが、似たような考え方に基づき計算される「統計的生命価値」は昔から政策に活用されている。
鳥取県では累計死者5人の中で域内総生産(GDP)は約7%(約1500億円)落ち込み、米国では累計死者70万人以上(鳥取県の約14万倍)の中でGDPが約4%(約90兆円、同約600倍)落ち込んだ。どんな手法を用いても「制約」の違いだけでなく「価値観」の違いも地域間の違いを説明するのに重要だという結果が得られると推測する。
【川田コメント】
コロナで死者する人の数は人口比で日本はダントツに少ない。COVID19国際比較。ただしそれには経済活動へのダメージという犠牲を払ってのことだ。
経済の回復が鈍いとか株価の反発が弱いとかいうけれど、それは国民の総意だから仕方ないというか、これが日本人の選択だ。
そこで思い出したのが『人の命は地球より重い』だ。この言葉は1977年日本赤軍によるダッカでの日航機ハイジャック事件で、犯行グループが高額の身代金と日本で服役中の過激派や爆弾魔などを解放するよう要求した時に、時の福田赳夫首相が言った言葉だ。
関連記事をググっていたらこんなエッセーに出会った。これは日本人が無意識に探求し自覚している「日本人とは何者か?」の一端を物語っている。
【6】人命は地球より重いのか
「人命は地球より重い」――1977年秋。ダッカの日航機ハイジャックの際、犯人側が身代金と逮捕されていた仲間の釈放を求めた際、時の総理大臣だった福田赳夫が、犯人側の要求を飲み、人質を解放した際「超法規的措置」として実行し、その時に述べたのが、この「人命は地球より重い」という言葉だった。
(中略)人命というのはそんなに尊重されるべきものなのだろうかと若干疑問に思った。なにしろ昭和一ケタ生まれの私たちの時代は、ほんの30年前には、私たちの命は「一銭五厘」といわれていたものである。(中略)戦時中のハガキ1枚の値段は一銭五厘だった(現在は50円)。召集令状1枚で軍隊に徴集される時代で、この召集令状には赤い色が付いていて別名“赤紙”とも呼ばれていたが、この一銭五厘の葉書でみんな召集されたのでそう呼ばれていた。
この問題は以後ずっと頭の片隅にあって、「ほんとうに人命はそんなに貴重なのかな」と30年近く思い続けてきたが、近頃は「人命は地球より重い」という人は影をひそめた。恐らく現在では、人命は地球より重いと心底から思っている日本人は1人もいなくなっているのだと思う。私はどうもこの言葉の本質は、思想などと呼ばれるようなものではなくて、単なる人間の「己惚れ(うぬぼれ)」なのではないかと思う。
水野 肇(みずの はじめ、1927年12月9日 -2019年5月)は、日本のジャーナリスト、医事評論家。
【川田コメント】
水野さんはメディアで活躍していたのを知ってはいたが、正直どんなバックグラウンドの方かは気に留めてこなかった。それが今回ネットで偶然に出くわし、良いことを言ってると思ったのでピックアップした。
人の命に値段を付けるということ自体、日本人には馴染まないし政策的にも支持を得にくいアプローチだ。しかし【5】の記事で「統計的生命価値」の観点からコロナに関しては日本人の命は破格の高額であることを学んだ。
国家運営に当たっては人の命と言えど「統計的生命価値」の手法で冷徹に計算すべきなのは当然ではないか?ただし今回の政府の対応は“命”より“票”の値段という観点で見ると理解しやすいのではないか。もちろんそれは正しい行動だと思っている。
ところで私の祖父は2人とも「人の命は一銭五厘」(現在のはがきは一律63円)組だ。“命の値段と票の値段”、いまは票の値段の値付けが優先されるのだろうが、命の値段が破格の安値になったのが私の祖父の時代だ。水野さんのエッセーを読んで祖父の無念に思いを馳せた。
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3.川田の気になる銘柄
川田の保有銘柄を始め、米国株の情報に触れている中で、気になった銘柄を紹介するコーナーです。
今週の銘柄
ゼブラ・テクノロジーズ <ティッカー:ZBRA>
Zebra Technologies Corp
概要:
バーコードの読み取り機械(スキャナ)や無線周波数識別(RFID)機器などで世界一の企業です。世界54カ国に128にオフィスがあり、顧客は電子商取引企業、小売業者、製造業、倉庫会社、運送会社に加え、ヘルスケアや政府部門など多岐にわたります。
(同社資料よりエグゼトラスト作成)
同社の魅力:
ゼブラ・テクノロジーズを一言でいうと、モノとヒトの効率的な動きをサポートする企業です。
現在の通信販売事業を例にすると、注文はインターネット経由が主流で、顧客が入力したデータはそのまま倉庫に伝わります。倉庫側はその情報から商品の棚を特定し、効率よくピックアップが行われます。商品が箱に詰められると、出荷先が印刷されたラベルが貼られ、出荷窓口からトラックに積まれます。
この例でゼブラの提供する製品(サービス)を見ると、在庫の商品に付けてあるRFID(無線タグ)が場所を特定し、ハンドフリーの耐久型デバイスがピックアップ作業を効率化し、送付先などのデータが含まれるバーコードやRFIDが付けられて出荷を効率化します。そして、これらの背後には各種のソフトウエアがあります。
この例のように、ゼブラは多くの企業活動の効率化を助ける製品やサービスを提供しています。倉庫だけでなく実際の店舗でも在庫の数の確認がリアルタイムで正確にできるようになるほか、インターネットで申し込んで店舗で受け取るようなサービスも、効率化の対象です。
こうした事業を行っているゼブラの魅力の一つ目は、テクノロジーの進化にともなって、効率化や省力・省人化が行える分野が、小売業だけでなく、製造現場、医療現場、公共サービスなどのあらゆる分野に広がっていくことです。モノやヒトの複雑な動きを、データを基に認識し、分析して、業務の効率化が行えるように支援する場所が増えれば、ゼブラのビジネスチャンスが広がります。
もう一つの魅力はサービス提供の裾野を広げるために、効果的な買収を行っている点です。下にまとめたゼブラの買収の一覧から分かるように、モノやヒトの動きに関連した機器やデータ処理の企業を買収して、新たなサービスを提供してきました。
ゼブラ・テクノロジーズの買収の歴史(同社資料より抜粋)
1969年:会社設立
1986年:現社名に変更
1998年:デスクトッププリンタ/フォトIDカードプリンタのプロバイダーであるEltron Internationalと合併
2000年:ワイヤレスモバイルプリンタのComTec Information Systemsを買収
2007年:現CEO就任。位置情報システムのWhereNetを買収
2013年:在庫把握システムのHart Systemsを買収
2014年:Motorola Solutionsの企業向けビジネス部門買収
2015年:ITR Mobility(iFactr)を買収。
2018年:堅牢性のあるタブレットの開発のXplore Technologies Corporationと、医療関連温度モニタリングソリューションのTemptime Corporationを買収。
2019年:パッケージ製品業界用分析プロバイダーのProfitect Inc.と、B2Bコンピュータビジョンベースの人工知能(AI)のCortexica Visions Systems, Ltd.を買収。
2020年:小売り、食品サービス、ホスピタリティ、銀行業界向けのインテリジェント人員管理や通信ソリューションなどのReflexisを買収。
こうして様々なサービスの提供が、単なる在庫管理の機器の製造業者では達成できないような競争力につながっており、2021年第3四半期の粗利益率は45.1%(前年同期は43.8%)、EBITDA利益率は21.7%(同20.3%)と、高い利益率を誇っています。また、機器のメンテナンスや消耗品の販売などの継続的な収入があることも魅力です。
(2021年第3四半期の決算発表資料より、上から、純売上*、内部売上高成長率、粗利益*、粗利益率*、営業費用*、EBITDA*、EBITDA利益率*、非GAAPの希薄化EPS。*は会社による一定の調整済みの値)
リスク
これまでの買収は概ね成功しているものの、常に成功するとは限りません。特に競争の激しい分野での買収は、一時的な利益率の低下につながることも考えられます。ただし3億ドル超のキャッシュを保有し、負債比率が低い健全なバランスシートは買収戦略を進める上で強みとなっています。また、同社の競争力は強いものの、各分野に競争企業が存在して寡占状態ではありません。新たな製品やサービスの開発は業容の拡大に必須です。
また、成長企業として割高なバリュエーションにあるため、短期的に値動きが激しくなることは念頭に入れる必要があります。
ZBRAの基本データ(出所:会社データ、Yahoo! Finance)
(1月7日現在)
株価 530.86ドル
時価総額 328億ドル
総収入 44.4億ドル
予想PER 30.5倍
実績利回り -----
本社:イリノイ州、リンカーンシャイア
上場:1991年8月
株価チャート 5年
チャートはTradingView.comによる
(本コーナーは一般的な情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません)
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4.投資のヒント
(こちらのコーナーは今週お休み)
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新連載「これでばっちり!米国株式を使った資産形成術のすべて」
はじめに
今回、資産形成に必要な基本的な内容を網羅した連載シリーズを始めます。全体の構成は以下のように考えています。
我々はどのような時代に生きているのか?全二回
自立した日本人と自立に欠かせない資産形成 全三回
株式市場は米国にしかないの? 全4回
日米株式文化の違い
知っておくべき米国市場の特徴
S&P500とは
なぜ米国は強いのか
おすすめの投資戦略~コア・サテライト投資~
コア部分の投資戦略
サテライト部分の投資戦略
何を買ったら良いのか
情報源と投資
第5話 知っておくべき米国市場の特徴 三回目
金融引き締めと株価
■米国10年国債金利(過去40年)
過去40年ほど長期金利は一貫して低下傾向にありました。
政策金利:FF金利(1954年以降)
赤で囲っているのは金利の引き締め局面です。
金融引き締め後の株価パフォーマンス
利上げは株式市場には逆風と言われますが、実際には明確な株価の下げにつながったわけではありません。
直近(90年代以降)では、利上げ後の3ヵ月のパフォーマンスが悪いです。しかし、長期で見れば買い場を提供しました。利上げ後6ヵ月の平均パフォーマンスは7.1%(上昇割合は86%)です。
金融引き締め後の株価パフォーマンス
引き締めにもかかわらず、利上げサイクルの初期2年間のパフォーマンスは総じて良好です。
FRBの金融政策の引き締めは、米国経済回復に伴う金融政策の正常化の現れです。ただしインフレ抑制を意図するなら景気減速も伴うでしょうから、企業業績と株価も影響を受ける可能性はあります。
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5.川田のお散歩
◇◇最近行ったお店、映画、美術館、書籍編
「通貨烈烈」
最初の4分の1ぐらいまで読み進みました。物語仕立ての綿密な構成と緻密な取材、そして登場人物のこころの内を読み取り、それを下敷きに彼なりの推論を実際の出来事と重ね合わせて当時を活写する筆致は見事です。
この物語は1985年から始まりプラザ合意、そして1987年2月のルーブル合意に至るまでの国際金融の政治学について、当事者へのインタビューを含む緻密な分析を交えたノンフィクションです。時期的には、私が留学を終えて帰国し、その後のNY駐在で最初の冬を迎えたころまでです。
米国、フランス、イギリスといったグローバルプレイヤーと、その中に参加しつつある日本や西ドイツ(当時)が、G7などの場でどのような行動をとったか、各国ごとの政治的背景を踏まえながら詳述しています。テーマは為替相場とマクロ経済政策。この本を読むと当時の日本のプレゼンスの大きさが良く分かります。
現在は中国が当時の日本の立ち位置にいますが、その大きさと影響力は日本とは比較になりません。まして当時の米国はレーガン大統領の時代で、国民の団結力や一体感は今と雲泥の差があると思います。
今の米国で、中国という仮想敵国に向かってあまりに敵愾心が高まるとはたして冷静な判断ができるのか?その意味でも米国には分厚い中間層の育成が急務だと思います。
「チャタレー夫人の恋人」
読了しています。アマゾンの書評では「大胆な性的描写が問題で1950年に猥褻文書販売罪で起訴された作品ですが…全然猥褻じゃないです。身分社会がまだ根強いイギリスで貴族の女性が自我に目覚めて己の恋愛を生きようとするすばらしい文学作品だと思います」
私も同感です。当時、といってもわずか100年ほど前の英国がいかに身分制でがんじがらめになっていたかが窺い知れます。階級や身分が違えば互いに交わることも争う事もないくらい、その価値観が隔絶しています。いまの米国が“分断”していると言われていますが、当時の英国は分断などではなく、そもそも“違う生き物”どうしが同じ空間で棲息していたと言えるほどです。
チャタレー夫人の夫のクリフォード卿が、折に触れて当時の貴族に見える世情を教えてくれます。彼の世界観は今の欧州や米国世論を分析するのにとても参考になりました。
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6.今後の活動情報
◇ストックボイス:1月19日(水)11:00~
◇日経CNBC:
1月19日(水)8:18~電話中継
1月25日(火)10:15~ゲストトーク(スタジオ)
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7.質問コーナー
質問
昨年12月にナスダック100指数で6銘柄の銘柄入れ替えがありました。ところで、新しく構成銘柄になるということは、指数に組み込まれたらある程度自動的に買われる仕組みになっているのでしょうか?
回答
新たな買い付け資金はナスダック100指数の新規の構成比に従って自動的に配分されます。
アクティブファンドや個人投資家が個別銘柄の投資価値を見定めて売り買いすれば、もちろんそのインパクトは株価に反映され、新規のパッシブの資金は新たな構成比に応じて割り当てられます。
一方でパッシブのETFや投信に売りがでれば構成比に応じて売却されますので構成比の大きな銘柄はより多く売られることになります。
ご参考:
「NASDAQ100指数」の銘柄変更について~日興アセットマネジメント
定期的な入れ替え以外でも、組み入れ基準から外れた構成銘柄が出れば、その都度入れ替えが行われます。
組入銘柄の定期変更は、毎年12月に、同年10月末時点の株価および11月末時点の発行済株式総数を基に、以下のルールに則り行なわれます。
①既存の構成銘柄の場合、ナスダック市場における時価総額の上位100位以内であれば継続採用
② ①が100社未満の場合、101位から125位までで、かつ前年の定期変更時に上位100位内の銘柄を順に継続採用
③ ①および②で100社に満たない場合、既存の構成銘柄以外の中で最も時価総額が大きい順に採用
なお、構成銘柄がナスダック以外の米国市場にも上場した際などには、臨時の変更が行なわれることになります。2020年4月以降では、4月に、オンライン会議システムを開発する「ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ」、7月には、新型ウイルス向けワクチン開発で注目される「モデルナ」が新たに採用されるなど、計6回の臨時変更が行なわれました。
ナスダック100(NASDAQ100) 構成銘柄と入れ替え基準を解説 【QQQ】 - Hoehoe Blog
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★ご質問は、以下の【質問ルール】をご一読後、
info@kawata-magazine.comまでお願いします。
【 質問ルール 】
◆全ての質問への回答はいたしかねます。あらかじめご了承ください。
◆いただいた質問は、当社サイト、YouTube動画等のSNS・書籍等に、個人を特定できない形で掲載する可能性があります。
◆ご購読が確認できない方の質問には回答いたしません。
◆明らかな広告・宣伝とみなされる部分は割愛する対象となります。
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