米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.31]2022年1月17日配信
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米国株式投資の真実を伝える
川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
[Vol.31]2022年1月17日配信
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***目次***
マーケット振り返り
今週のピックアップ記事
【東証プライム、1841社上場 基準厳しく 新陳代謝狙う 1部の8割強が移行、改革道半ば】【留学生来日できず 入国制限が長期化 人材グローバル化に影】【「なぜ日本だけ」募る不満 留学生、水際対策で来日できず 国際交流に悪影響の懸念】
川田の気になる銘柄
投資のヒント
ちょっと一息「FAの視点」
活動情報
質問コーナー
休刊日:1月31日号
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。 大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、 米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。
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1 マーケット振り返り(1月10日~1月14日)
<主要指数>
・NYダウ -0.9%
・S&P500指数 -0.3%
・ナスダック総合指数 -0.3%
=駆け足バージョン=
長期金利の上昇一服から週前半は成長株を中心に堅調に推移しましたが、昨年第4四半期の決算発表を前に慎重姿勢が広がり、銀行株の決算が市場予想を下回ったことが嫌気され、景気敏感株を中心に2週連続で下落しました。
=ちょっとだけ詳しく=
ハイテク株に押し目買いが入って堅調に始まった株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の火曜日の議会証言に新たな材料がなく、金融政策に対する警戒感が緩んだことから上昇しました。
水曜日に発表された12月の消費者物価指数がほぼ予想通りだったため、FRBが一段の引き締めを余儀なくされるとの懸念が和らいで長期金利が低下したことが好感されて続伸しました。しかし、金利が下げ止まると、企業の業績発表前の様子見姿勢が強まって方向感のない展開となりました。
金曜日に発表された小売売上高などの経済指標がやや弱いものとなったほか、大手銀行株が発表した決算が市場予想を下回ったことが嫌気されて、銀行株や消費関連株が売られました。
S&P500指数 チャート過去1年間
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2.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 東証プライム、1841社上場 基準厳しく 新陳代謝狙う 1部の8割強が移行、改革道半ば 1/12
東京証券取引所は4月4日に実施する株式市場再編後の全上場企業の所属先を公表。実質最上位の「プライム」には1841社が上場する。東証1部のうち8割強が移行し、プライム以外に移る企業は2割弱にとどまった。
プライムでは流通時価総額100億円(時価総額に換算すると約250億円になる企業が多い)以上を求めた。時価総額が数百億円の中堅企業は上場廃止のリスクと隣り合わせになる。
有望企業を生んで新陳代謝を高めるには「国を挙げたグロース活性化策が不可欠」(レオス・キャピタルワークスの藤野英人会長兼社長)。「優等生100社程度を選んでプライムと呼び、その下の企業群が目指すような仕組みにしないとつくった意味がない。ガバナンスの強化が必要」(日本取締役協会・宮内義彦会長)と厳格化を求める声もある。
【川田コメント】
そもそも日本株に期待はしていないので、私にはこの件を語る資格はない。それでも取り上げたのは、今回の改革が日本の資本市場にとても大切な示唆を与えているからだ。投資家にとって魅力ある市場と発行体にとって都合がいい市場とに、大きな隔たりがあることが改めて確認できた。
「プライム」のハードルを高くすると企業は株価の成長やガバナンスの強化を求められる。そしてそれらは従業員や取引先、さらには地域や国家的見地からみても望ましい方向ではない場合もある。また基準を厳しくすれば、地方から「プライム」企業が減ることへの懸念にも配慮したとも聞く。投資家が安心して日本株を買える日がくるのか?私には無関係だけどね。
【2】日経新聞 留学生来日できず 入国制限が長期化 人材グローバル化に影 1/10
新型コロナウイルスの水際対策で留学生が来日できず、大学間の交換留学などに影響が出ている。日本に関心を持つ学生や日本の大学を卒業する留学生の減少は、日本企業のグローバル人材の獲得戦略にも影を落とす。入国制限の対象者を柔軟に検討する必要がある。
英国や米国では留学生の受け入れ数が回復傾向にある。豪州も21年12月15日から入国規制を緩和した。
19年度に日本の大学を卒業するなどした外国人留学生のうち国内で就職したのは全体の4割弱の約1万人に上った。"鎖国"が続けば外国人学生の日本離れが進み、企業の人材確保にも影響が出るのは必至だ。
【3】日経新聞 「なぜ日本だけ」募る不満 留学生、水際対策で来日できず 国際交流に悪影響の懸念 1/10
新型コロナウイルスの水際対策が続き、来日できない外国人留学生が不満を募らせている。「なぜ日本だけ受け入れないのか」「学習の遅れや今後の就職活動が心配」。母国で足止めを強いられる若者が不安を口にするなか、将来の国際交流への悪影響を懸念する声も強まる。
【川田コメント】
この【2】と【3】の記事はなんともやりきれない。日本は海外に学生を受け入れてもらっておいて、日本は日本独自のルールがあるから受け入れられない。これでは友達をなくすだけではないか。それでなくても海外に友人が少ないのが日本人。友達が少なく情報のパイプも細ければ、何かの拍子に誤解が誤解を生む素地を自ら作っていることになりはしないか。そんな懸念が先立つ「鎖国」の記事だった。
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3.川田の気になる銘柄
川田の保有銘柄を始め、米国株の情報に触れている中で、気になった銘柄を紹介するコーナーです。
今週の銘柄
インテュイティブ・サージカル <ティッカー:ISRG>
Intuitive Surgical, Inc.
概要
会社の名前よりも「ダビンチ」と呼ばれる手術支援用ロボットで知られる企業です。傷病兵の手当てを遠隔操作で行うことを目的として始まった米軍内の研究が民間に移管された後の1995年に創業し、1999年にシステムの販売を開始しました。
手術支援用ロボット「ダビンチ」
同社の魅力
内視鏡手術支援用ロボットのパイオニア企業です。現在使われている同種のロボットの中で最も早く一般に販売され、医療関係者の間でそのブランドが確立しています。
同社の魅力の第一は、市場規模の拡大です。ロボット支援手術の適応症の拡大、導入病院の増加、操作技術を持った医師の増加などを背景に、世界市場規模は、2021年の約30億ドルから2030年には5倍以上の約160億ドルに達すると業界では予想されています。
魅力の第二は反復する売り上げ(経常的収入)が全体の約4分の3を占める点です。つまり、ロボットを売って終わりとなる事業ではなく、手術の時に必要なメスなどの機器類の補充や機器のメンテナンス、ソフトウエアのアップデートなどが収入の柱となっており、安定的な収入が見込まれるのです(魅力の第一の数字は本体だけの市場規模)。
2021年の売上高(第4四半期と通年、2020年との比較)
一番下の比率が経常的収入(Recurring Revenue)の比率。上の行から「機器とアクセサリー」、「システム」、「サービス」に収入が分けられており、システム本体の売り上げは全体の3割程度。
出所:インテュイティブ・サージカルの直近発表資料
第三は高い利益率です。上記のような補充用の機器は他社から調達できません。一度導入すれば、機器を使う限りは補充を続けなければならないため、価格設定力が非常に強くなっています。
第四は医療関係者が感じるブランド力とそのネットワーク力です。普通の機器と異なり、手術支援ロボットであるダビンチを使えるのは訓練を受けた医師だけです。従って、一度ダビンチの操作に慣れると、格別の理由がない限り、簡単には他の機器に乗り換えることはないはずです。同社はパイオニアとして世界の有力な病院に既に納入しているため、その病院の系列病院でも導入される確率は他社より高くなっています。
リスク
実は「ダビンチ」の主要特許は2019年に切れています。従って、日本や中国などで類似の手術支援ロボットが開発されており、日本でも「火の鳥」という名前のロボットが開発され、発売されました。
こうした競合の出現から、価格の低下や利益率の圧迫につながるリスクが考えられます。しかし、同社自身が認識しているように、手術支援用ロボットは単なるコモディティ製品ではないほか、ロボットを使った手術のデータを基に、患者の満足度、手術の速さや効率性などを医師や病院ごとに集計し、同時に症例ごとに世界や地域と比較することができます。これは圧倒的なシェアを誇る同社の設置実績を背景としたもので、他者との大きな差別化要因になっています。
従って、中長期的に競合他社の製品は出てくるものの、同社の既存顧客の乗り換えよりも、新たな市場開拓(廉価版や地域の拡大など)の方に力が振り向けられると思われます。
なお、成長企業として割高なバリュエーションにあるため、短期的に値動きが激しくなることは念頭に入れる必要があります。
ISRGの基本データ(出所:会社データ、Yahoo! Finance)
(1月14日現在)
株価 307.74ドル
時価総額 1232億ドル
総収入 57.1億ドル
予想PER 61.0倍
実績利回り -----
本社:カリフォルニア州、サニーベイル
上場:2000年6月
株価チャート 5年
チャートはTradingView.comによる
(本コーナーは一般的な情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません)
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4.投資のヒント
「投資手法」や「銘柄紹介」だけでなく、「気になった指標や発言」や「社会や政治の動き」を書くコーナーです。
オンラインサロン:研究員報告
私が主催しているオンラインサロン「夢がかなう資産形成塾」では、随時会員が自主的に資産形成に関する知見を披露してくれる。
Nさんは“あらかん(還暦)”で大手企業退職間近のエンジニアだ。職歴を拝見すると、研究所や製造現場、そして海外とのビジネスが多かった。つまり、日本経済の興隆期や日本のプレゼンスの低下、そして取り残される日本を生身で体験してきた方だ。
前回は昨年12月6日号にご自身の資産形成のご体験「金融商品の活用事例~人生の棚卸~」として報告を頂いたが今回はその続編だ。
QQQの解析 ~QQQの成長エンジン~
研究報告:研究員N
今回はナスダック100に関する研究報告だった。彼の問題意識は
①米国株式投資を考える上でハイテク企業群は極めて大事。
②その中でもプラットフォーマー銘柄が重要。
③それらプラットフォーマーの比重が大きいナスダック100に投資すれば投資成果を効果的に享受できる。
④したがってコアサテライト戦略の場合、基本はナスダック100のETF、QQQが基本になる
サテライト銘柄でQQQを上回る
ここまでは川田と同じ考え方かと思う。N研究員の場合、サテライト銘柄の選定にあたっても、これらナスダック100構成銘柄の中から選ぶ。そしてそれらがナスダック100のパフォーマンスを上回るならナスダック100指数のパフォーマンスをも凌駕できるという投資哲学だ。
そこでN研究員はナスダック100のパフォーマンスを凌駕する銘柄を抽出を試みた。
ナスダック100指数を上回るのは100銘柄中30銘柄だけ
その研究で判明したのは驚愕(?)の事実だ。ここ2年程度の期間でナスダック100を上回ったのは100銘柄中30銘柄程度に過ぎない。
つまり下手に個別銘柄を選んでも指数を上回るのは3割程度の確率だ。しかも、それらのなかにはGAFAM銘柄も多い。
それならは下手にあれこれカバレッジを広げるより、GAFAM銘柄を吟味することで効率よく投資成果を上げられるのではないか?
以上がN研究員の問題意識であり、今回の調査に挑む心構えだと理解している。
以下、研究資料にそって要点をお伝えする。ただしGAFAM銘柄の中ではN研究員の裁量でメタ(FB)は調査の対象から除外している。
Agenda
目的と手法:
QQQのパフォーマンスを上回る銘柄群を選定
GAFAM系の解析
背景
前回はQQQをコア銘柄として、個別銘柄をサテライトとする運用手法を提案した。そこで、個別銘柄については、QQQを上回るパフォーマンスを狙うことが目標。
今年の相場の注目点:
米国の中間選挙
テーパリング開始、2022年3月末テーパリング終了見込み
今年中に複数回の利上げ予定
FRBはバランスシート圧縮を計画中
昨年11月下旬以降、ハイパー・グロース株は急落
今年1月以降、PER低下に伴う株価下落が発生
株価に及ぼす因子としてはは、金利と業績(比率7:3)が大
今回の調査の目的と手法
1)目的
相場が難しくなると推測される2022年の相場を乗り切る
インフルエンサーに影響を受けない銘柄選定
2)実施項目
NASDAQ100銘柄の内、QQQを上回る銘柄を抽出
EPS(1株当たり利益)とPERを用いたFY2022の株価推定
EPS(実績値)*PER(Valuation:企業評価)
※基本に基づき再確認 (当たり前の事を当たり前に行う)
3)手法
Portfolio visualizerを用い、QQQのパフォーマンスを上回る銘柄を抽出
決算の確認(EPS、内訳)
Trading viewを用いた抽出銘柄のPER実績の確認
Seeking alphaを用いた次年度EPS, PERの確認
EPS*PER=株価 次年度株価の推定
QQQのパフォーマンスを上回る銘柄群
1. Overview
①調査期間:Jan 2020~Nov 2021(1年と11か月)
②調査対象銘柄:QQQ 100銘柄
③1次スクリーニング 基準値 QQQのCAGR(この期間の値上がり率)=38.6%
Portfolio visualizerを用いたCAGRの確認
Stockrowを用いてoperation cash flow/revenueの確認
Stockrow>Financial>Income(annual)
④ 2次調査
1次スクリーニングの結果を踏まえ、各年度のEPSとEPSの伸び率(YOY)を確認
※Note:中国銘柄、ブラジルなどの外国銘柄やXLNX(AMDによる買収手続き中)は除く。
参照:EPS Stockrow :diluted GAAP, Seeking alpha, Yahoo finance: diluted non-GAAP
調査結果:CAGR>38.6%を上回る銘柄(1年11か月間で銘柄の上昇率がナスダック100を上回った銘柄)
銘柄の分類「グループ名称」はN研究員の工夫と裁量だ。
100銘柄から海外銘柄やM&A銘柄等を除いて、QQQのパフォーマンスを上回っていたのは30銘柄。
参考:N研究員の情報源(経産省のウエブサイト)
ナスダック100構成銘柄の中でも影響の大きい半導体プレイヤー
ナスダック100構成銘柄で半導体関連銘柄の影響力は大きい。経産省のウエブサイトには有用な情報が満載だとは、N研究員のアドバイス。
ナスダック100を上回るのはやはりGAFAM?
研究員は調査を通じて改めてGAFAMの強さと可能性を実感した。以下はGAFAMを個別に精査した結果だ。
1 アップル
1株当たり利益が着実に伸びている。株価も相応に上昇しているのでPERはそれほど割高になっていない。
因みに下記のグラフは上記のグラフの下段の一部を拡大したもの。下記の青い折れ線グラフはPERの推移を、その下段の階段状のグラフは四半期EPSの推移だ。
アップルの株価(オレンジ)は、2020年以降はS&P500指数(青)に出遅れていた時期もあったがこの数か月で盛り返した。
直近四半期(21年9月期、Q4)は、半導体不足もあり、iPhoneは前期比で減収。
出典: Seeking alfa> AAPL>Momentum
過去の四半期決算の実績(下記の青)は概ね予想コンセンサス(黒)を上回っている。
N研究員の想定株価レンジ
アップルの直近株価は175ドル前後(1/12)だ。この株価は今年のEPS予想5.7ドルの31倍程度なので、N研究員のメインシナリオ(下記のテーブルの真ん中)と整合性が取れている。
アップルの場合、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)ヘッドセットと自動運転車の発売が同社のバリュエーションに反映され始めれば、バリュエーションの上振れ要因となるのかもしれない。
2 アマゾン
PERの低下がEPSの上昇を相殺し、2021年度はボックス圏を形成し、200日移動線を割り込む。次回決算におけるEPSの伸びがキーポイント。
AMZNの決算内容
EPS: FY 2021 Jan ~ Sep; 37.03
出典:AMZN IR
過去の四半期決算の実績(下記の青)は予想コンセンサス(黒)を上回っていたが、直近期は物流コストなどでコストがかさみ、予想コンセンサス未達だった。
参考 EPS FY2021 40.93, FY2022 51.72
出典:Yahoo finance
出典:Seeking alfa >AMZN> Earnings> Earning summary
3 アルファベット(GOOG)
EPSの上昇に伴い、PERは順次低下傾向。
EPSの伸びがPERの低下を上回った結果、株価は上昇。
2021年3月のPER:21
2022年1月のPER:25
出典:GOOG IR
過去の四半期決算の実績(下記の青)は予想コンセンサス(黒)を上回っている。
参考 EPS FY2021 108.81, FY20211 112.36
出典:Yahoo finance
出典:Seeking alpha >GOOG> Earnings> Earning summary
4 マイクロソフト
EPSは増加するものの、PERはほぼ一定。
2021年度はEPS増加に伴う堅調な株価上昇。
2021年3月のPER:23
2022年1月のPER:34
2022/1/8
出典:MSFT IR
過去の四半期決算の実績(下記の青)は予想コンセンサス(黒)を上回っている。
参考 EPS FY2021 7.97 FY2022 9.20
出典:Yahoo finance
出典:Seeking alpha >MSFT> Earnings> Earning summary
5. まとめ
下表はメタを除くGAFAM各銘柄のEPSと株価の年率上昇率(5年、10年)とN研究員の「所感」だ。
備考
FactSetによれば、FY2022のEPSの伸び率は8~9%
金利動向、FRBのバランスシートの圧縮(QT)に伴うPERの低下に要注意!!
Indexが週足ベースで5%低下する頻度は3回/年、2018年12月の下落の際、QQQは1ヶ月で15%下落
2022年1月発表の決算に於いて、EPSよりも寧ろガイダンスに要注意!!
決算発表予定日2022年
1/25(火)16:00 MSFT マイクロソフト 2Q
1/27(木)16:00 AAPL アップル 1Q
2/01(火)16:00 GOOG アルファベット 4Q
2/01(火)16:00 AMZN アマゾン・ドットコム 4Q
【川田コメント】
上述の各銘柄のポイントを押さえ、近々発表される決算に注目すれば投資のヒントになると思う。この中ではマイクロソフトが一番安定しているように見受けられるが、皆さんの投資方針はいかがだろう。
GAFAM 過去1年間のチャート
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5.ちょっと一息「FAの視点」
ファイナンシャルアドバイザーの本橋竜一氏が資産運用に関してお客様からの質問に答えるコーナーです。
Q:資産運用を続けるための大切な「心構え」はありますか?
A:「資産運用はマラソン?」
意を決してスタートした資産運用でも、途中でやめてしまう方が多いと聞きます。そもそも資産を殖やして成し遂げたい目標があって始めたはずなのに、急なマーケットの変動により、資産残高の上下が怖くなってギブアップというケースが大半のようです。
そんな方々には、資産運用は自分で決めたコースを走るマラソンに似ていますとお伝えしています。どのルートを通るのか、どこで給水や休憩をとるのかを、ご自身で自由に決めることができます。こうしたコース設定は人生設計そのものではないでしょうか。
さらに、少し無理しているなと感じる時は、走っているペースを見直し、時には立ち止まってコース確認をしてもいいのです。これは資産運用における積立投資額の減額や資産配分の変更、途中での一部引き出しといったところでしょう。資産運用というマラソンは、当初に決めた計画にこだわることなく柔軟に対処して良いのです。
ただし、忘れてはならない大切な心構えは、一度始めた長期戦はリタイアせずにゴールまで「完走」することです。リスクを取って行う資産運用には、マーケットが順調な上り坂、調子の悪い下り坂、そして思いもよらない「まさか!」の場面もあります。タイムは気にせず、自分のルートを自分なりのペースで最後まで走り切るエンジョイマラソンの心で行きましょう。
せっかく始めた資産運用だけど、マーケット急落で「やっぱり投資なんて怖い…」「やはり、投資なんて私には向いてない!」と思った時、是非思い出してください!
マーケットが良い時こそ「自信過剰」に用心し、マーケット急変で「想定外の〇〇ショック」に見舞われても、皆さまなりのGoalを目指して投資を継続しましょう! Stay in the Market and Keep investing!
1998年に大学を卒業後、横浜銀行にて金融業界でのキャリアをスタート。その後、外資系金融機関のプライベートバンカーへ転身。間もなく世界を震撼させるリーマンショックが勃発し、第一線のセールスとして成功を諦め、正統派な資産運用を伝えるファイナンシャルアドバイザーを目指そうと決意。数名の顧客を頼りに約20年の金融機関勤務から独立。信用・人脈ゼロながら、海外のPB・FAビジネスモデルを徹底研究、顧客体験の向上に資する創意工夫を重ねる日々。
現在は、特定の金融機関に属さず、真にお客様の価値観を大切にした資産運用・形成サポートを専業とする、独立系ファイナンシャルアドバイザーとして、お客様へのプライベート金融コンサルティングに従事している。
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6. 今後の活動情報
◇ストックボイス:1月19日(水)11:00~
◇日経CNBC:
1月19日(水)8:18~電話中継
1月25日(火)10:15~スタジオ
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新連載「これでばっちり!米国株式を使った資産形成術のすべて」
はじめに
今回、資産形成に必要な基本的な内容を網羅した連載シリーズを始めます。全体の構成は以下のように考えています。
我々はどのような時代に生きているのか?全二回
自立した日本人と自立に欠かせない資産形成 全三回
株式市場は米国にしかないの? 全4回
日米株式文化の違い
知っておくべき米国市場の特徴
S&P500とは
なぜ米国は強いのか
おすすめの投資戦略~コア・サテライト投資~
コア部分の投資戦略
サテライト部分の投資戦略
何を買ったら良いのか
情報源と投資
第5話 知っておくべき米国市場の特徴 四回目
米国のインフレと株価
インフレと株価 1968~1983年の場合
S&P500指数もけっこう目減りする
私は常々米国株式はなかなか下がらない、そして長期保有なら必ず買値を上回ってきた実績があるとも言っています。しかし正確に言えば、米国株式市場にもインフレで実質価値が目減りする時期がありました。
インフレ率を勘案したS&P500指数の購買力は通常は名目の指数を消費者物価指数で除することで求められます。つまり、たとえ名目の指数が上がっても物価がそれ以上に上昇するなら、その間のS&P500指数の購買力は減価していることになります。
20世紀の高インフレ期は3回
この100年の間に米国では3回の高インフレ期がありました。この3回とは両世界大戦の後と、1970年代の大インフレ期です。
1916年12月から1920年6月にかけて、消費者物価指数(CPI)は年率18.5%で上昇しました。その後、価格崩壊が起きてハイパーインフレは終息しました。CPIは1920年6月から1921年6月にかけて15.8%下落し、不況に陥りました。第二次世界大戦の時は、1942年に10.9%だったCPI上昇率はその後に低下し、1年後は6%、2年後は1.6%、3年後は2.3%となりました。
大インフレ期(1968年~1983年)
この期間は大インフレ期と呼ばれています。CPIはこの時期に186%、年率で7.3%上昇しました。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、「大インフレの原因は、マネーサプライの過剰な増加を許容した政策にある」として自らの過ちを認めています。
FRBの失敗の原因は、フィリップス曲線を信じ、「インフレ率をやや高めに維持することによって、恒久的な低失業率を実現することができる」と考えたことでした。
この考えは、1970年代にインフレ率と失業率がともに上昇し景気が低迷するスタグフレーションが発生し、誤りであることが分かりました。
このインフレの最大の要因は、ジョンソン大統領によって1964年から開始された高齢者医療保障と公的健康保険を併せた福祉プログラム「偉大な社会」の挿入と、ベトナム戦争の戦費増大です。
またフォード大統領は、1974年に「今こそインフレ打倒(Whip Inflation Now)」というキャンペーンを開始しました。頭文字をとった「WIN」バッジを作り、「家計をバランスさせ、室温の設定を下げ、割安品を探し求める」ように呼びかけましたが失敗しています。
カーター政権は経済不振で行き詰まりましたが、ポール・ボルカー氏のFRB議長任命により大インフレは終息しました。ボルカー議長はマネーサプライの引き締めを行い、フェデラルファンド(FF)金利を段階的に引き上げ、失業率を10%以上に押し上げ、経済を景気後退に追い込みました。その結果、インフレは1980年にピークに達し、その後は数十年にわたり低下傾向にありました。
大インフレが終了しただけではなく、2007年9月の世界金融危機以降は、各国の中央銀行がインフレ率を2%に引き上げようと試みましたが、うまくいきませんでした。この低金利は新型コロナウイルス感染症の問題が発生するまではニューノーマルのように思われていました。
消費者物価: Total All Items for the United States (CPALTT01USM659N)
大幅に目減りしたS&P500指数
直近の物価上昇率は1980年代にまで遡るくらいの高い上昇率です。これが続くとは思いませんが、当時はインフレで実質的な株価がかなり毀損したため、その時の状況を確認しておきます。
これはS&P500指数の名目株価の長期チャートです。目盛りは対数なので上昇率が一定なら直線的に上がっています。この高インフレ期の株価は横ばいでした。
S&P500指数 過去90年間チャート(目盛りは対数)
S&P500指数 物価調整後の株価過去90年
1968年12月から1982年7月までの10数年の間にS&P500指数の実質的な購買力は6割以上も減少しました。右側の赤い丸で囲った時期は金融危機時の下落です。当時のS&P500指数は最大で56%下落したので、物価調整後の下落率(58.3%)と大差ありません。
今回の物価上昇は、短期の供給制約がもたらす一時的な物価高だと楽観的に捉えています。
ところで直近のマーケットでは物色対象がグロースからバリュー銘柄へシフトしています。しかし、多くの投資家が経験していない高い上昇率のインフレーションと、それが株式価値を大きく毀損した事実は頭の片隅に置いておくのがいいと思います。
10年国債の利回り FRED | St. Louis Fed
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