米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.17]2021年10月4日配信
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米国株式投資の真実を伝える
川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
[Vol.17]2021年10月4日配信
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***目次***
マーケット振り返り
今週のズバリ!
今週のピックアップ記事
【「双極」に向かう米国と中国】
【高齢者雇用 どう進めるか】
【岸田文雄氏 「聞く力」で勝負】
【積み立てNISAの投信選び】
投資のヒント
【NISA枠はリスクを取って大きく増やそう】
【新連載 「これでばっちり!米国株式を使った資産形成術のすべて」】
川田のお散歩
【井の頭公園】
活動情報
質問コーナー
次回の休刊は11月29日号
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
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1.マーケット振り返り(9月27日~10月1日)
<主要指数>
・NYダウ -1.4%
・S&P500指数 -2.2%
・ナスダック総合指数 -3.2%
=駆け足バージョン=
四半期末を迎えた株式市場は、米国の債務上限問題や金融引き締めへの警戒感などによる長期金利の上昇が重しとなりました。金利上昇を受けて成長株が下落したほか、中国経済に対する懸念から景気敏感株も売られました。
=ちょっとだけ詳しく=
資本財受注が市場予想を上回って月曜日にNYダウが上昇したものの、週半ばは長期金利の上昇が株式市場の重しとなりました。金利上昇の背景は、前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて引き締め姿勢に対する警戒感が強まっていたところに、米国政府の債務上限問題が重なったことです。10月からの新会計年度の予算案が決まらずに政府機関が閉鎖されるとの懸念や中国の経済指標の悪化も下落要因となりました。金利上昇を受けてハイテク株が売られたため、主要3指数の中でナスダック総合指数の下落率が最も大きくなったほか、S&P500指数は週間ベースで2月下旬に次ぐ下落率となりました。四半期末後の金曜日は堅調な経済指標の発表を受けて反発しました。
S&P500指数チャート 過去1年間
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2.今週のズバリ!
これだけは知っておいてほしい情報をお届けするコーナーです。
久しぶりの大幅下落
先週、S&P500指数は2.2%の下落だった。2月26日に終了した週の2.4%に次ぐ久しぶりの大きな下げだった。直接的には長期金利が6月中旬以来の1.5%台に上昇したことが理由だ。しかし、長期金利上用の要因についての解説には注意が必要だ。
米国のデフォルトはない
最もリスクを強調したように感じられたのは、米国政府がデフォルト(債務不履行)に陥るというものだ。米国政府の債務上限は法律で決められており、財政赤字が続く以上、債務の元利払いのためには上限を引き上げなければならない。引き上げられるのは政府ではなく議会だ。現行の債務上限は一時的に停止されていたが、8月に復活して債務はほぼ上限に達しており、財務省が政府各部門内でのやり繰りで資金繰りをしている状況だ。
それでもイエレン財務長官は10月18日には策が尽きて米国がデフォルトに陥ると警告した。これが金利上昇を招いていると解釈できるような記事が目に付くが、短絡的だろう。これまで何度も債務上限問題がぎりぎりまで解決しないことはあったが、万が一米国債がデフォルトになったときの影響を考えて、結果的には上限が引き上げられた。今回もそうなるはずだ。
株価の下落に関しては、長期金利の上昇以外にも、政府機関の閉鎖懸念や景気減速を理由にする解説もあった。政府機関の閉鎖懸念も恒例行事のようなもので、つなぎ予算が通ったため、少なくともつなぎ予算の期限の12月上旬までは問題ない。景気減速懸念は一部の経済指標や中国の景気減速を根拠としており、完全に否定はしないものの、影響があっても一部にとどまりそうなものだ。
債務上限問題で下がれば買い場
結局、先週の株式市場と債券市場の調整は「期末要因」ということだと思う。好調だった四半期を終えるにあたって利食いが先行し、買いが手控えられる地合いの中で、上記の要因が重なっただけだと考えている。実際、四半期末を通過した金曜日に主要指数は反発し、長期金利は低下した。
とは言うものの、現時点で債務上限は引き上げられておらず、18日ぎりぎりまで引き上げられない可能性はある。その場合は金利の上昇と株価の下落となるが、これは買い場となるはずだ。18日は再来週の月曜日だから、来週後半にそういう時期が来るかもしれない。もちろん、短期勝負の話であり長期投資家は淡々と積み立てればよいだけだ。
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3.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 「双極」に向かう米国と中国 英エコノミスト誌元編集長 ビル・エモット氏 9/30
バイデン大統領率いる米国の指導力にはアフガン撤収前から失望。世界的なワクチン接種の拡充や気候変動対策、対中関係、世界経済の再建といった面でバイデン氏はどこにも身が入らず内向き姿勢に終始。米国政治の著しい分断がその理由。
今後20年の世界を展望して私がただ予測できるのは、世界が米国と中国に分断し続けること。新たな「冷戦」とは言えない。米中相互の経済的な結び付きは強すぎる。
米国が、強さを保てるかどうかが問題になる。リスク要因は米民主主義の深刻な危機だ。
私が最有力だとみているのは、米国が回復し、経済が頑健さを保つという展開だ。(81年就任の)レーガン大統領のように、純粋に人々を鼓舞できる指導者の登場を期待したい。
【川田コメント】
この人は1990年の『日はまた沈む―ジャパン・パワーの限界』 で有名。ただし私は読んでいない。これまでも文明、国家、地政学、ジェンダーをテーマにアプローチしている。アマゾンを覗くと彼の著書として
「日本の未来は女性が決める!」 2019/6/20
「「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために」2017/7/6
「なぜ国家は壊れるのか」2012/8/9
「アジア三国志」 2008/6/6
等がある。
【2】日経新聞 高齢者雇用 どう進めるか(上) 40歳代からの働き方改革を
八代尚宏・昭和女子大学副学長 10/1
定年制の本質は「年齢による差別」
正規社員という「身分」が定年年齢で失効する。
定年後の再雇用は「飼い殺し効果」
40歳代から社員の多様な能力を自発的に生かすキャリアを形成し、高齢者の雇用がコスト高にならない仕組みに変える必要。
(日本の賃金形態は)企業内訓練を受けた社員の自発的な退職を防ぐため、若年期の低賃金を高年齢期の高賃金で補償する仕組み。
個人の職種が明確でなければ、他の社員にフリーライド(ただ乗り)する社員も生じる。
やしろ・なおひろ 46年生まれ。米メリーランド大博士(経済学)。専門は労働・社会保障
【川田コメント】
私は八代先生のこの理屈が一番しっくりくる。ただし「正論」すぎて日本の実情には合わないのか?改革の方向性は正しくても遅々として進まず、の感がある。
私の世代で言えば、定年年齢を超えていても「仕事筋肉」すなわち「心・技・体」が充実している人はたくさんいるはずだが、彼らの意欲を活かす機会をいたずらに奪っているということだ。ただしサラリーマン人生の後半を流した人は仕事筋肉落ちてるね。PC操作、集中力そして調べものをする気力・体力が劣化している人が多い。私?泣きながらついてってる。
■なにからなにまで世代間扶養
また「なぜ日本企業は働ける60代に一律に退職を強いるのか」。この問いに対し八代さんは「企業内訓練を受けた社員の自発的退社を防ぐために、若年期の低賃金を高年齢期の高賃金で補償する仕組み」だと言う。
ある意味、世代間扶養にも似ている。そういう意味では日本企業は雇用装置であり社会保障の一部とも言える。これだけやってその上で株主価値を創っていくわけだ。一方で米国企業は儲けるだけ儲けて株主にも従業員にも払う。しかし雇用の安定や社会保障への責任は小さい。日本株で儲けることの難しさを再認識させられる。
【3】日経新聞 岸田文雄氏 名門派閥出身、「聞く力」で勝負 9/30
①『罪と罰』
岸田新総裁の愛読書は3冊紹介されていた。
「宮本武蔵」(吉川英治)
「蹇蹇録(けんけんろく)」(陸奥宗光)
ちょうどいま『罪と罰』を通勤途中でめくっているところ。
「あらすじ:主人公ラスコーリニコフの罪とそれに対する罰を描いた作品。 自分の信念を持って老婆を殺した彼だが、結局は罪悪感に苦しめられる。 自分の弱さに打ちのめされる彼は、親友や家族、娼婦のソーニャとの関わりのなかで人間らしい心を取り戻し、復活していく。 罪を自覚して、成長する」
【川田コメント】
舞台は150年ほど前のペテルブルグで、初代皇帝ピョートル大帝の作った人工都市だ。当時は貧困と不正の蔓延で地獄さながらだと。
登場人名の名前自体覚えにくいがその呼称が何種類もあり、それが文脈で使い分けられている。とにかくとっつきにくい。
出版は1866年で当時の世情がそのままなのだろう。
①登場人物はみんな底なしに貧しい。
②主人公がすぐに気を失う、これには違和感。そんなに簡単に失神できるの?
③精神的に病んでいる人が、そこかしこに溢れている。正気を保てないくらい経済的に困窮というか経済的、人格的に破綻しているようだ。
④破滅的な大酒飲みがそこらじゅうにいる。
⑤どん底にある人は宗教への依存度が異常に高い。
■キリスト教の理解が欠かせない
物語はキリスト教(ロシア正教)をベースにしている。聖書の理解がないと著者の意図もまた正しく理解できないはずだ。
主人公は選民思想にとらわれ「ある高邁な目的のためには手段は問われず、行為は歴史により正当化される」という考えだ。それで殺人を冒し、誤っていることを悟り自首して流罪になる。後半に聖書のフレーズがいくつも登場する。人々の生活が宗教といかに一体化しているかがよく分る。
さて、家の書棚をひっくり返していると
「そうか、君はカラマーゾフを読んだのか。 仕事も人生も成功するドストエフスキー66のメッセージ」が転がっていた。ちなみに中古本は400円ほど。
著者の亀山郁夫は元東京外国語大学学長でロシア文学、とりわけドストエフスキーの大家だ。この本にドストエフスキー作品の読み方のツボがいくつも解説してあった。
■素朴な疑問:なぜロシアに大酒飲みが多い?
「ロシアでは酔っ払いどもが一番善良なんです。一番善良な奴らが、一番の酔っ払いということなんでして」(p98)だそうで、亀山さんの解説によれば「専制政治が長く続いたロシアでは、酒を飲み、人前で裸になれる人間だけが信頼を勝ち取ることができた。
他方、時の権力者からすると、ウォッカは、民衆の怒りを眠らせる最高の支配の道具だった」(p98)そうだ。日本なら酒はコミュニケーションを促し、癒しをもたらすし、お祝い事には欠かせない。一方、ロシアで酒は宗教と同じく人民をおとなしくする“麻薬”なのか。
ロシアの凄絶な専制統治下で民衆のできることといえば、酒を呑むだけ呑んでこの世の非情と哀れな我が身を忘れることなのか。
泥濘(ぬかるみ)の中でぼろ切れをまとい、意識が無くなるまで呑む。女は女でヒステリックに喚き散らす。男も女もすでに正気を失って久しい、そんな描写が延々と続く。日本の明治初期とは次元が違うカオス(混沌)の中で物語は展開する。だから救いを神に求める。ただしその神にも見放されている。遠藤周作の『沈黙』にも通ずる不条理の世界だ。
②岸田文雄氏が政治家を志した原点
「通産官僚だった父の赴任に同行し現地の公立小学校に通った。クラスで動物園へ遠足に行った際、先生が隣同士で手をつなぐよう促すと、岸田氏の隣の白人の女子児童が嫌な顔をした。差し出した手を握ってくれない。初めて経験した人種差別。状況を理解したとき心に決めた。こんな不条理はなくしたい――。多様性を重視する政治を志向するきっかけ。」
【川田コメント】
岸田さんの米国は1963年から3年間でいまから50年以上前。63年はケネディ暗殺、1968年にキング牧師暗殺。さらにその後ウォーターゲート事件(72年)、ベトナム戦争終了(1975年)と続く。
「状況を理解した時」とは、その場ではなく後の事だろう。あの年齢の子供は大人と違い意思疎通の障壁がずっと低いので無意識に交流しようとする。ところが日本人も向こうに行けば有色のマイノリティだ。我々大人では経験できないことを子供はたくさん学んでいるはずで、親に言えないことも多いはずだ。我が家の娘もこれと似た経験があるはずだ。いましがた当人達に確認したが「そんな単純なものじゃない」と言ってとり合わない。
我々オトナの場合?言葉、文化、価値観で違い過ぎて最初から棲み分けがあるので、そこまでコミュニケーションできない。子供の時期の肌感覚の異文化体験は貴重だ。元祖帰国子女の岸田さんに期待したい。
おまけ、岸田さんの英語
岸田文雄の英語力は?ペラペラ喋れるかスピーチ動画で確認!帰国子女の学歴についても!
いろんなこと調べてくる人がいるものですね。
【4】日経新聞 つみたてNISAの投信選び 海外株中心に、リスクを点検 9/25
積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が始まって約3年半。以下は投資初心者からの質問と、それに対する回答を記事に基づいて想定している。
質問:一般NISAとつみたてNISAの違いは?
回答:投資対象が、つみたてNISAは金融庁が定めた条件を満たした対象に限定。年間の投資枠は40万円で、一般NISAの120万円より少額。一方、一般NISAは運用期間は5年間で、経過後は課税口座への払い出し、または、翌年の非課税投資枠にすべて移管の選択が可能だが、制度の継続期間は現状では2023年まで。
質問:一般NISAではなく、つみたてNISAで投資する理由は何か。
回答:投資対象を金融庁が限定していること、非課税での運用期間が長いことから、投資初心者やより長期の資産運用が目的なら、つみたてNISAの方が使い勝手は良いとされている。なお、一般NISAとつみたてNISAの併用はできない。
質問:標準偏差の見方を説明して。
例えば、つみたてNISA対象投信の中で最も高い年率リターンは約18%で、標準偏差は約20%だが、これは、リターンが18%を中心に上下に20%の範囲(プラス38%からマイナス2%)で動く確率が約7割あることを示す。年率リターンが同じであれば、標準偏差は低い方が価格の振れ幅が小さく、運用効率に優れた投資信託といえる。
質問:つみたてNISAが始まってから今までの運用成績が良かった投資信託は何か。
回答:上位商品の多くは米S&P500種株価指数や、日本を除く先進国株式の値動きを示す「MSCIコクサイ指数」など海外の株価指数に連動するインデックス型投信だった。背景にあるのがアップルなど「GAFAM」と呼ばれる米IT(情報技術)大手の株価上昇だ。
参考:一般社団法人投資信託協会
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4.投資のヒント
「投資手法」や「銘柄紹介」だけでなく、「気になった指標や発言」や「社会や政治の動き」を書くコーナーです。
NISA枠はリスクを取って大きく増やそう
毎年、この時期になると5年前のNISAについて証券会社から案内がくる。今年は2017年の120万円をどうするかを選択しなければならない。
証券投資にこの優遇制度は新鮮だった。そこで2014年の開始時から枠一杯に投資することを励行してきた。投資枠は2014年と2015年が年間100万円、それ以降は120万円だ。そして5年後には増えた分もまるまるロールオーバーの対象になるのが魅力的だ。
人によってはこの制度を無税のトレーディング枠のように使っている人がいることを知っている。ばかげていると思うが個人の選択だからしようがない。
■私のNISAは成績抜群の模範生
以下が私の戦績、といってもNISAだから「戦」もなにもない、単に買ってほってあるだけ。つまりNISAの主旨にそって正しく行動している。
投資金額は2014年~2018年の5年間で総額560万円(100X2年+120X3年)の枠が使える。その枠に対し私は約518万円使った。あれ?ちょっと少ない。枠を使い切らなかったのだろうか?この謎はラッセル2000のETF(1588)にあった。
下記の表では2014年の枠は2019年の枠に乗り換えられている。しかし、この2019年のナスダック100とS&P500のETFの投資金額を足し合わせても約73万円にしかならない。1588にも投資していたが、2018年に1588が償還されて、その枠が無駄になった。これもNISA枠のリスクだ。
当初5年間の投資総額518万円が直近では1363万円なので約2.6倍に増えている。
川田のNISAパフォーマンス特別公開
■長期投資だからリスクを取ろう
投資週刊誌やネットでNISAの使い方を指南する人は多い。しかしとにかく安定志向なので低い運用利回りを想定した説明が多い。なぜズバッと「年率10%を狙いましょう!」と言えないのか?
途中経過だが私のNISAは1545(ナスダック100のETF)が多い、というか実質これだけ。これが結構増えている。
ちなみにこの1545だが、2013年年末の1545は3848円だった。直近2021年9月30日は16850円だ。7.75年(7年9か月)で4.38倍になっている。この期間は年率21%強で株価が上昇したわけで、これに配当も加わる。
私は2014年以降の5年間、ドルコスト平均法に近い方法で買い増してきたので、その資産は約2.6倍に増えた。大変に良好なパフォーマンスだと思う。
■長期では10%目標
2009年の金融危機以降の米国株式の主要指数のパフォーマンスはとりわけ良好だ。ただしその危機前、2008年には大暴落している。私が投資パフォーマンスの記録を取り始めたのは2005年だが、それ以降直近(2021年9月)までの16年9か月の年率パフォーマンスはS&P500指数は7.94%でナスダック100は14.09%だ。このS&P500指数も、過去50年ぐらいなら配当込みで概ね10%内外に収斂する。
東証1545(ナスダック100ETF)2011年以降のチャート
■2024年以降もNISA枠あるの?
さて、このように私には極めて有益な仕組みだったNISAだが、この後はどうなるのだろう?
日経ヴェリタス8月22日号の野尻さん「「引き出しNISA」というゴール(野尻哲史)」によれば
*一般NISA口座を開設している60歳以上は654万人弱。この人たちが新NISAを評価するポイントは、新規に投資資金を振り向ける際の難しさよりも、一般NISAからのロールオーバーの可否だろう。
*「新NISAの投資上限額は1階と2階の合計で122万円だがロールオーバーの場合にはこれを超えても可能で、少なくとも24年からの5年はロールオーバーで資金を移すことは可能だ。
つまり、2014年から始めたNISAは2019年にロールオーバー。そしてそれが期限を迎えるのが2023年だがその増えたおカネはもう一度だけロールオーバーできるというのだ。2024年からスタートする5年間の枠の期限が到来するのは2028年でいまから8年後だ。
野尻さんはこの時点で70歳になるのでそこで売却を考えると言っている。そして2015年分の期限は2029年で彼は71歳で取り崩すそうだ。私はまだ取り崩したくはないがNISAの仕組みがあるのかどうか?あれば再度ロールオーバーしたい。
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新連載「これでばっちり!米国株式を使った資産形成術のすべて」
はじめに
今回、資産形成に必要な基本的な内容を網羅した連載シリーズを始めます。全体の構成は以下のように考えています。
我々はどのような時代に生きているのか?
自立した日本人と自立に欠かせない資産形成
株式市場は米国にしかないの?
日米株式文化の違い
知っておくべき米国市場の特徴
S&P500とは
なぜ米国は強いのか
おすすめの投資戦略~コア・サテライト投資~
コア部分の投資戦略
サテライト部分の投資戦略
何を買ったら良いのか
情報源と投資
第1話 我々はどういう時代に生きているのか? その1
今回の連載を始めるにあたり私には以下のような認識があります。
■我々はいまどのような時代に生きているのでしょうか?
1989年の東西冷戦終了で米国等の自由主義経済を標榜する国々が繁栄を謳歌するかに見えました。しかし、その後は中東情勢が不安定化し、2001年は米国本土がテロに見舞われました。
さらにグローバル化の進展の過程で、中国は国家資本主義ともいうべき政府が民間経済に積極的に関与することで、世界経済で重要な役割を占めるようになりました。その結果、現在の経済体制は米中二強の時代です。
日本経済は1989年に史上最高値を付けた後の株式市場が象徴するように一時の勢いを失って30年以上経ちます。その間の市場経済の進展に伴い世界中で格差が拡大し日本もその例外ではありません。さらに我々の働き方にも変革が進行中で安定雇用の象徴とも言われた終身雇用制度が失われつつあります。
■目の前の現実に目をむけましょう。
この数十年で世界中にグローバル化や市場経済が広まりました。この過程で日本人の多くにとっては、そのメリットよりもデメリットが大きくなり、結果的には相対的に貧しくなっています。
このことを認識いただくために、過去30年で“我々先進国の中間層”が相対的にどんどん貧しくなったエビデンスを、経済学者のブランコ・ミラノヴィッチ氏は有名な「像のはな」の形で示しました。
2012年に経済学者のブランコ・ミラノヴィッチが示した「エレファント・カーブ」は、世界の格差に関する現状を象徴的に示すものとして、大きな話題を呼びました。
すなわち、図表に示すとおり
*1988年から2008年までの20年間で、先進国の高所得者層と、新興国・途上国の中間層の所得が大幅に上昇している一方で、先進国の中所得者層は、所得を減少させているというものです。
このグラフの形があたかも鼻を上げた象の姿のように見えるため、「エレファント・カーブ」と呼ばれています。
世界全体でみれば、格差は縮小していることを示すものの、新興国・途上国の人々の所得は、先進国の人々の所得に近付いていることになります。
他方、先進国に限ってみると、高所得者層と中間層の格差が拡大していることになり、このことが米国におけるトランプ大統領の誕生や、英国におけるEU離脱に向けた動き(Brexit)等、現在の国際情勢における大きな動きにも関係しているという見方もあります。
我々日本人が自覚すべきなのは、日本人の多くはこの先進国の中間層に位置するということです。つまり相対的に貧しくなっているのです。
■日本のGDPと世界主要国のGDP
かつて、日本は先進国のトップグループにいました。しかし過去20年間、日本のGDP(国内総生産)は伸びていません。主要国の名目GDPの伸びと比べても、はっきりとそれが分かります。つまり、高度成長期を終えた日本は世界の中で経済規模は相対的に下がっています。
世界中で先進国の中間層が貧しくなっている、そして、その中間層が多い日本自体もまた世界の先進国の中ではその順位が下がっているという由々しき事態に陥っているのです。
■賃金の伸びも労働分配率の低下
では日本人の個々人はどのような状況に置かれているでしょう。
過去40年間、世界中の金利が低下してきました。これはお金の貸し手や預金者から、おカネを借りる側(政府や企業です)への所得移転と同じことです。
つまり銀行は預金で集めたおカネを貸し出して利ざやを稼ぎますが、その利ざやがどんどん薄くなって儲からなくなりました。また個人も預金を銀行に預けても得られる利息は減っています。
一方でそのおカネを借りた政府や企業は、その資金を公共事業や営利活動に使います。政府のおカネが社会保障に使われれば、その主な受益者は高齢者だし、営利活動なら儲けは企業に入ります。
その一方で労働分配率を見てみましょう。この20年で上下を繰り返しながら低下しています。つまり以前ほど儲けが労働者に還元されていません。
これは世界中の先進国で同じトレンドにあります。そして、例えばアメリカなら多くが配当、自社株買いに使われていて、結局は株式の持ち主が潤っていることになります。
一方で日本は従業員の雇用にこだわりが強く、先の見えない状況では社内に貯え将来に備える傾向があります。つまり儲かったからすぐに大盤振る舞いとはならないのが大方の日本の会社です。
これを別の角度から見てみます。過去30年間で日本人の平均年収は減っています。とりわけ過去20年ほど、その傾向が激しいです。つまり日本の労働者はこの20年間で貧しくなっているということです。
■なぜ賃金が減るの?
賃金低迷の要因は何か?言い換えればなぜ日本の企業は儲からなくなったのか?そしてその利益の分配率も低下してしまったのか?
それにはいまほど申し上げたグローバル化に伴う影響に加え日本の企業と社会が抱える問題が大きく影響しています。
少子高齢化の急速な進行
→消費の牽引役である生産年齢(15~64歳)の減少(1995~2015年の間に約1,000万人も減少)
→多くの企業の国内売り上げが減少
→企業の収益が低迷
→企業は利益確保のために人件費を抑制
→賃金が伸びない多くの労働者の消費心理の冷え込み
→モノを売りたい企業同士の価格競争の激化
→さらなる企業収益の低迷
→企業は利益確保のためにさらなる人件費を抑制
■「中間層没落と格差固定」の今後について
ところで、このグローバル化や市場経済がもたらす影響は今度どのような趨勢を辿るのでしょうか?
世界の民主主義の手本という人もいたあのアメリカで、2016年に究極のポピュリストとも思えるトランプ大統領が誕生し、予想外のことが数々起こりました。
金融市場については、経済は活性化し株式市場も上昇しました。そして法人税も所得税も減税になりましたので、法人の儲けが増え、株主は潤い、富裕層はよりリッチになりました。
■新型コロナ危機が加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)
これに拍車をかけたのが2020年に本格化したコロナ危機です。この危機は、持てる者と持たざる者の格差をさらに鮮明にしました。
つまり飲食やレジャー、旅行業に従事する比較的所得の低い層が解雇や一時帰休等で直接的な影響を受けたのに対し、この危機で世の中のDXデジタルトランスフォーメーションの動きが一気に加速し、ハイテク分野に従事しているホワイトカラーがますます優位になりました。
■バイデン政権誕生でも変わらない?
2020年にバイデン氏が大統領になって、所得間格差の是正を試みていますが、この流れはなかなか収まりません。むしろ、コロナ危機を経て、働き方や教育方法にも劇的な変化が生まれました。そしてこの危機を経て、人々のこの行動様式の変化が常態化するかもしれないのです。
そうなるとコロナ禍を機に出現した、新たな産業や働き方に適応できるスキルのある人、学びの意欲がある、さらに学ぶために時間やエネルギーを実際に割ける人々が時代の変化に適応できることになります。一方で意欲はあっても学ぶ時間と資金的な余裕がなければ、時代の変革の波に飲み込まれるという構図です。我々は、ますますもって自分の身は自分で守らなければならない時代に遭遇しているのです。(続く)
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5.川田のお散歩
◇◇井の頭公園◇◇
【5】日経新聞 佐藤多佳子「しゃべれどもしゃべれども」 東京・井の頭公園 10/2
私が井の頭公園の近くに住んでおり、週末は毎週のように徘徊(?)していることは何度か申し上げた。日経夕刊の最終面は「文学周遊」で、ふと見たら井の頭公園の近くに住む落語家を題材にした小説だ。ただしこの佐藤さんという作家は知らない。
公園のシンボルの井の頭池は徳川将軍の狩り場だった。家康が茶をたてたとされる「お茶の水」(写真)の泉からは、現在もこんこんと水が湧き出ている。
■週末の自主トレコース:井の頭公園
私のルーティンは土曜日は早朝だ。最近は午前3時ごろには目が覚めるので日経と日経ヴェリタスには目を通してしまう。5時半ごろには公園に向い家には7時半ぐらい。日曜は「バロンズ・ダイジェスト」と朝会の収録が終わる8時過ぎからで、どちらも二時間ほどほっつき歩く。メニューは筋トレと徒歩が基本で途中でジョギングが入り、「西園」のトラックで“なまくら”ダッシュで締めるときもある。ちなみに筋トレのノルマはスクワットと腕立て伏せを10回ずつを20セット。手抜きもあるが、これくらいはやり続けたい。
■私のルーティンルート
ご参考にいつものルートをお伝えするが、簡単にいうと「西園」を出て池のまわりを一周だ。
下記の地図の左側から「テニスコート」を過ぎ「西園」に到着。「ほたる橋」をわたり「井の頭公園通り」を横断し池を目指す。「徳川家光御切付旧跡 (東京都三鷹市井の頭 史跡) - グルコミ」を過ぎ、「弁財天」を左に見る。ここでは最敬礼したり手を合わせている人を見かける。
その後「ひょうたん橋」までアップ&ダウンが続く。「井の頭公園駅」当たりでは中年白人男性が数人たむろしている。「やっとれんなー、ったく、日本人ときたら」なんて言ってるに違いない。地図にはないが「三鷹台駅」で折り返し。
帰路は「よしきり橋」、「水門橋」のあと「野外ステージ」は進行方向の右だ。土曜日は、このあたりで午前6時半ごろになるので、ラジオ体操の集団をくぐり抜ける。やたら元気なオジサンがラジオから流れるピアノ伴走を無視して思いっきり手足をぐるぐる回している。この人にいつも苦笑しながら先を急ぐ。
「野口雨情歌碑」【井の頭恩賜公園・野口雨情歌碑】の画像素材(41366428)を通り抜けたら「お茶の水」を右に見て、急こう配の坂を駆け上がる。そしてまた「西園」に戻りストレッチやらダッシュやらだ。
帰り道はコンビニ、パン屋、たい焼きの「すえき」で買い物してだいたい2時間というのがお決まりのコースだ。週末のこの時間が一番リフレッシュできる。
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6.今後の活動情報
◇10月6日(水)午前11時 ストックボイス
◇10月20日(水)午前11時 ストックボイス
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7.質問コーナー
今週はお休みです。皆様のご質問をお待ちしています。
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