米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.39]2022年3月21日配信
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
米国株式投資の真実を伝える
[Vol.39]2022年3月21日配信
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
***目次***
マーケット振り返り
今週のピックアップ記事
川田の気になる銘柄
投資のヒント
お散歩
ちょっと一息「FAの視点」
超富裕層が実践する「プライベート投資戦略」とは
活動情報
質問コーナー
皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
1.マーケット振り返り(3月14日~3月18日)
<主要指数>
・NYダウ +5.5%
・S&P500指数 +6.2%
・ナスダック総合指数 +8.2%
=駆け足バージョン=
週初は前週の弱い地合いを引き継ぎましたが、原油価格の下落などから徐々に落ち着きました。水曜日に利上げが発表されたものの影響は限定的で、ロシア国債のデフォルト回避も安心感につながり、週後半は上昇が続きました。
=ちょっとだけ詳しく=
週初は中国株の大幅下落や、インフレ懸念から長期金利が2019年7月以来となる2.1%台で推移したことを受けて、ハイテク株を中心に売られました。
その後、原油などのコモディティー価格が落ち着いたことや2月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことが好感されて反発に転じました。
注目されていた米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げが決定され、インフレに対してタカ派的な姿勢が示されましたが、市場の予想の範囲内で、結果発表後に大きく上昇しました。
週末にかけては、懸念されていたロシア国債のデフォルトが回避されたことやウクライナの停戦交渉に対する期待感などから買い戻しの動きが強まり、上昇基調が続きました。
S&P500指数 過去1年
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
2.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 戦争の経済的帰結 3/17日
「ソ連が崩壊した要因は米国の大きな財布とチェルノブイリだ」とは故ジョージ・シュルツ元米国務長官の言葉である。ゴルバチョフ党書記長が原発事故を最初に知ったのは英BBC放送による。
直ちに側近に問いただすと、確かに事故は起きたが小規模なものだとの報告。しかし、スウェーデンの偵察衛星による写真付きで被害状況を海外メディアが続々と報じ、大事故であることがすぐ明らかになった。核のボタンを握る最高権力者の自分よりも海外メディアの方が自国内の出来事をより早く正確に知っている事実に彼は慄然とした。これではとても勝ち目はないと。
ゴルバチョフが米国との軍備競争を放棄し、デタント(緊張緩和)を決意したのはその時である。それが共産主義とソ連の崩壊につながっていった。
自由と民主主義が至上の価値を有するのは、最低限の人類の尊厳を保証するためである。安全や人権を踏みにじる独裁国家が安全保障理事会常任理事国として拒否権を持つ、77年前のままの国連も大改革が必要だ。
【川田コメント】
「自由と民主主義」に至上の価値を見出し、それに立脚した統治形態が人間社会の理想と信じて疑わない人々の集団が自由主義経済圏、つまり米国や西欧そして日本だ。しかし、それとは対極の専制主義の統治形態もまた多く、世界の人口比ではこちらのほうがマジョリティーだ。
ところで、今回のウクライナ侵攻は1991年のソ連解体に納得がいかないプーチン大統領らの積年の不満や怨みが暴発したからとも言われている。平時は理性や経済合理性が社会のルールだろう。しかし「悔しい」とか「怪しからん」といった積もりに積もった怨みが鬱積し臨界点に達すると、その情念が今回のように噴火するのだろう。
バイデン大統領はプーチン氏を”戦争犯罪人”と断罪したがプーチン側にも言い分はあるはずだ。我々日本人も、80年程前までそのような立場に立たされていたと理解している。
そうは言いながらプーチン大統領の行動は論外だ。ただし、このような暴挙の”極小版”は我々の身の回りにも常日頃から起こっている。そしてこの不幸な出来事から学ぶべき教訓の一つは、自分がプーチン氏の立場なら、彼のように邪悪な嘘と暴力で事態を悪化させないこと。そしてもう一つは自分が意識せぬままプーチン氏のコピーを''育成”するような接し方を他人に対してしていないか、今一度謙虚に自分の立ち居振舞いを振り返ることではないか。
【2】ウォール・ストリート・ジャーナル 大荒れの株式市場 「勇敢」な投資の秘訣とは 過去10年あまり投資に勇気はほとんど必要なかった 3/14
ヒトラーが率いる軍がポーランドに侵攻し、世界が大戦へと突入していた1939年秋、テネシー州の小さな街のある若き男がブローカーに対してこう指示を入れていた。米主要取引所で株価が1株1ドルを割り込んだ上場銘柄をすべて100ドル相当購入してくれ――。
その顧客の名はジョン・テンプルトンだ。「物事がいかに悲惨な状況にあるかを測る目安として、自分の恐怖心をとらえている」。「状況がさらに悪化するか確信が持てなかった、しかし実際には悪化した。それでも悲観論が極限に近づいていることは強く確信していた。事態がさらに悪化すれば、文明自体が生き残れなかっただろう――神がそのような状況になることを容認するとは思えなかった」
翌年にはフランスが倒れた。1941年には真珠湾攻撃が発生。1942年にはナチスがロシアを侵略した。それでもテンプルトン氏はその株式を保有し続けたが、1944年に売却した。104銘柄のうち、100銘柄で利益を上げ、同氏の資金は4倍以上に増えた。
テンプルトンのポートフォリオ戦略は、偉大な投資家が持つ七つの徳目を想起させる。つまり、好奇心、懐疑心、規律、自立、謙遜、忍耐、そして何より勇気だ。
今回、S&P500種指数はロシアがウクライナへの侵攻を開始した2月24日以降、1%未満の値下がりにとどまっている。同期間に上場投資信託(ETF)「アーク・イノベーション」には7億7000万ドル以上の資金が流入した。
既視感
これは見覚えのあるパターンだ。キューバ核ミサイル危機がピークを迎えつつあった1962年10月26日だ。世界が核戦争の瀬戸際へと追い込まれる中でも、米国株は1962年10月半ばの高値から7%の下落にとどまった。
それでも、暗黒の時代はそう遠く離れていなかった。株価は足踏み状態で、インフレは高進していた。1966年初頭に米大型株に1000ドルを投じていたら、1974年9月までにはインフレ調整済みの実質ベースで580ドル未満の価値しかなかった(モーニングスター調べ)。
二つの示唆
①核戦争のリスクやインフレの懸念に対して投資家は盲目になり得る。
②投資家は行動する勇気だけでなく、行動しない勇気も必要。1980年代初頭までには無数の投資家が株式を売り払った。一方で、ブローカーにだまされて「リミテッド・パートナーシップ(投資事業有限責任組合)」といった「オルタナティブ」投資で財産を失う人も続出した。
ひるがえって今回、急いでエネルギー株を買うことが勇敢だと感じるなら、あなたは自分をだましている。原油が過去最安値に沈んでいた2020年4月であれば、それは勇気ある行動だっただろう。ところが、今ではコンセンサス取引だ。勇敢とはたやすいことを行うことではなく、困難なことを実行することだ。
あなたが直感で感じることに耳を傾け、その反対の行動をした時、投資家として勇気ある行動を実践していると確信できるだろう。
【3】日経新聞 後戻りできないロシアと世界 イアン・ブレマー氏 3/16
Ian Bremmer:
世界の政治リスク分析に定評。著書に「スーパーパワー -Gゼロ時代のアメリカの選択-」など。52歳。ツイッター@ianbremmer
ロシアと西側諸国はいまや戦争状態にある。今までで最も厳しい経済制裁を科し、殺傷能力の高い武器をウクライナに供与し、ロシアを孤立させようとする欧米の取り組みは宣戦布告に等しい。
世界はいままさに転換点
ひきつける対立は多くの点で20世紀の冷戦ほど危険ではない。なぜなら、ロシアの国内総生産(GDP)は米ニューヨーク州よりも小さく、低迷するロシア経済は制裁により今後1年間で10%以上縮小する可能性が高い。
ソ連には、世界の民衆や政治家を引き付けるイデオロギーの魅力もあった。いまのロシアには特にイデオロギーはなく、政治的価値観を共有する同盟国にも乏しい。
中ロは米国の国際的な影響力をそぎ、欧州の強硬姿勢を抑えるという点では同じ考えを持つ。だが、中ロ関係ではロシアの立場が弱い。ロシアの10倍の経済規模である中国は、ロシアが西側に売れなくなった石油・ガス、鉱物などを買い、ロシア経済を支えるとみられる。一方で中国は、資源を買い叩こうともするだろう。
サイバー能力
新冷戦下の武器はさらに強力になっている。サイバー兵器は20世紀後半の重火器よりもコストが低く、計画が容易で広範囲に使えるだろう。例えば、4月のフランス大統領選は新たな戦略を試すチャンスになる。11月の米中間選挙なども同様だ。
ロシア軍が全土を制圧したとしても、ウクライナ国民は戦いを止めず、西側の首脳はウクライナを支援し続けるだろう。新冷戦への道はもはや後戻りできない。
経済の持久戦に(編集委員 小竹洋之)
世界の相互依存関係の深化が主要国の衝突を抑止するという期待に、歴史は何度となく冷水を浴びせてきた。ロシアのウクライナ侵攻で浮き彫りになったのも、グローバリゼーションの盾を貫くナショナリズムの威力だろう。
さりとて米国や欧州などが武力に訴え、ロシアとじかに戦火を交える事態は想像しにくい。ブレマー氏がいう「新冷戦」の主戦場は経済であり、どちらが先に消耗するかの持久戦でもある。
日米欧などの民主主義国家は景気と物価の安定に万全を期し、制裁で被る痛みを和らげながら、ロシアと対峙するしかない。権威主義国家の暴挙を封じる手本を示すときだ。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
3.川田の気になる銘柄
川田の保有銘柄を始め、米国株の情報に触れている中で、気になった銘柄を紹介するコーナーです。
今週の銘柄
レイセオン・テクノロジーズ <ティッカー:RTX> Raytheon Technologies Corporation
概要
2020年4月にユナイテッド・テクノロジーズ の航空宇宙事業部門とレイセオンが経営統合して誕生した会社です。主要4部門は、航空・宇宙用電子システム(Collins Aerospace、図1=イメージ)、航空機エンジン(Pratt & Whitney、図2)、サイバーセキュリティを含むソフトウエア(Raytheon Intelligence & Space、図3=イメージ)、防衛・ミサイル(Raytheon Missiles & Defense、図4=イメージ)です。
(図1)
(図2)
(図3)
(図4)
同社の魅力
バランスの取れた部門別売上高
同社は防衛関連企業としてのイメージが強いですが、2020年の統合後の主要部門の売上高を見ると、バランスの取れた内容となっています。電子システム部門やソフトウエア部門には防衛に関連した売り上げも含まれますが、防衛予算の動向だけに左右される企業ではありません。
(図5:レイセオン・テクノロジーズの部門別売上高)
利益率の上昇が期待される
各部門の2021年第4四半期の売上高利益率は、電子機器が9.5%、航空機エンジンが3.2%、ソフトウエア部門が10.3%、防衛・ミサイル部門が12.6%となっています。航空機エンジンは新型コロナウイルス蔓延の影響で航空需要が低迷していることが影響していますが、経済の再開とともに上昇が期待されます。
各部門とも機器等の1回の売り上げだけでなく、維持・補修、消耗品や部品の供給、ソフトウエアのアップデートなどの経常的な収入につながっており、安定的なキャッシュフローが見込まれます。
加えて、統合効果によるコスト削減余地は依然として残されており、今後の利益率の向上が期待されます。
防衛予算の増加と株主還元
ロシアのウクライナ侵攻を受けて防衛関連セクターが注目されていますが、防衛関連費は世界的に増加傾向にあります。米国のプレゼンスが以前よりも後退していることや、地政学上の状況が変化しており、世界の各地域の緊張関係が高まっていることが背景にあります。
特に経済規模の大きなドイツや日本での防衛費の上昇が見込まれることは、ユナイテッド・テクノロジーズにとってプラス要因です。
同社は2022年の業績に関して、売り上げが685億~695億(内部成長率で7~9%)、1株当たり利益(EPS)が4.60~4.80ドル、フリーキャッシュフローが60億ドルになるとの見通しを発表しました。また、統合後4年の2025年までに、売上高の年率6~7%での成長、利益率の5.5~6.5%ポイントの上昇、および100億ドルのフリーキャッシュフローを達成する目標を掲げています。
(図6:2025年までの目標)
(図1~6は会社資料より)
リスク
ロシアによるウクライナ進行を受けて、防衛関連銘柄は直近で上昇しました。停戦合意などを通じた戦闘の終結は望ましいものですが、ユナイテッド・テクノロジーズの株価に対しては短期的な下落要因となる可能性があります。
RTXの基本データ(出所:会社データ、Yahoo! Finance)
(3月18日現在)
株価 97.52ドル
時価総額 1455.3億ドル
総収入 643億ドル
予想PER 19.76倍
予想利回り 2.10%
本社:マサチューセッツ州 ウォルサム
上場:2020年3月(RTXとして発行日取引開始)
株価チャート 5年(統合前の存続会社のデータを含む)
チャートはTradingView.comによる
(本コーナーは一般的な情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません)
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
4.投資のヒント
「投資手法」や「銘柄紹介」だけでなく、「気になった指標や発言」や「社会や政治の動き」を書くコーナーです。
戦争と株価の関係
昨年11月からの今回の株価下落は
①コロナ沈静化を見据えた景気回復による金利上昇で割高銘柄のバリュエーション(PER)縮小
②ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクとそれがもたらすエネルギー安全保障への懸念
③エネルギー価格高騰や供給制約が招くインフレ高騰と経済の停滞で同時におこるスタグフレーションへの警戒感
今回の戦争
*欧州にとって第二次世界大戦以降で最大の地上戦、冷戦後の世界のほとんどの国・地域への市場経済の拡大に一種の終わりが到来か?
*市場経済の拡大は民主主義を促進する効果は幻想に過ぎないのか?
投資家の中にはこのような疑問をお持ちの方もおられよう。1989年の東西冷戦終了後、何度かの危機的な乱高下を経験しながらも、米国株式市場は史上最高値を更新し続けてきた。
しかし戦争の悲惨な映像を目の当たりにすると、海外への投資そのものに疑念を抱くようになるのが普通の日本人だろう。しかし、残酷かもしれないが“開戦の号砲は買い”が歴史の示すところだ。
以下はマネックス証券の岡元平八郎さんのコラムを参考に、直近の戦争と株価の関係を川田が整理してみたものです。
米国株長期投資家のための、過去約40年の間で起きた戦争から学ぶ教訓
過去約40年の戦争開始後の株価を検証する
約40年前からこれまでの5回の戦争前後の米国株のパフォーマンスの検証
その5つの例
1)1979年のソビエト連邦(当時)によるアフガニスタン侵攻
2)1990年の湾岸戦争
3)2003年のイラク戦争
4)2008年のロシアによるグルジア侵攻
5)2014年のロシアによるクリミア危機
株価へのインパクトの大きい戦争を任意に3つ選んだ
2) 1990年 湾岸戦争
開戦前の1990年6月頃から原油価格は上昇し始め、開戦と共に株価は下落。戦争直前にほぼ20ドルだった原油価格は開戦と共に高騰し、1990年10月頃に40ドルを超えたあとにピークをつけ、その後は下降をたどり、1991年の2月には20ドル台。S&P500指数は原油価格がピークをつけた辺りには底を付け、その後上昇トレンド。
【図表1】湾岸戦争+前後3ヶ月の経済動向
上段左軸:WTI、上段右軸:S&P500指数、下段:米国債10年利回り
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成
3)2003年 イラク戦争
2003年から2011年まで続いた。株価はITバブル崩壊後の2002年秋まで長期に下落したが、開戦と共に上昇トレンドが継続した。この時は、開戦前から上昇していた原油価格は戦争が始まると下げた。その後に原油価格は上昇したものの、株価も大きく上昇。株価は2007年秋にピークをつけたがこれは米国発の世界金融危機が招いたものだ。
【図表2】イラク戦争+前後3ヶ月の経済動向
上段左軸:WTI、上段右軸:S&P500指数、下段:米国債10年利回り
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成
5)2014年 ロシアによるクリミア危機
2014年のソチオリンピック開催中(2014年2月7日~23日)約1ヶ月の間に起きたロシアによるウクライナのクリミア半島併合の際には、原油価格も一時的に上昇し金利も上がる局面はあったが、ロシアによる侵攻は限定的と判断されたためか、米国株に与えた影響はさほどなかった。
【図表3】2014年クリミア危機+前後3ヶ月の経済動向
上段左軸:WTI、上段右軸:S&P500指数、下段:米国債10年利回り
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成
戦争のパターンや、その時の世界情勢は違うものの、基本的に戦争で米国株が下がるのは一時的であり、下がった米国株は買いで対応するのが正しい場合が多い。
上述の新聞記事のコーナーでも「【3】ウォール・ストリート・ジャーナル 大荒れの株式市場 「勇敢」な投資の秘訣とは 過去10年あまり投資に勇気はほとんど必要なかった 3/14」と紹介したが、「キューバ核ミサイル危機がピークを迎えつつあった1962年10月26日だ。世界が核戦争の瀬戸際へと追い込まれる中でも、米国株は1962年10月半ばの高値から7%の下落にとどまった」のである。ただし、この記事の後半でも伝えたが本当に株価を傷めたのはインフレだ。
ここまでのまとめ
ロシアのウクライナ侵攻と株価
株価は昨年11月下旬をピークに年初来下落基調だった。今年2月24日の日中と3月8日前後に急落し、S&P500指数は13%超の調整局面、ナスダック総合は20%超下落し弱気相場入りした。そして先週火曜日以降に急反発した。
この先、ロシアのウクライナ侵攻がどのような展開をするかは全く不透明だが、株価の先見性や予見性を信じるなら当面の地政学リスクは織り込まれたのではないだろうか。
これ以上の株価下落には、景気後退とスタグフレーションが必要
株価がここからさらに売り込まれるとすればエネルギー価格の高騰や供給制約がもたらすインフレの高進や、景気後退が消費者を傷め企業業績を蝕みスタグフレーションで株式価値が毀損する事態だと考える。
1970年代に経験したようなインフレ高進が招く悲観シナリオは現実的だろうか?もちろん目下の投資環境では、高角度の株価上昇トレンドは想定しにくい。それでも私はグローバル化と情報通信の発達で米国の経済構造がより柔軟で効率的になっているので、過度な悲観シナリオは禁物だと思っている。
主要指数の年初来の日々の指数値と変化率
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
5.お散歩コーナー
◇◇最近行ったお店、映画、美術館、書籍編◇◇
~熊倉 貫宜の巻~
元証券マンで読書家である熊倉貫宜さんの寄稿です。
ビジネスエリートになるための 教養としての投資/奥野一成
ちょっと大きめの書店に入り、ビジネス書の棚を前にすると“ビジネスエリートが使いこなす◇◇”、“ビジネスエリートがたどり着いた◎◎”、“ビジネスエリートが実践する▲▲”、と云った背表紙が多数、目につきます。
◇◇◎◎▲▲等の伏せ字部分には、プレゼンテーションの技術、ワインや日本酒等の嗜好品、果ては論語や聖書等の古典解読まで、様々な範囲のテーマがそこにはめ込まれています。
私はビジネスエリートの定義や日本にどれだけの方がその定義にあてはまるのか曖昧なまま、従来型ハウツー本の域を出ないような書籍の氾濫に、いささか不思議な感を持つのです。
しかしながら、自分が不案内な分野への簡便な入門書としてそんな書を手に取ってみる機会も多くございます。
「知の巨人」と言われた故立花隆氏も、新しい分野の取材の第一歩は、書店で数多くの入門書を手当たり次第に買い集めて読み込むことであったと伺いましたが、やはり玉石混交なのでしょう。
一方、自分が良く知っている、或いは知っていると思う分野の入門書を読む場合は如何でしょうか?
私は第一に、自分の知識を整理整頓してくれるか、即ち時系列やカテゴリー分け等を示してくれるかと読んでみます。
次に、整理された知識を外部の方に理路整然と説明できるようにしてくれるかを測ります。
最後に、自分の知らない事実を披露してくれるだろうかと云う点です。
本書を手に取る理由は、著者の奥野一成氏の名前によるところ大ですが、人生100年時代とか、投資教育といった直近のテーマを取り上げながら、その投資哲学を披露して頂いている点にあります。
その真髄は「高い参入障壁を築いていて、かつ長期的潮流に乗っているビジネス」に投資すると云う点であり、具体的に日本株では200社くらいと指摘されております。
即ち、日本株投資を標榜するインデック・ファンドは余計な企業を含むために、いくら長期保有を目指したとしても無駄とも指摘されております。
実際に、グローバルな視点での銘柄選択の過程を、実例を挙げて披露されており、私のような零細個人投資家にも大いに参考になりました。
斯様に高度な入門書ながら何故に“ビジネスエリートになるための・・”と云う陳腐な枕詞を冠したのか、疑問のまま読了いたしました。
池波正太郎の銀座日記(全)/池波正太郎
正式な学校教育を受けず大きな業績を残された方々を“在野の巨人”と呼ぶならば、私は牧野富太郎先生、小津安二郎先生と共に、この方の名前を思い浮かべます。
本書は1983年(昭和58年)から逝去される1990年(平成2年)まで、池波正太郎氏が、主に銀座での逍遥を日記形式として記録したものです。
あちらの劇場に足を運び、こちらの店で食事を摂る、功成り名を遂げた流行作家のそぞろ歩きは読者の羨望の的であり、特に訪れた飲食店にはグルメガイド的な読み方もされております。
しかしながら、現代の餓鬼道とも呼べそうな美食の追求とは異なり、早くから社会に出て働いていた池波氏が、慣れ親しんだ街角の味を愛でる姿には、生誕の地、東京における市井の生活を慈しむ姿勢が溢れます。
そんな中で本書の背景となった時代は、あのバブル景気と重なっており、食に関する場面を用いながら、人心の荒廃をこの方らしい描写で残しております。
1983年に老舗レストランが経営するスナック風の出店を訪れた池波氏は、きちんとしたコックがきちんとした料理を温め、食後の珈琲を終えると若いコックが「もう一杯いかがです?」と勧めてくれるもてなしに上機嫌ですが、1989年の同じ店では「いまは少年のようなのが、女の子とふざけながら、冷凍の料理を温めて出すだけの店になってしまった。」と落胆を隠せません。
東京は三度、関東大震災、戦災、そしてバブル経済と大きく破壊され再生してまいりました。
そのすべてを体験した池波正太郎氏による本書は、破壊されつつある著者自身の生地:東京への挽歌であり、消え失せた文化と生活への鎮魂の書なのです。
【熊倉 貫宜】
1980年大和証券入社。企業派遣留学としてシカゴ大学経営大学院にてMBA取得。シンガポール、香港駐在を通しアジアビジネスに関わる。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
新連載「これでばっちり!米国株式を使った資産形成術のすべて」
はじめに
資産形成に必要な基本的な内容を網羅したシリーズを連載しています。全体の構成は以下のように考えています。
我々はどのような時代に生きているのか? 全2回
自立した日本人と自立に欠かせない資産形成 全3回
株式市場は米国にしかないの? 全4回
日米株式文化の違い
知っておくべき米国市場の特徴 全10回
より良い資産運用を目指して
情報源と投資
より良い資産運用を目指して(その3)
引き続き、弊社のYouTubeチャンネルの「アメリカ株式40年投資」シリーズでおなじみの大倉真さんの寄稿を基に、米国株式長期運用のあり方を考察します。今回は「より良い資産運用を目指して(その3)」として、「コア・サテライト運用」について説明します。
コア・サテライト運用
アメリカ株を長く運用している人であれば、長期でS&P500指数を継続して上回ることが非常に難しいことにお気づきだと思います。先に述べましたが、資産運用を職業としているファンドマネージャーでも難しいことなので、がっかりする必要はありません。S&Pグローバルの分析(図表1)によると、大型株を運用するアクティブマネージャーのうち、過去10年間(2020年末時点)でS&P500指数を上回ることができたのは2割程度しかいなかったようです。
図表1 過去10年でベンチマークを下回ったマネージャーの比率
一般の個人が株式投資をするに当たっての問題点はリスクの分散です。多くの場合、人気がある業種やテーマに集中投資してしまい、特定のリスクに偏った運用になってしまいます。そうした業種やテーマの人気が続いているうちは良いのですが、いったん方向性が変わるとなかなか修復が難しい状況に陥ってしまいます。
そこで提案したいのが「コア・サテライト運用」です。コア・サテライト戦略とは、ポートフォリオを「コア(core)」と「サテライト(satellite)」の2つのパートに区分して運用する方法です。「コア」とは中核・中心、「サテライト」とは衛星のことです。地球と月の関係をイメージすると良いでしょう。地球が「主」として中心に存在する惑星であるのに対し、月は「従」として地球の周りで周回する衛星という位置づけです。
コア・サテライト運用で重要なポイントは、①コアとサテライトを各々どのように運用するか、②コアとサテライトの比率をどう決めるか、の2つです。簡単にまとめると図表2のようになります。
図表2 コア・サテライト運用の考え方
コア部分の運用について
コアの役割はベンチマークに追随することなので、基本的にポートフォリオのベンチマークに連動するインデックスファンドやETFを採用します。アメリカ株の運用であればS&P500指数をベンチマークにすることが一般的です。ETFであればSPDR S&P 500 ETF(SPY)、バンガード・S&P 500 ETF(VOO)、iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(IVV)のうちのどれかに投資すればよいでしょう。運用残高、信託報酬などに差がありますが、いずれもS&P500指数に連動するように設計されているので、パフォーマンスはほぼ同じです。
もちろん全米株式であるバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)をコアに採用してもかまいません。S&P500指数連動ETFとアメリカ株式市場全体をカバーするVTIは厳密に言えば違いますが、前々回でも見たように、どちらを選んでも大勢に影響はありません。
サテライト部分の運用について
サテライト部分では積極的にリスクを取ってベンチマークを上回ることを目的とします。市場インデックスよりも高いリターンが期待できる個別銘柄を厳選しサテライト部分を構築する考え方もあれば、特定のリスク特性を持つETFに投資する方法もあります。(個別銘柄に投資する場合は、できるだけ質の高い銘柄に限定し、10銘柄程度に分散投資することをお勧めします。)
図表3 サテライト部分の投資アイデアの例
サテライト部分の役割はS&P500指数を上回るリターンを上げることなので、この目的に適った銘柄選択をすることが重要です。銘柄選択に当たっては、「市場平均よりも成長性が高い(グロース銘柄)」、あるいは「何らかの理由で一時的に割安(バリュー銘柄)」などの様々な切り口がありますが、自分の得意なアプローチで積極的に超過収益を狙うとよいでしょう。市場で人気化しているモメンタム銘柄に投資する場合は、1銘柄当たりの組入比率を低く抑えたり、売却ルールを設定するなど、規律を持って行うようにしましょう。
トップダウンアプローチで業種間でのセクターローテーションやグロース・バリューの間のスタイルローテーションを行いたい場合、特定のセクターや投資スタイルのインデックスに連動するETFを選ぶことで効果的にローテーションを行うことができます。局面によっては、金や農産品といったコモディティー価格に連動するETFにオポチュニスティックに投資してもよいでしょう。具体的にはSPDR ゴールド・シェア(GLD)やインベスコDBアグリカルチャー・ファンド(DBA)などがあげられます。
セクターローテーションでは、S&P500指数と比較してアウトパフォームが期待できるセクターを乗り換えながら運用します。例えばエネルギーセクターがS&P500指数を上回ると予想するのであれば、サテライト部分ではエネルギーセクターETF (例 エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド(XLE))に投資をします。図表4のようなセクターETFの相対的株価の分析などが役に立ちます。
図表4 エネルギーセクターとS&P500の相対株価
グロース・バリュー間のスタイルローテーションを行うのであれば、図表5に示すような両指数の相対的な動きを見て、グロース優位の時はグロースETF(例 バンガード・米国グロースETF(VUG))、バリュー優位の時はバリューETF (例 バンガード・米国バリュースETF(VTV))に投資します。ここでは2つのインデックス(あるいはETF)の相対的な動きにのみ注目していますが、動きの背景を自分なりに理解することが重要であることは言うまでもありません。
図表5 グロースとバリューの相対株価
サテライト部分でローテーション戦略を行う場合、1つのETFに集中投資するとリスクが高いので、複数セクターに分散する、あるいはセクターとスタイルのETFを組み合わせるなどして、できるだけリスクの分散を図ることをお勧めします。
もし市場タイミングに自信があるのであれば、サテライト部分で株式と現金の配分をタクティカル(戦術的)に調整するという考え方もありだと思います。株式市場が上昇トレンドにある時は現金比率を引き下げ、下降トレンドにある時は逆に現金比率を引き上げます。
この戦略をS&P500指数連動型で行う場合、コアとサテライトで異なるETFを使うと資産配分だけでなく損益(ひいては税金)の管理がしやすいと思います。(例えば図表6のようにコアをSPY、サテライトをVOOのように使い分けます。)ただし、この戦略はインベストメントというよりもトレーディングなので、しっかりとしたルールに則って行うことが大切です。
図表6 サテライト部分を戦術的資産配分に用いる場合
本当に市場タイミングに自信があれば、サテライト部分を例えばレバレッジ型ETF(例 Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF(SPXL))やインバース型ETF(例 Direxion デイリー S&P 500 ベア3倍 ETF(SPXS))にすれば、株式の実質的な配分をかなりダイナミックにコントロールすることも可能です。しかし、これは非常に高度な戦略なので、一般の投資家にはあまり積極的にお勧めすることはできません。
本来の目的とは違ってきますが、サテライトに優良な配当成長銘柄を持ってくるのも面白い戦略だと思います。パフォーマンスがS&P500指数に劣後することになるかもしれませんが、ポートフォリオの特性がややディフェンシブになるので、市場の下落時には精神安定剤の役割を果たしてくれるでしょう。また長期で運用すればするほど、受取配当額が増えていくのも魅力です。この戦略の場合は、サテライトの上限をもう少し引き上げてもよいでしょう。
またベンチマークを上回ることにこだわらず、純粋に個別銘柄への投資を楽しむため、あるいは個別銘柄投資を勉強するためにサテライト部分を使うというのもありだと思います。ポートフォリオの大部分がベンチマークに連動するようになっていれば、サテライト部分で少々失敗しても全体への影響は軽微で済みます。
コアとサテライトの比率について
コアとサテライトの比率は、コアを80%以上、サテライトを20%以下にすることをお勧めします。コアの比率を高くするほど、当然のことながらベンチマークへの追随度が高まります。
注意点は、コア・サテライト戦略を始めて間もない時は、サテライトの比率を抑え気味に運用していた人でも、投資環境が良く、市場が上昇トレンドにある時は、より高いリターンを求めてリスクのレベルをどんどん高めていってしまう可能性があることです。
気がつくと、サテライトがポートフォリオの半分以上を占め、コアとサテライトの主従が逆転しているなどということも十分起こりうるのです。そして市場が急転すると高リスクのサテライト部分が市場インデックスよりも大きく下げてしまい、その結果、大きい評価損を抱えてしまうことになりかねません。そのようなことにならないように、決めたサテライトの上限比率を守ることが大切です。
最後に
もしサテライト部分にどんな銘柄を選べばよいのか分からない、あるいは市場タイミングなど分からないと思うのであれば、迷わずポートフォリオ全体をS&P500指数のインデックスファンドにしましょう。これではコア・サテライト運用になりませんが、ポートフォリオの全部がインデックスファンドならベンチマークに負ける可能性を排除することができます。
つまらない運用のように見えるかもしれませんが、要はより良いパフォーマンスを上げることができるかどうかが問題なのです。プロがやっても上手くいかないことに、一般投資家が不必要に時間とエネルギーを費やすのはいかがなものでしょうか。つまらない運用に徹することこそ成功への近道なのかもしれません。
【大倉真】
愛媛県出身。1984年大阪大学経済学部卒業。2005年 埼玉大学大学院経済科学研究科より博士(経済学)。シティバンク、エヌ・エイ、シティトラスト信託銀行、ソシエテジェネラル信託銀行(現SMBC信託銀行)に勤務。年金・公的資金など機関投資家に加え、プライベートバンクで富裕層向けの資産運用にも従事。2017年、京都・東山で投資会社EagleCapital株式会社を設立。CFA協会認定証券アナリスト。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
6. ちょっと一息「FAの視点」
ファイナンシャルアドバイザーの本橋竜一さんが資産運用に関してお客様の疑問に答えるコーナーです。
Q:メディアで目にする「恐怖指数」ってどんな指数ですか?
A:正式にはVIX指数(Volatility Index)と言われます。
シカゴ・オプション取引所が米国S&P500種株価指数のオプション取引を対象として算出・公表。株式市場が今後1カ月でどの程度の変動を見込んでいるのかを示す指標です。
この指標が「恐怖指数」と言われる所以は、将来の株式市場に対する投資家心理を映しているからです。この数値が低い時にはマーケットの変動が小さく安定し、株式市場は概ね上昇する傾向にあります。
※川田さんも以前のメルマガでVIX指数について、タイムリーかつ専門的な視点から解説がありましたが…
本コラムでは、長期投資家としての皆さまがマーケットと向き合う上で、より概念的な恐怖指数「心がまえ編」としてご紹介します。
上級投資家の方々には、スイマセン…
【S&P500種指数とVIX指数の推移】
橙:VIX指数、青:S&P500種指数
出所:三井住友DSアセットマネジメント デイリーマーケットレポートより
平常時の数値は10~20のレンジが目安です。逆にこの数値が高い時は投資家の不安感も強く、マーケットの乱高下が予想されます。概ね恐怖指数が上昇する時には、株式市場は下落する傾向にあります。
投資家に不安が募って来ると、数値は20~30のレンジへ、30を超えると胸がざわつく警戒水域(川田さんの以前のメルマガでも、この辺りでのエントリーは良いパフォーマンスに繋がる可能性大!とのコメントもありましたね…)、そして40を超えると…。平常心を忘れ、パニックに陥ります。
過去、幾度となく訪れた◯◯ショックや△△問題と呼ばれる株価暴落局面では、恐怖指数は70や80にも跳ね上がり、不安心理がピークに達した多くの投資家は、リスクを取り続けることが怖くなって、株式市場から逃げ出して行きました。
しかしそうした際にも、恐怖指数を横目で見つつ、マーケットの乱高下は正しく怖がりステイ・マーケット(市場に居続ける)こそ、長期的に大切な投資行動かもしれません。
マーケットは時に、投資家の不安心理によって大きく揺さぶられます。
であるから故に、この不安レベルと株価の動きの理解は重要です!
悲観的なニュースのヘッドラインやマーケットの暴落局面では、投資家のビビリ度(恐怖指数)は急上昇します。そんな時こそ、「いつかは必ず落ち着くはず」と冷静にやり過ごし、寧ろピンチをチャンスに変えるスマート投資家の心理で行きましょう!
【本橋竜一】
1998年に大学を卒業後、横浜銀行にて金融業界でのキャリアをスタート。その後、外資系金融機関のプライベートバンカーへ転身。間もなく世界を震撼させるリーマンショックが勃発し、第一線のセールスとして成功を諦め、正統派な資産運用を伝えるファイナンシャルアドバイザーを目指そうと決意。数名の顧客を頼りに約20年の金融機関勤務から独立。信用・人脈ゼロながら、海外のPB・FAビジネスモデルを徹底研究、顧客体験の向上に資する創意工夫を重ねる日々。
現在は、特定の金融機関に属さず、真にお客様の価値観を大切にした資産運用・形成サポートを専業とする、独立系ファイナンシャルアドバイザーとして、お客様へのプライベート金融コンサルティングに従事している。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
7. 超富裕層が実践する「プライベート投資戦略」とは
IFAに特化した営業支援を行っている市川宏さんが、超富裕層が活用している投資戦略を、皆様に簡単にお伝えするコーナーです。
「ストラクチャード・ボンド投資」
前回に引き続き、プライベート投資戦略のうちの一つの商品、「ストラクチャード・ボンド投資」についてお伝えします。
プライベート投資戦略のうちの一つ、ストラクチャード・ボンド投資については、通常の債券より利回りが高く、決められた年限で決められた金利が付く、という特徴を前回ご紹介しました。今回はその中でも比較的知名度と発行額の多い、「EB債(他社株転換可能債、Exchangeable Bond)」についてご説明します。
EB債とは
EB債とは、満期償還日に、投資した資金が現金ではなく、対象株式や対象上場投信(以下「対象銘柄」といいます。)の現物(株式・上場投信)に転換されて償還される可能性のある債券です。満期時の対象銘柄の株価・価格が、あらかじめ定められた水準(行使価格)以上であれば現金償還、行使価格未満であれば現物(株式・上場投信)での償還となります。また、「ノックイン事由」や「早期償還条項」といった条件が付されている場合が多いです。
対象銘柄の株価が投資期間中に一定の範囲内で推移すれば、投資した資金が100%償還され、かつ、一般的な債券よりも高い利率で利金を受け取ることができます。
EB債によくある条件例
・ノックイン事由
あらかじめ定められた期間に、対象銘柄の株価・価格が一定の水準以下になることをいいます。この条件に該当した場合、対象銘柄の現物(株式・上場投信)に転換されて償還される可能性が生じます。この条件に該当しなかった場合には、満期時の対象銘柄の株価・価格があらかじめ定められた水準未満であっても、投資した資金の100%が現金で償還されます。
・早期償還条項
対象銘柄の株価・価格が一定の水準以上となった場合に、満期償還日より前に償還される条件をいいます。
EB債固有の注意点
オーダーメイドで発行でき、利回りも比較的高いというのがメリットですが、もちろんデメリットも存在します。一般的な債券のリスクに加えてEB債特有のデメリットは以下です。
・対象銘柄の株式等で償還される可能性
万が一、ノックイン事由が発生し、その後早期償還せずに満期を迎えた場合、そのときの株式の価格によっては実質的な償還金額が投資元本を下回る(損失)可能性があります。万が一株式での償還になったとしても、株式のまま保有できる魅力のある株式が対象となっている債券を選びましょう。
・途中売却が難しい
EB債は基本的にオーダーメイドによる発行です。証券会社等が海外の発行体と直接条件を交渉し、投資家の条件に合う債券を発行します。通常の社債であれば、途中売却することができますが、EB債の場合は途中売却できません。発行時の年限が長すぎない債券であることが肝要です。
・早期償還による機会損失
一定の条件に達すると、満期を待たずして早期償還される可能性があります。その場合、元本は額面で現金償還されますが、以降の金利は基本的に受け取れません。例えば、1,000万円の投資に対して年利12%だとすると、1年間保有すれば120万円(税金考慮せず)受け取れますが、早期償還で6カ月で償還を迎えた場合、その半分の60万円しか受け取れません。
EB債は買うべきか
ここだけの話、EB債は金融機関の受け取る手数料が高いです。手数料に魅せられて販売している銀行や証券会社の担当者も多くいます。
ただ商品性自体は、銘柄選定など、うまくリスクをコントロールすればとても魅力的だと思います。
やはりこういう投資商品は、「信頼できるアドバイザー」だけから購入するようにしましょう。
【市川宏】
株式会社Winviser代表取締役。SMBC日興証券にて茨城、福岡、東京の各支店にて資産運用コンサルティングに従事した後、超富裕層向け金融商品のマーケティングを行う。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)業者に転籍し、超富裕層の資産運用のアドバイスを行った後、日本の金融業界の発展のためIFAに特化した支援会社を設立。現在は、IFAを支援する傍ら、自身の経験を元に個人投資家に資産運用のサードオピニオンを行っている。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
8. 今後の活動情報
◇日経CNBC:3月29日(火)8時15分前後(スタジオ)
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
9. 質問コーナー 休み
質問
回答
───────────────────────────────
★ご質問は、以下の【質問ルール】をご一読後、
info@kawata-magazine.comまでお願いします。
【 質問ルール 】
◆全ての質問への回答はいたしかねます。あらかじめご了承ください。
◆いただいた質問は、当社サイト、YouTube動画等のSNS・書籍等に、個人を特定できない形で掲載する可能性があります。
◆ご購読が確認できない方の質問には回答いたしません。
◆明らかな広告・宣伝とみなされる部分は割愛する対象となります。
◆未購読にもかかわらず悪質な質問を投稿された方には、然るべき措置をとらせていただきます。
───────────────────────────────────
★免責事項
◆当社は、本メールマガジンにて提供する情報にて、株式、債券、ファンド、ETF等の有価証券、およびセクター等に関する売買等の推奨はしておりません。また、投資判断はメールマガジン購読者(以下、会員)の責任にて行うものであり、当社は一切の保障責任を負わないものとします。
◆当社は、会員が当社の提供するメールマガジンを利用して被った損害について、一切の保障責任を負わないものとします。
◆当社は、当社が提供する本サービスにおいて、会員間で生じたトラブル(違法又は公序良俗に反する行為の提案、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、脅迫、誹謗中傷、いやがらせ等)に関して、一切の責任を負わないものとします。
◆当社は、本サービスの情報の内容が会員若しくは第三者の権利を侵害し、又は権利の侵害に起因して紛争が生じた場合、その侵害及び紛争に対して何らの責任も負わないものとします。
◆当社は、本サービスの停止又は中止、本サービス内容の変更によって受ける損害について、賠償する義務を一切負わないものとします。
───────────────────────────────────
■ 発行元:株式会社日比谷テクノロジー・ファイナンス
■ 川田重信のありがとうアメリカ株式
https://www.kawataamekabu.com/
■ Twitter:https://twitter.com/ShigenobuKawata
■内容に関するご意見・ご要望、購読解除はこちらから
【メール】info@kawata-magazine.com
■メールが届かない場合などは迷惑メール等に分類されている場合もありますので予めお確かめください。
───────────────────────────────────
Is it OK?