米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.37]2022年3月7日配信
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
米国株式投資の真実を伝える
川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
[Vol.37]2022年3月7日配信
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
***目次***
マーケット振り返り
今週のピックアップ記事
川田の気になる銘柄
投資のヒント
お散歩
ちょっと教えて「失敗しない資産形成のヒント」
超富裕層が実践する「プライベート投資戦略」とは
活動情報
質問コーナー
皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。 大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、 米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
1.マーケット振り返り(2月28日~3月4日)
<主要指数>
・NYダウ -1.3%
・S&P500指数 -1.3%
・ナスダック総合指数 -2.8%
=駆け足バージョン=
ウクライナ情勢を織り込む展開の中、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言で急激な金融引き締めが示唆されなかったことで安心感が広がりましたが、ウクライナ情勢が再度懸念され、週末にかけて下落しました。
=ちょっとだけ詳しく=
前週末からロシアに対する制裁が発表され、原油をはじめとするコモディティー価格の上昇などが世界経済や金融に与える影響が懸念されました。
一方、FRBのパウエル議長の議会証言は3月の0.25%の利上げを支持する内容で、金融引き締めに対する過度の警戒感が和らいで株式市場の下支えとなりました。
新規失業保険申請件数などが雇用市場の順調な回復を示し、金曜日に発表された2月の雇用統計では、雇用者数が市場予想よりも増加する一方、賃金の伸びが抑えられていることが示されました。
市場で好感される内容でしたが、ウクライナ情勢が再度懸念されて様子見姿勢が強まったことから、成長株に加えて景気敏感株や金融株などが幅広く売られました。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
2.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 プーチン氏、世界から孤立 米大統領一般教書演説 ロシア機の領空飛行禁止/国産購入で雇用下支え 3/2
▼一般教書演説
大統領が憲法の規定に基づき、連邦議会に今後1年間の内政・外交全般にわたる施政方針を表明する演説。予算教書、大統領経済報告と並んで「三大教書」と位置づけられている。大統領就任1年目は「施政方針演説」と呼ばれる。今回はバイデン大統領初めての一般教書演説となる。
演説のポイント
*ウクライナ侵攻はいわれなき不当な戦争
*プーチンはかつてなく世界から孤立
*プーチンは自由主義諸国の決意を弱体化できない
*米国はNATOの隅から隅まで防衛する
*米国を作り変えて中国との経済競争に勝利する
*米国再生へ税金を使う時でバイ・アメリカンを実行
*外国の供給網に頼らず米国で生産しよう
①演説の原稿(英語)は以下で入手できる
「独裁者に侵攻の代償」 対ロシア、民主主義結束訴え
*自由は常に専制に勝つ
*赤字1兆ドル以上削減
*選挙権への攻撃許さず
③動画
President Joe Biden's State of the Union Address
【川田コメント】
バイデン大統領の演説を是非見て聞いてほしい。現地1日(火)午後9時(東部時間)で日本時間では水曜日午前11時ごろからだった。
演説の中身についてはメディアは必ず批判的な立場を取る。しかし政策的な立場はさておき、米国大統領の演説にはいつも感心する。演説の前から会場の雰囲気は盛り上がり、関係者と握手してハグだ。そして国民に語りかけ対話する姿勢が民主主義の原点に立ち返らせる。その一連の様を見るのが興味深い。
政治家は言葉が命
79歳の大統領がよどみなくボキャブラリーを繰り出せるのは驚異的だ。いくらプロンプターに原稿が映し出されているといってもできるものではない。自分の朝会動画やテレビ出演を見直してつくづくそう思う。
バイデン大統領は政治家として極めて長いキャリア(1970年〜)を有するが、それでも事前に相当に読み込まないとあの場であのパフォーマンスは出来ないはずだ。ただし、個人的にはマーケットの事が気になるので不測の事態がなく無事に演説が終了することだけを願っている。
歴代大統領は演説がとびぬけて上手
バイデン大統領の演説が歴代のあの大統領と比べて上手いとか下手だとか言いたげな批評家もいよう。ただし、その蘊蓄(うんちく)を披瀝するのが日本人なら全く無視していい。バイデン氏に限らずオバマ氏の就任演説やトランプ大統領の手振り、身振りを交えての演説など、どの大統領も強烈なインパクトを私に与える。
【2】日経新聞 対強権主義、ウクライナ危機は「歴史の新局面」
ウクライナ危機を聞く 米政治学者 フランシス・フクヤマ氏 3/1
(冷戦終結を先取りした「歴史の終わり」の後に続いた)民主主義の拡大の時代は明らかに終わった。強権国家の台頭が続いている?
いまは明らかに異なる歴史の局面にいる。
「歴史の終わり」で問いかけたのは、自由な民主主義を上回る政府のモデルがあるかどうかだった。いまも答えはノーだと思う。だが、現代の我々は民主主義の後退と弱体化に対抗しなければならない。
これは第2次冷戦?
ロシアは旧ソ連のような強国では全くない。現体制はルサンチマン(敵意)と超大国時代の郷愁で動く。ただし50年続いた冷戦のようにはならない。長期では中国こそ最大の脅威だ。
ウクライナ侵攻は中国の台湾侵攻の誘因になるのか
この戦争の長期的な結末次第。ロシアが反撃を受けて多くの死者を出し、制裁で痛手を負えば、台湾問題では注意深く動くよう、中国に促すことになる。
再び兵力の強化を
NATOは2014年まで戦闘目的の組織とは真剣に考慮されていなかった。ロシアの脅威に対して共同訓練や兵力の駐留を強化する必要があるし、東アジアでも兵力強化が欠かせない。中国の軍事力拡大はあまりに急激だ。
民主主義は強権主義を抑え込めると思う。冷戦下でも意見の不一致や弱点を抱えながら、西側同盟は結束して2世代にわたり持ちこたえた。今できないことはない。
Francis Fukuyama
米シカゴ生まれ、日系3世の政治学者。1989年の論文「歴史の終わり」で共産主義の退潮と民主主義の勝利を説き、注目を集めた。米国務省、シンクタンクの勤務を経て、現在は米スタンフォード大シニアフェロー。69歳。
【川田コメント】
折に触れフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」に言及している。原著の発行は1992年だが1989年の東西冷戦終了の持つ意味を、日本人を含め世界中の人に分かるように説明してくれたのが本書だ。上下2冊で大部なので一気に通読できないかもしれない。その場合は、この本の評論や要約をこまめに少しずつ読み込んでいくことで攻略できればいいのではないか?
【歴史の終わりとは】フランシス・フクヤマの議論をわかりやすく解説
【3】ニューズウィーク日本版 Newsweek Mar8「プーチンがウクライナの次に狙う標的」総力特集:ウクライナ戦争
気の毒なウクライナ
プーチンや多くのロシア人は、ロシア人とウクライナ人を同一の民族と見なしている。ロシア人は「大ロシア人」、ウクライナ人は「小ロシア人」、ベラルーシは「白ロシア人」だ。
ウクライナは全体主義国家ロシアの傀儡政権に戻るか、ロシアが支配する東半分と政治的に中立の西半分に分割される可能性が高い。
ウクライナの人々は40年前のアフガニスタンのように武装闘争を続け、最終的にはロシアを打ち負かすと主張する。だが、欧州の心臓部でゲリラ戦を展開するのは現実的ではなく、人的被害も膨大なものになる。
ロシアの次の出方によっては、1945年に米国が打ち立て、1991年のソ連崩壊後も続いてきたルールに基づく国際秩序を弱体化させ、破壊しかねない。
文明の衝突でありゼロサムゲーム
プーチンは欧米との文明の衝突を1つのパイを取り合うゼロサムゲームと捉えている。プーチンが一貫して目指してきたのは、世界3大強国の1つにふさわしい地位をロシアが回復すること。ウクライナ侵攻は欧米のロシア支配を防ぎ、ロシアの力と偉大さを回復するために必要な義務的措置なのだ。
ウクライナ侵攻で欧米からどんな制裁を受けようと、次はバルト3国を徐々に不安定化しようとするだろう。プーチンは欧米の個人主義を敵視する哲学の信奉者だ。専門家はこのロシア特有の反欧米的哲学を『ユーラシア主義』と呼ぶ。
プーチンはユーラシア・ナショナリズムの熱烈な信奉者であり、欧米の規範を見下している。プーチンは1つの世界観に基づき、戦略上の目標を見据えて外交を行ってきた。
プーチンの戦略
プーチンの戦略は次の4つの大きな要素で構成されている。
(1)プーチンは国際関係をゼロサムゲームと見なしていて、ある国が利益を得るためにはほかの国が犠牲を払わなければならない。
(2)ロシアの影響力圏を西方に拡大させたい。
(3)NATOの弱体化を一貫して目指してきた。
(4)ロシアを世界の大国の座に復帰させたい。
はっきりしているのは、プーチンと欧米の世界観や戦略目標が相いれないというものだ。欧州が大規模な戦争の戦場になるリスクは、1945年に第二次世界大戦が終わって以降で最も高くなっている。
プーチンのウクライナ侵攻により、1991年のソ連崩壊後に形づくられた国際秩序は崩れ去った。世界は再び20世紀後半の冷戦期のような二極化の時代に戻ろうとしている。そしてプーチンはロシア皇帝のようになりたがっている。将来の歴史書に「ロシアの領土を統合した偉大な人物」と書かれることが彼の野望だ。
一方、ロシアのウクライナ侵攻が失敗に終われば、プーチンを支えてきたシロビキ(治安・国防関係者)は自分たちの地位と利権を守るために、プーチンに退位を迫り、200年前のナポレオンのような島流しにあうかもしれない。そうなれば、今回のエルバ島は北方領土かもしれない。
【川田コメント】
地政学リスクの理解には、日本より海外のメディアが有用だと思う。今回のウクライナ侵攻についてもニューズウィークやフィナンシャルタイムズの視点がより参考になる。その気になれば日本語でもたくさんの情報が安価に入手できる。ちなみに私は読み放題アプリ「ビューン」を購読している。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
3.川田の気になる銘柄
川田の保有銘柄を始め、米国株の情報に触れている中で、気になった銘柄を紹介するコーナーです。
今週の銘柄
ヘラクレス・キャピタル <ティッカー:HTGC> Hercules Capital, Inc.
概要
シリコンバレーに拠点を置く事業開発会社(BDC)です。ベンチャー企業の株式投資専門のベンチャーキャピタルとは違って、創業間もないハイテク企業やバイオ企業などに対する融資が事業の中心ですが、株式等への投資も行います。
同社の魅力
ヘラクレス・キャピタルの魅力は、米国のベンチャー企業投資の果実をキャピタルゲインではなく、主にインカムゲイン(配当)で得られる点です。2021年末の投資の内訳は、社債などへの債券投資が90.8%、株式投資が7.6%、ワラント(新株引受権)投資が1.6%となっています。ベンチャー企業の株式投資は大きなキャピタルゲインを得られる可能性がありますが、リスクが高い投資です。同社は債券への投資で着実に利益を積み上げており、純手数料収入は過去10年で年率14.2%、総資産は年率13.3%で成長しました。
(図1:ヘラクレス・キャピタルの2021年末の投資内容)
(図2:過去10年の純投資収入と総資産の伸び)
債券投資は2021年末時点で92社に行い、実効利回りは13.0%で融資総額は約22億ドルです。株式投資は75社、ワラント投資は97社に対して行っており、投資元本は1億6940万ドル、評価金額は2億2310万ドルです。
投資先企業の地理的な分散は米国西部が43%、北東部が35%で、英国オフィスを通じて海外企業にも8%投資しています。セクター別で見た分散は、製薬関連が約40%、ソフトウエア関係が約24%、インターネットサービス関連が約19%で、ハイテクハードウエアや再生可能エネルギーなどのセクターにも投資しています。
(図3:投融資先企業の地理的内訳)
(図4:会社側分類による主な投資先セクター分類、左からハイテク、ライフサイエンス、ソフトウエア・アズ・ア・サービス、持続可能&再生可能技術、スペシャルシチュエーション)
セクターを絞り込むことで企業の健全性や成長性に対する見方が確実になり、貸し倒れを抑えています。また、原則として優先順位が最上位の債券投資(大部分がヘラクレス・キャピタルだけが債権者)を行い、期間も3~4年以内であるため、焦げ付きが少なくなっています。2005年の上場以降の累積の貸し出し損失は5880万ドルだけで、貸し倒れ比率(年率換算)は3ベーシスポイント未満です(1ベーシスポイント(bp)=0.01%)。
ここ数年は低金利の影響で利息収入は抑えられていましたが、米国の金融政策が引き締め基調になることで、利益の嵩上げが期待されます。金利の上昇はハイテク株投資には逆風ですが、ヘラクレス・キャピタルにとっては追い風となります。会社側の試算によると、プライムレート(最優遇貸出金利)が200bp上昇すると、1株当たり利益に0.32ドルのプラス要因となります。
(図5:プライムレートが上昇した場合のEPSに対する影響=同社による試算=)
(図1~5は会社資料より)
リスク
景気後退に陥るなどの実体経済の落ち込みは、融資先、投資先企業の倒産などを通じて影響が出ると懸念されます。また、ヘラクレス・キャピタルのポートフォリオや収益力に対する投資家の期待が高いため、1株当たり純資産(NAV)に対するプレミアムが大きくなっていますが、他の主要BDCのNAVに対するプレミアムの平均がほぼ1倍なのに対して、1.5倍程度になっており、2020年3月のように景気後退懸念や市場全体の強い不透明感から急落する場面では、値下がりが大きくなる可能性があります。
HTGCの基本データ(出所:会社データ、Yahoo! Finance)
(3月4日現在)
株価 17.88ドル
時価総額 21.4億ドル
総収入 2.8億ドル
予想PER 12.92倍
実績利回り 7.30%
本社:カリフォルニア州 パロアルト
上場:2005年6月
株価チャート 5年
チャートはTradingView.comによる
(本コーナーは一般的な情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません)
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
4.投資のヒント
「投資手法」や「銘柄紹介」だけでなく、「気になった指標や発言」や「社会や政治の動き」を書くコーナーです。
研究員報告「エネルギーセクター」
インフレ圧力の高まりを受けた金利上昇トレンドの中で、ウクライナ情勢が緊張の度を増している。その結果、S&P500指数は一時調整局面(10%超の調整)に突入した。ただし、エネルギーセクターはその中でも高パフォーマンスを続け、S&P500指数の11セクターの内では上昇率がダントツでトップだ。
そこで、エネルギーセクターの活況の背景にある石油産業についてこの分野が専門のN研究員にまたまた教えてもらった。
以下、私のオンラインサロンの水曜日夜の企画「オンライントーク」から抜粋した。
アジェンダ
1.石油産業の分類:FINVIZ heat map参照
2.油田への投資状況
3.在来型油田と日在来型油田(シェール)との違い
4.主なシェール企業の動向
5.原油価格と原油の需給動向
6.エネルギー関連企業への投資のオプション
FINVIZ Heat map S&P 500 Map(3月4日)
11セクターに分かれ、銘柄の面積は時価総額の大きさ。つまり右央のエネルギーセクター全体の面積(時価総額)はアップル、マイクロソフト、アマゾンの各々より小さい。
3月4日(金)はハイテク、金融、一般消費財・サービスが大きく下げ、エネルギーセクターの上昇が目立った。
S&P500指数に占めるエネルギー・セクターの比重(1990年以降)
一時15%以上もあったが直近は2%台にまで低下した。
Table-1. 石油産業の主な分類及び該当企業
石油メジャー:XOM(エクソンモービル)、CVX(シェブロン)。多国籍にわたる油田権益を有しており、探鉱・生産・石油精製販売を実施。
SLB(シュルンベルジェ)、BKR(ベーカー・ヒューズ)等の技術サービスがなければ生産に至らないため、石油業界において重要なプレーヤー
探鉱・生産を専門に行う企業が確認した油田、既存油田をメジャーへ転売する事は日常茶飯事
石油メジャーも会社の価値拡大を目的とし、資産の売買を常に検討
石油会社の資産は油田であり、石油精製部門はコストセンター扱い。PSX(フィリップス66)、MPC(マラソン・ペトロリアム)
Fig-2. 石油・天然ガスの上流(油田)への投資状況
環境保護・脱炭素の状況を踏まえ、2015年以降油田への投資が激減
探鉱・開発から生産まで概略3〜5年を要する
したがって化石燃料の急激な需要増加に対応出来ない
2020年以降に化石燃料の需給がタイトになる事が予見されていた
Fig-3. 在来型油田とシェール油田との比較
在来型油田はスポンジの中に原油・ガスが含まれる。一方で、シェールは岩の中に原油・ガスが含まれる。
シェールの技術は技術サービス会社が提供
中国国内にシェール層の存在は確認済みだが、技術と水の不足により開発が出来ない
Fig-4,5. 原油価格の推移
米国のシェール企業が油価高騰を踏まえて増産を行った結果、油価下落を繰り返した経緯があり、中東産油国は苦々しくみていた。価格下落で倒産するシェール企業が続出した。
2019年以降、サウジはシェール潰しを目的とした原油の値下げを行った、との噂あり
Table-5 FY2022の石油生産量
出典 OPEC Feb, 2022
OPECは増産を決めたものの、増産に対応できる産油国は湾岸諸国のみ
研究員の所感
(1)原油市場の需給バランスを踏まえ、更なる原油高か
(2) イラン産原油の市場流通の可能性も有り
(3) 欧州に石油・ガスを輸出するロシアにとっては緊張状態が最も好ましい状況
(4)西欧とロシアの間には ウクライナという緩衝地帯の必要性
(5)エネルギー銘柄への投資は、冬場の需要期後市場がひと段落した時点?
エネルギー関連企業への投資機会(研究員個人の見解)
1.株式購入の目的
配当 XOM:4.4%, CVX:4.1%, BP:3.9%, (2022年2月11日現在)
2. 株価成長
(1) 保守的な対応(分散)
ETF:XLE(XOM、CVX、EOG、COP、SLV、MPX、PXD、PSX、WMO、VLO、DVN、HES et al)
(2) 個別銘柄
DVN、HES、SHEL、XOM、CVX、BP、など
PDX, FANGは既に高値、”はずれ”を引く可能性あり
(3) 原油ETF
a. USO (サクソバンク証券)
b. WTI原油価格連動型上場投信(1671) 1口単位
c. WisdomTree WTI 原油上場投資信託(1690)10口単位
d. NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信(1699)10口単位
※先物連動のため、コンダンゴ(期先の方が価格が高い)の影響有り
S&P500指数対エクソンモービル(XOM)長期チャート
【川田コメント】
N研究員の本業は、このエネルギー分野だ。その専門知識を駆使してこの業界を概観してくれたのでサロンの参加者はいたく感激していた。
さて研究員の知見を株式投資にどう活かすかが我々の課題だ。
昨年グロース銘柄でパフォーマンスを積み上げた人も、昨年の2月そして11月には持ち株の下落を経験した人も多いのではないか。
一方でエネルギーセクターのETF(XLE)のパフォーマンスは極めて良好だ。
今後はFF金利も長期金利も上昇を予想する人が多い。したがって割高なハイテク銘柄から石油株のようなバリュー銘柄への乗り換えは誰しも考える選択肢だろう。
今後も化石燃料への依存は続く。需給関係を見ても、近年開発投資を怠ってきたことで、すぐには供給制約が収まらないかもしれない。また短期的にも石油の価格はまだ高止まりをする可能性が高い。そうなるとポートフォリオの中にエネルギーセクター銘柄やETFを組み入れることの妥当性はある。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
5.お散歩
◇◇最近行ったお店、映画、美術館、書籍編◇◇
~熊倉 貫宜の巻~
元証券マンで無類の読書家、熊倉貫宜さんの寄稿です。
桐谷さんの株主優待のススメ/桐谷広人
一種のトリック・スターとして、その株主優待生活が大人気の著者ですが、毎日のように牛丼かカレーかに悩み、映画館やスポーツ・ジムに自転車を走らせ、流行のシャツや眼鏡を選び、コンビニではクオカードを駆使する‟桐谷さん”の姿からは想像もつかない(失礼!)投資哲学をお持ちのようです。
本書の中で‟桐谷さん”は、その銘柄選定に際し「配当+優待価値が4%以上」と云う指標を一つの基準とされております。
また、実際の投資にあたっては「優待が得られる最低単位」と云う制限も設けられております。
このような独自の視点から‟桐谷さん”のポートフォリオは株主優待を狙い多数の銘柄に最低単位を投資する事により、自然にリスク分散が図られ、結果的に市場実績に近いものとする事に成功しているのかもしれません。
そんな‟桐谷さん”の本書、銘柄紹介は、会社の業務内容の紹介や業績見通しなど一切無く、優待内容の記載のみという潔さです。
ところで、この株主優待制度、意外に多くの方が誤解しているのですが、①株主総会に於ける議決権、②配当金等々の利益配当請求権、③会社解散時等々の残余財産分配請求権、と同等な「株主の権利」ではありません。
「株主優待」とは、企業が株主に対し株式保有の「謝礼」として自社商品や金券類を送る日本独特の制度です。
世界の何処かの国に、日本を見習った株主優待制度があるかもしれませんが、浅学にして私はその実例を知りません。
それは株主向けの宣伝であり、株主の取り込みであり、市場に提供されるある種のスウィートナーでしょう。
しかしながら、株主の公平性と云う観点からみると、著しく誤解を招く慣行と云え、私も実務で経験しておりますが、海外の投資家からは大変に評判が悪い制度です。
ただ、幸いな事に(?)、それに対し異議を表明する、或いは法的紛争に発展させる海外機関投資家を耳にした事がありません。
少額の経費で株式の安定を図れるとしたら、多少グレー領域だとしても、目をつぶるという大人の対応でしょうか?
そのあたりを‟桐谷さん”に伺ってみたいものです。
スウェーデン 福祉大国の深層 金持ち支配の影と真実 /近藤浩一
隣の芝生は青い?
本書を読んでみると 「海外主要国では云々・・」と云う物言いが大変に如何わしいモノだと良く分かります。
スウェーデンは日本人にとって、自然豊かな福祉国家とか、労働者の余裕ある働きぶりとか、そのトレード・オフとしての高課税社会、といった イメージが浮かぶ国家です。
近年ではコロナ対策として経済活動の制限が限定的であったり、マスク 着用も個人の判断に任せるなど、緩やかな対策を選択しておりました。
そのような国家の在り様が時折、日本での国会審議に例として挙げられることにより、さらにそのイメージが流布される事となります。
余談ですが、私自身も含めて多くの方が、あの大ヒット・サスペンス、「ドラゴン・タトゥーの女」を通じて、彼の国の財閥支配の様子や第二次世界大戦時のナチスへの協力といった実情を知ったのではないでしょうか?
他国を知るという事は、その歴史・地勢・民族・政治体制・経済・文化等々の広範な構成要因を理解することであり、決して容易なことではありません。
ましてや自らの言説をもっともらしく展開するために、都合の良い部分だけ切り取って披露する事でもありません。
国家間の相互理解には正しい知識と尊敬が無ければならないと云う、あたりまえの事なのです。
本書はスウェーデン社会を正しく理解する一助であるとともに、国際理解の在り方を示して頂ける好著ではないでしょうか?
【熊倉 貫宜】
1980年大和証券入社。企業派遣留学としてシカゴ大学経営大学院にてMBA取得。シンガポール、香港駐在を通しアジアビジネスに深く関わる。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
新連載「これでばっちり!米国株式を使った資産形成術のすべて」
はじめに
資産形成に必要な基本的な内容を網羅したシリーズを連載しています。全体の構成は以下のように考えています。
我々はどのような時代に生きているのか?全二回
自立した日本人と自立に欠かせない資産形成 全三回
株式市場は米国にしかないの? 全4回
日米株式文化の違い
知っておくべき米国市場の特徴
おすすめの投資戦略~コア・サテライト投資~
コア部分の投資戦略
サテライト部分の投資戦略
何を買ったら良いのか
情報源と投資
引き続き、弊社のウェブサイトの「アメリカ株式40年投資」シリーズでおなじみの大倉真さんの寄稿を基に、米国株の長期的な巡航速度と中期見通しを考察します。
より良い資産運用を目指して
資産運用で成功するために一番大切なことは、運用の目的と目標を明確にし、それを達成するためにポートフォリオを構築・運営することです。どの銘柄をいつ売買するか、というのは二の次なのです。
目的がゼロからの資産形成の場合、目標は「いつまでに、いくら作るか」となり、その目標を達成するためにどうすればよいかを考えます。既にある程度資産を持っていて、それを増やしていく場合でも、はっきりとした目標設定をするとよいでしょう。「具体的に目標を設定し、それを上回る」ことを目指すのであれば、資産運用の仕方が大きく改善するはずです。
資産運用にベンチマークを取り入れる
一般投資家が資産運用を行う場合、何となく流行りの投資信託や個別銘柄ばかりに投資する結果、ファンドマネージャー経験者から見ると、運用の意図や目的があまり感じられないポートフォリオが出来上がってしまいます。私はこれを「(銘柄を適当に組入れた)結果としてのポートフォリオ」と呼んでいます。
個人が運用する日本株のポートフォリオで、実際に私が何度か見かけたことがあるパターンを紹介しましょう。割安に見える銀行株を買ったはいいが、売り時を逃し評価損を抱えます。そうすると「銀行株の損は銀行株で取り返せ」とばかりに、さらに別の銀行株を買います。さらに下げが続き評価損が拡大すると、今度は逆転を狙ってさらに変動性の高い証券株に手を出します。気がつくと金融セクターの比率が極端に高いポートフォリオになっていたりします。こうなるとほとんどギャンブルです。
最近であれば、「周りもハイテク株で儲かっているみたいだから自分も一儲けしたい」と思い、人気のあるテクノロジー銘柄に投資した人も多いのではないでしょうか。上手くいっている間は良いのですが、期待に反して株価が下がり評価損を抱えると、その銘柄と負けず劣らず値下がりして割安に見える別のテクノロジー銘柄を買ってしまいます。その人がテクノロジー業界について本当に詳しいのであれば、そういう投資も悪くはないかもしれません。しかし多くの場合、実は「何となく儲かりそうだから」という感覚だけで投資しているのではないでしょうか。これもほとんどギャンブルです。
投資した銘柄にモメンタム(勢い)があるうちはよいのですが、いったん下げ基調になると見切り売りするのが難しく、塩漬けにして戻りを待つということになってしまいます。最悪の場合、大底近くで泣く泣く損切りという可能性もあるでしょう。投資に関する情報提供者は、以前は証券会社を中心とした金融機関が中心でした。それに加えてこの数年は、投資系のブログやYouTubeチャンネルを含め、情報ソースが多様化しています。情報ソースがどこであれ、情報の質の見極めが大切です。
「でもそこには成長があるはずだ」、「ストーリーは変わっていないのだから株価が下がっている方がおかしい」と反論する人もいると思います。しかし、必ずしも成長が即座にリターンに結び付くわけではありません。それにストーリーなどというのは株式や投信を売るために販売会社が作った「イメージ」に過ぎないのです。そもそもストーリーが語られる時点で、そのテーマは相場の終盤にあるというのは、よくある話です。
それはさておき、もしみなさんが真剣に資産運用に取り組もうとしているのであれば、一度具体的に運用目標を設定し、それを上回る方法を考えてみてはいかがでしょうか。ここで大切なのが「ベンチマーク」の考え方です。ベンチマークとは運用の指標として用いる「基準」であり、ポートフォリオのパフォーマンスの土台となるものなのです。目標となる基準を決め、それを上回ることを目指すのであれば、運用の方法もおのずと変わってくるはずです。そして構築されるポートフォリオも、「結果としてのポートフォリオ」ではなく「意図して作られたポートフォリオ」になるでしょう。
ベンチマークとしてのS&P500指数
アメリカ株投資で資産を増やそうとしているのであれば、「S&P500指数(以下、S&P500)」をベンチマークとするとよいでしょう。S&P500とはS&Pグローバル社が算出する市場インデックスであり、アメリカの資産運用業界で最も代表的な株価指数といってよいでしょう。アメリカを代表する大型優良企業500社を構成銘柄とし、アメリカ株式市場の時価総額の約80%をカバーする株価指数です。
図表1を参考に、長期的な期待リターンは年率8%程度(ドル建て)と考えておけばよいでしょう(ただし、過去のリターンが将来の結果を保証するわけではありません)。つまり、この指数をベンチマークとしてポートフォリオを運用し、それにある程度追随することができれば、長期的に年率8%程度のリターンを達成できる可能性が十分あるのです。
図表1 S&P500の過去51年間のトレンド
アメリカの資産運用業界では、投資スタイル(企業規模(大・中・小型株)や割安・成長等のファクターで区分されます)によってベンチマークが細かく設定されます。実は運用のプロであるファンドマネージャーで、与えられたベンチマークを長期で上回ることができるのは全体の20%程度と言われており、S&P500をベンチマークとする大型株のマネージャーにしても同様です。もしみなさんがこの指数に追随できれば、平均的なプロを十分打ち負かすことが可能なのです。
「投資の神様」あるいは「オマハの賢人」といわれるウォーレン・バフェットも家族には「遺産の90%はS&P500のインデックスファンドで、残りの10%は短期国債で運用するように」と遺言しているそうです。これは国内外問わず何度も引用されている話ですが、この遺言によって「S&P500を長期で上回ることは本当に難しい」ということにバフェットがお墨付きを与えたのだと私は解釈しています。
ところで、ファンドマネージャーの中には「S&P500は最強のインデックスだ」という人がいます。その理由は「継続的に構成銘柄の入れ替えが行われ、野球で言えばメジャーリーグの一軍選手だけで構成されているからだ」とのことですが、それはおかしいと思います。
もしこの理由が正しいのであれば、S&P500(選抜組)はアメリカ株式市場のほぼ100%をカバーすると言われるCRSP USトータルリターンインデックス(以下CRSP、非選抜組を含む)を大きく上回るはずです。しかし、実際は図表2(グラフ内、青がS&P500、赤がCRSP)でも分かるように、2002年1月から2022年2月の約20年期間においてCRSPトータルリターンインデックスがS&P500を上回っているのです。つまり、S&P500がすごいのではなく、コーポレート・アメリカがすごいと言った方がよいのではないでしょうか。(続く)
図表2 S&P500と全米株式インデックスの比較
(出所)portfoliovisualizer.com
【大倉真】
愛媛県出身。1984年大阪大学経済学部卒業。2005年 埼玉大学大学院経済科学研究科より博士(経済学)。シティバンク、エヌ・エイ、シティトラスト信託銀行、ソシエテジェネラル信託銀行(現SMBC信託銀行)に勤務。年金・公的資金など機関投資家に加え、プライベートバンクで富裕層向けの資産運用にも従事。2017年、京都・東山で投資会社EagleCapital株式会社を設立。CFA協会認定証券アナリスト。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
6.ちょっと教えて「失敗しない資産形成のヒント」
ファイナンシャルアドバイザーの本橋竜一氏が、中長期にわたる着実な資産形成のために大切なヒントをお伝えします。
前回では投資のスタイルとして、「趣味としての投資」と「仕事としての運用」という2つをご紹介しました。 大まかなイメージを再掲しておきます。
「趣味としての投資」と「仕事としての運用」の違い
出所:FPアソシエイツグループ資料より筆者作成
今回は、それぞれのスタイルに取り組む上で、大切な観点とそのポイントについて考えてみます。
■「趣味としての投資」に大切なもの…
図表の左側が趣味としての投資部分です。いかがでしょうか…
自分から主体的に意思決定を行い、その投資行動に躍動感が感じられる部分ですね。
例えば、投資を楽しみたい・儲けたい!、自分の相場感とタイミングで!いろいろ調べ上げ研究し「自分は次はコレ(銘柄やテーマ)が来ると思うんだ!」と、ドキドキ・ハラハラしつつ個別株やテーマ型ファンドに賭けてみる!まだまだ今は設立・上場したての小さな会社で大赤字だけど、将来は世の中の仕組みを変えてしまう可能性がある「創造的破壊企業」に違いないから、無くなってもいいお金と思って投資してみようと「宝くじ枠」で行うも良しです。
このように「趣味の投資」のポイントは、自分で時間・労力やコストを掛けても、自分の相場観(これは相場「勘」とも言えます)を頼りにアクセルを踏む投資の部分なのです。
とあるお客さま曰く「株価の勢いを買うんだ。その代わり自分の想定外になってしまったら、損切りのルール設定は決めてるよ」とのこと。
この言葉に習い、私は楽しいはずの趣味の投資が塩漬けで嫌な思い出にならないように「売り(損切り)のルール」を忘れずにとFAとしてお伝えしています。
■ツマラナそうな「仕事としての運用」だけど…
もう一つは「仕事としての運用」です。図表の右側の部分ですね。
これはお金に地道にコツコツ働いてもらうスタイルです。趣味は「投資」ですが、仕事では「運用」となっているように、そもそも着眼点が異なります。
趣味の投資では、どちらかというと儲かりそうな銘柄・テーマを当てにいくという「攻め」のスタイルですが、仕事としての運用は、如何に負けが少なく長期戦に耐えられるような「守り」の姿勢が重要です。
そして、「何故、今が旬ではない資産にも投資しておくべきなのだろうか?」と、退屈で面白くない局面もありますが、とにかく致命的なダメージを負わないことに留意して、資産運用を長く続けるための「忍耐」や「理性」が求められます。
そして大切なお金にキチンと仕事をさせる…「仕事としての運用」で必須なのは、自らの投資観です。長期の資産形成で成功できる秘訣は、この「投資観」が確りと腹落ち出来ていることだと思うのです。
※アタマで解っているだけの人は、何かの〇〇ショックや△△懸念で市場が混乱すると、その都度不安に陥り、折角の投資方針を転換したり、資産運用自体を止めてしまうという残念な行動をとってしまいます。
■投資観を支える3つのコンセプト
長期的にしっかりとお金に働いてもらい「仕事としての運用」を続けていくためには、長期・分散・積立(分割買付)投資の効用を理解しておかなければなりません。この3つについて簡単ですが整理します。
・なぜ長期投資なのか
長期投資を行うべき最大の理由は、投資対象(資産)の成長には、ある程度の時間が必要だからです。
短期の売買では、利益を得る人の裏側には、損失を被る人がいるというゼロサム(誰かの儲けは、売った人が儲け損なった分で、合計するとプラス・マイナス・ゼロになる)ゲームでの勝者を目指そうとする投機的な行為になりがちです。パチンコ・競馬などのギャンブルはこれに該当します。
しかし、長期に成長し、価値が増大していく企業などに投資を行えば、ある程度の時間はかかるでしょうが、その企業の株主全員が利益を得ることができます。
これは企業の成長によって、投資している対象の価値がプラスサム(合計がプラス)になるからに他なりません。
投資の本質は成長にあり、成長する可能性が高いものに資金を投じてプラスサムになるのをじっくり待つ長期投資スタイルこそが、情報量や資金力では機関投資家などのプロに敵わない立場で資産形成を目指す、個人投資家にとって王道と言われる理由です。
・なぜ分散投資なのか
長期投資を行う場合に重要なのが「複利の効果」です。資産運用の期間が長くなればなるほど、複利効果は高まります。この複利効果を味方につける際にポイントとなるのが、価格のブレ(リスク)の大きさです。
ブレ(リスク)の大きな運用では、値下がり時に複利効果がマイナス側に働いてしまい、折角積み上げてきた資産を大きく減らしてしまうことにもなりかねません。
マーケットを先読みして、儲かりそうなモノを見つけようとする以上に、値下がりに備えるために出来るだけブレを抑えた運用を心掛けるべきなのです。リスクをとって儲けを狙う「趣味の投資」では考えもしないことですが、ブレを抑える(リスクをコントロールする)ために、儲かりそうなモノだけではなく、敢えて今は儲かりそうにないモノを組み合わせたり、値動きの異なる複数の投資対象に分散を行うことが最も重要なポイントになってくるのです。
・なぜ積立投資なのか
いくら分散して長期的に資産運用を行うとしても、価格が高い時期にまとまった投資資金で購入してしまうと、その後の値下がりを挽回するのに時間がかかってしまい、運用の成果も期待しづらくなります。
値上がりしそうなモノを当てに行く「趣味の投資」であれば、価格が安くなるのを待ってまとめ買いすることを考えるのでしょうが、いつが高いのか安いのかの判断や将来の価格の動きを予測するのはプロでも難しい(というより不可能な)至難の業なのです。
そこで、購入する時期を分けることこそが、高値掴みを避け、そこそこのリターンを目指す「仕事としての運用」では、シンプルでありながらとても有効な手法なのです。
そしてこれは投資心理からしても、抜群の効果があります。
人は投資を行った後に価格が下がり始めると、とても暗い気分になりがちで、「やはり素人の自分には投資には向いていないんだ」と落ち込みます。しかし、定時・定額買い付け方式(決まった日に決まった金額でシステマチックに買い付け)の積立投資であれば、価格が下がった時にはたくさんの量(株数・口数)が買えることになります。
マーケットが下がっている時には、将来値上がりの期待できる価値ある資産が、バーゲンセールでたくさん買えると、内心ニンマリできるのです。
その後、投資対象の成長に伴って価格が上昇を始めると、比較的に早い段階から利益が出始めるわけですから、これこそが積立投資の効果と言えます。
この価格下落時にもたくさん買えていると喜べる心理的効果は、値下がり時に対するストレスを和らげてくれます。
特に資産運用の初心者や臆病な投資家にとって、定時・定額買付の積立投資のスタイルは、「仕事としての運用」にマッチしたやり方と言えるでしょう。
【本橋竜一】
1998年に大学を卒業後、横浜銀行にて金融業界でのキャリアをスタート。その後、外資系金融機関のプライベートバンカーへ転身。間もなく世界を震撼させるリーマンショックが勃発し、第一線のセールスとして成功を諦め、正統派な資産運用を伝えるファイナンシャルアドバイザーを目指そうと決意。数名の顧客を頼りに約20年の金融機関勤務から独立。信用・人脈ゼロながら、海外のPB・FAビジネスモデルを徹底研究、顧客体験の向上に資する創意工夫を重ねる日々。
現在は、特定の金融機関に属さず、真にお客様の価値観を大切にした資産運用・形成サポートを専業とする、独立系ファイナンシャルアドバイザーとして、お客様へのプライベート金融コンサルティングに従事している。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
7. 超富裕層が実践する「プライベート投資戦略」とは
IFAに特化した営業支援を行っている市川宏さんが、超富裕層が活用している投資戦略を、皆様に簡単にお伝えするコーナーです。
前回に続き、「プライベート投資戦略」の4つの柱の1つである、プライベート・エクイティ投資についてお伝えします。
プライベート・エクイティ(非上場株)投資ステージは大きく分けると、シード・アーリー・ミドル・レイトの各ステージに分けることができます。個人投資家にとっての投資方法を分類すると、シード~アーリー期は主にエンジェル投資と呼ばれるものです。そして、ミドル~レイト期はプライベート投資戦略で最も魅力的な投資のゾーンです。
投資ラウンドとは?
投資ラウンドとは、投資対象のベンチャー企業に、どの成長段階(ステージ)で投資するかを表しています。ベンチャー企業のステージは、事業を開始してから成長・拡大し、やがてEXIT(上場や売却)するまでの段階の中で、どのくらいの成長度合いにいるのかを表しています。
ただし、プライベートエクイティを理解する上で企業の成長ステージとそれに応じた資金調達を理解することは非常に大切ですが、実際には、各ステージについて従業員数や売り上げ、創業年数などに具体的に決まった定義があるわけではありません。
プライベート投資戦略のプライベート・エクイティ投資の中で、最も魅力的なのがミドル~レイトステージへの投資です。案件によりさまざまではありますが、1~5年でEXIT(上場もしくは売却)を目指し、リターンは成功すれば数倍~数十倍も期待できます。
ミドル~レイトステージへの投資のポイント
ミドル~レイトステージへの投資は、ざっくり言うと、提供している製品やサービスが評価されて、ビジネスが軌道に乗り始めたスタートアップや、黒字経営が安定化を始めたスタートアップに対する投資のことです。
事業の状況は、多くの場合、創業者や投資家などが投資資金の回収を行うEXITの時期が近づくため、研究開発型スタートアップ企業を除いて、黒字化を目指します。その後、黒字経営が安定化すれば、IPOやM&Aなどを通じてEXITを行うというのが一般的です。
概ね、この頃に行われる資金調達への参加という方法でミドル~レイトステージの投資を行うことができます。多くのケースでは調達額は数億円~十数億円ということが多いです。
この金額はベンチャーキャピタルや機関投資家からの調達も含むものなので、個人投資家が投資できる金額は多くても数億円という案件が多いです。つまり、案件が出ても金額が大きくないので、すぐに枠が埋まってしまいます。広告や大手証券会社を使って幅広く投資家を探す必要はなく、特定のルートがないと買えないものばかりということになります。
米国と日本のプライベート・エクイティ投資
プライベートエクイティ市場をGDP比で見ると、日本は他の先進国と比べて小規模にとどまっており、例えばアメリカに比べると、10分の1以下です。それでもここ数年は、日本のプライベートエクイティ(PE)市場における年間案件総額は、主に大規模案件が増加したことによって、長期的な成長傾向にあります。
アメリカのプライベート・エクイティ投資は、個人投資家にとってもごく一般的になっており、未公開株を専門に取り扱う証券会社や、個人投資家が売買できる市場なども整備されています。
また、プライベートエクイティ投資の投資先の内訳として、日本ではシード~アーリーステージが多いのに対して、アメリカではレイトステージが半数以上です。
これは個人投資家が投資しやすいプラットフォームが整備されているかどうかの違いであり、まだまだ日本では魅力的なミドル~レイトステージへの投資できる案件が限られているということです。
「未公開株投資」「PE投資」といった言葉は、日本の投資において信頼性はまだ低いです。中には詐欺のような案件も多くあります。現状では、魅力的なプライベートエクイティ投資の案件は、特定のルートからしか入ってきません。投資先を探して投資すべきかどうかの判断が難しい場合があれば、一度ご相談ください。
【市川宏】
株式会社Winviser代表取締役。SMBC日興証券にて茨城、福岡、東京の各支店にて資産運用コンサルティングに従事した後、超富裕層向け金融商品のマーケティングを行う。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)業者に転籍し、超富裕層の資産運用のアドバイスを行った後、日本の金融業界の発展のためIFAに特化した支援会社を設立。現在は、IFAを支援する傍ら、自身の経験を元に個人投資家に資産運用のサードオピニオンを行っている。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
8. 今後の活動情報
◇ストックボイス:3月16日(水)11:00~
◇日経CNBC:3月9日(水)午前8時15分前後(電話インタビュー)
3月29日(火)スタジオ出演
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
9. 質問コーナー お休み
───────────────────────────────
★ご質問は、以下の【質問ルール】をご一読後、
info@kawata-magazine.comまでお願いします。
【 質問ルール 】
◆全ての質問への回答はいたしかねます。あらかじめご了承ください。
◆いただいた質問は、当社サイト、YouTube動画等のSNS・書籍等に、個人を特定できない形で掲載する可能性があります。
◆ご購読が確認できない方の質問には回答いたしません。
◆明らかな広告・宣伝とみなされる部分は割愛する対象となります。
◆未購読にもかかわらず悪質な質問を投稿された方には、然るべき措置をとらせていただきます。
───────────────────────────────────
★免責事項
◆当社は、本メールマガジンにて提供する情報にて、株式、債券、ファンド、ETF等の有価証券、およびセクター等に関する売買等の推奨はしておりません。また、投資判断はメールマガジン購読者(以下、会員)の責任にて行うものであり、当社は一切の保障責任を負わないものとします。
◆当社は、会員が当社の提供するメールマガジンを利用して被った損害について、一切の保障責任を負わないものとします。
◆当社は、当社が提供する本サービスにおいて、会員間で生じたトラブル(違法又は公序良俗に反する行為の提案、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、脅迫、誹謗中傷、いやがらせ等)に関して、一切の責任を負わないものとします。
◆当社は、本サービスの情報の内容が会員若しくは第三者の権利を侵害し、又は権利の侵害に起因して紛争が生じた場合、その侵害及び紛争に対して何らの責任も負わないものとします。
◆当社は、本サービスの停止又は中止、本サービス内容の変更によって受ける損害について、賠償する義務を一切負わないものとします。
───────────────────────────────────
■ 発行元:株式会社日比谷テクノロジー・ファイナンス
■ 川田重信のありがとうアメリカ株式
https://www.kawataamekabu.com/
■ Twitter:https://twitter.com/ShigenobuKawata
■内容に関するご意見・ご要望、購読解除はこちらから
【メール】info@kawata-magazine.com
■メールが届かない場合などは迷惑メール等に分類されている場合もありますので予めお確かめください。
───────────────────────────────────
Is it OK?