米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.4]2021年6月28日配信
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米国株式投資の真実を伝える
川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
[Vol.4]2021年6月28日配信
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***目次***
マーケット振り返り
今週のズバリ!
今週のピックアップ記事
投資のヒント
川田のお散歩
活動情報
質問コーナー
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1.マーケット振り返り(6月21日~6月25日)
<主要指数>
・NYダウ +3.4%
・S&P500指数 +2.7%
・ナスダック総合指数 +2.4%
=駆け足バージョン=
パウエル議長の議会証言を経て金融引き締めの早期前倒し観測が後退する一方、バイデン大統領がインフラ投資支出で超党派の議員と合意したことなどから、景気敏感株を中心に上昇。S&P500指数は史上最高値を更新して引けた。
=ちょっとだけ詳しく=
前週末の急落から一転して月曜日に大幅反発。パウエル議長の議会証言を経てFRBが金融引き締めを早期に前倒しするという見方が後退し、週半ばまでは成長株が買われ、ナスダック総合指数は史上最高値を更新した。その後、バイデン大統領がインフラ投資に関して8年間で1兆2000億ドルの規模で超党派議員と合意したことや、FRBのストレステストの結果、大手銀行が増配や自社株買いが可能となったことから、インフラ関連株や金融株が上昇。週末に発表されたPCEコアインフレ率は市場予想を上回らなかったものの、29年ぶりの上昇率を受けて長期金利が上昇したため、成長株は上値が重かった。市場全体は堅調で、S&P500指数は史上最高値を更新して週末を迎えた。
=日々バージョン=
■□6月21日(月)3指数とも急反発□■
前週末に急落した米国株式市場は、特段の材料はなかったものの大幅に反発したため、急落は一時的な需給要因によるものとの見方が出ていた。前週末に大きく売られた景気敏感株中心に買い戻されたほか、原油価格(WTI)が73ドル台に上昇してエネルギー株が買われた。NY連銀のウィリアムズ総裁が「中期的な見通しは極めて良好だが、金融政策をシフトさせるほどではない」と発言したことも好感され、引けにかけて高値圏での推移となった。
■□6月22日(火)ナスダック総合指数が史上最高値を更新□■
22日開催予定のFRBのパウエル議長の議会証言の原稿は前日引け後に公表され、インフレ率が2%に向けて落ち着くとの見方が示された。大幅反発後ということもあり、前日引け値付近で推移していたものの、次第に半導体や金融株などが幅広く買われた。午後の議会証言では予防的に利上げすることはないとの発言があり、長期金利が低下して株式市場の下支えとなる。引けにかけて一段高となり、ナスダック総合指数は史上最高値を更新した。
■□6月23日(水)ナスダック総合指数は連日の史上最高値更新□■
6月のマークイット製造業PMI(速報値)は62.6(予想61.5)で、2009年10月の現行の統計開始以降で最高。株式市場は堅調に始まったが、5月の新築住宅販売件数(年率換算)が76.9(予想86.5)万件となり、方向感のでにくい相場となった。アトランタ連銀のボスティック総裁とFRBのボウマン理事から、高インフレが当初の予想より長引く可能性があるとの見方を示された。結局、テスラなどの一部の成長株が買われてナスダック総合指数はわずかに史上最高値を更新した。
■□6月24日(木)S&P500指数とナスダック総合指数が史上最高値を更新□■
インフラ投資法案に関して超党派の上院議員とバイデン大統領が24日に合意と報じられる中、5月の卸売在庫や耐久財受注が市場予想を下回ったことから債券市場は小動き。法案に対する期待から資本財などの景気敏感株中心に買われたほか、自社株買いと配当金支払いの制限が解除されることになった金融株が買われる。合意が発表されると景気敏感株は一段高となったが、ナスダック指数はやや売りに押される。それでもS&P500指数とナスダック総合指数は史上最高値を更新して引けた。
■□6月25日(金)S&P500指数が連騰で高値更新□■
前日引け後発表のナイキの決算が好調で、NYダウを中心に上昇して始まった。5月の個人消費支出が発表され、FRBが注目する食品とエネルギーを除くコアインフレ指数は前年同月比プラス3.4%となった。1992年4月以来の高い伸びでFRBが目安とする2%を上回り、長期金利は1.5%台に上昇した。株式市場では景気敏感株を中心に買われた一方、成長株は上昇一服となった。ナスダック総合指数は小反落したが、S&P500指数は2日連続で史上最高値を更新した。
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2.今週のズバリ!
これだけは知っておいてほしい情報をお届けするコーナーです。
先週の米国株式市場は、前週末の波乱が何事もなかったような展開で史上最高値を更新した。そこで思い出したのが「需給恐るべし」という相場格言である。
市場の動きは最終的に全て需給関係で決まるから、個別銘柄や市場全体の売り買いの理屈(理由付け)は大切かもしれないが、(あなたが信じている)理屈を超える現実の需要と供給に注意を払いなさい、ということだ。
エコノミストやアナリストなどの専門家は、個別銘柄や市場全体に対して強気(買い)とか弱気(売り)の見通しを示す。それが商売だし、なるほどと思う話もたくさんあるが、その理屈に惚れ込んで他の要因による需給を無視したら火傷を負うことがありますよ、と解釈することもできる。
もう一つ、全ての需要や供給や値動きに専門家の理屈が付いているわけではないのだが、新聞などのメディアの報道には理屈が必要なのでそれらしいものを付けている、というのが私の別の解釈だ。定番のものとしては「〇〇に起因する不透明感」がある。
これを単純に信じてしまうと、本当の理由を見そびれてしまい、チャンスを逃したり、ピンチを招いたりする。肝心なのは、市場が動いた理由として書かれていることをそのまま信じるのではなく、本当にそうなのか、単にメディアがそれらしい理屈として書いているだけなのかを見極めることだ。前週末の急落は特にNYダウだけが大きいので市場全体としてはどうか考える必要があると書いたが、日本で報道された急落の理由として多かったのは「FRBの金融政策に対する不透明感」だった。間違いではできないが、単にいつでも使える理由を使っただけだ。一時的な需給の乱れと読み切って行動に移していたら、短期間で利益を手にしていたかもしれない。
今週は水曜日が半期の終わりで、ポートフォリオなどの入れ替えが起きる可能性があるほか、来週の月曜日が独立記念日(7月4日)の振替休日で3連休だから、週末にかけて出来高が細くなることが恒例の週だ。こうした状況では特に大きな理由がなくても短期的な需給関係だけで相場が動く場合もある。2日に発表される6月の雇用統計がどうなるか分からないが、こうした状況下で発表されること、値動きがあってもある程度は短期的な需給によるものかもしれないということは頭に入れておきたい。
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3.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 マイクロソフト上場来高値 6/23
日経新聞 マイクロソフト、時価総額2兆ドル 6/24
マイクロソフトの時価総額が2兆ドルを超えた。米国企業で2兆ドルを上回るのはアップルに次いで2社目となる。マイクロソフトは1986年に上場し、2000年当時のITバブル期にはすでにハイテク銘柄の巨人だった。ITバブルの崩壊を境に業績も株価もさえない時間が長かったが、2014年2月にサティア・ナデラ現CEOにバトンが移ったのを機に再び上昇基調をたどっている。
ハイテク企業でこれほど長くトップ企業の位置を保ち、途中で株価上昇がとまったものの持ち直し、再度隆盛を極める企業は珍しい。ITバブル当時にもう一つの巨人だったインテルの株価が、未だに当時の高値を抜けていないのと好対照だ。インテルが通信用半導体やグラフィックス半導体などで出遅れたのと対照的に、マイクロソフトはクラウドなどのソフトウエア関連の新たな流れを確実に掴んだ結果だろう。ナデラCEOのリーダーシップと、それを可能にした創業者のビル・ゲーツ氏や同社取締役会は賞賛に値する。
【2】日経新聞 立花隆さん死去 知の巨人、綿密な取材と分析貫く 6/23
「知の巨人」立花隆さんが亡くなった。彼の著作は私の社会人キャリアと重なる。1974年10月の「文芸春秋」で「田中角栄研究」を発表した時、私は学生で彼の凄さに気づくには未熟過ぎた。しかしその後、1986年の「脳死」、1993年の「精神と物質 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)」あたりは、内容は難しかったが食らいついた。さらに「ぼくはこんな本を読んできた 立花式読書論、読書術、書斎論(文春文庫)」は衝撃で、凡人には全く想像を超えた知の世界が巨人には広がっていることが分かった。
いま売れっ子の佐藤優、池上彰両氏とは分野もアプローチも違うが、社会的なインパクトはもっとセンセーショナルだったと思う。とにかく博覧強記、理解力、知的好奇心は凡人のうかがい知るところではない。老若男女を問わず、ここはもう一度立花さんの本を手に取ってみるのがいい。
【3】 日経新聞 十字路 つみたてNISA、弊害なくせ 6/24
つみたてNISA(少額投資非課税制度)は若年層の資産形成に役立っているのか。(フィンウェル研究所代表 野尻 哲史)
NISAという優れた器があっても、その器の使い方が本来の趣旨に沿っていない。それは制度の投資家へのアピール方法や制度そのものにも改善の余地があるのではないかとの指摘だ。
まったくごもっともだが、今の日本人にはどれだけ魅力的な制度を導入しても誤解や乱用は多く生じると感じており、楽観視できない。
一つには、日本人のライフプランそのものが組織や国にかなり依存する仕組みになっているので、自分で資産形成せよとの制度の導入や掛け声をそもそも真摯に受け取らない人が大半だという事実がある。こういう依存型の価値観の人に自立の勧めを説いても、国は酷い、組織は冷たいと“逆切れ”になる人が多いのではないか。
日本では資産形成の前に、その前提の“人生”そのものに関して価値観の大転換が起きないことには、資産形成の必要性を説いてもなかなか理解が進まないと思う。このメルマガをその一助としたい。
【4】日経ヴェリタス8面 日米社長 報酬格差16倍の現実 6/27
記事中に出てくるのが「それだけ低い報酬でもできる仕事なのか?」(米)vs.「お金のために働いているわけじゃない」(日)だ。米国からみればそのポジションは誰でもできる簡単なことなの?一方で日本人の立場では、世の中を良くしようと思ってやっているのであって気持ちや心意気が大事、お金につられてできる事じゃない、といったところか。
ダウ工業株30種平均のトップの報酬の中央値は23.5億円で、日本の1億円以上の報酬を受けた社長296人の報酬の中央値は1.47億円だから、数値を比較すると米国は日本の16倍ということになる。こうした比較は単純化されているので、単純に高いから良いとか悪い(あるいはその逆)というものではない。社会的背景や誰の立場から判断するかによる。
それでも誤解を恐れずに言うと、私は、日本の会社の社長は米国ほど多く貰う必要はないと思っている。日本を代表する大企業はその多くが国家機能の一部を民間が担当している準国家公務員だと思っているからだ。通信、金融、重電そして商社に自動車(トヨタは例外?)などの基幹産業は、我が国の産業政策を民間部門で担って来た準国営企業という理解で国家の貢献に資するのが優秀な社員だ。
日本の大企業で社長にまで登り詰めるのは長年勤め上げた社員の一人だ。その社長は「日本株式会社」の構成員の一人と言える。そうなると公務員のトップとさして違わない、いわば国民の公僕だ、違うだろうか?
彼ら準准国家公務員の功績が国家に認められた証しは、金銭ではなく叙勲だろう。その叙勲レースでとりわけ優位な立場にある人が米国企業のように破格な厚遇を受けるのはおかしいのではないか。名誉とお金の両方が欲しければ自分で組織を作り、雇用を創造し納税するオーナー社長だろう。私はオーナー社長が好きだ!
【5】ブルームバーグ 米インフラ投資計画にウォール街が大きな期待-掲載資料の用語に着目 6/25
オーストラリアで初めて導入されたという「アセットリサイクリング」は、政府や地方自治体などが既に保有する空港、港湾、道路、公益事業などのインフラを民間業者に売却もしくはリースし、そこからの収益を新たなインフラ事業に投じるというものだ。新たなインフラ事業のために国債などを発行することがなく(少なく)、インフラ整備が進むことになる。
今後メディアに度々登場するかもしれないこの用語を覚えておいてほしい。また、売却先の民間業者の多くは、米国ならファンドになることが多いと予想される。ファンドに投資するのは長期的なインカム収入が必要な年金基金や海外の政府系ファンド(SWF)などだろうから、ウォール街が期待するのも無理はない。
また、運営を民間が行うことでインフラ運営における「お役所仕事」が排除され、効率的な運営が行われることになる。効率追求を是とする米国経済ならではだ。民主党だけでなく共和党議員もバイデン政権のこのプランに参加した背景の一つかもしれない。
参考資料↓
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4.投資のヒント
「投資手法」や「銘柄紹介」だけでなく、「気になった指標や発言」や「社会や政治の動き」を書くコーナーです。
■「老後2000万円問題」とは
「老後2000万円問題」が、またクローズアップされている。この問題は、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が2019年に発表した「老後20~30 年間で約1300 万円~2000 万円が不足する」という試算を発端に物議を醸した「いかに老後の資金を形成するか」をめぐる問題のことだ。https://www.daiwa.jp/products/fund_wrap/online/column/old-age/006/
さて、この2000万円問題だが、個々人で状況は随分異なるはずだ。しかしこれだけメディアで騒がれるからには世間の関心はそれなりに高いのだろう。そこで、ここでは株式や債券でどうしたら2000万円の資産形成が可能なのかを考えてみる。
乱暴な言い方だが、積立て投資で2000万円なんて、その気になって時間をかければ必ず実現できる目標だ。
では、この2000万円を証券投資の積立で目指す場合の正しい方法とは?投資対象を「S&P500指数のETF」を選択すること、これだけだ。ではなぜそのハードルを高く感じるのか?それは証券会社や運用会社がこの簡単で安価な手法を顧客に伝えないからだ。なぜ伝えないのか?正しい情報を伝え、投資家がそれを実践すれば彼らの従来手法のビジネスが成り立たないからだ。
“S&P500指数のETFを地道に積み立てるだけ!”で、これを時間をかけて実践するだけだ。ただし始めてみるといろいろハプニングも起こるため、投資を継続することの難しさを経験することになるだろう。
■積立で「2000万円」登頂ルート
では、その2000万円到達のいくつかのルートを検証してみよう。
①毎月の積立額:1~5万円の5タイプに分けてみた。投資元本は月額1万円なら年間の総額は12万円、5万円なら60万円だ。それを10年続ければ120万円と600万円で、30年なら360万円と1800万円を積立投資に入れたことになる。普通に働き口がある人なら、このどれかは実行可能なレベルではないか。
②目標リターン:下のテーブル(1~3)は毎月の積立額を上記の月額1~5万円とし、それらを年率4%、7%そして10%で運用した場合の資産の増え方をマトリックスにしたものだ。例えば年率4%というと、バランス型(株と債券を組み合わせた)ファンドで長期に運用した場合の利回りだろうか。
年率7%の運用は、債券を少しでも組み込むと難しいのではないか?イメージではグローバル株式や新興国株で世界の株式に分散投資すると、これくらいの実績はあった。
そして最後が年率10%の運用だ。これはズバリ、運用資産の全てを米国株式、言い換えるとS&P500指数で運用した場合の過去50年程度の実績だ。もちろん期間が短ければパフォーマンスのブレも大きくなるが、超長期で配当再投資なら、これくらいのリターンは出た(テーブル6参照)。
■登頂への年数
ではこれらの積立で2000万円に到達するにはどれくらいの年数がかかり、金額の違いでどれくらいの時間差があるのだろう。皆さんが自分で可能な月額金額で選び、想定する運用利回り、そして達成年数を比べてみてほしい。イメージが湧くだろうか?
月額3万円で目標リターンが4%、7%そして10%の場合(グラフ1参照)
具体的な事例として、グラフ1では、月額3万円を各利回りで運用した場合、2000万円に到達するには何年かかるのかを試算してみた。
これによると、30年以内に2000万円を作ろうとするなら、月額の積立金額が3万円なら必要な運用利回りは4%ということになる。また、毎月3万円であっても運用利回りによって到達年数が随分違う。これを一覧表にしたのがテーブル4だ。前述の通りS&P500指数は長期では配当込みで年率10%はあり、配当を含めない指数だけの値上がりでも8%を超えているから、実績数値を当てはめると、20年から22年で2000万円に到達することになる。
それがグローバル株式や新興国等で世界に分散すればリターンは6~7%程度の実績だろうから24、25年かかる計算だ。
株式と債券を組み合わせたバランス型なら狙えるパフォーマンスは年率3~4%程度だろう。その分リスクも低減するはずだが、2000万円に到達するには30~33年もかかる。
つまり、投資対象の選択と毎月の投資金額の組み合わせ次第だが、30歳で積立を始めて50歳を超えたところで2000万円に到達するのと、60歳を超えてもまだ到達しない場合があるということだ。運用利回りが低いとその分リスクは少ないはずだが、今度は時間を犠牲にしている。
(ご参考)東証1557(S&P500のETF)をNISA枠で買ったらどうなった?NISA制度は2014年に始まった。その年と翌年は年間の限度額は100万円でその翌年、つまり2017年以降は120万円に増額された。テーブル5は東証上場の1557(SPDR S&P500 ETF)を各年の年初に買い付けたと仮定し、その後の資産の増え方を辿ってみた。
2014年年初に買い付けた100万円相当のETFは5年経過した2018年年末(=2019年年初)には139万円に増え乗り換えたとする。その際の未実現利益(39万円)には課税されることなくこの139万円はもう5年間だけ無税で運用できる。それが2021年年初には188万円にまで増えていると言う事だ。そうやってこのテーブルを見ていくと2014年~2018年まで投じた560万円は直近1052万円にまで増えている。
この間のS&P500指数の上昇スピードは、長期の上昇率からみれば確かに速い。しかしNISA枠を使い、誰もが容易にアクセスできる東証上場のETFでこうも簡単に資産形成ができる。ただし、この簡単な真実を証券会社の営業員から聞くことは滅多にないのが現実だ。
■積立投資から得られる教訓
私は日本人の資産運用、とりわけ若い世代はリスク資産が少なすぎると感じている。それは日銀の家計調査を見てもはっきりしているし、各種の統計、アンケートにもその傾向が読み取れる。
つまり資産形成が過度に保守的で十分なリスク量をマーケットの変動に晒していないということだ。なぜマーケットのリスクに晒さないのか?ここの解釈は難しいが、社会全体がマーケットリスクに立ち向かうことに理解がないからだと感じる。
資産形成で成功したいなら、そして早く効率的に2000万円問題をクリアーしたいなら、その要諦はリスクマネーの量と許容リスクの両方のギアを上げることが大切だ。それには米国株式の上がる仕組みの正しい理解が必要不可欠だ。私は今後とも“米国株式上昇の宿命”について皆さんにお伝えし続けたい。
テーブル1
テーブル2
テーブル3
テーブル4
グラフ1
テーブル5
テーブル6
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5.川田のお散歩
◇◇社内誌の経営陣を見て思うこと
今回はやや趣が異なるが、これも人生のお散歩ということでお付き合いいただきたい。
■隔月の社内OB誌「不二」
私は大和証券に約20年在籍した。それで隔月発行の社内OB誌「不二」が郵送されてくるが、古巣の発展を願う者として毎回興味深く読む。
今月号には役員一覧が掲載されていた。グループ本社、主要な子会社である証券、アセット、総研などの役員が顔写真と略歴付きで紹介されている。サラリーマンにとって、出世競争の勝者として自他共に認め合い、本格的に会社運営や経営に関与できる面々だ。
何十年もこの社内誌に慣れ親しんでいる私にとっては新鮮味はない。掲載内容は何十年も変わりがなく、新任役員の抱負もほとんどが組織や社員への感謝と決意表明だ。しかし、その変わらないことがこの会社の価値観や伝統を継承していく役割をはたしているのだろう。
社員諸氏にとっては貴重な情報が埋まっているはずだ。将来自分がここに登場するには今後なにをどうすべきか、そして同社に在籍しながらの自己実現のヒントを読み取ろうとするだろう。
■社内誌の役割とは
この会社の社内誌の基本的な編集方針は終身雇用システムの肯定と賛美だろう。各人が夢を持って入社し、その何割かは社会人人生の全期間をその組織に委ねることが前提だ。
長年にわたり会社と相思相愛の仲を維持しながら、家族の分も含めて一つの組織で各々が成長し、夢を適え、そして後進に道を譲る。日本の大企業の組織は言い換えれば自己の成長、自己実現そしてその到達点として後輩に美田を残すエコシステムだ。その意味でこの社内誌は“美田を残すことこそあなたの社内貢献”だと、繰り返し刷り込む重要な仕掛けとも言える。
■就社か就職か?
社内誌をめくりつつ、同社での自分のキャリアを振り返ることでその時々の想いに浸れる。京都支店を振出しに東京本社勤務を経て米国留学、そして海外駐在が3カ所。その間に異文化を体験し、見聞を広め、子供の教育もユニークなものになった。そういう意味では、貴重な機会を作ってくれた同社のシステムには感謝しかない。
しかし昨今、個々人の価値観が多様化したことで終身雇用前提の組織が提供できる制度は柔軟性を欠き、そのことが問題点として指摘されている。それは同社に限らず日本の大企業に共通する課題だろう。
20数年前に私が同社を退社した理由もそこにあった。能力開発の機会をふんだんに貰い、視野を広げ潤沢な経営資源にアクセスできた。それでも時間の経過に伴う意識や自己実現の目標やその達成方法に変化が出てくる。それと同時に会社の方向性や処遇方針も時代の変化に適応しようとする。それでも自分と会社には修復出来ないほどのズレが生じる。
私の場合、1993年の香港赴任あたりからそのズレの軌道修正に限界を感じ、シンガポール駐在の1996年頃には明確な意識を持って帰国し、その1年以内に辞表を提出した。全ての可能性や選択肢を熟慮しての選択だった。柿が熟して自然に木から落ちるようなものだろう。会社に恩義を感じながら辞めることが、この会社に報いる方法とも思っていた。この会社が好きだからこそ別れなければならない時機だったのだ。
別れたことで新たな環境にチャレンジする機会を自ら作り出せた。そのチャンスを活かすためのビジネススキルは全て同社で培ったものが基礎にある。感謝してもしきれない。
この社内OB誌と同様の社内誌を読んでいる皆さんも、大多数は自分と会社のベクトルが合わなくなる時が来ると思ったほうがいい。そしてその時に会社に何を思いどのような選択肢を選ぶのだろうか?
新任部室長や優秀営業員として表彰されている凛々しい写真を見ながら当時の心境に想いを馳せた。
◇◇最近ハマっていること◇◇
オーダースーツの“Difference ”に入り浸り?
私の事務所の目の前にオーダースーツの“Difference”という小さな店がある。スーツは過去何十年も買う店は決まっていなかったが、この数年間にいよいよ面倒になり、家の近くのコナカ三鷹店でスーツ、ジャケット、そしてコートも買っていた。
コナカ三鷹店では、勧められた商品を一切文句も言わず値切りもしない優良顧客(?)だ。スーツ2着を一括購入すれば割安とのセールストークにいとも簡単に応じてしまうし“おまけ”を付けますといって処分に困っていたであろう売れ残りのジャケットも持って帰ったことがある。
ただし訪問できるのは帰宅後の夜か週末でどちらも面倒が先に立つ。そこで前から気になっていたこのDifference に飛び込んだ。そこで初めてDifference がコナカ系列だと判明、それなら話しが早い!山崎店長に三鷹店で私の取引履歴を確認してくれとお願いした。その方がその後のビジネスがスムーズに進むと思ったからだ。
数日後にDifference を再訪したときには、店長は私の購入履歴をばっちり把握、それと同時に私が文句一つ言わない優良(?)顧客だと理解したようだ。私みたいな顧客はカモっていうの?ゴメン山崎店長。それ以来店長“おまかせ”の言いなり客だ。生地も柄もそしてボタンの色形も全て彼に選んでもらう。私はどうせ見ても分からんと言って言い成りになっているがこれはラクでいいね。
営業員と顧客の信頼関係があればこその“おまかせ”は成り立つが、衣料品と違い証券投資はもっと複雑だ。山崎店長のお勧めに頷きながら、高額手数料の投資信託に頷いている顧客のことがつい気になった。
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6.今後の活動情報
7月4日(日)歯科医師向けオンラインセミナー「それでも上がるの?米国株式」
7月6日(火)午前8時15分から 日経CNBC
7月7日(水)午前11時から ストックボイス
7月21日(水)午前11時から ストックボイス
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7.質問コーナー
質問(要約)
川田さんはどこかで、「日本株は売却して徐々に米国株のETFにシフトしたほうが良い、それも一年くらいで」と言っていましたが、資金があれば、6月18日のような急落場面である程度まとめて買うのはどうでしょうか。
答え
米国株式の優位性をご理解いただいているようなので、基本的には安心してお答えできます。ご質問はいま余裕資金があるがこの資金をどのタイミングでマーケットに投入するか?というご質問だと理解しております。
何度かに分けて買う事が大切ですが急落場面を待っていると買わないうちに上がってしまうのが米国株式の長年の傾向です。従って、急落がなくても買うというスタンスが必要です。
仮にいま購入総額を1000万円とします。1年ぐらいかけてその7割程度の700万円を買切るのはどうでしょう?毎月必ず購入するようにしますがその場合月額の購入額は60万円ほどでしょうか。
残りの300万円を100万円ずつに分け、急落もしくは直近の高値からある程度(例えば7%)下落した場合に目をつぶって(?)100万円分買う資金に充てるのです。そしてその100万円部分は目標分の値上がり率を達成したら(例えば15%)売却し、次の急落もしくは調整(7%)に備えるというものです。
この戦略では相場が大幅上昇することなく7%下落を連続で3回繰り返せば300万円分を買い下がることになります。買い下がるのに勇気は要ります。しかし米国株式市場は10%程度の調整はよくありますが、20%の下落は多くはありません。ちなみに直近のS&P500指数の大幅調整は昨年2月から3月が34%で、2018年第4四半期にほんの一時的に約20%下落したことがあります。
この戦略では①1000万円のうち1年で最低700万円は投資する。②残りの300万円は7%調整があれば100万円ずつ買い下がる、その買い下がりは相場が悪ければ合計20%下落で3回買い下がりが出来ます。
売買回数が多ければ手数料や税金などで運用の効果は少しマイナスに働きます。それでも米国株式の長期上昇のトレンドに乗りながらメンタル面でも余裕をもっておくことが出来ます。要は如何にメンタル面を維持しながらマーケットに居続けるかです。このメンタルのコントロールは各人各様ですが、ご参考になれば幸いです。
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★ご質問は、以下の【質問ルール】をご一読後、
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【 質問ルール 】
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■ 発行元
株式会社日比谷テクノロジー・ファイナンス
■ 川田重信のありがとうアメリカ株式
https://www.kawataamekabu.com/
■ YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCCF4bp57Vr5cZ2hVL4mPfpQ
ใช่ไหม?