3/9 雇用統計の見方・回顧
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3/8金曜日に発表された雇用統計は以下のような内容となっています。
非農業部門者数は市場予想を上振れたためアルゴリズムが反応したのでしょう、一瞬上昇しましたがすぐ押し込まれドル売りされました。理由としては市場予想を上回ったものの前回の改定が大幅に下方修正されたことにあります。実に1/3削減されており、前から言われているが雇用者の統計があてにならなく雇用統計通過でっポジションを保有していたくなかったのはこういう理由からです。
雇用者数の内訳をみるとフルタイム雇用(正社員)は減少しています。
パート雇用が増えており正社員として雇用はせずパートでの雇用が増えているということは雇用市場はいい状態とは言えないことになります。またパートが増えているということは支払う賃金は安く済むので賃金低下圧力となりこの点が賃金の下振れにも影響しています。
また調査方法が違う家計調査での雇用者数も減少しており、雇用者数が増えているどころか減少しているので、非農業部門雇用者数の数字に騙されてはいけないいい例です。
失業率は予想3.7%に対し3.9%と大幅に上振れました。FEDが水準としている4%へ迫っており超えてくると雇用情勢が悪化し始めていると中銀関係者やマーケットは織り込んでくるでしょう。
新規失業保険申請件数は低水準でしたがコンファレンスボード消費者信頼感指数のレポートで公表されている雇用機会に対する業況判断(十分と解答した割合-困難と回答した割合)では悪化しており失業率の上昇を示唆していました。新規失業保険申請件数も増えてくるかもしれません。
またU6失業率も上昇しておりこの数値はフルタイムの職が見つからずやむなくパート勤務に従事している人も失業者とみなす指標で、短時間労働を強いられていることのため企業の人件費削減につながります。低い水準ではあるものの景気鈍化の予兆ともなるため複合的に考えると雇用市場の陰りは感じ取れます。
最後に平均時給ですがまず前回前月比0.6%とかなり強く出た理由が前月労働時間の算出を大幅に削減したことが要因で実際に賃金が上がっていた訳ではありませんでした。そのため下振れており賃金圧力は実はあまり強くなくむしろ緩和していると捉えられます。
労働参加率が上がってこない点やADP賃金トラッカーの転職者の賃金がやや上がっていた点は今後も気にしていかなければいけませんが給料アップのために転職する理由での離職率はしっかり低下を続けているためその点は心配しなくても現状は大丈夫そうです。
アトランタ連銀賃金トラッカーも低下しており、転職している人・同じ会社で働き続けている人・フルタイム雇用者すべての項目で低下しています。
賃金上昇率も縮小してきており賃金は低下を示唆しています。
他には雇用コスト指数の低下や非農業部門生産性の改善があったことからも賃金圧力は抑えられる地合いが続きそうです。賃金はサービスインフレに大きく寄与するためコアCPIの抑制になるはずです。
まとめると雇用は悪化しており賃金も低下と利下げを後押しする材料と捉えられるでしょう。
今回の発表は前回の改定がどうなるのかがわからない部分が大きかったため筆者はトレードを雇用統計前に完結しており、ドル円のような両面焼きのような動きに巻き込まれずに済みました。狙っていいべき指標と見送るべき指標はその時々で見分けて今後も望んでいきたいと思います。
オマケ
少し長い目線での株に対する懸念点を挙げておこうと思います。
水色が政策金利、オレンジが失業率です。失業率がFEDが基準にしている4%に近づいてきおり、利下げはコンセンサス通り6月ころに来ると思われます。
過去の傾向みると失業率が上昇転換したタイミングで利下げが始まり、そのタイミングで株安がくるので注意が必要かもしれません。
歴史は繰り返されると言われている半面、過去の利下げした時の地合いと違うので何とも言えない部分はあります。現在のテーマがAI、半導体なのでそのセクター次第といったところでしょうか。一応頭には入れておいていいと思います。
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