【11月15日~11月19日】各国のインフレ圧力を考慮したトレード戦略
FX
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 113.36 | 112.72 | 114.31 | 113.92 | +0.49% |
| EUR/USD | 1.1555 | 1.1433 | 1.1608 | 1.1444 | ▲0.96% |
| EUR/JPY | 131.13 | 130.25 | 131.44 | 130.40 | ▲0.56% |
| USD/CNH | 6.3953 | 6.3712 | 6.4077 | 6.3805 | ▲0.23% |
| CNH/JPY | 17.7262 | 17.6297 | 17.9074 | 17.8575 | +0.74% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=113.36円からスタート。週初は先週の流れを引き継ぎドル売りが先行し、火曜日にかけては一時112.72まで下落した。その後も112.80を挟んでの推移が続いたが、水曜日に中国10月生産者物価指数が公表され、高いインフレ圧力(+13.5%)が確認されると米金利が上昇、ここから一気に米ドル高が進んだ。水曜日NY時間には米10月消費者物価指数が発表され、こちらも非常に強い物価上昇圧力(+6.2%)が確認されると、米金利および米ドルは一段と上昇、114.00まで急反発した。金曜日には一時114.31まで上昇するも、このレベルでは一旦は売りが優勢、週末は113.92でクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1555ドルからスタート。週初は先週の流れを引き継ぎユーロ買いドル売りが優勢でじり高の展開となり、火曜日には1.1608まで上昇。その後は強い10月中国生産者物価指数で反転し、さらに米10月消費者物価指数でインフレ圧力の高まりが確認されると、直近の安値1.1530を下抜けた。金曜日には一時1.1433まで下落したあと、週末も戻りは鈍く1.1444でクローズ。
USD/CNH
- 人民元相場は1ドル6.3953元からスタート。週前半は小幅な値動きが続いたが、水曜日の米10月消費者物価指数を受けてドル買いが優勢となり6.4077まで上昇。その後は特段材料ない中で、木曜日、金曜日と欧州時間に人民元買いが強まる展開が続き、6.3712まで下落したあと、6.3805でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値8日
- 日本9月景気先行指数(CI)・速報値 99.7
- 米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は、インフレへの警戒を示し、2022年末に利上げへの条件が整うとの認識を示した。セントルイス連銀のブラード総裁は同日、「高インフレが長引くようなら早めの行動を取る必要がある」と述べ、22年に2回の利上げを予測した。11月から始める量的緩和縮小(テーパリング)を巡り、ブラード氏は終了時期を現在想定する22年半ばより早める可能性に言及した。
9日
- 日本9月経常収支 +1兆337億円
- 日本10月景気ウオッチャー調査 現状判断55.5 先行き判断57.5
- ユーロ圏11月ZEW景況感調査 25.9
- 米国10月卸売物価指数(PPI) +8.6%
10日
- 日本10月マネーストックM2(前年同月比) 4.2%
- 中国10月消費者物価指数(CPI) +1.5%
- 中国10月生産者物価指数(PPI) +13.5%(非常に強いインフレ圧力)
- 米国10月消費者物価指数(CPI) +6.2%(非常に強いインフレ圧力)
- 米国前週分新規失業保険申請件数 26.7万件
11日
- 日本10月国内企業物価指数 +8.0%
- 英国7-9月期四半期国内総生産(GDP) +1.3%
- メキシコ中銀は政策金利を0.25%引き上げ、5.0%に設定
- 中国共産党が開いた第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が閉幕した。毛沢東、鄧小平の時代に続く第3の「歴史決議」を採択し、習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は両者に並ぶ権威を確立し、来年秋の党大会での異例の3期目就任を固めた。
- 中国で年間最大のインターネット通販セール「独身の日」が12日午前0時(日本時間午前1時)に終了した。最大手のアリババ集団は12日未明、セール期間中の取扱高が過去最高となる5403億元(約9兆5600億円)に達したと発表した。
- 欧州連合(EU)の欧州委員会は秋の経済見通しを公表し、ユーロ圏の物価上昇率予測を大幅に上方修正した。2021年は前回7月時点の1.9%から2.4%に、22年は同1.4%から2.2%に引き上げた。エネルギー価格の上昇とサプライチェーン(供給網)の乱れなどの供給制約が原因で、当面は欧州中央銀行(ECB)の2%目標を上回る物価高が続くことになる。
12日
- ユーロ圏9月鉱工業生産(前月比) +5.2%
- 11月ミシガン大学消費者態度指数・速報値 66.8
- 米国9月JOLT求職 10.4M
- 日米中や台湾など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)のオンライン首脳会議が閉幕した。中国と台湾が加盟を申請した環太平洋経済連携協定(TPP)を巡り、双方が支持を訴える場となった。
- 英国で開催中の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は最終日の12日に閉幕できず、会期を延長して協議を続けた。合意文書案に盛り込んだ石炭や化石燃料の削減に関わる文言や、先進国からの資金支援などの交渉が難航し、事態打開に時間がかかっている。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Price(国内総生産);高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
注目の経済指標と政治イベント
15日
- 08:50 日本7-9月期四半期実質国内総生産(GDP)
- 11:00 中国10月小売売上高
- 11:00 中国10月鉱工業生産
- 13:30 日本9月設備稼働率
- 19:00 ユーロ圏9月貿易収支
- 19:00 ラガルド欧州中央銀行総裁発言(Introductory statement by Ms Lagarde at the Hearing before the Committee on Economic and Monetary Affairs (ECON) of the European Parliament)
- 22:30 11月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 米中首脳会談(オンライン)
- 米国テーパリング(金融緩和の縮小)を開始
- レモンド米商務長官とタイ米通商代表部(USTR)代表が来日
16日
- 09:30 前回RBA議事要旨
- 22:30 米国10月小売売上高
- 23:15 米国10月鉱工業生産
- 25:10 ラガルド欧州中央銀行総裁、発言(On-stage interview by Ms Lagarde at 10th anniversary of Financi'Elles)
17日
- 08:50 日本10月貿易統計
- 08:50 日本9月機械受注
- 16:00 英国10月消費者物価指数
- 17:00 南ア10月消費者物価指数
- 22:30 カナダ10月消費者物価指数
- 22:30 米国10月住宅着工件数
- 22:30 米国10月建設許可件数
- 25:00 ロシア7-9月期実質国内総生産(GDP、速報値)
18日
- 22:30 前週分新規失業保険申請件数
- 22:30 11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
- 24:00 10月景気先行指標総合指数
- 時間未定 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
- 北米三ヵ国首脳会議
19日
- 08:30 日本10月消費者物価指数
- 17:30 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言(Speech by Ms Lagarde at Hessischer Europaempfang "Die Zukunft Europas")
- 18:00 ユーロ圏9月経常収支
- 中東安保(マナマ対話)
- 広州国際汽車展覧会
来週以降
- 11月26日:ブラックフライデー
- 12月14日―15日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月16日:ECB
- 12月16日―17日:日銀金融政策決定会合
- 1月17日―21日:ダボス会議
- 1月18日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 1月26日:FOMC
- 2月3日:ECB
- 3月10日:ECB
- 3月16日:FOMC(経済予測データ付き)
- 3月18日:日銀金融政策決定会合
- 4月14日:ECB
- 4月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 5月4日:FOMC
- 6月9日:ECB
- 6月15日:FOMC(経済予測データ付き)
- 6月17日:日銀金融政策決定会合
- 7月21日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 7月21日:ECB
- 7月27日:FOMC
- 9月8日:ECB
- 9月21日:FOMC(経済予測データ付き)
- 9月22日:日銀金融政策決定会合
- 10月27日:ECB
- 10月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 11月2日:FOMC
- 12月14日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月15日:ECB
- 12月20日:日銀金融政策決定会合
※ここから先(「先週の通貨強弱」「グローバルマクロ環境の整理」「チャート分析」「今週の戸田の取引戦略」)は有料記事になります
先週の通貨強弱
- 先週は多くの通貨に対してドル高がすすんだ(160/196ヶ国)
- 背景には米インフレ圧力の高まりと、米金利上昇
- メジャー通貨の中で唯一ドルよりも買われたのが人民元
- 背景には高いインフレ圧力が挙げられ、さらなるインフレを呼びこむ人民元安には誘導しづらいとの思惑がありそう
- ドル高相場の中で、ドル円は堅調に推移したものの、多くのクロス円は伸び悩んだ
- 特に新興国、資源国通貨の売りが目立った
- まとめると通貨強弱は右記の通り 人民元> 米ドル > 日本円 > ユーロ > 資源国・新興国通貨
グローバルマクロ環境の整理(最新版)
- 現在の相場の大きなテーマは「サプライチェーンの分断」と「資源高」、それらの影響を受けたグローバルな「インフレ圧力の高まり」および結果としての「金融政策の差異」。
- 先週は中国生産者物価および米国消費者物価の高まりを背景に米国の早期利上げ観測が高まり、テーパリング過程における利上げもあり得るとの思惑が高まった。
- 米民主党(Build Back Better)法案が議会を通過するかどうかも一つの焦点
- インフレ圧力が高まる中で追加の予算が必要なのか?という疑問が発生しているのかも知れない
- FRBは11月15日からテーパリング(量的緩和縮小)を開始。来年6月の完了を見込んでいる
- 市場参加者の米国政策金利引き上げ見通しは、1回目の利上げが2022年6月、2回目の利上げが2022年9月が中心値(見通しは先週より前倒しになった)
- コロナ新規感染者数の推移はやや上向きに転じてきた(下に添付したチャート Daily New Cases は 7日間の移動平均)
- 引き続き取引する通貨のインフレ圧力の高まりを確認していくべき局面と考えている。
グローバルマクロ環境の整理(補足)
- FRB(米国の中銀)は供給制約がいつ落ち着くか不透明と判断している
- ECBは来年一杯を掛けて供給制約が落ち着くと判断している
- 複数の先進国の中銀は、現在のインフレ圧力の高まりについて、供給制約だけでなく、需要の回復も大きな要因であると指摘
- オーストラリアの中銀は、景気の腰折れを避けるべく、なるべくなら緩和を引き延ばしたい意向。背景には相対的に低いインフレ圧力が挙げられる
- イギリスの中銀は、今後、数ヶ月以内での利上げを示唆。イギリスはファイブアイズ通貨の中でもっとも利上げが早そう
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- ドルインデックス=ドルの総合的な強さを示す指標(バスケットの中身:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)
- レジスタンスの94.70を上抜け
- 目先は大きなレジスタンスもなくするすると上に上昇していく可能性がある
USD/JPY 中期(日足)
- 直近のレンジは112.20~114.40と判断
- 先週は112.72まで下落したもののそこから急上昇し再び114.40のレジスタンスを試す展開となった
- 114.40をクリアに上抜けた場合には上についていっても良さそうだ
USD/JPY 短期(時間足)
- 113.80を短期のサポートと仮置き
- このレベルで支えられながら推移するようなら、来週も上目線で問題ないように思う
EUR/USD 中期(日足)
- 下落基調が継続し1.1530のサポートを下抜け
- 目先、大きなサポートはなく、売り先行でエントリーしていきたい
EUR/USD 短期(時間足)
- 戻り売りの目安を1.1490に設定
USD/CNH 中期(日足)
- 広い範囲では6.35~6.60
- 狭いレンジでは6.35~6.4250
- 引き続きドル安人民元高のトレンドが継続していると判断
- 今週にも6.35を試す可能性に留意しておきたい
USD/CNH 短期(時間足)
- 戻りの目安は6.3900~6.3950
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- ドル買い先行
- 米経済は力強く、さらにインフレ懸念の高まりから米金利が上昇し、ドルインデックスがレジスタンスをブレイクしており売りから攻める必要はない
- 人民元買い先行
- 米中金利差が2.3%前後確保されており、国内の物価上昇圧力から人民元安にも誘導しづらい。唯一米ドルよりも買っていけるのは人民元と判断
- 円やユーロは売り先行
USD/JPY
- 先週末の終値:113.92
- 目線:横ばい~上
- 想定レンジ:113.50~115.50
- 現在ポジション:USD/JPY ±0
- 113円台後半は買いからエントリー
- 114.40円前後は利食い優勢
- 114.40円をクリアに上抜けしたら再度ドル買いでついていきたい
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1444
- 目線:EUR/USD 横ばい~下 EUR/JPY 横ばい
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1300~1.1530
- 現在ポジション:EUR/USD ±0 EUR/JPY ±0
- ユーロ売り先行
- 1.1490より上は戻り売り
- 利食いはオーダーやオシレーターを見ながら適宜判断したい
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.3805
- 目線:USD/CNH 横ばい~下、CNH/JPY 横ばい~上
- 想定レンジ:USD/CNH 6.3000~6.4000
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY +7.0
- 6.35割れを想定し、人民元買い持ちを保持
- ドル円が下に崩れる場合にはポジションの半分は落とす予定
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