【10月4日~10月8日】米金利の絶対水準とドルのチャートポイントを考慮したトレード戦略
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 110.69 | 110.53 | 112.08 | 111.05 | +0.33% |
| EUR/USD | 1.1724 | 1.1562 | 1.1728 | 1.1594 | ▲1.11% |
| EUR/JPY | 129.82 | 128.54 | 130.49 | 128.75 | ▲0.82% |
| USD/CNH | 6.4593 | 6.4260 | 6.4801 | 6.4332 | ▲0.40% |
| CNH/JPY | 17.1394 | 17.1072 | 17.3297 | 17.2540 | +0.67% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=110.69円からスタート。週初は先週の流れを引き継ぎドル高・円安が強まると、火曜日に111円を突破。水曜日の自民党総裁選前にはポジション調整で下押しする局面もみられたが、その後に再度ドル高・円安が加速し年初来高値の111.66を上抜けると、そのまま112円を突破。その後、112円を挟んでの動きが続いたが、30日木曜日のロンドンフィキシング(東京24:00)に向けて四半期末のリバランス取引か、ドル売り円買いが優勢となる。腰折れたドル円は弱含み再度111円を割り込んだが、週末に掛けては買い戻され111.05でクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1724ドルからスタート。ドル高が意識される中で、週初からユーロ売りドル買いが優勢。じりじりと下落し、意識された1.1670の水準を下回ると、一気に1.1600まで下落。月末にはもう一段売り込まれ一時1.1563まで下落するも、その後は緩やかに反発した。週末は1.1594でクローズ。
USD/CNH
- 人民元相場は1ドル6.4712元からスタート。週初は引き続きドル買い人民元売りが優勢で6.48台に上昇。しかし週後半は米金利が低下するなかでドル売り人民元買いが優勢となり一時6.43を下回る水準までドル売りが進んだ。さまざまな中国問題が意識される中でも人民元は底堅く推移し結局6.4342でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値27日
- 米8月耐久財受注 ▲0.1%
- ドイツ連邦議会選挙(総選挙)で、中道左派のドイツ社会民主党(SPD、社民党)が僅差で勝利した。16年首相を務めたメルケル氏の後継争いは、社民党の首相候補、ショルツ財務相が軸となる見込み。過半数を確保するための連立交渉が焦点で、3党連立が有力。
28日
- 7月ケース・シラー米住宅価格指数 +1.48%
- 米9月消費者信頼感指数 109.3
- 9月リッチモンド連銀製造業指数 ▲3
29日
- ユーロ圏9月消費者信頼感 ▲4.0
- ユーロ圏9月経済信頼感 117.8
- 米8月住宅販売保留指数 ▲1.8%
- 米週間原油在庫量 +4.578Mバレル
- 自民党総裁選が行われ、岸田文雄氏が新総裁に選ばれた。
- 日米欧英の中央銀行総裁が欧州中央銀行(ECB)主催の金融シンポジウム「ECBフォーラム」の討論会に参加し、景気回復の妨げになっているサプライチェーン(供給網)の目詰まりなどへの警戒を示した。日本を除く3中銀はコロナ対策で実施した異例の金融緩和からの出口を探り始めているが、先行きの不透明感は払拭し切れていない。
- 中国の不動産大手、中国恒大集団は傘下の地方銀行、盛京銀行の株式19.93%を売却すると発表した。売却額は約99億元(約1700億円)。遼寧省瀋陽市政府系の国有企業、瀋陽盛京金控投資集団が買い取る。
30日
- 日本8月鉱工業生産 ▲3.2%
- 中国9月製造業購買担当者景気指数(PMI) 49.6
- 中国9月Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI)50.0
- 欧州8月失業率 7.5%
- 米新規失業保険申請件数 36.2万件
- 米4-6月期四半期実質国内総生産(GDP、確定値)+6.7%
- 米4-6月期四半期PCE・確定値(前期比年率) +6.5%
- 9月シカゴ購買部協会景気指数 64.7
- 新型コロナウイルス対策で19都道府県に発令中の緊急事態宣言と8県への「まん延防止等重点措置」を全面解除
- 日銀の黒田東彦総裁は全国証券大会であいさつした。国内経済の先行きについて、個人消費や輸出・生産の持ち直しを背景に「新型コロナウイルスの影響が和らいでいくもとで、改善基調をたどる」との見方を改めて示した。原油安の影響の低減や景気の改善などから物価への下押し圧力は次第に減っていくとして「消費者物価の前年比はプラスに転じ、徐々に上昇率を高めていく」と見通した。
- 議会民主党は1兆ドル規模のインフラ投資法案の採決を見送った。民主党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張。一方、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかなかった。
- 国連の安全保障理事会は、北朝鮮によるミサイル発射を受けた非公開の緊急会合を開く。北朝鮮が28日、音速の5倍以上の速さで飛び、レーダー追跡と迎撃が極めて難しいとされる「極超音速ミサイル」の発射実験を初めて実施したことを受け、対応を議論する。
- バイデン大統領は議会が同日可決した12月3日までのつなぎ予算に署名し、10月1日から政府機関が閉鎖される事態を回避した。
1日
- 中国&香港 国慶節入り(本土は7日まで祝日)
- 日本8月失業率 2.8%
- 7-9月期日銀短観・四半期大企業、製造業業況判断 18
- 欧州9月消費者物価指数(HICP) +3.4%
- 米国8月個人消費支出(PCEデフレーター) +4.3%
- 米9月ミシガン大学消費者態度指数・確報値 72.8
- 米9月ISM製造業景況指数 61.1
- バイデン米政権が、ドルなどの法定通貨などを裏付けに価値を安定させている暗号資産(仮想通貨)「ステーブルコイン」を発行する企業に対し、銀行並みの厳しい規制を課すことを検討していることが1日、分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)が報じた。
- 全米の都市で家賃が上昇している。米不動産情報のジローによると、全米の月ごとの平均家賃は8月に1787ドルとなり、新型コロナウイルスの感染が広がる前だった2年前より9%上昇した。コロナワクチン接種の拡大に伴う経済再開や、オフィス勤務の復帰で人が戻ってきていることに加え、住宅の供給不足が家賃の上昇に拍車をかけている。
- 中国で電力料金を引き上げる動きが広がっている。南部の広東省では気温上昇で需要が高まる特別ピーク時の料金を25%上げる。上海に近い浙江省も10月中旬、ピーク時の料金を引き上げる。いずれも工場向けが中心となる。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Price(国内総生産);高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
注目の経済指標と政治イベント
4日
- 中国祝日(国慶節~7日まで)
- ユーロ圏財務相会合
- 08:50 日本9月マネタリーベース(前年同月比)
- 23:00 米8月製造業新規受注(前月比)
5日
- 08:30 9月東京都区部消費者物価指数
- 12:30 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
- 17:00 ユーロ圏9月サービス部門購買担当者景気指数
- 18:00 ユーロ圏8月卸売物価指数
- 21:30 米8月貿易収支
- 23:00 米9月ISM非製造業景況指数(総合)
6日
- 香港行政長官(キャリー・ラム氏)、施政方針演説
- 10:00 ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
- 18:00 ユーロ圏8月小売売上高
- 20:00 MBA住宅ローン申請指数
- 21:15 米9月ADP雇用統計
7日
- 14:00 日本8月景気先行指数
- 20:30 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
- 21:30 米新規失業保険申請件数
8日
- 08:30 日本8月国際収支・経常収支
- 13:30 インド中銀政策金利
- 10:45 中国9月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI)
- 14:00 日本9月景気ウオッチャー調査-現状判断DI
- 21:30 米9月雇用統計
- 21:30 カナダ9月雇用統計
- 23:00 米8月卸売在庫
来週以降
- 10月27日―28日:日銀金融政策決定会合
- 10月28日:ECB
- 10月30日―31日:G20首脳会議
- 11月2日―3日:FOMC
- 12月14日―15日:FOMC
- 12月16日:ECB
- 12月16日―17日:日銀金融政策決定会合
- 1月17日―21日:ダボス会議
※ここから先(「先週の通貨強弱」「グローバルマクロ環境の整理」「チャート分析」「今週の戸田の取引戦略」)は有料記事になります
先週の通貨強弱
- 引き続きドル高が優勢(154/196ヶ国の通貨価値が下落)
- クロス円は通貨によってまちまちの結果(投資対象の通貨は選別されている)
- メキシコペソは0.25bpの利上げを実施したにも関わらず大幅下落。要因は不明であるが、マツダのメキシコ工場が半導体不足で稼働が停止していたりと生産活動が滞っている可能性がある。
- 人民元は引き続き底堅い推移が続いている
- まとめると通貨強弱は右記の通り 人民元 > 米ドル > 日本円 > ユーロ > メキシコなどの新興国
グローバルマクロ環境の整理
- 中国不動産大手・恒大集団のデフォルトについて、引き続き市場の注目が高まっている。資産売却をすすめており、当面の利払いは行われるとの見方が優勢。不動産市況の悪化は想定されるが、影響は限定的に留まる可能性も十分にある。
- 中国の電力不足に世界の注目が集まっている。例年、国慶節前は工場の稼働を計画的に停止していることもあるが、それを差し引いても豪州からの石炭輸入が止まっている影響を感じる。ただし中国の石炭生産量は世界の半分を占めているため、輸入が減ったとしても最終的にはコントロールが可能なように思える。
- 中国に関する情報は真偽不明のも煽り情報も多く、まずもって鵜呑みにするべきではないが、少なくとも投資家心理が悪化することは避けられない。(一時的な中国株安、人民元安要因として警戒)
- しかし根本的には上記2問題も乗り越えられる可能性が高いように思う(リスクオフからのリスクオンの展開を想定)
- またPBOC(中国の中央銀行)が金融市場を支える姿勢をしめしたことは好感されている。(リスクオン要因)
- 引き続き世界的に半導体不足が深刻。日本の自動車各社は在庫の積み増しに動き、中国では携帯電話の製造が困難になるなどミクロ経済の影響も見てとれる。このような現象が、半導体の価格上昇はもちろん、製品原価の高騰要因になっており、世界的な物価高要因になっている。
- 結果としてグローバルに生産者物価が高止まりし、企業収益が圧迫され、株価下押し圧力が掛かる可能性に留意しておきたい。(株安要因)
- 物価上昇圧力を受け、直近のFOMCは早期のテーパリング完了を示唆。先週もドル高が進んだ。
- 米株の下落が気になるところ。単なる調整か、中国要因やグローバルなサプライチェーン修正による中長期的な景気悪化を織り込んでいるかを判断していくセッション。
- 鍵は「コロナ収束」と「サプライチェーン変更に伴う影響」それらを受けた「米金融緩和の長期化」。
- コロナ新規感染者数は減少傾向が続いている(下に添付したチャート Daily New Cases は 7日間の移動平均で下向きになっている)
- 投資家の米金融政策見通しは11月のテーパリング決定&アナウンス、2022年後半の利上げ開始がコンセンサス。(利上げ見通しは2022年12月が中心値)
- 市場参加者の利上げ観測はわずかに後ろずれしている(先週比で1ヵ月分の後ろずれ)。米国の経済指標が全体的に折り返しの動きがみられていることが背景。(ドル安要因)
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- ドルインデックス=ドルの総合的な強さを示す指標(バスケットの中身:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)
- 米ドル高が進み93.4のレジスタンスを上抜け
- 94.7を上抜けるか注目
USD/JPY 中期(日足)
- 111.00を上抜け、年初来高値の111.65も突破し、112円台に到達したが、その後に反落
- 111.00がサポートになるか注目
- さらなる上伸には強い米経済指標が必要と考える
- 高値警戒をしておいた方が無難
USD/JPY 短期(時間足)
- 109.10から上昇を始めた相場は、112.10で反転(この間、3円の上昇)
- 1円戻しが111.10、半値戻しが110.60でこの辺りでは押し目買いがワークしそう
EUR/USD 中期(日足)
- 1.1630のサポートを下抜け
- しばらくサポートがなく下落が続きそうなチャート
EUR/USD 短期(時間足)
- 1.1600がレジスタンスとして機能するか
- 戻りの目安は1.1670
USD/CNH 中期(日足)
- 広い範囲では6.35~6.60のレンジと判断
- 直近は6.4250周辺がサポートとして機能している
USD/CNH 短期(時間足)
- コアレンジは6.4250~6.4870
- 6.4250を抜けると6.35が視野に入る
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- 引き続き世界の株式市場の動向に目を光らせ、リスクオフの兆候を早めに感知できるよう努める(リスクオフに警戒)
- 米金利上昇に余地がすくないと考え、安易なドル買いを控える(ドルは押し目買い)
- 日本の金融緩和の長期化を見込み、円売りを先行させる
- 人民元は米中対立と権力闘争による国内景気落ち込みを考慮する(大きく崩れないと思うが中国関連ヘッドラインは警戒しておきたい)
- ユーロは大きなチャートブレイクもありユーロ売りを先行させる。ただし経済指標に持ち直しの動きが見られているため、ユーロ材料で売るわけではない。
USD/JPY
- 先週末の終値:111.05
- 目線:横這い~上
- 想定レンジ:110.50~112.20
- 現在ポジション:USD/JPY ±0
- 方針:まずは週明けに少額のドル買い、その後は110円台後半は買い下がり、111円後半は売り上がっていきたい
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1594
- 目線:EUR/USD 下 EUR/JPY 横ばい
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1470~1.1670
- 現在ポジション:EUR/USD ▲2 EUR/JPY ±0
- 方針:ユーロは売り先行、1.1600を超えてくる場合は一旦損切。1.1630より上は売り上がりたい
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.4332
- 目線:USD/CNH 横ばい、CNH/JPY 横ばい~上
- 想定レンジ:USD/CNH 6.4000~6.4870
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY +3.0
- 方針:国慶節でもあり対ドルの積極的な売買は手控え。ドル円をみながら高値圏では対円の買い持ちを利食い
- 下落局面ではCNH/JPYを買い増したい
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