一時株価急騰も「ソフトバンク危うい●●依存」決算で明らかに
こんにちは、下山です。
「ソフトバンク終わった。ヤバい。」
「倒産して、ソフトバンクショックが起こるのでは。」
株トレードをしていると、嫌でも耳に入ってくるのが
ソフトバンクグループのネガティブな噂です。
特に、昨年話題になったWeWork問題以降、
孫社長の投資手腕や目利き力を
不安視する声が高まっています。
ソフトバンクグループの株価は日経平均株価に対して
非常に大きな影響力を持っていますので、
仮に「ソフトバンクショック」のようなものが起これば
多くの株トレーダーにとってタダ事では済まないでしょう。
そこで今回は、2月に行われた
「2020年3月期 第3四半期 決算説明会」や
最新の「決算短信」を元に、
ソフトバンクグループは本当に危険なのか?
危険だとしたら何が危険なのか?
ということを精査いたします。
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ビルゲイツからバフェットになる、
ってこと?
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2月12日の決算説明会で印象に残ったのは
孫社長が使った「冒険投資家」という言葉でした。
「孫社長はもはや事業家ではなくて投資家なのか?」
という旨の質問に対し、
「本当は情報革命家である」
と断りながらも、
「世間に分かりやすくいうと投資家である」
と説明していました。
そして、
「ビルゲイツからバフェットになる、ということ?」
という質問に対してこのように答えていました。
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バフェットさんは冒険投資家ではないですよね。
より安全な賢い投資家ですけど。
私はまだ少しヤンチャな、
クレイジーな投資家の部類だと思います。
まあ冒険投資家に近いと思いますね。
ソフトバンク
2020年3月期 第3四半期 決算説明会
孫正義社長への質疑応答より
https://webcast.softbank.jp/ja/detail/video/ref:20200212_01_ja
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「冒険投資家」
この言葉は、孫社長の投資家としての在り方を
ストレートに表現している言葉であると感じます。
ローリスク・ローリターンではなく、
ハイリスク・ハイリターンを求めている、
そんな意識が伝わってきます。
この時点で、危険な香りが漂いますね。
成功した時のリターンは大きいかもしれませんが、
失敗した時に受けるダメージは
計り知れないものになります。
とはいえ、孫社長のこの言葉だけでは
判断できませんので、今回の決算発表で公開された
具体的な数字を追ってみましょう。
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アリババ株売却で1兆2000億円
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まずは、最新の『決算短信』から。
決算短信になじみのない方も
いらっしゃると思いますが、
決算短信はとりあえず1ページ目の概要を見ておけば
概要がつかめるようになっています。
よろしければ2月に公開された
ソフトバンクグループの決算短信の1ページ目をご覧ください。
↓
『2020年3月期/第3四半期決算短信』
(https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/financials/financial_reports/pdf/2020/softbank_results_2020q3_001.pdf)
2019年4月1日〜12月31日までの期間における
利益に関するデータとして
以下のような金額が掲載されています。
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「営業利益」:▲129億円
「税引き前の利益」:1兆3453億円
「純利益」:6564億円
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まず、「営業利益」は129億円の赤字。
ところが、「税引き前の利益」は
1兆3453億円です。
営業利益は赤字だけど、他で利益を出した
ということですが、どこで利益を出したのでしょう?
「アリババ株」です。
4ページ目に
「アリババ株式先渡売買契約決済益」
として1兆2185億円が計上されていますが、
アリババ株を決済して1兆2185億円の利益を出したんですね。
で、ソフトバンクグループの
2019年4月1日〜12月31日までの期間における
税金を支払った後の「純利益」は6564億円となりました。
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株主価値5兆円アップの内訳が危ない
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ただ、孫社長は
「売上とか営業利益とかはどうでも良い」
と主張します。
説明会の中でも、
「ソフトバンクグループは投資会社なんだから、
もはや営業利益なんて関係ない。株主価値で見てくれ。」
ということを一貫して話しています。
「株主価値」というのはつまり、
ソフトバンクグループが
「保有している株式の価値」から、
「準有利子負債」の金額を差し引いた金額のことをさします。
なぜ『株主価値』を見てほしいと孫社長は言うのか?
決算説明会の中でも説明がありましたが、
ソフトバンクグループが
(実質的に)直接保有している
アリババ株などの株価が上がったとしても
それは売上や利益に反映されないからです。
これは会計上のルールで決まっていることです。
だから、売上や利益をいくら見ても
ソフトバンクグループの本当の価値は
見えてこないよ、ということです。
ではソフトバンクグループを
「株主価値」という物差しで見るとどうなるのか?
ソフトバンクグループの保有株式価値について
2019年9月30日と2020年2月13日のデータを比較すると
26兆円から31兆円に5兆円もアップしています。
わずか4ヶ月で5兆円も増えているのです。
それに伴い、「株主価値」も
そのまま5兆円増えているわけですが、
4ヶ月で5兆円・・・ヤバい金額ですね。
孫社長が言うように「株主価値」で
ソフトバンクグループを見ると相当イケてる会社になります。
ただし、
ここで注意しなければいけないことがあります。
保有株式価値が5兆円増えたその内訳を見てみると、
アリババ:12.2兆→16.1兆
ソフトバンクkk:4.7兆→4.8兆
スプリント:2.3兆→3.2兆
アーム:2.7兆→2.7兆
ビジョンファンド:3.1兆→3.2兆
その他
となっています。
お気づきかと思いますが、
5兆円アップの立役者は、ほぼほぼアリババなんです。
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結局アリババ次第
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アリババ株を売って1兆3453億円の
「税引き前利益」が計上され、
アリババの株価が上がって
株主価値が約4兆円増える。
というように
今回の決算説明会や決算短信を見て思うのは
今のソフトバンクグループは
とにかくアリババ次第だということです。
孫社長は決算説明会で
「アリババはまだまだ伸びる余地があり、
慌てて売るつもりはない」と話していましたが、
もしアリババがコケたら?
アリババへの依存が極めて高い状況にあり、
かなり危険な状況に陥ることは必至です。
昨年、
「トランプ政権がアメリカで上場している
中国株の上場廃止を検討している」
との報道もありましたが、
アメリカでアリババが上場廃止になる可能性もあります。
何が起こっても不思議ではありません。
「銀行がお金を貸してくれなくなってヤバい」
だの「倒産する」だの
ソフトバンクグループに対する悪い噂は絶えませんが、
アリババへの依存度の高さが
現在のソフトバンクグループにおける
最大のリスクではないかと感じます。
それでは本日も最後まで
ご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三
ใช่ไหม?