【金融界が戦々恐々】リーマン再来は『CLO』が元凶か
こんにちは、下山です。
早速ですがあなたはこのニュースを見て何を感じますか?
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『農林中金:CLO残高が
2四半期ぶりに増加に転じる、12月末は8兆円』
(Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-04/-12-k67jwb10
より)
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CLOをご存知ない方にとっては
どうでもいいニュースかもしれません。
一方で、強い「恐怖」を感じる方も
いらっしゃるでしょう。
「CLO」は、今、金融市場で最も危険視される
金融商品の1つですからね。
「CLO」については後ほど説明させていただきますが、
「CLOが爆発するような事態になれば
リーマンショックを凌ぐ金融危機に陥る可能性がある」
ともささやかれています。
そんな高いリスクをはらんだ「CLO」を
農林中央金庫が8兆円も保有している・・・という事実。
しかも農林中央金庫の資金源は、もちろん預金です。
農林中央金庫が運用しているのは全国に1051万人いる
JA組合員の預金です。
(https://www.nochubank.or.jp/about/business/retail.html
より)
JAに預金している方々の預金が
高いリスクにさらされている、そんな現実があります。
ちなみに、先日Yahoo検索で「農林中金」と打ち込み
スペースを入れてみたところ、
「農林中金 破綻」というキーワードが
検索窓のトップに表示されました。
農林中金の運用リスクを危険視している人が
多いということでしょう。
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「CLO」とは何か?
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「歴史は繰り返す」
ここ最近のメルマガで
一貫してお伝えしていることですが、
次に大規模な金融危機が起こるとしたら
この「CLO」が引き金となる可能性が
高いと考えられます。
では、「CLO」とは何か?
簡単に説明させてもらいます。
まず、1つ質問です。
企業にとって最大の悩みはなんでしょう?
資金繰りです。
企業が倒産するのは資金繰りに困った時です。
いくら利益が出ていても
黒字でも、払うべきお金が払えなくなれば倒産です。
でも信用力の低い企業は当然のことながら、
お金を借りることに苦労します。
ただ、信用力の低い企業でも
お金を借りられる可能性が残されています。
それが「レバレッジドローン」です。
金利は高くなりますが、信用力が低くてもお金を借りられます。
ということでリーマンショックで
経済がどん底に落ち込んだ頃から、
このレバレッジドローンが、一気に広がりました。
もちろん、
信用力の低い企業に対するローンですから、
返済がなされないリスクは高くなるわけですが、
そんなリスクの高いレバレッジドローンが
まとめられて証券化されました。
それがCLOです。
つまり、CLOとはリスクの高い
ローン債権が原資産となった金融商品だということです。
聞くだけで危険な香りがしますね。
でも「CLO」を欲しがる人もいます。
なぜなら金利が高いからです。
CLOを保有すると、
企業から返済されるローンの元本や金利を
受け取れるのですが、
信用力が低い企業に対するローンですから、
金利が高いんですね。
この商品を買うのは主に金融機関や機関投資家です。
「利ざやを稼ぐ」ということで
日本では農林中金もそうですし、
三菱UFJフィナンシャル・グループ、
ゆうちょ銀行などもCLOを大量に保有しています。
ちなみに、日銀が昨年10月に
「金融システムリポート」を公開しましたが、
それによると日本の金融機関が保有する
CLOの全体額は約12兆7000億円にのぼり、
これは世界全体に出回るCLOの
約15%に当たるとのこと。
(参照:「金融システムリポート」https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr191024a.pdf)
CLOは基本的にアメリカで作られていますが
CLOが焦げつけば日本も無傷ではいられません。
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今の状況はリーマンショック前に似ている。
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で、怖いのは
今のこの状況がリーマンショック前に似ている、いうことです。
「信用力の低い企業に対する融資」
と説明しましたが、これを聞いてピンときませんか?
リーマンショック時の
「サブプライムローン」もそうでしたよね。
サブプライムローンは信用力の低い人に向けた
住宅ローンでしたが、「信用力が低い」
という点で共通しています。
リーマンショック時は、
その信用力の低い人に向けたローン債権を
原資産として「住宅ローン債権担保証券(RMBS)」や
「合成債務担保証券 (CDO)」が作られ、
2007年あたりから住宅ローンを返せない人が続出した結果、
「RMBS」「CDO」などを持っていた金融機関が大損し、
リーマンショックまっしぐらでした。
今回も信用力の低い企業の返済が滞ってしまった場合、
CLOを持っている金融機関などは大損を被ることは必至です。
「でもさすがに
農林中央金庫が破綻することはないでしょ」
と思われるかもしれませんが、
あのリーマンブラザーズが破綻したことを考えれば
「農林中央金庫は絶対に大丈夫」
と言い切ることは誰にもできないでしょう。
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99%がAAA格は本当に安全か?
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ちなみに、どれだけヤバいのか、
ということについて1つ参考になるのは
先ほど紹介した日銀のレポートですが、
その中で
「大手行等の保有するCLOのうち、99%がAAA格」
と示されています。
また、サブプライムローンは
個人に対する貸付でしたが、レバレッジドローンは
企業に対する貸付ですから、個人に比べれば
返済が滞る可能性は低いともいえます。
でもそれはあくまで可能性の話ですし、
AAAという格付けが
必ずしもあてにならないということを
人類はリーマンショックで学んだはずです。
いずれにしても、
FRBがお金をばらまいていることからも、
世界経済が安定しているとは決して言えませんし、
今後いずれどこかのタイミングで金融危機は起こります。
ただ、不必要に恐れる必要はありません。
賢い人なら、むしろその暴落のタイミングを
利益に変えることを考えるでしょう。
どうぞあなたもお気をつけて。
それでは本日も最後まで
ご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三
よろしいですか?