「秋まで株高、その後大暴落」と囁かれる理由
こんにちは、下山です。
「2020年はヤバい。でかい金融ショックが起こる!」
なんて声がちらほら聞こえてきます。
ただ一方で「秋までは上昇傾向が続くだろう」
という声も聞こえます。
なぜそのように想定されるのか?
本日はその理由について解説させていただきます。
「経済のことはよく分からないし難しい話は嫌い」
そんな方にも理解いただけるよう、
できるだけ分かりやすくお伝えさせてもらいます。
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前回のおさらい;レポ金利の暴騰
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前回のメルマガで
アメリカFRBのバランスシートが
密かに膨張中であることをお伝えしました。
メディアではあまり報道されていませんが、
FRBのバランスシートが実は今、
過去最大級のペースで膨張しています。
市場に資金を流し、事実上の買い支えをしている状況です。
そのきっかけとなったのは、昨年の9月に起こった
アメリカの「レポ金利暴騰」です。
最短1日からの短期間、
金融機関がお金を借りられるマーケットが
あるのですが、それを「レポ市場」と呼びます。
「どうしてもこの日まとまったお金が必要なのよ」
という状況って誰にでもあり得る話だと思いますが、
金融機関もそれは同じで、そのような状況に陥った際
資金が入ってくるまでの短期間
金融機関がお金を借りられるマーケット、それが「レポ市場」です。
そして金融機関がその「レポ市場」で
お金を借りる際の金利が「レポ金利」と呼ばれています
レポ金利は、通常低めのレートで推移しているのですが、
昨年9月、突然レポ金利が暴騰する
という事件が発生しました。
レポ金利が暴騰したままですと
金融機関がお金を借りられなくなり、
経済に甚大な被害をもたらす可能性があります。
そこで事態収拾に乗り出したのが
アメリカのFRBです。レポ市場に資金を投入し、
レポ金利の正常化にかかりました。
という話が前回までの内容です。
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再び膨張し始めたFRBバランスシート
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FRBは、
昨年レポ市場に資金を投入したのをきっかけに
その後も継続してレポ市場に資金を投入し続けます。
また、ここでは詳しく説明しませんが、
Tビルと呼ばれる財務省短期証券も購入しています。
そのせいでFRBのバランスシートは一気に膨張しました。
参考に2008年までさかのぼり、
FRBバランスシートの推移を紹介させてもらいます。
さかのぼること2008年、リーマンショック以前の
FRBバランスシートは1兆ドル以下でした。
しかし、リーマンショック後、
FRBが2008年11月~2010年6月まで
量的緩和を実施することで
バランスシートは一気に膨張します。
2010年6月時点で2兆3000億ドル以上になります。
リーマンショック以前と比べて倍以上ですね。
ちなみに英語で「量的緩和」を
「Quantitative Easing」
と言いますがその頭文字をとって
「量的緩和」のことをQEと呼びます。
2008年11月~2010年6月まで実施された
量的緩和は通称「QE1」と呼ばれます。
その後、QE2とQE3が
下記の期間にそれぞれ実施されます。
QE2:2010年-2011年
QE3:2012年-2014年
結果、
QE3終了後の2015年時点で
FRBバランスシートは4兆4000億ドルを突破。
ただ、QE3終了後、
FRBバランスシートは減り始め
2019年8月末時点で約3兆7600億ドルまで縮小。
リーマンショック前:約1兆ドル
↓
QE3終了後:約4兆4000億ドル
↓
2019年8月末:約3兆7600億ドル
という推移ですね。
昨年の夏までは、登ってきた山を
良い感じに下山しかけていました。
ところが、昨年9月、レポ金利が暴騰した頃から
流れが変わり、FRBのバランスシートは再び増加に転じます。
毎月毎月、バランスシートは膨張し続け、
先月1月末時点で4兆1500億ドルを突破しました。
また山を登り始めてしまったのです。
そして、ここで1つ、不可解な点があります。
昨年9月からのバランスシート膨張は、
その規模から言って
「2019年の9月からQE4が再開された!」
と考えるのが自然です。
実際、「QE4じゃん!」
という声も市場関係者から上がっています。
ところがFRBは、「これはQEではない」の一点張り。
つまり、
「バランスシートは膨張しているけどこれは量的緩和ではないよ」
と。
あまり腑には落ちませんが、QEだろうが
QEじゃなかろうが、
現在FRBが過去最大規模で資金供給をしている、
ということは確固たる事実です。
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秋まで株高傾向、その後大暴落の可能性も
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昨年NYダウは史上最高値を更新し続けましたが、
その裏に「FRBの買い支え」があったことは
間違いありません。
NYダウの上昇は
人工的に作られたものでしかなかった、と言えます。
そして、今後もFRBが資金を投入している間は
株価の下支え効果が大きく働き、
株高傾向が続く可能性が高い、と言えますね。
では、いつまで株高傾向が続くと考えられるのでしょう?
1つヒントになるのが秋に実施される
「アメリカ大統領選」です。
「トランプ大統領は選挙まではなんとしてでも株高を維持する」
という見方もできますので、
それまでは株価が大きく崩れる可能性は低いとも考えられます。
その代わり、大統領選後や、
FRBが買い支えを終了した後は、そのメッキが剥がれ落ち、
一気に株価が崩れる可能性もありますね。
FRBの蛇口の締め方が下手クソだと
株式相場に相当な反動が出ることも想定されます。
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しかし、すでにヤバい状況にある。
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もちろん、相場に絶対はありませんので
お伝えしたことは
あくまで1つの可能性でしかありません。
すでに、FRBが買い支えをしなければいけないような
ヤバい段階に入ってきている、ということも事実です。
市場関係者が「いつ爆発するのか」と不安視する
金融商品も存在します。
その金融商品が爆発すると
リーマンショックをはるかに凌ぐ規模の
経済危機が起こるとも言われています。
(こちらについてはまた改めてお伝えします。)
「何事も決めつけず、
いつリーマンショックを超える金融危機が起こっても
大丈夫なように準備しておく」
それがプロの心構えです。
ぜひあなたがコツコツ貯めてきた資金を
一気に失うようなことがないよう
今年は特に注意をしてトレードされてください。
それでは本日も最後まで
ご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三
Is it OK?