損切りできないのは「アンカリング効果」のせい
こんにちは、下山です。
「規約がいきなり変わってアカウントが
停止になっちゃいました(焦)」
新年早々、落ち込んだトーンで知人が言いました。
彼は物販で利益を出しているのですが、
BUYMA(バイマ)というサイトを利用し、
ファッション系の商品を販売していました。
BUYMAは無在庫販売が許されている
ちょっと特殊なファッション系の個人間取引のサイトです。
BUYMAで販売する場合、商品の買い付けは注文後でOKです。
「在庫」という物販最大のリスクを
負わなくても良いのは、出品者側にとって
かなり大きいメリットですよね。
資金が少なくても始められるという点もまた
大きなメリットです。
ただ、その代わり
「注文が入ったけど、予定していた仕入れ先が完売で買い付けられない」
というリスクが発生します。
他の仕入れ先なら買い付けられるけど
価格が高くなってしまう、というリスクもあります。
こんな感じで、無在庫は無在庫なりに
リスクがあるわけです。
これまでBUYMAの出品者は、
想定通りの価格で買い付けができなかった場合、
注文をキャンセルしたり、値上げ交渉をする、
といった感じで対応がなされていました。
しかし、聞くところによると
ここ最近BUYMA事務局が、そういった対応に対して
取り締まりを厳しくしているとか。
あえて安く出品して
後から値段を上げる出品者もいたようで・・・
注文を受けた後の値上げ交渉に関しては
昨年11月あたりから規約で禁止されました。
そんな流れの中、知人は規約変更を知らず、
注文が入った後に、キャンセルしたり、
値上げ交渉などをしてしまい、
BUYMAアカウントが停止になってしまったようです。
アカウント停止になると、
いきなり売上がゼロになるわけですからね。
話を聞いていて、相当きつそうでした。
ちなみに、あなたがお客さんの立場だったら
どう思いますか?
注文した後に
「値段高くなりますが、了承いただけますか?」
と言われたら、どうでしょう?
よっぽどレアな商品でなければ
ガッカリですよね。
おそらく一気に買う気が失せますよね。
でも、価格が高くなっても
それでも最安値の水準だったらどうでしょう?
10万円の商品を注文した後に
それが11万円になると言われて、
それでも他の出品と比べて最安値だったら?
合理的に考えればたとえ値段が高くなっても
妥当な値段だと思えばそれでも買うのもありですが、
おそらく買うのをためらうのではないでしょうか?
なぜなら『アンカリング効果』が働くからです。
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アンカリング効果とは?
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人間は誰しも数字に翻弄されます。
そして判断を誤ります。
「私は翻弄されないし判断も誤らない自信がある」
と思うかもしれませんが、どうでしょう?
こんな実験があります。
被験者が集められ、2つのレストランが紹介されました
それぞれ
「スタジオ97」「スタジオ19」
という名前のレストランです。
そしてこう尋ねられます。
「それぞれのレストランに
払っても良いと思える金額は?」
さて、被験者は、どちらのレストランに
「より多くのお金をかけても良い」と思ったでしょう?
答えはこちら
↓
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ある調査によると、
参加者がレストラン"スタジオ97"の
食事に払っていいと思う金額は、
レストラン"スタジオ19"に
払っていいと思う金額より大きかった。
理由は一つしかなく、"スタジオ97"では
97がアンカー役の数値となり、
"スタジオ19"では
19がアンカーになったためだった。
クラウディア・ハモンド
『MIND OVER MONEY(株式会社あさ出版)』
2017年6月24日 第1刷
P.121-122
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信じられないかもしれませんが、
97の方が19よりも数字が大きい、
たったそれだけのことで
本当にたったそれだけのことで
金額の差が生まれたのです。
人はこんな単純なことで
判断を左右されてしまうものなのです。
「最初に聞いた数字に引っ張られる」
心理学の世界ではこれを
『アンカリング効果』と呼びます。
このアンカリング効果のせいでバイマでも
それがたとえ妥当な範囲の値上げだったとしても
お客さんの不満につながるケースも多いのでしょう。
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大多数のトレーダーが「アンカリング効果」で損してる
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さて、この「アンカリング効果」ですが、
トレーダーにとってまったく他人事ではありません。
「投資」の世界では多くのトレーダーが
今日も「アンカリング効果」に翻弄されています。
たとえば、株価が2000円、1900円、1800円・・・
と底なし沼のように下落し続けている状況で
「どこかで損切りをしないといけない」と思いながら、
どうしても損切りできないこと、ありますよね?
この場合、「2000円」という株価が
アンカーになり、一つの基準として
頭の中にこびりついてしまい、
「ちょっと前は、2000円損切りできたのに
1900円で損切りするのは損だ」
という考えに至ってしまい、
損切りできずにただただ株価を見続け、
塩漬け株になってしまう、ということが起こりがちです。
投資で成功したければ、このように
「アンカリング効果」の餌食になることは
絶対に回避しなければいけません。
とは言え、アンカリング効果を回避することは
そう簡単なことではありません。
人間の本能的な行動ですからね。
ただし、回避する方法はあります。
考え方を少し変えれば良いのです。
多くの方は「株価が高い、安い」の判断でトレードをします。
だからアンカリング効果に翻弄されます。
株価の高い安いを基準にトレードをするのではなく
「自身が持っているポジションのバランス」を基準に
トレードするのです。
そうすればアンカリング効果の回避につながります。
いずれにしても、1つの価格に翻弄され、
アンカリング効果に振り回されることのないよう
ぜひ工夫してトレードされてください。
本日も最後まで
ご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三
Is it OK?