双月 開発ストーリー 第3回】なぜEURUSD専用なのか ― 通貨ペアを絞る理由
第2回では「行き過ぎは戻る」という逆張りの考え方をお話ししました。今回のテーマは、通貨ペアの選び方です。世の中には円やポンド、ゴールドなど、取引できる銘柄がたくさんあります。そのなかで双月は、ユーロドル(EURUSD)一本に絞りました。なぜ一つだけなのか。そして、なぜよりによってユーロドルなのか。検証で見えたことも含めて、正直にお話しします。
EAを作るとき、「どの通貨ペアにも使える万能型」に憧れる気持ちは、私にもあります。ひとつのロジックが円でもポンドでもゴールドでも通用したら、それは強い。でも、実際に検証を重ねるほど、その考えは幻想に近いと感じるようになりました。
通貨ペアには、それぞれ固有の「クセ」があります。荒っぽく動くもの、じわじわ動くもの、一方向に伸びやすいもの、行ったり来たりしやすいもの。ひとつの設定を無理やり全部に合わせにいくと、どこにもピタッと合わない中途半端なEAになりがちです。だから私は、主力の『昇金竜』をゴールド専用にしました。双月も同じ考え方――一つの土俵に絞って、そこで磨き込むという方針を選んでいます。
前回お話ししたとおり、逆張りは「行き過ぎた相場は平均へ戻りやすい」という見立てに賭けます。ということは、行ったり来たりを繰り返す相場(レンジ・平均回帰)とは相性がよく、一方向に伸びっぱなしの相場(強いトレンド・急変)とは相性が悪い、という当たり前の結論になります。
つまり、逆張りEAで大事なのは「戻りやすい銘柄を選ぶこと」。ここを外すと、どんなに細かくチューニングしても、戻らない相場で踏まれ続けてしまいます。下の図は、逆張りの向き・不向きを二つの軸で整理したものです。
※イメージ図。位置づけは私の検証にもとづく相対的なもので、相場環境により変わります。
数あるメジャー通貨のなかで、私が逆張りの相棒にユーロドルを選んだ理由は、大きく三つあります。
これは机上の理屈だけではありません。同じ逆張りロジックを、ゴールドや円がらみの通貨ペアでも検証してみました。結果は、はっきりしていました。ユーロドルだけが安定して、ほかは強いトレンドや急変で踏まれてしまう。とくにゴールドは、いったん走り出すと戻らず、逆張りの含み損がどんどん膨らむ場面が目立ちました。
「ゴールドの開発者なのに、双月はゴールドじゃないの?」と思われるかもしれません。むしろ逆で、ゴールドをずっと見てきたからこそ、あの荒々しさは逆張りに向かないと肌で分かっています。ゴールドには『昇金竜』の押し目買い(順張り寄り)が合う。逆張りには、ユーロドルが合う。手法ごとに、いちばん相性のいい土俵は違うのです。
「対応通貨ペアが多いほうが、お得に見える」――その気持ちは分かります。でも私は、無理に対応ペアを増やして成績がぼやけるより、ユーロドル一本で深く磨き込むほうを選びました。専用にすれば、そのペアのクセに合わせて距離やしきい値を突き詰められます。検証もシンプルになり、弱点も見えやすい。
ユーロドルという一つの土俵に絞り、そこで逆張りをていねいに仕上げる。それが双月の設計思想です。もちろん、ユーロドルにも急変はあります。専用にしたから安全、という話ではありません。そこは損切りで守る――この点は、回を改めて詳しくお話しします。
- 通貨ペアには固有のクセがある ― 万能型より「専用」で磨き込む
- 逆張りは「戻りやすく、急変が穏やかな銘柄」と相性がいい
- ユーロドルを選んだ理由 ― ①スプレッドが狭い ②一方向へ暴走しにくい ③急変が相対的に穏やか
- 検証でもゴールド・円は逆張りで踏まれ、ユーロドルだけが安定した
次回は「なぜ買いと売りを別々に持つのか ―「二つの月」とヘッジング口座」。双月という名前の由来でもある、買い玉と売り玉を独立して持つ設計について、その狙いと、なぜヘッジング口座が必要なのかをお話しします。最後までお付き合いいただければうれしいです。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。掲載している運用結果は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。FX・CFD取引はリスクを伴います。投資判断はご自身の責任において行ってください。