【双月 開発ストーリー 第1回】なぜ、損切りのある逆張りEAを作ったのか
私がこれまで作ってきたEAには、ある共通点があります。どれも「損切りをしない」型でした。含み損を抱えながら、相場が戻るのをじっと待つ――いわゆる回復グリッドです。今回ご紹介する新しいEA『双月(そうげつ)』は、その正反対。読みが外れたら、早めに損切りで尾を断ちます。なぜ私が、損切りのある逆張りEAを作ったのか。第1回は、その出発点からお話しします。
昇金竜も、えんむすびAIも、根っこにある考え方は同じです。負けを確定させず、ナンピンで建て増しながら、勝ち玉で負け玉を相殺して回収していく。相場が往復してくれるなら、この型はとても強く働きます。実際、長いバックテストでも、しっかり利益を残してくれました。
ただ、この型にはひとつ、はっきりした弱点があります。それは「損切りをしない」こと、そのものなのです。
含み損を抱えて回復を待つということは、裏を返せば、相場が一方向に走り続けたとき、含み損がどこまでも膨らみ得るということでもあります。ゆるやかに行って戻る相場では味方になる設計が、急いで一方向へ動く相場では牙をむく。同じ仕組みなのに、相場の質しだいで顔がまるで変わります。
私はこの怖さを、机上の話としてではなく、運用の現場で味わいました。だからこそ、声を大きくしてお伝えしているのです。損切りをしないEAは、急変にいちばん弱い、と。下の図が、その「損失の尾(テール)」の違いです。
※イメージ図。買い玉が予想と逆に動いた場合の含み損の広がり方を、損切りなし/ありで比べたものです。
双月は、この教訓から生まれたEAです。読みが外れた玉は、ATR(相場の値動きの大きさ)に連動した損切りで、早めに決済します。一撃の大きさをあらかじめ決めておく――言い換えれば、損失の尾を断つ設計にしました。
回復グリッドのように、含み損が青天井へ膨らんでいくことはありません。そのかわり、損切りが続けば資金は確実に削られます。どんな型にも、長所と短所が背中合わせにある。双月の短所は「損切りが重なる局面に弱い」こと。長所は「一撃が限定される」こと。この交換条件を、私はあえて選びました。
双月は逆張りのEAです。相場が売られすぎたら買い、買われすぎたら売る。行き過ぎた値動きの「反動」をねらいます。
逆張りには、よく知られた弱点があります。勝率は高めに出やすい一方で、外れたときの一撃が大きいのです。行き過ぎたと思った相場が、そこからさらに行き過ぎていく。強いトレンドが続くと、逆張りは容赦なく踏まれます。
この弱点にいちばん効く薬が、ほかでもない損切りでした。だから私は、逆張りと損切りをセットにしたのです。反動を取りにいき、外れたらSLで早めに引く。攻めと守りを、ひとつのEAのなかに収めました。
双月(そうげつ)は、二つの月という意味です。このEAは、買いの玉と売りの玉を、それぞれ1つずつ独立して持ちます。ひとつの空に浮かぶ、二つの月。それが名前の由来になっています。
買いと売りを同時に持てるようにするため、双月はヘッジング口座でお使いいただく前提です。なぜ、わざわざ買いと売りを別々に持つのか。その狙いについては、回を改めてじっくりお話しします。
双月は、まだ販売前のEAです。この連載では、完成までの道のりを、良いところも危ういところも隠さずに、順番にお見せしていきます。これからお話しする予定は、こんなテーマです。
- なぜ、EURUSD(ユーロドル)専用にしたのか
- なぜ、買いと売りを別々に持つのか
- 「行き過ぎ」を、どうやって測るのか
- 距離(利確・損切り・トレール)を、すべてATRで決める理由
- 約7年半のバックテストで見えたこと(プロフィットファクター・リカバリファクター・最大ドローダウン)
- そして正直に、双月の弱点
双月は損切りを持つEAですが、損失をなくす魔法ではありません。逆張りは強いトレンドや急な変動に弱く、損切りが重なれば資金は減ります。聖杯ではない、ということは、いちばん最初にお伝えしておきます。
それでも、損失の尾をあらかじめ断っておく設計には、回復グリッドとはまた違う安心感があります。次回は「行き過ぎは戻る」という、逆張りの考え方そのものを掘り下げていきます。最後までお付き合いいただければうれしいです。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。掲載している運用結果は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。FX・CFD取引はリスクを伴います。投資判断はご自身の責任において行ってください。