【第8回】昇金竜 2015年〜2026年、ゴールドが暴れ続けた11年間をどう生き残ったか
11年間。これがどれだけ長い時間か、想像できるでしょうか。
2015年から2026年までの11年間。ゴールド相場には、過去の相場史に残るような出来事がいくつも起きました。コロナショック。米中貿易摩擦。FRBの急速利上げ。地政学リスクの急拡大。ゴールドは$1,000台から$4,800台まで、約4倍に成長した。同時に、年間で500ドル以上の急落を経験した年もある。
この11年間に、数えきれないEAが生まれて、消えていきました。3年間は機能したが、2020年のコロナショックで吹き飛んだEA。5年間は安定していたが、2022年のFRB急速利上げで設計が破綻したEA。そして、ゴールド$4,800台という前代未聞の高値圏で動かなくなったEA。
昇金竜は、これらすべての激動を通過して、11年間生き残った。今回は、各時代に何が起きて、昇金竜がどのようにそれを乗り越えたかを年代順に振り返ります。
まず11年間の全体像を見てみましょう。ゴールド価格と主要イベントを時系列で整理すると以下のようになります。
2015年のゴールドは$1,200台。それから11年かけて$4,800台まで上昇しました。約4倍。同期間の日経平均が約2倍、S&P500が約3倍ですから、株式インデックスを上回るパフォーマンスです。
ただし、この4倍の道のりは決して一直線ではありませんでした。何度も急落と急騰を繰り返し、その都度「ゴールドはもう終わりだ」「ゴールドは買われすぎだ」という声が上がった。11年間の大きな上昇の中に、無数の試練が埋め込まれているのがゴールド相場の本当の姿です。
2015年から2017年にかけて、ゴールドは長い停滞期にありました。$1,050から$1,350のレンジを行き来する地味な相場。FRBが利上げサイクルに入り、ドル高傾向が強まったことで、ゴールドは買われにくい環境が続きました。
この時期、多くのEAが「動かない相場」で困っていました。トレンドフォロー型のEAは、レンジ相場ではエントリーシグナルが出にくく、出ても損切りばかりが続く。一方で、ボラティリティに頼るスキャル型EAも値動きが小さくて利益が出にくい。
昇金竜は、この地味な3年間でも淡々と利益を積み上げました。ゴールドのレンジ相場は、実はRSI2のエントリー条件にうってつけの環境です。レンジの下限に向けて売られすぎになる→RSI2が10.4以下に到達→エントリー→レンジの上限に戻る→利確。このサイクルが何度も繰り返される。
トレンドが出ない退屈な3年間は、「リバウンドを狙う買い特化EA」にとっては最高の環境でもありました。派手ではないが安定した利益を積み上げる。これが昇金竜の最初の試練を乗り越えた理由です。
2018年に入ると、相場は様相を変えます。トランプ政権の米中貿易摩擦が本格化し、リスクオフ局面が頻発。ゴールドは安全資産として買われる場面が増えてきました。2019年にはFRBが利上げから利下げへと180度方針転換。ゴールドは$1,300から$1,500台へと一気に上昇しました。
この時期の難しさは「ボラティリティの急変」にあります。穏やかなレンジ相場が続いたかと思えば、突然のニュースで数十ドル動く日がある。固定間隔のナンピンEAは、この急変動で次々とロスカットされていきました。
昇金竜のATR動的ナンピンが真価を発揮し始めたのがこの時期です。ATRがボラティリティの拡大を検知すると、ナンピン間隔が自動的に広がる。逆に穏やかな相場ではナンピン間隔が狭まる。相場環境に合わせて最適化された間隔でポジションを構築できるため、急変動でも口座を守りながら利益を出せた。
2019年後半、ゴールドが$1,500を突破すると「いよいよゴールドが本格的な上昇相場に入った」と多くのトレーダーが買いに走りました。しかし2020年の試練は、まだ誰も予想していなかった。
2020年3月。新型コロナウイルスのパンデミックで、世界中の市場が崩壊しました。ゴールドも例外ではありません。「リスクオフだから買われる」という常識が一時的に通用しなくなり、現金需要の急増でゴールドは一時的に売られた。$1,700から$1,470まで、約230ドルの急落。
この時期に多くのナンピンEAが消滅しました。固定間隔のナンピンを続けて含み損が爆発。証拠金維持率が崩壊してロスカット。一夜にして口座を失ったトレーダーがSNSで話題になりました。
昇金竜はこの局面でも生き残りました。最大ドローダウンは確かに拡大しましたが、それでも12%の上限内に収まった。ATR動的ナンピンが急変動を検知してナンピン間隔を大幅に広げ、スプレッドフィルターが異常スプレッド時の発注を停止し、証拠金維持率ストッパーが最後の防衛ラインを守った。三重の防御構造が機能した瞬間です。
そして3月末から始まったV字回復で、保有ポジションは次々と利確ラインに到達。2020年4月以降、ゴールドは$2,000を突破して史上最高値を更新する歴史的な上昇相場に入っていきます。最大の試練を乗り越えたEAだけが、その後の最大の利益期を享受できるのです。
2021年から2022年にかけて、コロナ禍の大規模金融緩和の副作用としてインフレが急加速しました。米CPIは前年比9%を超え、FRBは2022年に入って異例のペースで利上げを実施。短期間で政策金利を0%付近から5%超まで引き上げました。
理論的には、急速な利上げはゴールドに逆風です。実質金利が上昇すると、利息を生まないゴールドの相対的な魅力が下がる。実際、ゴールドは$2,070の高値から$1,620まで、約450ドルの下落を記録しました。
この期間も多くのゴールドEAが厳しい状況に追い込まれました。長く続いた下落トレンドの中で、買い特化のEAは含み損を抱え続けることになる。「ゴールドは終わった」「もう$1,000台に戻る」という悲観論が広がった時期でもあります。
昇金竜は、この長い下落局面を「淡々と耐えて、押し目を拾う」ことで乗り切りました。RSI2がエントリー条件に到達するたびにポジションを構築し、ATR動的ナンピンで取得単価を最適化し、リバウンドのたびに利確する。下落の中の小さな反発を無数に拾うことで、トータルではプラスを維持し続けた。
そして2022年末、FRBの利上げペースが鈍化する兆しが見え始めると、ゴールドは静かに反発を開始します。下落局面を「死なずに生き残る」ことが、次の上昇局面で最大の利益を取るための条件です。
2023年に入ると、ゴールド相場は新たな上昇サイクルに入りました。2023年5月に$2,070の高値を更新し、その後は新高値を次々と塗り替えていく時代が始まります。$2,500、$3,000、$3,500、そして$4,000…。半年ごとに史上最高値を更新する、過去にないペースの上昇相場です。
この上昇局面で多くのトレーダーが「もう買われすぎだ」「いつ崩れてもおかしくない」と警戒しました。しかし、押し目を待つ売り手の予想を裏切るように、ゴールドは押し目をほとんど作らずに上昇を続けた。「待ってる人は永遠に乗れない」という典型的な強気相場の展開です。
昇金竜にとって、この局面は「最も利益を出しやすい時期」でした。長期的な上昇トレンドの中の小さな押し目を、RSI2が次々と捉える。ナンピンを使わずに単発エントリーで利益を確定する場面が多く、勝率も大幅に向上した。11年間の純利益の大部分が、この2023〜2025年の3年間で積み上がっています。
「強気相場で大きく稼ぎ、下落相場で生き残る」。この組み合わせができて初めて、長期で右肩上がりの成績が実現します。生き残れなかったEAは、2020年や2022年で消えて、この最大の利益期に乗ることができませんでした。
2026年に入ると、ゴールド相場は誰も予想していなかった$4,800台という異次元の水準に到達しました。中東情勢の急速な悪化、原油価格の高騰、エネルギー主導のインフレ再燃。地政学リスクと経済要因が複雑に絡み合う、極めて読みにくい相場環境です。
$4,800台では、1日の値幅が$100を超える日も珍しくありません。$1,200台の頃と比べて、1%の変動でも金額換算では4倍。同じロット数で運用していても、含み損益の振れ幅は4倍になる。これは多くのEAにとって設計の前提を超える環境変化です。
「ボラティリティに合わせて自動調整するEA」と「固定パラメーターのEA」の差が、この時期に最も明確に出ました。固定パラメーターのEAは、$1,200台で最適化されたナンピン間隔のままでは$4,800台の値幅に対応できず、ロスカットされていく。
昇金竜のATR動的ナンピンは、価格水準が変わってもボラティリティの相対的な大きさに自動追従します。$1,200台でも$4,800台でも、ATRに対する適切な間隔でポジションを構築できる。価格水準に依存しない設計が、11年間にわたって機能し続けた理由のひとつです。
2015年から2026年まで、ゴールド相場は$1,200から$4,800まで激変しました。しかし昇金竜は、その間ロジックを一切変更していません。RSI2のエントリー条件、ATR動的ナンピン、三重の安全フィルター。これらの設計が11年間そのまま機能し続けています。
「相場が変わったらEAも変えるべきだ」という意見があります。一見もっともらしく聞こえますが、これは危険な考え方です。なぜなら、その時々の相場に合わせてロジックを変更することは「過去の数年間にだけ最適化する」ことと同じだから。次の相場変化が来たら、また調整が必要になる。永遠に追いかけっこです。
本当に強いEAは、「どんな相場環境でも機能する普遍的なロジック」を持っているものです。短期の売られすぎ→反発という現象は、$1,000台でも$4,800台でも変わらず起きる。ボラティリティの相対的な大小という概念も、価格水準に依存しない。これらの普遍性に基づいた設計だからこそ、11年間ロジックを変えずに機能し続けることができたのです。
11年後も20年後も、ゴールドが存在する限り「短期の売られすぎ」は発生し続けるでしょう。RSI2はそれを捉え続け、ATR動的ナンピンはその時のボラティリティに合わせて適切に動き続ける。設計の普遍性こそが、長期持続性の最大の保証です。
2015年のレンジ相場、2018年の貿易摩擦、2020年のコロナショック、2022年の急速利上げ、2023〜2025年の史上最高値ラッシュ、2026年の地政学リスクと$4,800台。これら全ての相場環境を、昇金竜は同じロジックで通過してきました。
11年・22,189回のトレード・勝率84.28%・PF1.93・RF9.95・最大DD12%。これらの数字は、たまたま出たものではありません。あらゆる相場環境を経験した上で、それでも崩れなかった結果です。
3年のバックテストで勝率95%を出すEAなら作れます。しかし、その3年間に偶然「強気相場」しか含まれていなければ、次の弱気相場で消えていく。11年間という長さは、あらゆる相場環境を強制的に含むことになります。レンジ相場も、トレンド相場も、急変動相場も、すべて経験している。だからこそ、11年のバックテストに耐えたEAは、12年目以降も同じように機能する可能性が極めて高い。
EAを選ぶとき、「何年のバックテストですか?」という質問は、最も本質的な質問のひとつです。次回は、なぜゴールドという1通貨ペアだけに特化しているのかを解説します。「複数通貨ペア対応のEAの方が分散効果がありそう」という直感に反する、1通貨ペア特化の合理性についてです。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。掲載している運用結果は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。FX・CFD取引はリスクを伴います。投資判断はご自身の責任において行ってください。
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