初任給は過去最高!でも生涯賃金は?見せかけの賃上げに注意
初任給は過去最高!
近年、日本企業の初任給が大幅に上昇していると報じられています。2025年の帝国データバンクの調査によると、新卒社員の初任給を引き上げる企業は71.0%に達し、引き上げ額の平均は9,114円となっています。
賃上げ格差
円安の影響を受けた輸出産業を中心に、大企業は業績の向上を背景に初任給の引き上げに踏み切っています。一方で、中小企業は発注金額の上昇なしには賃上げが難しく、下請け企業では依然として厳しい状況が続いています。
生涯賃金は上昇?
確かに初任給は引き上げられましたが、それが本当に生涯年収の向上につながるのかは慎重に見極める必要があります。企業によっては、基本給を据え置いたまま手当を増やすことで給与が高く見えるよう調整しているケースもあります。
来年も増えるのか?
退職金やボーナスの基準を減らされ、長期的な賃金の向上には結びつかない可能性があります。さらに、昇給率の低下や評価制度の不透明さが影響し、初任給が高くてもその後の給与が伸び悩むことも考えられます。
厳しい下請け
特に、大企業が賃上げを実施したとしても、その恩恵が下請け企業に及ぶとは限りません。元請けの価格圧力や原材料費の高騰により、中小企業の利益率は低く抑えられているのが実態です。そのため、単なる賃上げではなく、業務効率化や新規事業の開拓といった戦略が求められています。
政府の支援
政府も賃上げを推進するため、「賃上げ促進税制」や「キャリアアップ助成金」などの支援策を導入し、企業の負担軽減を図っています。しかし、税制優遇や補助金を活用できるのは一部の企業に限られるため、抜本的な改善には至っていません。
大手がお金を流通させる
このような状況を改善するためには、大手企業が適正な発注価格を設定し、中小企業に利益が適切に還元される仕組みを整えることが不可欠です。また、政府も価格交渉の透明化を進め、企業間の適正な取引が確保されるよう監視体制を強化する必要があります。日本の産業基盤を支える中小企業が持続的に成長できる環境を整えるために、大手企業と国の役割がより重要になってきています。
求人票に見えない部分
初任給の上昇は確かに進んでいますが、その内実をよく見極めることが大切です。企業によっては見せかけの賃上げをしている場合もあり、長期的な給与や福利厚生を含めて判断することが重要になります。求職者は単に初任給が高いから良い会社だと考えるのではなく、給与体系の全体像をしっかりチェックし、慎重に企業選びを進めるべきです。高い初任給が必ずしも良い待遇を意味するわけではないことを念頭に置きながら、賢明な選択をしていく必要があります。具体的には、基本給の構成を確認し、手当や固定残業代の割合が過度に高くないかを見極めることが大切です。また、昇給の実績やボーナスの支給率、退職金制度の有無など、長期的な給与面の条件をしっかりとチェックすることが重要です。さらに、労働環境やキャリアアップの機会が整っているかどうかも考慮し、総合的に判断することが求められます。
日本のモノづくりの基盤
この状況で下請けの中小企業が賃上げを実現するのは容易ではありません。しかし、多くの中小企業は人材確保のために様々な方法を駆使しています。例えば、柔軟な勤務形態の導入や、リモートワークの推進、独自のスキルアップ制度を設けることで、待遇面以外で魅力を持たせる工夫をしています。また、大企業と異なり、社員一人ひとりの裁量が大きい点を強調し、成長機会の提供をアピールする企業も増えています。このように、賃上げが難しい中でも、採用戦略を工夫することで優秀な人材を確保しようとする動きが進んでいます。
しかし、根本的な解決には、大手企業が下請けに十分な利益が行き渡る仕組みを作ることが不可欠です。発注価格を適正に設定し、コスト上昇分を適切に転嫁できるようにすることで、中小企業も賃上げの余力を確保できます。同時に、政府も価格交渉の透明化を進めるための監視体制を強化し、不当なコスト削減圧力がかからないような仕組みを整備することが求められます。日本の産業の基盤を支える中小企業を守るために、大手企業と国の役割が今後ますます重要になってくるでしょう。
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