米国が既にスタフグレーションなのであれば、その次は…【中原駿の今日のひと言】7月27日更新
スタグフレーションからリセッションへの道
先月の勉強会で「すでに米国はスタグフレーションである」と指摘した。多くのストラテジストやエコノミストは、例えば雇用などを見て「スタグフレーションではない」と強弁するが、実際には違う。消費者物価の上昇が続きながら、経済が「スタック」(停滞)する症状は様々な分野にすでにその芽を出していた。7月に入って、第2四半期の米経済の低調ぶりは火を見るよりも明らかだ。
さらに言えば、スタグフレーションは「今」起こっているが、「リセッション」はこれからやってくることも確実になりつつある。前々回の勉強会では、リセッションの段階で一時的にインフレは沈静化するだろう、と指摘した。現在マーケットが追い付いきつつあるのは、この世界である。実際、リセッション入りを示唆する指標は次から次へと出てきている。新築住宅販売はマイナスに落ち込み、消費者信頼感指数は5月から3カ月連続の下落かつ2カ月連続の100割れ。ダラス連銀の製造業活動指数はどんどん悪化し、マイナス22.6%になってしまった。耐久財受注もマイナス、フィラデルフィアの製造業も悪いので生産活動は明らかにブレーキがかかっている。PMIも景気判断の分かれ目とされる50を総合・サービスセクターともに割り込んだ。
IMFもさすがに見通しを下方修正。「世界経済が近くリセッション(景気後退)入りの瀬戸際に立たされる恐れがある」と警告したが、まあそれでも甘いだろう。特に注目すべきなのは、米国の成長率を最も引き下げたことだ。3.7%から2.4%へ1.3%下げたのだが、それでも希望的観測だ。2.4%成長はハードルが高い。第1四半期がすでにマイナス、第二四半期もいいところゼロ近辺、筆者はおそらくマイナスとみている。となると、年率2.4%を達成するには、第3,第4四半期のGDP成長率が平均3.5%以上である必要がある。筆者は到底不可能としか思えない。リセッションは現実的な想定だ。こうした不都合な真実があからさまになった時、中央銀行が、そして政府がどう動くのか。第二四半期の「絶不調」が確実になりつつある今、政権とFRBはいつ、どのようにスタンスを変えてくるのか、今から見ものだと考えている。