米国株でサキヨミ:アマゾン急落で騒然!FOMC見越した買い銘柄とは!?
株式
Amazonがー14%の急落!金利高で悲観強まる
先週末のNYダウはー939ドル(ー2.77%)安の3万2977ドルで大幅に反落。ハイテク組み込み比率の大きいナスダック株価指数はー536ポイント(ー4.17%)と特に下げが大きかった。
決算発表を終えたアマゾンがー14%と、暴落とも言える下げ幅で終えた。同社が発表した最終損益は7年ぶりの赤字、売上高も予想下振れとあって、投資家の厳しい評価が売りにつながった。
この売りは他のハイテク株の売りにも波及し、先日の決算が好感されていたマイクロソフトがー4%、アップルもー4%とやはり大幅安。こうしたなか、ハイテク株で構成されるナスダック株価指数はー4%の下げを記録した。
もっとも、ハイテクの下げはアマゾン決算だけが原因なわけではなく、もともと今年に入ってから割高感が強まっていることが大本の原因と言える。
米国での物価高を抑えるためFRB(米中銀)は金融引き締めに積極姿勢を示しており、米利上げ観測を背景に先週末の米長期金利(米10年債権利回り)は2.93%という高水準まで上昇した。こうなると、利回りの高い米債権がより買われやすくなり、逆にPERが高すぎて割高感の強いハイテク株などは売られやすくなってくる。そこへ今回のアマゾンの決算が「とどめを刺した」ようなかたちとなった。
こうしたなか、投資家の不安心理を示すとされるVIXは29日に33ポイントまで上昇。VIXが20を超えると市場の不安心理が高まった状態、とされるなかで、この数字は弱気心理に拍車をかけるに十分な水準だ。結果、ハイテクのみならず幅広い銘柄が売られた。
では見通しが悲観一色かというと、そうでもない。理由は今週5月4日にFOMC(米金融政策決定会合)結果判明が控えているためだ。
FOMC後を見越して今買うべき銘柄とは?
今回の5月FOMCでは、物価高抑制のために金融引き締め施策が実行に移される見込みで、米金利は通常の二倍となる0.50%の利上げ、また量的引き締めも行われるというのが市場の見立てだ。
それどころか、今年後半にかけてのFOMCで、より大幅な0.75%の利上げが行われる可能性も取沙汰されており、FOMC後の会見でパウエルFRB議長が、今後に向けてより積極的に金融引き締めを進める意向を示す可能性もある。
となると、今回のFOMCを経てさらなる金融引き締め観測が強まり、景気下振れ懸念から株売りが加速、と繋がりそうなところだが、市場関係者はむしろその逆の展開を見越す。というのも、FOMC後の会見で、相場の不透明感がひとまず晴れる可能性が高いためだ。
現在の相場は、5月FOMC結果がどのように転ぶかに疑心暗鬼になっている。予想より大幅に金融引き締め姿勢が強まれば株売り、逆に予想より金融引き締め姿勢が後退すれば株は買い直しとなる。ただ、どちらに転ぶかはまだわからない。そして、市場はこうしたリスク、つまり未来の資産価値が変動する可能性を嫌う。
そうなると多くの投資家は、何が起こるかわからない5月FOMCの前にポジションを軽くする。とくに、変動の激しくなる傾向がある資産は手仕舞い売りの傾向が強まる。例えばハイテク株のような高PER株だ。
しかし一方で、5月FOMCを通過し、FRBの引き締め施策の中身や、今後の見通しが明確化すると、「どちらに転ぶかわからない」リスクは低減することになる。すると投資家は安心して先高感の銘柄に買いを入れるようになる。いわゆる「イベント通過後の買い」だ。
とはいえ買いの勢いが今後ずっと続くとは限らない。5月FOMCを通過しても、また6月FOMC、7月FOMCが先に見えてくるためだ。今回の5月FOMC以後に買い場が訪れる銘柄があっても、基本的には数週間の短期トレードが適している可能性がある。
今買いを入れるなら、市場環境の恩恵を受けている銘柄で、かつ決算のよいものが魅力的との指摘が多い。例えばエネルギー関連は、足下の原油高や資源高で業績が改善している。資源高は今後も続くと見られ、また決算も良かったことから、機を見て買いを入れて利幅を狙うことができる。
ドル円・日本株の動向:休み明けにかけトレードに旨味か
先週末、米国株急落の一方で底堅い地合いを維持したのが、ドル円だ。
こちらは、米金利高がそのままドル買い要因となるうえ、このところは相場急変や戦争リスクといった有事に買われる安全資産としてドルが選ばれる流れも鮮明となっている。
さらに本邦では、物価低迷が続き景気を後押しする必要から、大規模な金融緩和が長期化しており、こちらは円売りにつながる。加えて、資源高は資源輸入国である日本の貿易赤字拡大につながり、こちらも円売り材料だ。
このように、様々な要因でドル買いと円売りが強まった結果、ドル円は右肩上がりの地合いを維持している。現在は130円付近で推移しているが、市場からは135円、あるいは140円といった水準を目標に挙げる声も聞かれる。トレンドの出ている今はドル円のトレードに旨味があると言える。
また、週明け2日の東京株式市場が小幅安と、米株急落の翌営業日にもかかわらずむしろ下値固さを示したことも注目される。
日本株は長らく米国株の騰落に振り回される展開が続いていたが、今年に入ってからは米国株と日本株の騰落が同調しないケースも増えてきている。
東京株式市場は次の営業日が今週金曜となり、市場は5月FOMCを通過したあととなる。このゴールデンウィーク中、上述のようにイベント通過で市場のリスクオン(強気)心理が強まることがあれば、金曜の東京株式市場は買い目線の可能性がある。
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