オミクロンの弱毒性とドルインデックスの水準を考慮したトレード戦略【1月3日~1月7日】
FX
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 114.38 | 114.31 | 115.21 | 115.08 | +0.61% |
| EUR/USD | 1.1318 | 1.1273 | 1.1387 | 1.1368 | +0.44% |
| EUR/JPY | 129.46 | 129.35 | 131.06 | 130.82 | +1.05% |
| USD/CNH | 6.3740 | 6.3350 | 6.3794 | 6.3611 | ▲0.21% |
| CNH/JPY | 17.9426 | 17.9323 | 18.1642 | 18.0844 | +0.79% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=114.38円からスタート。年末で取引が閑散となる中、週初はリスクオンが継続、ドル円は引き続き上を目指す展開が続いた。火曜日の深夜には115円手前の水準まで上昇すると、水曜日には115円台に突入、114.60円台まで一時的に下落する局面も見られたがすぐに買い戻されると、週の後半には115円台が定着した。週末は115.21円まで上値を伸ばしたのち115.08円でクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1318ドルからスタート。週初はもみ合いが続いたが、水曜日にドル買いが強まり一時1.1280割れの水準まで下落する局面も見られた。ところが同日の欧州時間には、クロス円上昇の地合いの中で、一気に1.1350まで買い戻されるなど方向感の定まらない、荒い値動きが続いた。週末に掛けては再びクロス円上昇の地合いの中で、ユーロは買戻しが優勢となり一時1.1387をつけたのち、1.1371でクローズ。
USD/CNH
- 人民元相場は、1ドル=6.3740元からスタート。週末まで小動きの続いた人民元相場であったが、流動性の薄い中で、年末に突如として大口の人民元買いと思わしきフローが発生し、一時6.34を下回る水準まで人民元買いが進んだ。引けにかけてはやや買い戻され6.3611でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値27日
- 豪・NZ・加・英など祝日
- 世界各国で米国発着の約千便を含む2500便以上が欠航し、多数の遅延が発生した。乗務員らへの新型コロナウイルス新変異株オミクロン株感染拡大などが原因という。クリスマスイブの24日からの3日間で、世界全体の欠航便は6千便以上に上り、年末の空の旅を直撃している。
28日
- 豪・NZ・加・英など祝日
- 中国恒大集団は米ドル建て債2億5520万ドルの利払いを実施していない模様
- 日本11月鉱工業生産 +7.2%
- 米10月ケース・シラー米住宅価格指数 +18.4%(前年同月比)
- 米12月リッチモンド連銀製造業指数 16
- 世界の新型コロナウイルスワクチンの接種回数が、英オックスフォード大の研究者らによる集計で90億2千万回に達した。新変異型「オミクロン型」の感染が拡大し、日本など先進国が追加接種を急ぐ中、接種率の低いアフリカなど低所得国へのワクチン普及が依然課題となっている。
29日
- 米11月住宅販売保留指数 ▲2.2%
- ロシア7-9月期実質国内総生産 +4.3%(前年比)
- ロシア12月消費者物価指数 +8.4%
30日
- 米前週分新規失業保険申請件数 19.8万件
- ロシアのプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領はサンクトペテルブルクで会談し、2022年春にベラルーシ領内で合同軍事演習を実施する方針を示した。
- 米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は30日、同社製新型コロナウイルスワクチンの追加接種によって、コロナによる入院リスクが85%減ったとする研究結果を発表した。
31日
- ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)廃止
- 日本、韓国、ドイツなど多くの国が祝日(または早引け)
- 中国12月購買担当者景気指数(PMI) 50.3
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Product(国内総生産):高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
注目の経済指標と政治イベント
3日
- 日本、中国、オーストラリア、ニュージーランド、英国、カナダ、ロシア休場
- 16:00 トルコ12月消費者物価指数
- 18:00 ユーロ圏12月製造業PMI
- 23:45 米国12月製造業PMI
4日
- ニュージーランド、ロシア休場
- 10:45 中国12月Caixin製造業PMI
- 16:45 フランス12月消費者物価指数
- 17:55 ドイツ12月失業率
- 18:30 英国12月製造業PMI
- 24:00 米国12月ISM製造業景況指数
- 24:00 米国11月JOLT求職
5日
- ロシア休場
- 18:00 ユーロ圏12月サービス業PMI
- 22:15 米国12月ADP雇用統計
- 23:45 米国12月サービス業PMI
- 28:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
6日
- ロシア休場
- 10:45 中国12月Caixinサービス業PMI
- 22:00 ドイツ12月消費者物価指数
- 22:30 米国11月貿易収支
- 22:30 米国前週分新規失業保険申請件数
- 24:00 米国12月ISM非製造業景況指数
7日
- ロシア休場
- 08:30 12月東京都区部消費者物価指数
- 16:00 ドイツ11月鉱工業生産
- 16:00 ドイツ11月貿易収支
- 19:00 ユーロ圏11月小売売上高
- 19:00 ユーロ圏12月消費者物価指数
- 22:30 米国12月雇用統計
- 22:30 カナダ12月雇用統計
来週以降
- 1月17日―21日:ダボス会議
- 1月18日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 1月26日:FOMC
- 2月3日:ECB
- 2月4日:北京冬季オリンピック開幕
- 3月5日:全人代
- 3月10日:ECB
- 3月16日:FOMC(経済予測データ付き)
- 3月18日:日銀金融政策決定会合
- 4月14日:ECB
- 4月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 5月4日:FOMC
- 6月9日:ECB
- 6月15日:FOMC(経済予測データ付き)
- 6月17日:日銀金融政策決定会合
- 7月21日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 7月21日:ECB
- 7月27日:FOMC
- 9月8日:ECB
- 9月21日:FOMC(経済予測データ付き)
- 9月22日:日銀金融政策決定会合
- 10月27日:ECB
- 10月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 11月2日:FOMC
- 11月8日:米中間選挙の投開票
- 12月14日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月15日:ECB
- 12月20日:日銀金融政策決定会合
先週の通貨強弱
- 先週もドル売りが優勢(117/196ヶ国)
- しかしそれを上回る円売りでドル円は上昇した
- クロス円はリスクオン地合いに支えられ軒並み上昇
- ロシアや南アなど一部の新興国は売り優勢となった
- トルコリラは政府の預金保護策などが発表されたことで反発上昇していたが、ここにきて再び売り優勢になってきている(リスクオフ要因)
- まとめると先週の通貨強弱は右記の通り 諸通貨 > ユーロ > 人民元 > 米ドル > 日本円 > ロシアや南ア > トルコリラ
グローバルマクロ環境の整理(最新版)
- 先週もリスクオン地合いが継続
- 背景には既存ワクチンのオミクロン株への有効性や、オミクロン株の弱毒性が確認されたことが挙げられる
- したがって年始もリスクオン地合いが続くことを基本線としたい
- ただしトルコリラが再び売られている点は、リスクオフ要因として気に掛けておきたいところ
- 「米民主党(Build Back Better)法案」の先行き不透明さも不確定要素の一つ
- もう一つのテーマは「インフレ」
- インフレ圧力の高まりとその影響による金融政策の差異には引き続き注目したい
グローバルマクロ環境の整理(補足)
- 金利先物市場の参加者の半数は米国の利上げ開始を来年3月に見込んでいる
- 米利上げ観測は来年4回が中心値
- コロナ新規感染者数の推移(7日移動平均)は急激に増加している(添付チャートDaily New Cases )
- 一方でコロナ新規死亡者数の推移(7日移動平均)は下向きであり、オミクロン株の弱毒性はほぼ間違いないものと思われる(添付チャートDaily New Cases )
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
COVID-19 新規死亡者数, Worldmetersより抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- ドルインデックス=ドルの総合的な強さを示す指標(バスケットの中身:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)
- 引き続きドル高基調の中で95.50~96.90レンジで推移している
- 現在の水準はドルの押し目と捉える
USD/JPY 中期(日足)
- 112.70~114.40レンジをクリアに上抜け
- 直近高値の115.50を窺う展開
- 主因は円安なので、リスクオンの継続がカギ
- ドルが買い戻される展開になると、ドル円が下落する可能性にも留意したい
USD/JPY 短期(時間足)
- 短期的には114.70、115.00をバックに上についていくのが無難
- ドル買戻し、円買戻しの展開には注意が必要
EUR/USD 中期(日足)
- 下落基調の中で1.1210~1.1370で推移している
- ただし足元では買戻しが優勢になってきている
- 引き続き1.1370をクリアに上抜けるまではユーロ売りで攻めたい
EUR/USD 短期(時間足)
- 1.1350はクリアに上抜け
- 1.1370は一時的に抜けているものの、完全な上抜けとして判断するのは時期尚早
- 1.1410などにストップを置くなどして、下を攻めていきたい
USD/CNH 中期(日足)
- 6.35のレンジ下限をブレイクしたのちに反発
- 中長期で人民元高は継続している
USD/CNH 短期(時間足)
- 年末に大きな人民元買いフローが入ったもよう
- こういった資金流入が来年も続くのであれば、人民元を買っていくのが素直と言えそう
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- リスクオンのトレンドフォロー(円売り、人民元買い、株買い)
- ただしユーロについてはレンジの上限付近でありユーロ売りから入りたい
- 引き続きレンジの上で売り、下で買いを徹底
USD/JPY
- 先週末の終値:115.08
- 目線:横ばい~やや上
- 想定レンジ:114.40~115.80
- 現在ポジション:USD/JPY ±0
- 週明け、まずは様子見
- 115.00が支えられるようなら短期で買いでついていく
- 115.50前後では利食い先行
- 下押しの際は114.70、114.40を目途に再度ドル買いエントリー
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1368
- 目線:EUR/USD 横ばい~下 EUR/JPY 横ばい
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1300~1.1400
- 現在ポジション:EUR/USD ± 0 EUR/JPY ±0
- ユーロは1.1370前後での反転を期待してまずは週明けに売りポジション2.0を構築
- 1.1410にストップを置いて下を攻めればリスクリワードは良い
- 下は1.1300では半分利食いを入れておきたいところ。
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.3611
- 目線:USD/CNH 横ばい~下、CNH/JPY 横ばい~上
- 想定レンジ:USD/CNH 6.3000~6.4000
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY ± 0.0
- 週明けにUSD/CNHを2.0売り、6.4250にストップを置く
- 利食いは様子見
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