ドル円のチャートポイントとオミクロンの影響を考慮したトレード戦略【12月06日~12月10日】
FX
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 113.51 | 112.54 | 113.96 | 112.80 | ▲0.63% |
| EUR/USD | 1.1302 | 1.1236 | 1.1383 | 1.1313 | +0.10% |
| EUR/JPY | 128.49 | 127.37 | 128.79 | 127.61 | ▲0.68% |
| USD/CNH | 6.3955 | 6.3631 | 6.3969 | 6.3698 | ▲0.40% |
| CNH/JPY | 17.7493 | 17.6551 | 17.8465 | 17.7002 | ▲0.28% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=113.51円からスタート。週初は買戻し優勢で一時113.96円まで上昇したが、上値重くその後はじり安の展開になった。他方で112円の50銭台では買い支えられ112.50~113.50円のレンジを形成する形で週央~週末にかけて推移。週末は安値水準である112.80でクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1302ドルからスタート。月末のロンドンフィキシング(ロンドン版の仲値でロンドン16時)に掛けてはユーロが大きく上昇し1.1383をつけた後、1.1236まで下落する荒い値動きになったが、その後は1.1270~1.1350のレンジ推移に落ち着いた。週末は1.1313でクローズ。
USD/CNH
- 人民元相場は、1ドル=6.3955元からスタート。週初に6.40のレジスタンスを抜けきれずにするすると6.36台まで下落すると、その後は6.37を中心とした小幅な値動きが続いた。週末には1年物貸出基準金利引き下げの報を受けて若干の人民元安に振れ6.3698でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値29日
- トルコ10月貿易収支 ▲14.4億ドル
- ドイツ11月消費者物価指数 +5.2%
- 米10月住宅販売保留指数 +7.5%
- 世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」について、感染力が強まっている可能性はあるものの、重症化率の高さなどの特性は「依然としてはっきりしていない」とした。
30日
- 日本10月鉱工業生産 +1.1%
- オーストラリア7-9月期経常収支 239億豪ドル
- オーストラリア10月住宅建設許可件数 ▲12.9%
- 中国11月製造業購買担当者景気指数 50.1
- 日本10月新設住宅着工戸数 +10.4%
- フランス11月消費者物価指数 +2.8%
- ユーロ圏11月消費者物価指数 +4.9%(高いインフレ率)
- 11月シカゴ購買部協会景気指数 61.8
- 米国11月消費者信頼感指数 109.5
- 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は高インフレを「一時的」とする表現を事実上撤回した。粘り強い金融緩和を続ける根拠としてきた認識を改め、11月に始めたばかりの量的緩和縮小の終了を急ぐ意向を表明した。
1日
- オーストラリア7-9月期四半期国内総生産 ▲1.9%
- 中国11月Caixin製造業購買担当者景気指数 49.9
- 米国11月ADP雇用統計 53.4
- 米国11月ISM製造業景況指数 61.1
2日
- 日本11月マネタリーベース +9.3%
- オーストラリア10月貿易収支 112.2億豪ドル
- ユーロ圏10月卸売物価指数 +21.9%
- 米国前週分新規失業保険申請件数 22.2万件
- メキシコ上院はメキシコ銀行(中央銀行)の次期総裁に初の女性となるロドリゲス財務公債省次官が就く人事を承認した。
- 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は、現行の原油増産を2022年1月も続けると決めた。毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を維持する。
3日
- 中国11月Caixinサービス部門購買担当者景気指数 52.1
- トルコ11月消費者物価指数 21.31%
- 米国11月雇用統計 非農業部門雇用者数増減+21.0万人 失業率4.2%
- カナダ11月雇用統計 非農業部門雇用者数増減+15.4万人 失業率6.0%
- 米国11月ISM非製造業景況指数 69.1
- 米財務省は公表した半年に1度の「外国為替政策報告書」で、不当な為替操作を実施している国・地域はなかったと結論づけた。
- 中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は中国人民銀行(中央銀行)が市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率について「適時引き下げる」と述べた。コスト高や景気減速で収益の悪化が続く中小零細企業の資金繰りを支援する狙いがある。
- 新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が拡大している。米メディアによると、米国では東部ニューヨーク州など10州で感染が確認。南アフリカでは3日、前日比39%増の約1万6千人の新型コロナ感染者が判明し、多くがオミクロン型とみられる。現時点では無症状か軽症が目立ち、世界保健機関(WHO)は「冷静な対応を」と呼びかけている。
- 米グーグルが社員に出社の再開を求める時期を延期する。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Product(国内総生産):高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
注目の経済指標と政治イベント
6日
- 世界石油会議(5日~9日まで、米ヒューストン)
- 16:00 ドイツ10月製造業新規受注
7日
- 中国11月貿易収支
- 09:30 オーストラリア7-9月期四半期住宅価格指数
- 12:30 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
- 16:00 ドイツ10月鉱工業生産
- 19:00 ドイツ12月ZEW景況感調査
- 22:30 米国10月貿易収支
8日
- ポーランド中銀、政策金利
- インド中銀政策金利
- 08:50 日本10月国際収支
- 24:00 米国JOLT求職
- 25:00 ロシア11月消費者物価指数
- 30:30 ブラジル中央銀行政策金利
9日
- 民主主義サミット(~10日まで)
- 08:50 日本10-12月期四半期法人企業景気予測調査
- 10:30 中国11月消費者物価指数
- 10:30 中国11月生産者物価指数
- 22:30 前週分新規失業保険申請件数
10日
- 08:50 日本11月国内企業物価指数
- 16:00 ノルウェー11月消費者物価指数
- 16:00 ドイツ11月消費者物価指数
- 22:30 米国11月消費者物価指数
- 24:00 12月ミシガン大学消費者態度指数
来週以降
- 12月14日―15日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月16日:ECB
- 12月16日―17日:日銀金融政策決定会合
- 1月17日―21日:ダボス会議
- 1月18日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 1月26日:FOMC
- 2月3日:ECB
- 3月10日:ECB
- 3月16日:FOMC(経済予測データ付き)
- 3月18日:日銀金融政策決定会合
- 4月14日:ECB
- 4月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 5月4日:FOMC
- 6月9日:ECB
- 6月15日:FOMC(経済予測データ付き)
- 6月17日:日銀金融政策決定会合
- 7月21日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 7月21日:ECB
- 7月27日:FOMC
- 9月8日:ECB
- 9月21日:FOMC(経済予測データ付き)
- 9月22日:日銀金融政策決定会合
- 10月27日:ECB
- 10月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 11月2日:FOMC
- 12月14日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月15日:ECB
- 12月20日:日銀金融政策決定会合
先週の通貨強弱
- 先週は各通貨によってまちまちの動き
- トルコリラは引き続き売られており、中銀の介入効果も限定的になっている
- オーストラリアドルやノルウェークローネは資源価格の低下を理由に売られた
- 一方で、ここのところ売りが続いていたメキシコ、ロシア、南アに関しては資金が戻ってきた
- 先進国通貨に大きなトレンドは出ていないが、円買いがやや優勢
- まとめると通貨強弱は右記の通り メキシコなどの買われた新興国 > 円 > 人民元 > 米ドル > ユーロ > オセアニア > トルコリラ
グローバルマクロ環境の整理(最新版)
- 相場のテーマは少なくとも短期的に新型コロナの第4波「オミクロン」へと移った。
- 米10年債利回りは大幅に低下して1.40%を割り込んでおり、引き続きリスクオフモードが市場を支配している。
- 週末にはビットコインが大幅に下落、週明けは一旦リスクオフが優勢になりそうだ。
- 一方でコロナワクチン接種率は先進国で高まっているし、ウイルスに対する経験値も積み上がっていることから過度なリスクオフ期待は避けたいところ。
- 本来のテーマである「サプライチェーンの分断」と「資源高」、それらの影響を受けたグローバルな「インフレ圧力の高まり」および結果としての「金融政策の差異」にいつ戻れるか注目して見ていく必要がある。
- また、米民主党(Build Back Better)法案が議会を通過するかどうかも引き続き一つの焦点。一旦は市場がリスクオフになっており、議会を通しやすくなったように感じる。
- 引き続きオミクロンによる影響を注視しつつ、併せて取引する通貨のインフレ圧力の高まりや金融政策の変化を見極めていきたい。
グローバルマクロ環境の整理(補足)
- コロナ新規感染者数の推移は上向きに転じてきており、第3波の感染者数を上回りそうな勢いがある(添付チャートDaily New Cases )
- 一方で新規死亡者数は落ち着いておりオミクロンの感染拡大が以前ほど大きな死者数増加につながらないように見える(添付チャート Daily Deaths )
- ただし、ロックダウンを行う国が出てくるとそれで経済は止まってしまう訳であり、今後は各国の対応策にも目を向けていかなくてはならない
- 引き続き市場参加者の米国政策金利引き上げ見通しは、1回目の利上げが2022年6月、2回目の利上げが2022年9月が中心値のまま変わっていないが、利上げ観測が全体的にやや後ろ倒しになりつつある
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- ドルインデックス=ドルの総合的な強さを示す指標(バスケットの中身:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)
- 一旦は97.00を目前に跳ね返され、95.50レベルまで下押し、96.10台に戻ってきている
- まだまだドル高の流れが一変するような雰囲気はない
USD/JPY 中期(日足)
- 下落する場合には、先週底堅かった112.70、109.00と115.50の中央値である112.25が意識される
- 112.25をクリアに下抜けるようなら、中期でのロングの撤退も検討すべき
USD/JPY 短期(時間足)
- 下押し圧力が強く、112.70の下抜けは意識しておく必要がある
- 112.25で支えられるか要注目
EUR/USD 中期(日足)
- 2020年6月の安値1.1210前後で跳ね返された格好
- 半値戻しの1.1370で跳ね返され下落中
- 引き続き下値を試す展開が続きそうだ
EUR/USD 短期(時間足)
- 戻り売りでパフォーマンスが上がりそう
USD/CNH 中期(日足)
- 引き続き6.3500~6.4250でのレンジ推移が続いている
- レンジの中で、併せて6.40のレジスタンスが意識されている
- チャートだけ見れば人民元高傾向にある
USD/CNH 短期(時間足)
- 短期的には6.38の戻り売りがワークしそう
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- ボラタイルな相場に備えポジション縮小
- 週初は円買い先行、その後はオミクロンの影響を注視し判断
- ユーロは戻り売り方針を継続
- ただし過度なリスクオフ期待は禁物、すぐに上についていける心構えを持ちたい
USD/JPY
- 先週末の終値:112.80
- 目線:横ばい~やや下
- 想定レンジ:112.20~113.30(コアなレンジとして想定。下抜け、上抜けは方向転換の可能性有)
- 現在ポジション:USD/JPY ±0
- 中長期では上目線ではあるが、今週に的を絞ると、少なくとも週初は売り先行が無難と判断
- 上下に値動きが激しく、細かく損切り、利食いを入れていきたい
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1313
- 目線:EUR/USD 横ばい~下 EUR/JPY やや下
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1210~1.1370
- 現在ポジション:EUR/USD ±0 EUR/JPY ±0
- 1.13台では売り先行、1.12台前半では利食い先行で行きたい
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.3698
- 目線:USD/CNH 横ばい、CNH/JPY 横ばい
- 想定レンジ:USD/CNH 6.3500~6.4000
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY +3.0
- まずは週明けにポジションをクローズ、新型コロナの続報を見守りたい
- 角度の高い、預金準備率引き下げの報も出ており、人民元買いにも一服感が出る可能性がある
- 円売りの場合には素直にドル円を買って行きたい
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