【10月25日~10月29日】米国のインフレ圧力と景気動向を考慮したトレード戦略
FX
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 114.26 | 113.40 | 114.71 | 113.46 | ▲0.70% |
| EUR/USD | 1.1593 | 1.1571 | 1.1670 | 1.1647 | +0.47% |
| EUR/JPY | 132.51 | 131.90 | 133.49 | 132.15 | ▲0.27% |
| USD/CNH | 6.4309 | 6.3685 | 6.4388 | 6.3819 | ▲0.76% |
| CNH/JPY | 17.7621 | 17.7241 | 17.9634 | 17.7692 | +0.04% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=114.26円からスタート。週初は利食いの売りが優勢となり火曜日に一時113.90円前後まで下押し。ただし20日水曜日は実需の取引が増える中でドル円は買いもどされ東京仲値(9:55分前後)にかけて114.71円の今週高値を記録。その後は引き続き利食い優勢でドル円はじり安となると木曜日には再び114.00円を割り込み、金曜日にはさらに一段と下落し一時113.40円まで下押し。戻りも鈍く113.46円でクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1593ドルからスタート。週明け月曜日の欧州時間からユーロ買戻しが優勢となり、火曜日の欧州時間には一時1.1670まで上昇。この1.1670をクリアに上抜けると上に一段と上昇しそうであったが、ここでは売りが優勢。その後、木曜日にも再度1.1670を試す動きが見られたが超えられず、その後は緩やかに反落して1.1647でクローズとなった。
USD/CNH
- 人民元相場は1ドル6.4309元からスタート。ドル人民元は週初からじり安となり、火曜日に過去に止められていた水準6.4250をクリアに下抜けると急落。火曜日深夜にかけて6.3685の今週安値を記録。その後は買戻し優勢となったが、戻りは鈍く6.40前後では売りが優勢となると、週末は再び下押し圧力が強まり6.3819でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値18日
- ニュージーランド7-9月期消費者物価指数 +4.9%
- 中国7-9月期GDP +0.2%(やや弱い)
- 中国9月小売売上高 +7.1%
- 米国9月鉱工業生産 ▲1.3%
- 米国10月NAHB住宅市場指数 80
- 8月対米証券投資 910億ドル
- 与野党9党の党首は、都内で日本記者クラブが主催する衆院選の党首討論会に臨んだ。新型コロナウイルス対策や経済政策、外交・安全保障、政権の枠組みなどを巡って論戦した。
19日
- 衆議院の公示が行われた
- 米国9月住宅着工件数 155.5万件(堅調)
- 米国9月建設許可件数 158.9万件(堅調)
- 米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は講演で、今年末まで高水準のインフレが続くなら「2022年は量的緩和の縮小(テーパリング)にとどまらず、より積極的な政策対応が必要になるだろう」と述べ、22年に利上げに踏み切る可能性に言及した。特にインフレ期待の動向を注視すると強調した。
- 中国政府は高速通信規格「5G」に接続しているスマートフォンなどの端末が2021年9月末で4億5000万台に達したと発表した。20年末には約2億台だったが、9カ月間で2倍強に増えた。中国の5Gへの注力ぶりが鮮明になっている。
20日
- 日本9月貿易統計 ▲6,228億円(弱い)
- 英国9月消費者物価指数 +3.1%
- 南ア9月消費者物価指数 +5.0%
- カナダ9月消費者物価指数 +4.4%
- 米国で暗号資産(仮想通貨)のビットコイン先物に連動した上場投資信託(ETF)の取引が電子取引を手がける米NYSEアーカ取引所で始まった。米ETF大手のプロシェアーズが運用する商品で、米証券取引委員会(SEC)の承認を得た。ビットコインそのものの利用拡大を期待した投資マネーも流れ込み、ビットコイン価格も上昇した。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、米経済は「緩慢ないし緩やかなペース」で拡大した。ただ一部の地区は成長の減速を報告し、供給面の制約と新型コロナウイルスのデルタ変異株に対する懸念が活動に影響したと説明した。
21日
- トルコ中銀は政策金利を2%引下げ16%に設定
- 10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数 23.8(堅調)
- 米国新規失業保険申請件数 29万件(堅調)
- 米国9月景気先行指標総合指数 +0.2%
- 米国9月中古住宅販売件数 629万件(強い)
- ユーロ圏10月消費者信頼感 ▲4.8
- オーストラリア第2の都市メルボルンで、新型コロナウイルスを受けた外出規制が緩和された。豪メディアによるとメルボルンでのロックダウン(都市封鎖)は2020年3月から累計で262日となり、世界最長を記録した。
22日
- 日本9月全国消費者物価指数 +0.2%
- ユーロ圏10月PMI 54.3
- ロシア中銀は政策金利を0.75%引き上げ7.50%に設定
- 米国10月PMI 57.3
- 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、オンラインでの討論会で「供給制約と高インフレは従来の予想より長引く可能性が高く、2022年にかけて続くだろう」と語った。「インフレのリスクがある」と警戒感を示し、人々の将来の物価予想であるインフレ期待の動向を注視する考えを強調した。
- 日米の政府関係者や有識者らが国際問題を話し合う第8回「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)が都内で開催された。インド太平洋地域で一方的な現状変更を試みる中国の行動に対応するため、日米豪印といった同盟国・友好国の連携をより深化させる必要があるとの提言が多く出た。
- 米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比73ドル高の3万5677ドルで取引を終え、8月16日に付けた最高値を2カ月ぶりに更新した。
- ミャンマー外務省は、東南アジア諸国連合(ASEAN)が26日から開く首脳会議へのミン・アウン・フライン国軍総司令官の出席を認めないと決めたことについて「受け入れられない」とする報道声明を出した。
- 欧州連合(EU)は22日まで開いた首脳会議で、エネルギーの安定調達に向け、中長期の対応策を検討することで合意した。天然ガスの共同調達や備蓄ルールの整備が柱だ。26日のエネルギー相理事会で具体的な議論を始め、12月の首脳会議で再討議する。
- 中国の不動産大手、中国恒大集団は、23日(日本時間24日)に利払いの猶予期限が切れる米ドル債の利息8350万㌦(約96億円)を21日に送金したと中国メディアが22日報じた。
- 中国で家庭教育を充実させる家庭教育促進法が23日、国会にあたる全国人民代表大会(全人代)常務委員会で成立した。子育てに対する親の責任を法律に明記。勉強や休息、遊び、運動など子どもの成長に親がきちんと目配りするよう求める。子どもの過度な学習負担を和らげるほか、ネットゲームによる生活リズムの乱れを是正させる狙いがある。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Price(国内総生産);高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
注目の経済指標と政治イベント
25日
- NZ祝日(Labor Day)
- 21:30 シカゴ連銀景気指数
- 23:30 ダラス連銀製造業活動指数
- 24:30 米3ヵ月、6ヵ月短期債入札
26日
- 08:50 日本9月企業向けサービス価格指数
- 22:00 米国8月ケース・シラー住宅価格指数
- 23:00 米国9月新築住宅販売件数
- 23:00 米国10月消費者信頼感指数
- 23:00 10月リッチモンド連銀製造業指数
- 26:00 米2年債入札
27日
- 05:30 米国石油協会 週間原油在庫
- 09:30 オーストラリア7-9月期消費者物価指数
- 21:30 米国MBA住宅ローン申請指数
- 21:30 米国9月耐久財受注
- 23:00 カナダ銀行 政策金利
- 30:00 ブラジル中央銀行政策金利
28日
- 欧州中銀理事会
- 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
- 15:30 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
- 18:00 欧州10月消費者信頼感
- 20:45 欧州中央銀行(ECB)政策金利
- 21:30 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
- 21:30 米国7-9月期GDP
- 21:30 米国前週分新規失業保険申請件数
- 23:00 米国9月住宅販売保留指数
- 24:00 米国カンザスシティ連銀製造業総合指数
- 26:00 米7年債入札
29日
- 08:30 日本9月失業率
- 08:30 日本10月東京都区部消費者物価指数
- 08:50 日本9月鉱工業生産
- 08:50 日本9月新設住宅着工戸数
- 09:30 オーストラリア9月小売売上高
- 09:30 オーストラリア7-9月期四半期卸売物価指数
- 18:00 ユーロ圏10月消費者物価指数
- 18:00 ユーロ圏7-9月期GDP
- 20:00 メキシコ7-9月期GDP
- 21:30 カナダ8月GDP
- 21:30 米国7-9月期雇用コスト指数
- 21:30 米国9月個人消費支出(PCE)
- 22:45 10月シカゴ購買部協会景気指数
- 23:00 10月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
- 25:00 ロシア9月失業率
来週以降
- 10月30日―31日:G20首脳会議
- 10月31日:衆院選投開票
- 11月2日―3日:FOMC
- 12月14日―15日:FOMC
- 12月16日:ECB
- 12月16日―17日:日銀金融政策決定会合
- 1月17日―21日:ダボス会議
※ここから先(「先週の通貨強弱」「グローバルマクロ環境の整理」「チャート分析」「今週の戸田の取引戦略」)は有料記事になります
先週の通貨強弱
- 先週はドル安(153/196ヶ国)
- オセアニア、ロシア、ノルウェーなど資源国通貨が強い
- 一方でブラジル、南ア、トルコなど脆弱な新興国通貨は弱い
- クロス円は総じて利食い売りが優勢。ただし利上げ通貨のNZDやNOK、RUBは続伸している。
- まとめると通貨強弱は右記の通り 資源国(利上げ)通貨> 人民元 > 日本円 > ユーロ > 米ドル > 新興国通貨(南ア、トルコなど)
グローバルマクロ環境の整理
- 現在の相場の大きなテーマは「米中対立によるサプライチェーンの分断」と「資源高」、それらの影響を受けたグローバルな「インフレ圧力の高まり」および結果としての「金融政策の差異」。
- 金融市場ではコロナ新規感染者数の増加は(特に先進国で)テーマから外れてきて、アフターコロナが意識されているように思う。
- 先週は米金利が上昇する(米債が売られる)中で米株は続伸し、為替は米ドル安が進んだ。
- 特に米2年債の上昇が顕著で0.45%を超える水準でクローズ。これは米インフレ圧力の高まりを受けた結果。
- また米株が堅調でダウ工業株30種平均は最高値を更新した。背景にはマクロ環境としての米経済の強さが挙げられる。
- と考えると先週こそ米ドルは売られたが、これは単なる調整で、引き続き米ドル高地合いが続くと考えるのが自然なように思う
- コロナ新規感染者数の推移は少し上向いてきた(下に添付したチャート Daily New Cases は 7日間の移動平均で直近は上向いてきている)
- 投資家の米金融政策見通しは2021年11月FOMCでテーパリング、2022年6月FOMCで利上げアナウンスがコンセンサス(米利上げ見通しは前月よりさらにFOMC1回分早まった)。
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- ドルインデックス=ドルの総合的な強さを示す指標(バスケットの中身:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)
- 93.4~94.7のレンジで推移しており、現在はレンジの下限に位置する
- チャート的にもドル買いで攻めるのが面白そう
USD/JPY 中期(日足)
- 直近のレンジを112.20~114.40と判断
- 中間地点が113.30で、上昇を続けるのであればこの辺りでは買いから入りたい
- 下押しする場合は112.20で止められるか注目。ただしここまで下落することを想定していない。
USD/JPY 短期(時間足)
- 113.30をクリアに下抜けると走りそうではある
- RSIはやや売られ過ぎの水準を示唆
EUR/USD 中期(日足)
- 1.1530~1.1670のレンジと判断
- 上抜けた場合の目安は1.1800
EUR/USD 短期(時間足)
- 狭いレンジでは1.1620~1.1670と判断
- ドルが強まると判断する場合には1.1650より上では売りから入るのが良い
USD/CNH 中期(日足)
- 広い範囲では6.35~6.60のレンジ
- 先週は6.4250のサポートを下抜け急落
- まずは6.35を目指す展開を想定
- 下に抜けた場合の目安は6.25(2018年の安値水準)
USD/CNH 短期(時間足)
- 6.4000~6.4250は戻り売りの水準として面白そう
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- 米国経済が強くインフレ圧力も強いため、早期利上げを想定し、米ドル買いを先行させる
- 日本の金融緩和の長期化を見込み、円売りを先行させる。仮にインフレが日本に伝播しても、日銀は利上げを行うことは難しい。なぜならば金利が上昇すると債券価格が下落し、発行総数の75%を保有する日銀と日本の民間金融機関が痛むから。
- 人民元は買いを先行させる。絶対的な金利水準が高く、上昇余地は大いに残されていると判断する。
- ユーロは大きなチャートブレイクもあり売りを先行させる(ドル買い)。
- 通貨の勢いは右記と判断 人民元 > 米ドル > ユーロ > 円
USD/JPY
- 先週末の終値:113.46
- 目線:上(短期的には下押し圧力が強いかもしれませんが、基本的には上でみている)
- 想定レンジ:112.20~114.40
- 現在ポジション:USD/JPY +2.0
- 方針:まずは週明け25日は仲値までドル買いで走り、その後は一旦様子を見守る
- 仮に下押しする場合には113.00前後で一旦の損切を実行し、112円台の前半では買い下がる
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1647
- 目線:EUR/USD 横ばい~下 EUR/JPY 横ばい~上
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1530~1.1670
- 現在ポジション:EUR/USD ±0 EUR/JPY ±0
- 方針:ユーロは売り先行、1.1700で損切り、1.1530前後では利食い先行
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.3819
- 目線:USD/CNH 横ばい~下、CNH/JPY 上
- 想定レンジ:USD/CNH 6.2500~6.4000
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY +3.0
- 方針:CNH/JPYは週明けに一旦買い増し様子をみたい。
- 下押しの際は17.70で一旦の損切、17.60ではもう一度買い下がり
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