【10月11日~10月15日】コモディティ価格と米金利を考慮したトレード戦略
FX
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 110.99 | 110.82 | 112.26 | 112.22 | +1.11% |
| EUR/USD | 1.1593 | 1.1530 | 1.1640 | 1.1567 | ▲0.22% |
| EUR/JPY | 128.71 | 128.33 | 129.93 | 129.80 | +0.85% |
| USD/CNH | 6.4456 | 6.4382 | 6.4705 | 6.4431 | ▲0.04% |
| CNH/JPY | 17.2508 | 17.1725 | 17.4195 | 17.4052 | +0.90% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=110.99円からスタート。週初は111円を挟んでの攻防が続いたが、次第にドル買い優勢となりじり高となる。111.50レベルに大口のオプション(売り圧力)があり伸び悩む時間帯も見られたが、木曜日の深夜に111.50を突破するとその後は上昇基調が続いた。注目の米9月雇用統計は強弱入り混じる数値で市場参加者の気迷いが反映され上下に振れる時間帯もみられたが、クローズに掛けてはドル買いが強まり112円を突破すると、112.26円の高値をつけ、そのまま112.22円でクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1593ドルからスタート。週初はユーロ買戻しが優勢で1.1640までユーロ買いが進行。しかし徐々にマーケットがドル買い優勢となる中でユーロ売りが強まると、水曜日には直近安値の1.1570レベルを下抜け一時1.1530まで下落。その後はクロス円に買戻しの動きが見られる中でじり高が優勢となり、週末までじりじりと買い戻され1.1569でクローズ。
USD/CNH
- 人民元相場は1ドル6.4456元からスタート。木曜日まで国慶節休暇で小動きが続いた。金曜日は米9月雇用統計が発表されドル買いが強まったが、さらに人民元は買われ、先週比小幅にドル安人民元高の6.4431でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値4日
- 中国祝日(国慶節~7日まで)
- 日本9月マネタリーベース(前年同月比) +11.7%
- 米8月製造業新規受注(前月比) +1.2%
- 台湾の国防部(国防省)は、中国の戦闘機など56機が防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。過去最多で、最近4日間で計149機が侵入したことになる。過去にない規模で、中国は威嚇行為を一段と強め始めた。
- 世界貿易機関(WTO)は2021年の世界のモノの貿易量は前年比10.8%増えるとの予測を発表した。3月時点の見通し(8%増)から上方修正した。新型コロナウイルスのワクチンの普及で世界各地で経済再開が進むためだ。
5日
- 9月東京都区部消費者物価指数 +0.1%
- 豪準備銀行(中央銀行)は政策金利を0.10%に据え置き
- ユーロ圏9月サービス部門購買担当者景気指数 56.4
- ユーロ圏8月卸売物価指数 +13.4%
- 米8月貿易収支 ▲733億ドル
- 米9月ISM非製造業景況指数(総合) 61.9
6日
- 香港行政長官(キャリー・ラム氏)、施政方針演説
- ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)は政策金利を0.25%引き上げ0.50%とした。報告書にはさらなる利上げの示唆も記載されていた。
- ユーロ圏8月小売売上高 +0.3%
- MBA住宅ローン申請指数 ▲6.9%
- 米9月ADP雇用統計 56.8万人
- 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は施政方針演説にあたる施政報告で、中国本土と結ぶ鉄道整備や広東省深圳市に隣接する北部地区の大規模な開発計画を打ち出した。「中央政府の支援を活用することによってのみ、香港は強みを発揮できる」と主張し「国家開発への統合」を連呼した。
- ロシアのプーチン大統領は、天然ガスの新パイプライン「ノルドストリーム2」について、早期操業に取り組む考えを示唆した。価格高騰で需要が高まる欧州やアジアへの天然ガス供給について、要請次第で供給増に応じる姿勢も示した。政府首脳らからも、高騰するガス市場の安定化に向けた取り組みや発言が相次いだ。
- ジョンソン英首相は、与党・保守党の党大会の演説でトラック運転手やサービス業などで起きている人手不足問題の解決策について、経済界が望む移民の流入規制の緩和に否定的な見解を示した。ジョンソン氏は「移民という昔ながらの手段に手を出すことが解決策ではない」と強調し、企業に雇用や設備への投資拡充を求めた。
7日
- 日本8月景気先行指数 101.8
- 米新規失業保険申請件数 32.6万件
- 米政府の手元資金が18日にも枯渇し、米国債がデフォルト(債務不履行)に陥るリスクはひとまず回避される見通しとなった。野党・共和党の提案に基づき、与党・民主党の上院トップ、シューマー院内総務は「12月初めまで債務上限を延長することで合意した」と表明した。
- 米製薬大手ファイザーと独ビオンテックは両社が開発する新型コロナウイルスワクチンについて、米食品医薬品局(FDA)に5~11歳の子ども向けの緊急使用許可を申請したと発表した。承認されれば同年齢の子どもへの接種は米国で初めてとなり、より幅広い年齢層の免疫獲得につながる。
8日
- 日本8月経常収支 +1兆6656億円
- インド中銀は政策金利を4.0%に据え置き
- 中国9月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI) 53.4
- 日本9月景気ウオッチャー調査 現状判断DI:42.1 先行き判断DI:56.6
- 米9月雇用統計 失業率:4.8% 非農業部門雇用者数増減:+19.4万人
- カナダ9月雇用統計 失業率:6.9% 非農業部門雇用者数増減:+15.7万人
- 米8月卸売在庫 ▲1.1%
- 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は北京の人民大会堂で開いた辛亥革命110周年記念大会で演説し「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない歴史的任務であり、必ず実現できる」と訴えた。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Price(国内総生産);高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
注目の経済指標と政治イベント
11日
- 岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党代表質問(~13日まで)
12日
- IMF世界経済見通し
- 韓国中銀、政策金利
- 08:50 9月国内企業物価指数
- 18:00 10月ZEW景況感調査
13日
- G20首脳会議(アフガニスタンに関して)
- IEA世界エネルギー見通し
- 中国9月貿易収支
- 08:50 日本9月マネーストックM2(前年同月比)
- 08:50 日本8月機械受注
- 18:00 ユーロ圏8月鉱工業生産
- 21:30 米9月消費者物価指数
- 27:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
14日
- 衆議院の解散
- 09:30 豪州9月雇用統計
- 10:30 中国9月消費者物価指数
- 13:30 日本8月設備稼働率
- 21:30 米国9月卸売物価指数
- 21:30 新規失業保険申請件数
15日
- 18:00 欧州8月貿易収支
- 21:30 10月NY連銀製造業景気指数
- 21:30 米9月小売売上高
- 23:00 10月ミシガン大学消費者態度指数
来週以降
- 10月19日:衆議院の公示
- 10月27日―28日:日銀金融政策決定会合
- 10月28日:ECB
- 10月30日―31日:G20首脳会議
- 10月31日:衆院選投開票
- 11月2日―3日:FOMC
- 12月14日―15日:FOMC
- 12月16日:ECB
- 12月16日―17日:日銀金融政策決定会合
- 1月17日―21日:ダボス会議
※ここから先(「先週の通貨強弱」「グローバルマクロ環境の整理」「チャート分析」「今週の戸田の取引戦略」)は有料記事になります
先週の通貨強弱

- 日本円やユーロなど主要先進国通貨に対してドル高
- カナダやロシア、ノルウェーなど資源国(産油国、ガス輸出国)通貨が堅調
- クロス円は総じて堅調に推移(円安)
- メキシコは製造業の生産活動が滞っており下落が続いている可能性
- 人民元は引き続き底堅い推移が続いている
- まとめると通貨強弱は右記の通り 産油国・ガス輸出国> 人民元 > 米ドル > ユーロ > 日本円 > メキシコやトルコなどの新興国
グローバルマクロ環境の整理
- 中国不動産大手・恒大集団のデフォルトについて、引き続き市場の注目が高まっている。筆者は不動産市況の悪化は想定されるが、影響は限定的に留まると見ている。
- 中国の電力不足に世界の注目が集まっている。問題の根元は商品化価格を電力価格に転嫁しづらい点。石炭などの資源が足りないわけではないので、これも影響は限定的と考える。
- 引き続き鍵を握るのは「コロナ」と「米中対立によるサプライチェーンの分断」そしてそれらの影響を受ける「米金融政策」。
- コロナ新規感染者数の推移は減少傾向が続いている(下に添付したチャート Daily New Cases は 7日間の移動平均で下向きになっている)(リスクオン要因)
- 世界的に半導体不足が深刻。日本の自動車各社は在庫の積み増しに動き、中国では携帯電話の製造が、メキシコでは自動車の生産が困難になるなどミクロ経済の影響も見てとれる。このような現象が、半導体価格の上昇はもちろん、製品原価の高騰要因になっており、世界的な物価高要因になっている。結果としてグローバルに生産者物価が高止まりし、企業収益が圧迫され、株価下押し圧力が掛かる可能性に留意しておきたい。(株安要因)
- 物価上昇圧力を受け、米国(9月のFOMC)は早期の金融緩和縮小を示唆。(ドル高要因)
- 米10年債利回りも上昇を続けている(金曜日クローズ時点:1.61%)(株安要因)
- 米株の下落が気になるところ。単純に米金融緩和の縮小だけが理由で売られているのであれば単なる調整に過ぎないと考える。一方でグローバルなサプライチェーン分断による中長期的な景気悪化を織り込んでいるのであれば要警戒。筆者は現時点で楽観的に見ている。
- 投資家の米金融政策見通しは2021年11月FOMCでテーパリングのアナウンス、2022年後半の利上げ開始がコンセンサス。(利上げ見通しは2022年9月が中心値)
- 今週、市場参加者の利上げ観測は前倒しになった(先週比で3ヵ月分の前倒し)。(ドル高要因)
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- ドルインデックス=ドルの総合的な強さを示す指標(バスケットの中身:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)
- 米ドル高が進み93.4のレジスタンスを上抜け
- 94.7を上抜けるか注目
USD/JPY 中期(日足)
- 年初来高値の111.65を突破し、112円台に到達
- 2019年4月、2020年2月の高値である112.20をクリアに上抜けるか注目
- 抜けた場合のターゲットは114.40レベル
USD/JPY 短期(時間足)
- 現在は112.20のレジスタンスを試している状況
- 反落した場合の目安は米雇用統計で支えられた111.50
EUR/USD 中期(日足)
- 1.1630、1.1570のサポートを下抜け
- しばらくサポートがなく下落が続きそう
EUR/USD 短期(時間足)
- 戻りの目安は1.1600でこの辺りでは売り先行で入って行きたい
USD/CNH 中期(日足)
- 広い範囲では6.35~6.60のレンジと判断
- 6.4250のサポートを試す展開
- 下に抜けた場合の目安は6.35
USD/CNH 短期(時間足)
- コアレンジは6.4250~6.4870
- 6.4510をレンジの中心と考え、この辺りでは売りで入りたい
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- 特に原油と天然ガスの価格に注目し、上昇した場合にはインフレ圧力が高いと判断し、企業業績の悪化、株安、リスクオフの流れに備える
- 米金利動向に注目、特に2年債と10年債の利回りに注目しドル買いが続くかどうかを判断していく
- 日本の金融緩和の長期化を見込み、円売りを先行させる(岸田ショック継続の可能性も意識する)
- 人民元はネガティブなニュースもあったが一旦は目線をフラットにし、買いを先行させる
- ユーロは大きなチャートブレイクもありユーロ売りを先行させる。ただし経済指標に持ち直しの動きが見られている点には注意。
- 通貨の勢いは右記と判断 人民元 > 米ドル > ユーロ > 円
USD/JPY
- 先週末の終値:112.22
- 目線:横這い~上
- 想定レンジ:111.50~112.90
- 現在ポジション:USD/JPY ±0
- 方針:まずは週明けは様子見、下押しする場合には111.50前後は買い下がりたい。上に走る場合には損切を早めにセットし上昇についていく。
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1567
- 目線:EUR/USD 横ばい~下 EUR/JPY 横ばい
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1450~1.1630
- 現在ポジション:EUR/USD ±0 EUR/JPY ±0
- 方針:ユーロは売り先行、週明けにスモール売りから入り、1.1600より上は売り上がりたい
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.4431
- 目線:USD/CNH 横ばい~下、CNH/JPY 上
- 想定レンジ:USD/CNH 6.4000~6.4650
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY +1.0
- 方針:CNH/JPYは週明け様子見、ドル円が下押しする局面があればを押し目買い、上に伸びる場合は買いでついていきたい。
- USD/CNHは6.45より上は売り上がり
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