【9月13日~9月17日】各国の経済指標と想定レンジを意識したトレード戦略
FX
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 109.75 | 109.62 | 110.45 | 109.93 | +0.16% |
| EUR/USD | 1.1879 | 1.1802 | 1.1887 | 1.1814 | ▲0.55% |
| EUR/JPY | 130.41 | 129.66 | 130.71 | 129.87 | ▲0.41% |
| USD/CNH | 6.4362 | 6.4237 | 6.4649 | 6.4430 | +0.11% |
| CNH/JPY | 17.0511 | 16.9921 | 17.1052 | 17.0540 | +0.02% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=109.75円からスタート。週初はもみ合いとなるが、日本株が力強く上昇する中で徐々に円売りが優勢となると、火曜日に110円を突破、水曜日には一時110.45の高値をつける。その後もじり高が続くかにも見えたが売り注文が厚く、次第に反落、木曜日には再び110円を割り込むと、一時109.62まで下落する局面もみられた。週末に掛けては買い戻され、109.94でクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1879ドルからスタート。木曜日にECB理事会を控える中で、ユーロは週初から売り優勢でじりじりと下落する展開が続いた。水曜日には一時1.1802まで下落し1.18割れを試す展開になったが、このレベルでは大口のオプションや買い注文に支えられ1.18前半でECB理事会を迎えた。注目されたECB理事会ではPEPP(パンデミック緊急支援プログラム)の債券買入額縮小が発表されたが、ECBのインフレ見通しは低めで、市場の反応は強弱ミックスとなった。ユーロはその後やや買い戻し優勢となったが1.1850には大口のオプションもあり、反発も力なく1.1815でクローズ。
USD/CNH
- 人民元相場は1ドル6.4362元からスタート。週初はドル買いが優勢で火曜日には今週高値の6.4649をつける。その後は6.46を挟んで小幅な推移が続いたが、先週に続いて金曜日の午後にドル売りが強まると北米時間に掛けて一時6.4237の安値をつけた。その後は買い戻され、結局6.4430でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値6日
- 米国祝日(Labor Day)
7日
- 中国8月貿易収支 +583.4億ドル(好調)
- 日本8月外貨準備高 +1兆4243億ドル(増加)
- 豪準備銀行(中央銀行)が量的緩和(週40億ドルの債券買入)の延長を発表(2021年11月中旬→2022年2月中旬)
- 日本7月景気指数 先行指数104.1 一致指数94.5 遅行指数93.8
- 欧州9月ZEW景況感調査 31.1(悪くない)
- 欧州4-6月期四半期域内総生産(GDP、確定値) 前年比+14.3%
- カタール首都ドーハを訪問中の米国のブリンケン国務長官、オースティン国防長官は7日、カタールのムハンマド副首相兼外相と会談した。カタールが仲介役となり、アフガニスタンを制圧したイスラム主義組織タリバンとの間接協議に乗り出した。
8日
- 日本4-6月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)前年比+1.9%
- 日本7月国際収支 +1兆9108億円
- 日本8月景気ウオッチャー調査 現状34.7 先行き43.7
- 米国MBA住宅ローン申請指数(前週比) ▲1.9%
- カナダ銀行は定例の金融政策決定会合で、金融政策の据え置きを発表
- 米7月JOLT求職 10.934M(求人が非常に多い)
- 米地区連銀経済報告:7月初旬から8月にかけての経済活動は全体的にわずかに下方向に推移。旅行や飲食などが傷んでいる。
- 米国7月消費者信用残高 170.0億ドル
- イエレン米財務長官は、8月に復活した連邦政府の債務上限の引き上げを改めて議会に要請した。手元の現金や公務員の退職年金基金の一部投資の停止といった臨時措置による資金繰りは「10月中に使い果たす可能性が最も高い」と指摘。放置すれば「米国は史上初めて債務を履行できなくなる」と警告した。
- 米ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は講演で、米国債などの資産を購入する量的緩和の縮小開始について「経済が予想通りに改善を続けるなら、年内に資産購入のペースを下げ始めることが適切だろう」と述べた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の見解と歩調を合わせた。
9日
- 北朝鮮の建国記念日
- 日本8月マネーストックM2 +4.7%(増加ペースは減速している)
- 中国8月物価指数 消費者物価+0.8% 生産者物価+9.5%(高止まり)
- 欧州中央銀行(ECB)はパンデミック緊急支援量的緩和プログラム(PEPP)の買入額の調整(縮小)を公表
- 前週分新規失業保険申請件数 31.0万件
- 中国の不動産大手、中国恒大集団の2兆円を超える米ドル債が国際金融市場を揺らしている。リゾート開発など無謀な投資で資金繰りが厳しくなり、社債利回りが9日時点で50~470%まで上昇(価格は下落)しているためだ。仏アムンディやスイスのUBSグループなど世界の運用会社が恒大債を保有しており、破綻すれば投資家は損失を免れない。中国政府が救済するかどうかは不透明で投資家は売却を急いでいる。
10日
- ロシア中銀政策金利は政策金利を0.25%引き上げ6.75%とした
- 米国8月卸売物価指数(PPI) +8.3%(高止まり)
- 米国7月卸売在庫 +0.6%
- 米国7月卸売売上高 +2.0%
- ロシア国営天然ガス会社ガスプロムは、ロシア産の天然ガスをバルト海経由で欧州に供給するガスパイプライン「ノルドストリーム2」の敷設工事を完了したと発表した。2021年末までの稼働を予定している。
- 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とバイデン米大統領は、7カ月ぶりに電話で協議した。両氏は米中の緊張緩和に向けて努力することで一致した。
- 中国人民銀行(中央銀行)などは、本土と香港、マカオの間で金融商品の相互投資を10月から解禁すると正式に発表した。規模は3000億元(約5兆1000億円)に上る。金融開放を拡大し、本土の投資マネーで香港などの外資系金融機関をひきつける狙いだ。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Price(国内総生産);高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
注目の経済指標と政治イベント
13日
- 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン、17日まで)
- 08:50 日本7-9月期四半期法人企業景気予測調査
- 08:50 日本8月国内企業物価指数
- 27:00 米国8月月次財政収支
14日
- 国連総会(オンライン)が開幕
- 13:30 日本7月鉱工業生産
- 13:30 日本7月設備稼働率
- 21:30 米国8月消費者物価指数
15日
- フォンデアライエン欧州委員長が年に1度の施政方針演説
- 08:50 日本7月機械受注
- 11:00 中国8月小売売上高
- 11:00 中国8月鉱工業生産
- 13:30 日本7月第三次産業活動指数
- 18:00 欧州7月鉱工業生産
- 20:00 米国MBA住宅ローン申請指数
- 21:30 9月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 21:30 米国8月輸出入物価指数
- 22:15 米国8月鉱工業生産
- 22:15 米国8月設備稼働率
16日
- 上海協力機構サミット(~17日まで)
- 08:50 日本8月貿易統計
- 08:50 日本前週分対外対内証券売買契約等の状況
- 18:00 欧州7月貿易収支
- 21:30 米国8月小売売上高
- 21:30 9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
- 21:30 米国前週分新規失業保険申請件数
- 23:00 米国7月企業在庫
- 29:00 米国7月対米証券投資
17日
- 4~6月の資金循環統計速報(日銀)
- 17:00 欧州7月経常収支
- 18:00 欧州7月建設支出
- 18:00 欧州8月消費者物価指数
- 23:00 9月ミシガン大学消費者態度指数
来週以降
- 9月21日―22日:日銀金融政策決定会合
- 9月21日―22日:FOMC
- 9月21日―27日:国連一般討論演説
- 9月26日:ドイツ総選挙
- 9月29日:自民党総裁選
- 10月27日―28日:日銀金融政策決定会合
- 10月28日:ECB
- 10月30日―31日:G20首脳会議
- 11月2日―3日:FOMC
- 12月14日―15日:FOMC
- 12月16日:ECB
- 12月16日―17日:日銀金融政策決定会合
先週の対ドル及び、対円通貨強弱
- 円は軟調推移
- トルコが売られる一方で、南アは買われるなど通貨によって強弱がしっかり出ている
- 引き続き人民元は安定して推移
- ロシアルーブルは利上げを実施したがやや売り込まれた
- まとめると通貨強弱は右記の通り 強い新興国通貨 > 人民元 > ドル > 円 > ユーロ > オセアニア > 脆弱な新興国通貨
グローバルマクロ環境の整理
- グローバルに生産者物価が高止まりしており、企業収益が圧迫され、株価下押し圧力が掛かっている可能性に留意しておきたい。(株安要因)
- 中国不動産大手・恒大集団のデフォルトの件など、中国の不景気については引き続き注意深くみていく必要がある。(人民元安要因)
- 自民党総裁選に注目。基本的に円安・株高要因と捉えておきたい。
- リスクオン相場が本流になるかどうか注目。鍵は米金融緩和の長期化とコロナ収束の兆し。
- コロナ再拡大は一旦折り返しに入ってきた(下に添付したチャート Daily New Cases は 7日間の移動平均で横ばい~下向きになりつつある)
- 投資家の米金融政策見通しは年内のテーパリング決定、2022年11月に利上げ開始がコンセンサス。(ほぼこのスケジュールで落ち着いてきた)
- 米株は8~10月のパフォーマンスは例年芳しくない傾向(シーズナリティ)がある。

COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- ドル高は続かず
- テーパリング時期や、利上げ時期もおおむね固まっており、しばらくドル要因の変動は少なくなる可能性に留意しておきたい
USD/JPY 中期(日足)
- 広いレンジで107.50~111.65
- 109.00~111.00がコアレンジ
- 引き続き方向感が出にくい相場を想定
USD/JPY 短期(時間足)
- デイトレのレンジは109.40~110.40
- やや上昇圧力が強い
EUR/USD 中期(日足)
- 広いレンジは1.1630~1.2250
- 引き続きレンジ下限付近での推移が続いている
EUR/USD 短期(時間足)
- デイトレのレンジは1.1800~1.1900
- 1.1800付近で買っていくのは戦略として考えられる
USD/CNH 中期(日足)
- 6.35~6.60のレンジと判断
- 直近はドル安人民元高の傾向が続いている
USD/CNH 短期(時間足)
- デイトレのレンジは6.4200~6.5200
- 6.42割れの次は6.36が視野に入る
- 金曜日の午後~深夜にかけて下落傾向が続いており、これをデイトレで試したい(欧州や米国からの定期フローの可能性)
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- 引き続き中国と日本の株式市場の動向に目を光らせ、リスクオフの兆候を早めに感知できるよう努める
- Covid-19の新規感染者数カーブの上昇が緩やかになってきていることを意識する(リスクオンが続く可能性に留意)
- 徐々に投資家が戻ってきて、方向感が出る可能性に留意しておく(リスクオンか、利食い先行か見定め)
- 米ドルは弱い米8月雇用統計を受けて、利上げ織り込みが剥がれていることを認識する(ドル安継続の可能性)
- 菅総理の総裁選不出馬による政局の混乱と、金融緩和の長期化を見込み、円売りを先行させる
- 人民元は米中対立と権力闘争による国内景気落ち込みの可能性を念頭に入れて、人民元保持を継続する(必要に応じてポジションを落とす)
- ユーロは経済指標に持ち直しの動きが見られており、買いを先行させる
USD/JPY
- 先週末の終値:109.93
- 目線:横這い~上
- 想定レンジ:109.40-111.40
- 現在ポジション:USD/JPY ±0
- 方針:短期は相場観を持たず109.40付近で買い、111.40付近で売りを徹底
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1814
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1800~1.1900
- 目線:EUR/USD 横ばい~上 EUR/JPY 横ばい~上
- 現在ポジション:EUR/USD ±0 EUR/JPY ±0
- 方針:EUR/USDに絞って1.1800付近で買い、1.1900付近で売りを徹底
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.4430
- 想定レンジ:USD/CNH 6.4200~6.5200
- 目線:USD/CNH 横ばい~下、CNH/JPY 横ばい~上
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY +3.0
- 方針:CNH/JPYの買い持ち(中長期のポジション)を保持。金曜日の午後にUSD/CNHを売り、金曜日の深夜に買戻し(デイトレ)。
- 中国景気の悪化と恒大集団のデフォルトが市場に与える影響を要警戒
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