ローソンも極楽湯も『鬼滅の刃』で株価上昇。なぜ異常人気?
こんにちは、下山です。
最近、ある弁当屋の話を聞きました。
そのお店は閉店間際になると
お惣菜の半額セールをします。
20時15分以降、
手に取ったお弁当が半額の対象です。
でもお会計ができるのは20時半以降。
なので、20時15分ころから
店に人が集まり始め、
お会計ができる20時半ごろまで
店の前に行列ができるようです。
たまたま通りがかった人は
「何でこんなに並んでいるんだろう」
と気になりますよね。
そして行列が人を呼び、
20時半までどんどん行列が長くなります。
店としては、あえて並ばせることで
人気店を演出しているのかもしれません。
よく考えてみると、
数百円のために15分以上並ぶのは
ちょっと割に合わないと思うのですが、
目先のお得さに
惹かれてしまう方のほうが多いのでしょう。
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ローソンも極楽湯も『鬼滅の刃』で株価上昇。
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さて、話は変わりますが、
7月21日総務省発表の
6月の全国消費者物価指数は、
総合で前年同月比プラス0.1%
でした。
普段生活をしていて
「物価が上がったなあ」
と感じることはあまりありません。
ただ、
着実に物価が上がり続けているものもあります。
たとえば
『週刊少年ジャンプ』
です。
昔は200円しなかったんですけど、
先日の合併号は300円ですからね。
今の時代、
ジャンプ読者の子供は大変ですよね。
きっと10年、20年前と比べて
お小遣いがすごく上がっているということも
無いでしょうし。
部数が落ち、
値上げせざるを得ないのかもしれませんが・・・。
でも、部数が落ちているとはいえ、
ヒット作を生み出すジャンプは
やはりさすがです。
ここ最近の最大のヒット作品といえば
『鬼滅の刃』でしょう。
こちら、
『週刊少年ジャンプ』に
2016年から連載されていた漫画です。
すでに連載は終わりますが、
いまだ根強い人気があり、
『鬼滅の刃』のキャラクタービジネスは健在です。
そして、株価上昇の要因として
専門家が指摘するほど、
経済にも影響を与えています。
先日の日経新聞にも
『鬼滅の刃』とコラボした
極楽湯HDや、ローソンの株価についてこうありました。
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“極楽湯HDは7月8日から、
温浴施設でキャラ入りの手拭いと入館料をセットで販売。
キャンペーンの詳細を発表した7月1日には株価が一時、
2割上がった。
ローソンは特定商品の購入で
グッズと交換できるキャンペーンを実施中。
株価は6月末比で約6%上がり、
日経平均株価(約2%)を上回る。”
日本経済新聞『市場点描』
2020年7月21日 2:00
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO61748910Q0A720C2EN2000
より引用
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「たかが漫画」と考えている方も
いらっしゃると思いますが、
こういった現象を見ると
漫画の影響力を無視することは
できないはずです。
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ヒットの理由が分からない『鬼滅の刃』
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でも、数ある漫画の中で
なぜ『鬼滅の刃』が突出して人気なのでしょうか?
この理由が分かれば漫画に限らず
何らかの作品を観たとき
「ヒットするかどうか」
1つの指針になるでしょう。
そしてそれが株トレードに
役立つこともあるでしょう。
とは言え、
『鬼滅の刃』の場合、
なぜここまでヒットしたのか、業界関係者でも
なかなか説明がつかないようです。
アニメ化が人気を加速させたとか、
時代の流れにマッチしたとか、
それらしい理由は言われていますが、
誰もが納得するような
決定的な説明は存在しません。
ただ、だとしても大ヒットにつながった
一つの要素として
確実に1つ言えることがあります。
それは、
「ストーリーがヒットのセオリーに沿っている」
ということです。
ご存知の方も多いかと思いますが、
漫画も映画もヒットする作品には法則があります。
特にハリウッド映画の世界では
多額の資金が投入され、大コケのリスクは
何としても避けなければいけませんので
大半の映画は紐解くと
「ヒットの法則」に従った
ストーリー展開になっています。
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『鬼滅の刃』のストーリー
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『鬼滅の刃』は、
一言でいうと「鬼退治」です。
主人公は竈門炭治郎。
ある日、突然家族が鬼におそわれ、
唯一残った妹も
鬼になってしまう、
という悲劇に竈門炭治郎は立ち向かいます。
「逆境」
といったキーワードが思い浮かびますが、
まさにヒットする作品の定石です。
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“どんな物語にも、感情移入できる強い主人公が必要だ。
運に見放されたとか、恵まれていたのが
急に落ちぶれたとかなら、親近感を抱きやすい。
主人公が困難に敢然と立ち向かう人物なら、
無条件に応援したくなる。”
デイヴィッド・マクレイニー
『思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方(二見書房)』
P.132-133より
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ここに書かれているように、
妹を助けるために命がけで鬼と戦う
竈門炭治郎を応援したくなるんですよね。
家族を命がけで守ろうとするその姿に
多くの方が共感を覚えるでしょう。
「逆境」、その次に来るのが「成長」です。
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主人公は、住み慣れた世界をあとにして、
冒険に満ちた新しい人生に乗り出していく。
失敗したように見えたそのとき、行く手をはばむ障害を乗り越え、
悪役を打ち負かし、ときにはその過程で世界を救ったりもする。
そして故郷に戻ってきたとき、主人公は成長している。
ただし悲劇なら、物語が始まったときよりも不幸になって終わる。
【中略】
右にあげたのは、キャンベルが「英雄の旅」と名づけた筋書きだ。
デイヴィッド・マクレイニー
『思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方(二見書房)』
P.133より
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神話学者として著名な
ジョーゼフ・キャンベル氏が名付けた、
「英雄の旅」が
まさに『鬼滅の刃』のストーリーと合致します。
このことがヒットの根本にあることは
間違い無いでしょう。
ただ、「英雄の旅」の法則に沿った漫画は
世の中にごまんとあります。
これだけでは突出した人気の秘密を説明しきれませんが、
冒頭で紹介した弁当屋のように、
人が人を呼んだ、という可能性も考えられます。
人は人が集まる場所に惹かれるものです。
誰かが面白いと言い始め
『鬼滅の刃』も急激に
人気の輪が大きくなった可能性も
1つ考えられます。
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まとめ
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ヒットする理由は様々で、
確実なことは言えません。
ただ、
ヒットするストーリーには法則があります。
こういうことを意識してみると、
世の中には構造が同じストーリーが
あふれていることに気づかれるでしょう。
そして世界の見方も変わることでしょう。
本日も最後までご覧いただき
ありがとうございます。
下山敬三
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