ソフトバンク倒産危機?株暴落後の株主価値を計算してみた。
こんにちは、下山です。
「ソフトバンク倒産危機」
ネット上で最近ますますこのフレーズを
聞くようになりました。
ソフトバンクGに関して、
ネガティブな報道がなされるたび、
「税金払ってない会社なんて倒産してしまえ」
といったアンチの声も多数見かけます。
そんな中、先週ソフトバンクGは
2019年4/1~2020年3/31の業績予想について
『1兆3500億円の赤字見通し』と発表しました。
※参照:ソフトバンクGのプレスリリース
↓
https://group.softbank/system/files/news/ja/press/2020/20200413/pdf/20200413.pdf
リリース発表後、ソフトバンクGの株価が
続落とならなかったところを見ると・・・
「まあそうでしょうね」と
マーケットは織り込み済みだったように見えます。
とはいえ、金額だけ見ると、
「ソフトバンク倒産へまっしぐら」
そう思われてもおかしくない巨額な赤字です。
ソフトバンクグループは今
実際にどの程度やばい状況にあるのか?
本当に倒産もあり得るのか?
考察してみます。
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ソフトバンクGを
どの基準で判断すべきか?
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ソフトバンクGって
内部がどうなっているのか
すごくややこしいですよね。
「通信会社としてのソフトバンクとか
ビジョンファンドとか
色々と複雑で実体がよく見えない」
と思う方も多いでしょう。
なので、ソフトバンクGを
どの視点で見るべきなのか?
まずはその点を明確にしなければいけません。
見る角度によって全く違って見えるわけですが、
孫社長が主張するのは
「株主価値で見てくれ」ということです。
株主価値というのは
保有している株式価値から、
ソフトバンクGが負っている借入を
差し引いた金額です。
「とにかく、ソフトバンクGが持っている株の価値が
どれだけあるのかを見てくれ。
投資先の会社がいくら儲かって、いくら損したかは
ソフトバンクGとしての成績とは関係無い」
というのが孫社長の主張です。
確かに投資会社として
ソフトバンクGを評価するのなら、
孫社長が言うように、「株主価値」
という基準で見るのは妥当です。
株トレーダーにとって、
持っている株の価値が
一番重要なのと同じですね。
では、ソフトバンクGを「株主価値」で見ると
どうなるのか?
今年の2月に行われた決算説明会の時は
下記の数字が紹介されました。
【保有株式価値】
Alibaba:16.1兆円
SoftBank KK:4.8兆円
Sprint:3.2兆円
arm:2.7兆円
SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド):3.2兆円
その他:1.1兆円
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合計:31兆円
(2020年3月期 第3四半期 説明会資料より。
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/softbank_presentation_2020_003.pdf)
ソフトバンクGが保有する「株式価値」は31兆円。
半分以上がAlibaba株ですね。
で、その31兆円から
ソフトバンクGがかかえる
「純有利子負債」の6兆円を差し引きます。
結果、31兆円-6兆円=25兆円
となり、ソフトバンクGという会社の価値は
25兆円となります。
この金額を公表した
2月の決算説明会で孫社長は
「2019年の9月30日の決算時と比べ
5兆円も株主価値が増えている」
と誇らしげに語っていました。
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株暴落後の株主価値は?
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ただ、ご存知のように
2月の決算時は、株価が落ち着いていた時期でした。
その後、3月にかけて
株価が暴落しましたので、
株主価値もずいぶん減ったのではないかと
推測されますが、実際どうなのか?
直近の株価に照らし合わせて
ざっくりと計算してみます。
このメルマガを書いている
4月16日時点で、Alibabaの株価は212ドル。
2月12日に224ドルだった株価は、
3月末まで下落が続いたものの、
4月16日時点では212ドルまで回復しました。
SoftBank KKの株価は2月12日に1500円だったのが、
4月16日時点で1396円に下落。
Sprintは8.6ドルで
あまり変化なし。
ビジョンファンドは
約1.8兆円の投資損失見通し。
(ソフトバンクG保有は約30%)
(参照:
https://group.softbank/system/files/news/ja/press/2020/20200413/pdf/20200413.pdf)
これらを考慮して大まかに計算すると
以下のようになります。
【保有株式価値】
Alibaba:16.1兆円 → 15.24兆円
SoftBank KK:4.8兆円 → 4.5兆円
Sprint:3.2兆円
arm:2.7兆円
SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド):3.2兆円 → 2.6兆円
その他:1.1兆円
大まかな計算になりますが、
ソフトバンクGが保有する
株式の価値は、
2020年2月12日時点から4月15日までの間に、
トータルで
だいたい1.8兆円ほどマイナスになった、
ということになります。
昨年9月から今年2月まで5兆円増えて、
4月までの間に1.8兆円減るという、
上げ下げが非常に激しい状況です。
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孫社長が
株を担保に借金して大ピンチ?
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以上を踏まえ、
倒産の可能性について、
あなたはどう思いますか?
Alibabaの株価も
回復してきていますし、
すぐにソフトバンクGが倒産するような状況には
ないと考えられます。
米ウィーワーク取締役による提訴の問題、
ワンウェブの破産、
ビジョンファンド2号の凍結など
ネガティブなニュースが
続々と報道され、楽観視できる状態にないことは
間違いありません。
しかし、今ソフトバンクGにとって
もっとも大きい影響があるのは結局、
Alibaba株の動向です。
ソフトバンクGは良くも悪くも
Alibaba次第です。
Alibabaはいわば中国版アマゾンですが、
コロナウイルスが蔓延する今、
ネットショップは需要が拡大していますので
まだまだ成長を続ける可能性も想定されます。
Alibabaが堅調な限り、世間で言われるような
ソフトバンクG倒産も考えづらいことです。
ちなみに、孫社長が
ソフトバンクGの株を担保に
借金をしていることから、
「ソフトバンクGの株価下落で孫社長自身が大ピンチ」
という話も聞きますが、
ブルームバーグによると、
孫社長が担保に入れているのは
自身が保有するソフトバンクG株のうち約40%で、
さらに孫社長は、ソフトバンクG株を除き、
120億ドルもの資産を保有しています。
(参照:ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-27/Q7UMMMDWX2Q001)
まだ余裕があります。
もちろん孫社長もご高齢ですし、
そういう意味でも
いつ何が起こっても
おかしくありません。
ただ、アンチソフトバンクGの方々にとっては
面白く無い話かもしれませんが
データを見る限り、孫社長も
すぐに倒れるようなヤバい状況には無いでしょう。
「1兆3500億円の赤字見込み」
とか
「ソフトバンク・ビジョン・ファンド
約1.8兆円の投資損失を計上する見込み」
と聞くと、
「大丈夫か?」
と思ってしまう気持ちも分かりますけどね。
全ての情報は鵜呑みにせず
できる限りあなたご自身で
考察してみるべきです。
株トレードを行う上で
非常に重要なことです。
それでは本日も最後まで
ご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三
よろしいですか?