祖母がキャッシュカード渡してお金を奪われた、その手口
こんにちは、下山です。
「うちのばあちゃんが、キャッシュカードを
見知らぬ人に渡して暗証番号も教えてしまって…
お金を引き出されてしまったんです。」
先日、そんな話を知人から聞きました。
「なんでキャッシュカード渡しちゃったの?」
と聞くと・・・
「銀行員を装った人にだまされてしまって。」
とのこと。
よく聞く話ではありますが、
実際に犯人はどんなテクニックで
おばあさんから
キャッシュカードと暗証番号をうばったのか?
あなたも同じ手口で
だまされることのないよう、
共有させていただきます。
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なぜ、おばあちゃんは信用してしまったのか?
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「まず電話がかかってきたんです。
〇〇銀行の〇〇ですって。
それで多分その時点でばあちゃん、
銀行の人からの電話だって信じちゃって。」
「相手の顔も見えないしね・・・。
信じてしまう気持ちも分からないでもないけど。
そのあとは?暗証番号を聞き出すとなると、
それなりの理由が必要だと思うけど。」
「キャッシュカードの期限が切れて、
使えなくなりましたって。
それで新しいキャッシュカードに
変えないといけないんだけど、
暗証番号はどうします?って聞かれて。
その流れで暗証番号を教えちゃったみたい。」
「そうか・・・」
「普通に考えて、暗証番号を誰かに言うのって
かなり警戒するとは思うんだけど、
ばあちゃんは、最初から相手は銀行の人だ、
って完全に信じ込んでしまってたから、
相手の話を疑う気持ちは全く無かったんだと思う。」
「ただ、それでも肝心のキャッシュカードは
まだおばあちゃんの手元にあるわけでしょ?
カードはどうやってとられたの?」
「その電話をしている最中に突然チャイムがなって。」
「うん。」
「で、電話で話してる相手から、
家に来た人間にカードを渡してください、
って言われて。」
「なるほど。客観的に聞いていると
怪しすぎる展開だけど、信じきってたら
疑う気持ちも生まれないのかな。」
「そうだと思う。それで家に来た人間に
あっさりキャッシュカードを渡してしまったという。」
「そうなんだ・・・」
「ただ、ばあちゃんもその後に
何かおかしいと感じたみたいで。」
「渡してしまった後に?」
「そう。それで銀行に電話したら
そんな話はない、って言われて。
すぐに口座を止めてもらって。」
「お金は?引き出されてしまってたの?」
「時すでに遅しで。
50万円引き出されたあとだったみたい。」
「くやしいね。預金を全額引き出された感じ?」
「いや、引き出せる上限が決まってて。
多分上限いっぱい引き出された感じかな。」
「上限があってまだ助かったわけだ。」
「そうだね。
それで警察にも連絡して事情も聞かれて。」
「犯人は捕まった?」
「うん、キャッシュカード取りに来た人間は
捕まったって。ただ・・・」
「ただ?」
「その犯人は未成年だったらしい。」
「未成年?」
「バイトで雇われていただけっていう。」
「そうなんだ。」
「ちなみにこういう事件、
やっぱり他にもあるみたいで。
ほぼほぼ同じ手口でこんな事件も起きてた。
81歳の女性がキャッシュカードをだまし取られた事件。」
↓
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191030-00000004-saitama-l11」
「たしかに色々と似てる点があるね。」
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あなたは銀行から電話がかかってきたら、
疑いますか?
おそらくそれほど疑うことはないでしょう。
あなたが口座を持っている銀行の
支店名まで言われたら信じてしまう方も
けっこういらっしゃるはずです。
なので、どうかあなたも
気をつけてください。
もしかしたらあなたは
「自分はだまされない」
と思っているかもしれませんが、
そう思っている方ほど危険です。
思い込みほど怖いものはありません。
世の中には
あなたのお金を狙っている人間が大勢います。
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人間は考えることを節約したい生き物
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「あなたのお金を狙っている」
という話でいうと投資業界にも
怪しい儲け話がゴロゴロ転がっています。
全てが危険だとは言いませんが、
美味しい話はまず疑った方が良いでしょう。
取引をうながしてくる時点で
怪しいですよね。
「大手の証券会社なら大丈夫でしょ」
と思われるかもしれませんが、
それも微妙です。
確かに、悪意をもって
あなたのお金を奪おうとはしないかもしれませんが、
安易に話に乗るのはやめましょう。
「手数料目当てに
必要以上にたくさん売買させている」
ということで
証券会社が批判を浴びることもありますが、
やはりそういうことは実際に起こっています。
一つ思うのですが、たとえばあなたが
担当者に言われるがままに
取引をして、50万円損をしたら、
さっきの話に登場したおばあさんと
結果は同じですよね。
証券会社の方が
悪意を持ってあなたに損をさせようと
していたわけではないにしても、
「何の見返りもなくただ50万円損した」
という結果は同じです。
ですから、大手だからとか
有名だからとか、
CMで知っているから、
ということで安易に話を信じてはいけません。
と言っても
世に名前を知られた人間や会社を
信じることを回避するのは
かなり難しいでしょう。
なぜなら人間は
考えることを節約したい生き物だからです。
最後に一つ
人間の性質に関する研究結果を
紹介させていただきます。
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多くの点で、私たちは、いつも認知的エネルギーを節約しようと務める
「認知的倹約家」である。
人間の情報処理の能力には限りがあるので、
複雑な問題を単純化する周辺ルートを採用することが多い。
何か良い理由があるからではなく、
単純な説得の小道具につられて、
よく考えずに結論や主張を受け入れてしまうのである。
プラトカニス、アロンソン
『プロパガンダー広告・政治宣伝のからくりを見抜く(社会行動研究会)』
1998年10月30日 第1刷
P.35より
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これだけ情報が溢れる世の中ですから、
いちいち情報を吟味していられませんよね。
ですから、たとえば
「相手が信用できるかどうか」
ということを判断するときでも
大手だからとか
有名だからとか、
そんな単純なことで決めてしまうのです。
これは一つの本能敵行動ですから、
あらがうことはなかなか難しいことだと思いますが、
あなたの大切な資金を守るため、
どうか注意されてください。
本日も最後までご覧くださいまして
ありがとうございます。
下山敬三
Is it OK?