人手不足なのに賃金アップが絶望的な本当の理由
こんにちは、下山です。
「若い奴がすぐ会社を辞める」
そんな話を聞くことがあります。
実際、あなたもそのように感じたことが
あるかもしれません。
4月に入社した新入社員が
お盆休み明けからどうも様子がおかしく、
結局半年も経たずに辞めていった・・・、とか。
そういえば今月初めくらいですかね、
「ワイドナショー」という番組で
芸人の三瓶さんがサッカーの長友選手の料理人として
覚悟を決めてトルコに移住したけど
2ヶ月で帰ってきた、ということでゲスト出演されていました。
トルコ移住の前にも地元の福島に住むというプロジェクトを
1年で切り上げた経緯もあり、
「そんなにすぐ辞めて大丈夫か?」的な
雰囲気で放送されていました。
あなたはどう思いますか?
合わない場所でも
「石の上に3年」的な感じで踏ん張る方が良いのか、
それとも合わないならさっさと辞めるべきか。
おそらく、
「我慢強く粘る」ことに美徳を感じる方のほうが
多いのではないかと思います。
次々と新しいことを始めては辞める、
ということを繰り返している人間より、
たとえ合わなかったとしても耐えて
1つの場所で1つのことに
しっかりと向き合った人間を「信用できる人間だ」と
思うのではないでしょうか。
ちなみに、感情論ではなく
生物学的な観点から見ると
どちらが良いと考えられるのでしょう?
それを説明した一節を紹介させてもらいます。
↓
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危機に直面した生物は
「戦う」か「逃げる」かのどちらかの選択を瞬時にします。
では人間はどうかというと、
多くの場合はこの2つのオプションを取るよりも
「じっと耐える」「なんとか頑張る」という選択をします。
多くの人間が採用するこの選択肢を選ぶ動物がいない理由は
なんだと思いますか。
実に単純な話でそのような選択をした生物は
絶滅してしまった、ということです。
つまり、危機に際して「じっと耐える」とか
「我慢してやり過ごす」というのは、
個体の生存という観点からは非常に不利な
「悪いオプション」だということです。
私たち日本人は幼少期から
「逃げてはいけない」という規範を叩き込まれます。
しかし考えてみれば、生物の生存戦略として
最も広範囲に用いられている戦略が、
人間の世界において
厳しく戒められているというのもおかしな話です。
山口周
『ニュータイプの時代(ダイヤモンド社)』
2019年7月3日 第1刷
p.253-254
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なんと、生物学的にいうと、
「我慢して耐えること」は
最悪の選択肢なのです。
耐えて耐えて耐え抜いた先に待っているのは
種の絶滅である、と。
もちろん、様々なケースがあり、
耐え抜いた結果、
大きい結果が手に入る場合もあるでしょう。
ただ、少なくとも「合わない環境でも耐え続ける」
という行為は世間一般的に思われているほど、
褒められた行為では無さそうです。
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終身雇用・年功序列が崩壊しているのに・・・
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それでもまだもし終身雇用・年功序列が
生きているような時代であれば、
「耐える」という行為は
必ずしも悪い選択肢ではなかったかもしれません。
耐えていればとにかく生活は保障され、
勤続年数に応じて
給料も上がっていったわけですからね。
ただ、あなたもお気づきかと思いますが、
もはや終身雇用・年功序列が
期待できるような状況にありません。
大企業による「大幅人員削減」のニュースは
全く珍しくありませんし、
「給料が年齢とともに無条件で上がっている」と
肌で感じている方は少ないでしょう。
税金や社会保障の負担が増したことで
手取りが少なくなっていたり
むしろ給料が減っているように感じる方も多いでしょう。
こういった時代において
耐え抜いて我慢して1つの場所に居続けるのは
賢い選択とはいえません。
その場所が、好きなら別ですけどね。
そしてここで1つ、残念なお知らせがあります。
これからも長期にわたり、
日本企業の給料が大きく上がる可能性は
かなり低いでしょう。
現在でも「人手不足」ということが
これだけ言われているにも関わらず、
給料は上がっていないですよね。
この状況が変わることは無さそうです。
なぜなら・・・
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人手不足でも賃金アップが絶望的なワケ
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1つ考えてみてください。
そもそも、人手不足だったら
今の時点で給料水準が
大きく上昇してもおかしくないですよね?
でもそうなっていない。
なぜでしょう?
その理由の1つが「移民政策」です。
ホテルでもコンビニで
外国人労働者の方を見かけること、
ひと昔前に比べて、随分と多くなったと思いませんか?
もしかしたらあなたの同僚にも
外国人の方がいらっしゃるかもしれませんが、
いつの間にか、観光客だけでなく、
普段の生活の中でも
外国人を見かける頻度が圧倒的に増えましたよね。
場所によっては「ここは外国か」
と思うこともあるかもしれません。
実際、日本はどれくらい移民を
受け入れていると思いますか?
OECDの統計によればすでに2015年時点で
約39万人の移民を受け入れており、
この数は世界第4位です。
いつの間にか移民大国になっていたのです。
「でも、移民を受け入れているとしても
それでも人手不足だと言われているのだから、
これから給料が上がってもおかしくないでしょ?」
と思われるかもしれませんが、
残念ながらその可能性は低いでしょう。
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2018年6月、日本政府は、
2019年4月から一定の業種で
外国人の単純労働者を受け入れることを決定しました。
その受け入れ人数は、
2025年までに50万人超を想定しているということです。
この閣議決定に基づき、2018年12月、
入国管理法改正案が成立しました。
こうして、今後は賃金が上がりそうになるたびに、
外国から低賃金労働者が流入して、
賃金の上昇を抑えるという仕組みが完成しました。
これにより、賃金の上昇による経済成長は、
ほぼ絶望的となったと言っていいでしょう。
中野剛志
『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】
(株式会社ベストセラーズ)』
2019年7月15日 初版第1刷
P.89
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人手不足になれば
普通なら給料が上がるわけですが・・・
今後、人手不足になれば
外国人労働者がその穴を埋め続けるというわけです。
今後外国人労働者の増加の流れが
変わることはまず考えられません。
終身雇用も年功序列も崩壊、
しかも給料アップも絶望的、
そんな中、好きでもない場所に居続けることは
やはりリスクでしかありません。
好きな場所で1つのことに向き合い続ける、
素晴らしいことです。
しかし、好きでもない場所に居座り続け
耐え抜くことはいかがなものでしょうか。
嫌なら勇気を出して離れることも
時には大切です。
それでは本日も
最後までご覧くださいまして
ありがとうございます。
下山敬三
Is it OK?