12年ぶり発生の逆イールドって何?米景気はヤバいのか。
こんにちは、下山です。
先週14日、アメリカで
「長短金利逆転(逆イールド)」が
約12年ぶりに発生しました。
それに伴い、NYダウも今年最大の下落に・・・。
「逆イールド発生に伴い景気が悪化するのではないか」
そんな声があちこちから聞こえてきました。
「エッ、ちょっと待って。そもそも逆イールドが何か
よくわからないし、なんで景気後退するかもしれないの?」
と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。
そこで本日はできるだけ易しく簡潔に
逆イールドの話を紹介させてもらいます。
また、景気後退期に入る可能性に対して
トレーダーとしてどのような姿勢で向き合うべきか、
そんな話もさせてもらいます。
いつも言っていることですが、
トレーダーの仕事は利益を上げることであり、
経済について詳しくなることではありません。
断言しますが、経済に詳しくなることと、
トレードで利益を上げることとは別物です。
フォーブスのランキングに
経済学者が登場しないことを見れば
それは明らかですよね。
ですから、「逆イールド」について
詳しく知っても利益に直結するわけではありません。
ただ、せっかくトレードに興味があるなら
知っておいても損はないでしょう。
ニュースを見て話を理解できた方が
単純に楽しいですよね。
ということで、構えずに
ゆるい気持ちで
読んでいただければと思います。
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逆イールド=景気後退?
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ではまず金利の話から。
金利には長期金利と短期金利があることは
きっとあなたも
どこかで聞いたことがあるでしょう。
ウィキペディアによると長期金利は
『償還期間の長い債券や満期までの期間が長い
金融資産や負債の金利。』
とあります。
(ウィキペディア
『https://ja.wikipedia.org/wiki/長期金利』より引用)
一方で短期金利は
『償還期間の短い債券など期間の短い
金融資産や負債の金利。』
です。
(ウィキペディア
『https://ja.wikipedia.org/wiki/短期金利』より引用)
長期金利は投資家心理を反映し、
短期金利は中央銀行の政策に
影響を受ける傾向にありますが、
なぜ長期金利の方が短期金利よりも
高くなる傾向があるのでしょう?
例えばあなたがアメリカの国債を
長期にわたり保有することを
イメージしてください。
当然ですが、期間が長ければ長いほど
資金を回収するまでの時間は長くなり、
期間が長い分だけ価格変動の
リスクにさらされることになります。
となると
「長期間我慢するんだから、金利高くしてよね」
と思うのが普通ですよね。
ですから、一般的に長期金利は
短期金利よりも高くなる傾向にあるのです。
しかし、時に長期金利と短期金利が
逆転することがある。
これが「逆イールド」という現象です。
では、逆イールドは
どういった場面で起こるのでしょう?
例えば、多くの市場参加者が
将来の景気を悲観的に見ている時です。
「景気が後退する」と考える時、
人は恐怖心からリスクを抑えたがります。
そしてできるだけ安全な資産を求めます。
安全資産といえば国債が挙げられます。
今回も、
世界情勢に対するネガティブな投資家心理が蔓延し、
アメリカの国債に資金が流れました。
国債が買われると当然、国債価格は上がります。
結果、長期金利が下がり、
短期金利をも下回ったのです。
ちなみに、ここで1つ疑問が湧くかもしれません。
「なぜ国債の人気が高くなると、金利が下がるの?」
と。
疑問に思う方は、国の立場に立って
「お金を借りたい」と思った時のことを
イメージしてみてください。
あなたが「お金を借りたい!!」
と言ったらあなたにお金を貸してくれる人が
1人しか現れなかったとしましょう。
あなたはもっとたくさんの人から
お金を借りなければいけなくなるわけですが、
どういう方法が考えられますか?
金利を高くすることですよね。
金利が高くなれば
貸してくれる人は増えるでしょう。
一方で、例えば10人の人が
「お金貸したい」
と言ってくれたとします。
10人いるわけですから、
1人しか現れなかった時より
金利は安くても大丈夫ですよね。
つまり、
国債の人気が高いということは、
「お金を貸しても良いよ」
という人が多い状態ですから、
金利は必然的に安くなるのです。
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本質を見失うな
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「逆イールド」の発生が
投資家心理の悪化を示している、
ということはご理解いただけたかと思います。
では実際に逆イールド発生した後、
景気は後退するのでしょうか?
過去を振り返ると
アメリカで逆イールドが発生した際、
アメリカは景気後退時期に
突入しているんですね。
だからこそ、今回も逆イールドの発生が
不安視されているわけです。
ただし、勘違いしてはいけません。
逆イールドが発生すれば
必ず景気後退期に入るわけではありません。
今回、
「景気が悪化するかもしれない」
と市場参加者の心理状態が悪化したことで
逆イールドが発生し、
不安が拡大している状況があります。
事実、それが株価にも反映されました。
ただ、どうかあなたは群集心理に
巻き込まれないでください。
多くの市場参加者が不安になっている中、
あなたも一緒になって不安になってしまうのは
あまりにもったいない。
大切なことは市場参加者が
どのように考えているか、
ということではなく、
アメリカ経済が本当にやばい状況にあるのか、
ということを知ることです。
どうですか?
本当にアメリカ経済は
ヤバい状況にあると思いますか?
メディアの報道を読み、
不安になっているのであれば、ぜひあなた自身で
アメリカの経済状況について
考えてみてください。
こういう時、多くの方は
アナリストの方々の意見を参考にしようとされますが、
もしそうされたいのであれば、
本当に投資で利益を獲得しているアナリストの話だけを
参考にすべきです。
そういうアナリストの方が
世界中に何人いるのか分かりませんが・・・
それでは本日も
最後までご覧くださいまして
ありがとうございます。
下山敬三
よろしいですか?