勝率37.1%のブレイクアウト ー日本株システムトレード基礎講座③
「勝率 37.1%」のブレイクアウト
証券アナリストで、システムトレードに関するセミナー講師を担当しています、フェアトレー
ド株式会社の西村剛(にしむらつよし)です。本講座では、ご覧頂いた皆さまが基礎から「シス
テムトレード」を理解できるように、やさしい言葉とやさしい表現で解説していきます。ぜひ、
最後までお付き合い頂ければと思います。今回のテーマは「勝率 37.1%のブレイクアウト」です。
では、中身に入りましょう。
「バックテストに必要なもの」の講座では、ご自身でバックテスト(検証)を行う方法につい
て、いくつかの選択肢をご紹介しました。それをご覧になって、ご自身で実際に「バックテスト
をしてみたい!」と思った方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。一方で、ちょっと自分
ではそこまでやる気になれないと思った方もいらっしゃるかと思います。もちろん、最終的には
ご自身でバックテストを行っていただければベストです。しかし、すべての方がそういう目標を
持っているわけではないかと思います。
例えば、「バックテストのやり方」よりも「具体的な売買ルール」に、ご興味がある方が多いの
ではないかと思います。実際に、そのようなご意見を常々頂戴致します。そこで、今回は簡単な
売買戦略のバックテストを行い、その結果を皆さんにご覧頂きたいと思います。そして、それを
通じで、システムトレードの システムトレードの理解を深めていこうと考えています。
今回は、日本でも有数のシステムトレーダーとの呼び声の高い「斉藤正章」氏に売買ルールに
ご紹介していただきます。では、ここらか斉藤正章氏にバトンタッチします。
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はじめまして、斉藤正章です。今回は、この場をお借りして、私も実際に使用している「売買
ルール」についてご紹介致します。今回ご紹介する売買ルールは、「チャネルブレイクアウト(高
値更新)」というシンプルな戦略です。この売買ルールは私自身も実際の売買に利用しているメイ
ンの戦略の 1 つです。(※私自身が使用している実際の売買ルールは、これに多少の改良を行ったものです)
「XX日間の高値を更新したら買い」というようにシンプルなルール というようにシンプルなルールであるにも関わらず、使
い方次第では非常に利用価値の高い戦略なのです。早速、この戦略についてご説明しましょう。
通常、株は「下落したら買い」というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この戦略は「過去XX日間の高値(終値で一番高い価格)を高値更新したら買い」とい
うように、株価が上がったら買いという反対のものです。つまり「順張りタイプ」の戦略です。
当然、買い(仕掛け)のルールだけではなく、売る(決済)ときにもルールがありますが、売
りのルールも同様で、「過去XX日間の安値(終値で一番安い価格)を安値更新したら売り」とい
うように、買いのルールを逆にしたものです。
よって、これらを一言でまとめると株価がある程度上昇したら買い、ある程度下落したら売る
というように、現在のトレンドに沿って売買する方法ということになるわけです。
具体的な売買ルールは以下のようになります。
┌───────────────────────────────┐
[買いルール]
・過去 40 日間の高値(終値で一番高い価格)を更新
[売りルール]
・過去 20 日間の安値(終値で一番安い価格)を更新
※売買は翌日の寄付き(始値)で行う
└───────────────────────────────┘
買いか、売りか、にかかわらず、売買を行うのはすべて翌日の寄付き(始値)になりますので、
毎日夕方以降に一度だけ株価を確認するだけで OK です。会社員の方などは、仕事が終わって夕
方以降に株価を確認し、上記の条件になっていれば、翌日に発注されるように注文を出せば良い
です。場中に張り付いてデイトレードなどをする必要は全くありません。
そして、
上記のルールを約 9 年間のデータでバックテストした結果が下記になります。
┌───────────────────────────────┐
[検証結果] (テスト期間:2000/1/1~2008/5/16)
勝率:37.1%
平均損益率:+0.89%
平均保有日数:49.94%
└───────────────────────────────┘
いかがでしょうか?チャネルブレイクアウト戦略を検証した結果、「勝率は約 37%、平均損益 は 0.89%」とあまり芳しくない結果となりました。
よろしいですか?