EAを買う前に確認する20項目と、危ない答えの組み合わせ
FX聖杯研究所の所長です。50歳のシステムエンジニアで、「勝てそう」に見える自動売買の手法を、過去データで確かめて壊していく記録をつけています。
9月26日と29日の記事では、商品ページの数字を1つずつ読みました。今日は、EA(FXの売買を自動で行うプログラム)を買う前に見る20項目を、組み合わせて読みます。
9月26日の記事「PFとは? EAの商品ページの『PF 1.5』でも赤字になる3つの場合」:https://www.gogojungle.co.jp/finance/navi/articles/126730
9月29日の記事「勝率90%のEAが危険な理由」:https://www.gogojungle.co.jp/finance/navi/articles/126847
この記事に出てくる数字は、すべて説明のための計算例です。 私自身の検証結果や成績ではありません。
結論
EAの商品ページは、1項目ずつ見ると、どれも合格に見えることがあります。危ないのは、1つずつなら見逃す答えが、重なったときです。
だから、次の2つを守って見ます。
- 商品ページを開く前に、「この答えなら買わない」を先に書いておく
- 商品ページの成績と、本番の取引とのずれを疑う
無料部分では、20項目の5つのまとまりと、一番危ない組み合わせを1つ、計算例で見せます。
1つずつなら良く見える、3つの答え
あるEAの商品ページに、次の3つが書いてあったとします。説明のための計算例です。
- 作りの説明:負けたら、次の取引の量を2倍にする
- すすめられている資金:10万円
- 成績:取引100回で黒字
1つ目は、マーチン(負けるたびに、次の取引の量を増やす作り)です。何回負けても、次に1回勝てば、それまでの負けを取り返したうえで利益が出ます。ここだけ読むと、心強く見えます。
2つ目は、推奨証拠金(そのEAを動かすのにすすめられている資金)です。10万円なら、少ない資金で始められます。
3つ目は、取引回数です。100回の取引で黒字なら、すぐに崩れる作りではないように見えます。
重ねると、7連敗で資金を超える
3つを重ねて計算します。1回目の負けを1000円とします。金額は取引コスト(買値と売値の差や手数料)を引いたあとの額です。
負けるたびに取引の量を2倍にするので、負けの額も1000円、2000円、4000円……と2倍ずつ増えます。損失の合計は、6連敗で6万3000円です。
6連敗のあと、残りの資金は3万7000円。7回目は、負ければ6万4000円減る取引です。7連敗すると損失の合計は12万7000円になり、資金10万円を超えます。 「次に1回勝てば取り返せる」のは、次の負けを払える資金が残っているときだけです。
では、7連敗はどのくらい起きるのか。勝率(取引のうち、勝った回数の割合)を60%とします。10回に4回は負ける手法です。
ある1回から数えて7回続けて負ける確率は、約0.16%。約600回に1回です。めったに起きないように見えます。
でも、取引を重ねると話が変わります。取引100回のどこかで7連敗が起きる確率は約9%。1000回なら約63%です。
つまり、取引100回の成績が黒字でも、それは7連敗がまだ来ていないだけかもしれません。同じ作りで1000回まで続けると、6割を超える確率で、どこかで7連敗が来ます。そのときの資金が12万7000円に届いていなければ、資金を超えます。
一番重く見るのは、資金が一度に消える組み合わせ
20項目の中で私が一番重く見るのは、上の例のように、損が一度に大きく出る作りと、それに耐えられない資金と、まだその損が来ていない短い成績が重なる形です。
理由は、止める時間が無いからです。取引コストで少しずつ負ける作りなら、成績の悪化を見て途中で止められます。この形は、ある日の連敗で資金がまとめて消えるので、気づいたときには終わっています。
損切り(決めた線まで負けたら自動で決済すること)をしない作りも、同じ形になりえます。
ナンピン(負けている取引を損切りせず、買い増すこと)の作りも同じです。どの答えと重なると危ないかは、有料部分で組み合わせごとに書きます。
20項目は5つのまとまり
まとまりの中だけで見ても、危ない組み合わせは見つかりません。上のマーチンの例は、「損の出方」の2項目と、「数字の土台」の取引回数をまたいでいます。
2つの考え方
基準を先に決める。 良い数字を見たあとで基準を決めると、基準がゆるみます。「PF(総利益を総損失で割った数字。1.0を下回ると赤字)がこんなに高いなら、取引回数が少なくてもいいか」と考えてしまうからです。だから、商品ページを開く前に「この答えなら買わない」を書いておきます。私が自分の検証で、成績を見る前に落とす基準を決めているのと同じやり方です。
本番とのずれを疑う。 商品ページの成績は、過去データでの検証か、決まった条件で動かした記録です。本番では、取引コストが広がる時間帯などがあり、成績がずれます。私はいま、自分の検証プログラムの結果と、取引ソフトの検証機能の結果を1回の取引ごとに突き合わせて、ずれを測っています。結果の数字はまだ出しませんが、成績が条件しだいでずれること自体は、買う前から疑っておけます。
有料部分に入っているもの(980円)
- 危ない答えの組み合わせ6つの一覧と、それぞれの理由と、商品ページでの確かめ方(高い勝率、負けたあとの取引の量、買い増し、取引コストへの弱さ、過去に合わせすぎ、成績の期間)
- 勝率と取引回数ごとの「7連敗がどこかで起きる確率」の表と、資金が1回目の負けの何倍なら何連敗まで耐えられるかの表
- 買い増しの含み損が、確定した損益に出てこない計算例
- 商品ページの平均利益・平均損失から、取引コストを足してPFを計算し直す手順
- 基準の書き方の例と、買う前の確認の流れ図
- おまけ:20項目の確認表(見る場所と、危ないかもしれない答えつき。書き写す欄あり)
無料部分だけでも、今日のマーチンと小さな資金の組み合わせは見分けられます。
最後に
FX聖杯研究所では、良い数字を見たら、まず「どういう条件で崩れるか」を探すことにしています。今日の例で崩れる条件は、「連敗の損の合計が、資金を超えること」でした。
この記事の計算と図はAIを使って作り、数字はすべてプログラムで検算しています。
必ず勝てる方法を約束することはしません。でも、聖杯はあると信じて探しています。
私が探している聖杯は、取引コストを入れても、まだ見ていない期間でも崩れない売買ルールです。取引100回の成績だけ良いマーチンは、7連敗がまだ来ていないだけの偽物かもしれません。
1項目ずつなら合格に見える偽物も、答えを重ねると正体が見えます。商品ページを開く前に「買わない答え」を書き、答えを重ねて読む。それだけで、偽物を1つ外せます。偽物を1つ外すたびに、聖杯に1歩近づきます。
用語のまとめ
- EA:FXの売買を自動で行うプログラム
- PF:勝った取引の利益の合計 ÷ 負けた取引の損失の合計。1.0を下回ると赤字
- 勝率:取引のうち、勝った回数の割合
- マーチン:負けるたびに、次の取引の量を増やす作り
- 推奨証拠金:そのEAを動かすのにすすめられている資金
- 損切り:決めた線まで負けたら自動で決済すること
- ナンピン:負けている取引を損切りせず、買い増すこと
- 含み損:まだ決済していない取引の損
- 設定値:売買ルールの中の数字
- 取引コスト:売買のたびにかかるお金。買値と売値の差(スプレッド)や手数料
※この記事は投資の助言ではありません。数字はすべて説明のための計算例です。