【フィボナッチ実戦ノート】第4回:フィボナッチ最大の弱点は、起点選びの主観性である。
「フィボナッチを引く直近の高値と安値」ってどこ
前回は、フィボナッチの各レベルが持つ意味を書きました。今回はその手前、そもそもどこから引くかという話です。
引き方の解説を読むと、たいてい「直近の高値と安値を結ぶ」と書かれています。ですが、実際のチャートを開いてみてください。高値も安値も、いくつもありますよね。どれが「直近」で「引くべき」なのか。はっきりしないことのほうが多いと思います。
そして厄介なことに、どれを選ぶかでレベルの位置が変わります。 つまり、引き方が損益に直接影響するわけです。
今回は、そんな「フィボナッチの引き方」についてです。
まず、ヒゲか実体か
ここは、実はそこまではっきりしていません。ヒゲの先まで引くという考え方が多いようです。
理由は、天井や底を付けた瞬間の価格が、最も意識されやすいから。実体の終値より、跳ね返された値のほうが記憶に残る。そういう考え方ですね。
ただし、実体で引く人もいます。どちらが正しい、という話ではなく、自分の中で統一しておくことのほうが大事なようです。フィボナッチには、こういう主観的な分析の余地が、最初から最後まで付きまといます。問題は次です。
どの波を選ぶのか
こちらが本題です。
上昇トレンドの押し目を狙うとします。フィボナッチを引くには、「どこからどこまでの上昇か」を決めないといけません。ところが、上昇の途中には小さな押し目がいくつもあります。そのため、そのどれを起点にするかで、迷います。
判断の目安を3つ挙げます。
① ひと続きの波として見えるか
起点から高値まで、一本の動きに見えるか。途中で大きく戻していたら、そこは別の波かもしれません。目安として、フラクタルというインジケーターがあります。MT4/MT5に標準搭載されていて、前後2本より高い(低い)足を機械的に見つけてくれます。目視だけで迷うときは、これを表示してみると当たりがつけやすくなります。
② その安値が、他の人にも見えているか
フィボナッチが効く理由は、多くの人が同じ線を見ているからでした。つまり、自分にしか見えていない安値を起点にしても、効きにくいわけです。誰が見ても分かる、はっきりした安値を選ぶほうが無難だと思います。
③ 時間足を上げても残るか
15分足で見つけた安値が、1時間足でも残っているか。上位足でも見える安値なら、見ている人は多いはずです。
ただし、これらの基準を使っても、起点選びの主観性は、フィボナッチ最大の弱点だとよく言われます。人によって、同じチャートでも違う線を引くことがあります。
では、選び方でどれだけ変わるのか
ここで一度、数字にしてみます。
同じ高値101.00に向かって、起点を2通りに変えてみます。
A:近いほうの安値100.00を起点にする
- 波の幅:100pips
- 38.2%戻し:100.618
- 50.0%戻し:100.500
- 61.8%戻し:100.382
B:もう一段前の安値99.80を起点にする
- 波の幅:120pips
- 38.2%戻し:100.542
- 50.0%戻し:100.400
- 61.8%戻し:100.258
波の幅は20pipsしか違いません。ですが、61.8%の位置は違います。100.382と100.258。12.4pipsずれます。決して小さな差ではありません。
起点をひとつ変えただけで、これだけ動きます。
正解はひとつではないと思います
ですが、AとBのどちらが正しいか、という話ではないと思っています。
Aなら早く入れます。ただし浅い戻りで反発しなければ、そのまま抜けていきます。Bまで待てば有利な価格で入れますが、そこまで来ないこともあります。前回、23.6%は浅いぶん心もとなく、78.6%は止まるか終わるかの分岐点だと書きました。同じ構図が、ここにもあります。
大事なのは、自覚しておくことだと思います。自分が今、どちらの波を見ているのか。私はZigZagを基準にしていて、表示された波を「今見ている波」の目安にしています。
迷ったら、引き直しています
実際のところ、私は迷ったら両方引いてみます。Aで引いてレベルを見て、Bでも引いてみる。並べてみると、どちらの水準に反応しているかが分かることがあります。過去の値動きが、どのレベルで止まっているかを見るわけですね。
それでも決めきれないときは、ダウ理論や移動平均線など、他の指標も組み合わせて判断しています。
ただ、これを手でやると地味に面倒です。価格を読み直します。pipsを数え直します。ロットも計算し直します。第1回で書いた7つの手順を、引き直すたびに最初からやることになります。
私の愛用ツールの紹介
私が使っているFTSは、引き直しにそのまま追従してくれます。フィボナッチを描き直すと、TP・SLのバッジも計算結果も、新しいレベルへ自動で付いてきます。
これのおかげで、AとBを引き比べる作業が、そのまま比較になります。Aで引けば、そのpips距離とリスクリワード比がすぐ出ます。Bで引き直せば、数字が入れ替わります。どちらの条件が自分に合うか、数字を見ながらその場で選べます。なので、迷ったときの引き直しが、まったく苦になりません。
起点選びに正解がない以上、気軽に何度でも試せることが、分析を効率化する武器になると私は考えます。
実際の画面や機能の詳細は、商品ページに載っています。
→ Fibonacci Trade System(商品ページ)
次回
第5回では、どのレベルを狙うかを書きます。
起点が決まれば、レベルの位置も決まります。ただ、そこから先、実際にどのレベルで待つかは、また別の判断です。浅い位置で早めに入るか、深い位置までじっと待つか。ここは第3回・第4回で見てきた「浅い/深い」の話とも繋がってきます。