【フィボナッチ実践ノート】第2回:61.8%はどこから来たのか。なぜ効くのか。
数字の出どころを知らないまま使っていませんか
前回は、フィボナッチを引いた後の話を書きました。今回は少し戻ります。そもそも、なぜこの数字なのかという話です。
23.6%、38.2%、61.8%。MT5に最初から入っている数字ですね。私も長いこと、意味を考えずに使っていました。
ただ、出どころを知っておくと判断が変わる場面があります。特に「効かないとき」に、なぜ効かないのかを考えられるようになります。
まず、数列の話から
フィボナッチ数列は、こういう並びです。
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144...
前の2つを足すと次になる。つまり、それだけの規則です。1+1=2、1+2=3、2+3=5。
面白いのはここからです。隣り合う2つの数を割ってみます。
| 割り算 | 答え |
| 3 ÷ 2 | 1.500000 |
| 5 ÷ 3 | 1.666667 |
| 8 ÷ 5 | 1.600000 |
| 13 ÷ 8 | 1.625000 |
| 21 ÷ 13 | 1.615385 |
| 55 ÷ 34 | 1.617647 |
| 144 ÷ 89 | 1.617978 |
| 377 ÷ 233 | 1.618026 |
1.618に近づいていきます。黄金比と呼ばれる数字ですね。正確には1.6180339887…と無限に続きます。
各レベルは、ここから作られています
61.8%は、この1.618の逆数です。
1 ÷ 1.618 = 0.618
では38.2%はどこから来たのか。0.618を2乗します。
0.618 × 0.618 = 0.382
そして23.6%は3乗です。
0.618 × 0.618 × 0.618 = 0.236
また、78.6%というレベルもあります。これは0.618の平方根です。
√0.618 = 0.786
利確に使う161.8%と261.8%も、黄金比そのものとその2乗です。すべて1.618から派生しています。
ただし、50%だけは違います
半値戻しの50%。これはフィボナッチ数列から導けません。
実際、どう組み合わせても0.5は出てきません。50%は「相場は半分くらい戻ることが多い」という経験則から、後になって加えられたものです。
つまり、フィボナッチのレベル一覧の中に、フィボナッチではない数字が1つ混ざっています。知らずに使っている方も多いのではないでしょうか。
フィボナッチは自然界にも出てくる
この数列は自然界にもよく現れます。ひまわりの種の並び、巻貝の渦、木の枝分かれ。植物の葉が重ならないように付く角度も、黄金比に近いそうです。
この「自然界に現れる」という事実が、相場に持ち込まれるきっかけになりました。
なぜ相場に持ち込まれたのか
ここからが本題です。
きっかけは1938年。ラルフ・ネルソン・エリオットというアメリカの株式アナリストでした。エリオット波動理論を作った人ですね。
彼はNYダウの値動きを分析していて、上昇と下落のリズムに規則性があることに気づきます。そして、こう考えました。
「自然現象の多くはフィボナッチ数列に支配されている。」
↓
相場は、多くの人の心理が集まったものだ。
↓
人の心理も自然現象の一つだとすれば、相場もフィボナッチで説明できるのではないか。
これが出発点でした。
念のため書いておきます。これは仮説です。証明されたわけではありません。「自然界がそうだから相場もそうだろう」という、かなり大胆な発想ですよね。
結果として意識されるようになった
ここが一番大事なところだと思います。
エリオットの仮説は、その後広まっていきます。多くのトレーダーが取り入れ、チャートソフトに標準搭載され、気づけば世界中の人が同じ線を見るようになっていました。
すると、何が起きるか。
61.8%に注文が集まります。多くの人が「ここで反発するはずだ」と思って待っているからです。そして実際に買いが入れば、価格は反発します。すると「やはり効いた」と確認される。次も同じ場所が意識されます。
つまり、今フィボナッチが効いているのは、黄金比が自然界の法則だからではありません。
多くの人が見ているから効いている。この一点だと思っています。数学的な必然ではなく、結果としてそうなったわけですね。
つまり、こう考えられます
この理解があると、いくつか判断できるようになります。
① 独自の数値を足しても効きにくい
「43.7%が効く」と自分で見つけたとします。ですが、それを見ているのは自分だけです。注文は集まりません。なので、標準的な数値を使うほうが合理的だと思います。
② 効かない場面があるのは当然
指標発表やニュースで大きく動くとき、レベルはあっさり抜けます。そういう場面では、テクニカルを見ている人の注文より、それ以外の力のほうが大きいからですね。つまり、効かないのは異常ではありません。前提が崩れているだけです。
③ 上位足のほうが効きやすい
日足のレベルは、日足を見ている人全員が意識するでしょう。5分足のレベルを見ている人は、それより少ないはずです。見ている人数の差が、そのまま効き方の差になるのかもしれません。
私が使っている道具の話
私が使っているFTSは、MT5標準のフィボナッチを検知して動きます。
ただし、独自の描画ツールを使うわけではありません。多くの人が見ているのと同じ線を、そのまま使う設計です。ここまで書いてきた「みんなが見ているから効く」という理屈からすると、これは理にかなっていると思っています。
引いたレベルに合わせてTP・SLの候補が出て、pips距離とリスクリワード比が表示されます。使うレベルの構成も自由に決められるので、標準の数値をそのまま使えます。
フィボナッチは確かに効きますが、万能ではありません。そうなると相場の分析が重要になります。
このツールはフィボナッチ取引のためだけに最適化してあるので、重要な相場分析にリソースを割くことができています。
↓実際の画面や機能の詳細↓
次回
第3回では、各レベルの意味の違いを書く予定です。
今回は数字の出どころでしたが、次は読み方の話になります。23.6%と61.8%では、意味が違います。どこまで戻ったかで、相場の見え方が変わるという話をします。