【フィボナッチ実践ノート】第1回:「61.8%まで戻った」、そこから注文するまでに決める5つのこと
「どこで反発するか」の、その先
フィボナッチ・リトレースメントの解説は、たくさんあります。23.6%、38.2%、50%、61.8%、78.6%。このあたりで反発しやすい、という話ですね。
ただ、そこで終わっている解説が多いように思います。
実際に注文を出すには、その先を決めないといけません。利確はどこに置くか。損切りはどこか。ロットはいくつにするか。そもそも、その取引は割に合うのか。
今回は、この「引いた後」の話をします。私がフィボナッチを使うトレードで、一番困ったのがここでした。
① まず、狙うレベルを決める
基本から整理します。
上昇トレンドの押し目を狙う場合、直近の安値を100%、高値を0%としてフィボナッチを引きます。そして価格が戻ってくるのを待ちます。
よく見られているのは、38.2%から61.8%の範囲です。ゴールデンゾーンと呼ばれることもありますね。
なぜここが意識されるのか。理由は単純で、多くの人が同じ線を見ているからです。61.8%は黄金比ですし、MT5の初期設定にも入っています。つまり、根拠が正しいから効くというより、みんなが見ているから効く、という側面が強いのだと思います。
なので、マイナーな数値を自分で足すより、標準的なレベルを見ておいたほうが無難かもしれません。
② 損切りをどこに置くか
ここからが本題です。
61.8%まで戻ってきた。反発しそうだ。買いたい。……で、損切りはどこに置きますか。
よく言われるのは、次のレベルの少し外側です。61.8%で入るなら、78.6%の外側、あるいは100%の外側。10pips程度の余裕を持たせる、という考え方もあります。
なぜ「少し外側」なのか。ぴったりの位置に置くと、ヒゲで刈られる可能性が高いからですね。ここは経験のある方ほど、痛い思いをされているかもしれません。
ただし、外側に置くほど損切り幅は広がります。広げれば刈られにくくなりますが、その分ロットを落とさないとリスクが増えます。このトレードオフから逃げられません。
③ 利確をどこに置くか
利確も、フィボナッチのレベルをそのまま使えます。
- 0.0%(直近高値)……最も素直な目標
- 23.6%……手前で確実に取りにいく
- 161.8%……高値を抜けて伸びた場合の延長
分割する方法もあります。38.2%や50%で半分利確して、残りを0.0%まで持つ。勝率と利益幅のバランスを取る考え方ですね。
④ ここで一度、数字を出してみる
さて、ここが今回いちばんお伝えしたい部分です。
さきほどの組み合わせを、実際の数字にしてみます。
たとえば61.8%で買って、SLを100%、TPを0.0%に置いたとします。フィボナッチの全体幅を100pipsとすると、こうなります。
- エントリーから損切りまで:38.2pips
- エントリーから利確まで:61.8pips
- リスクリワード比:約1対1.6
悪くない数字だと思います。
では、78.6%まで待って入った場合はどうでしょうか。
- 損切りまで:21.4pips
- 利確まで:78.6pips
- リスクリワード比:約1対3.7
なお、この数字にスプレッドは含めていません。実際にはもう少し不利になります。
数字だけ見ると、深く待つほど有利に見えます。
ただし、そこまで戻ってこないことも多いわけです。38.2%で反発して、そのまま行ってしまう。待つほど条件は良くなるが、そもそも入れる回数が減る。この関係は、頭に入れておいて損はないと思います。
どちらが正しい、という話ではありません。私の場合は、相場の状況によって変えています。
ただ、その場で考え始めると遅れます。なので、いくつかの型をあらかじめ決めておいて、当てはまるものを選ぶ、という形にしています。それだけでも判断は速くなるはずです。
⑤ ロットを決める
最後にロットです。
損切り幅が決まれば、ロットは計算できます。許容損失額を損切り幅で割るだけです。
たとえば資金50万円で、1回の許容損失を2%(1万円)とします。損切り幅が38.2pipsなら、1pipsあたり約262円までなら耐えられる計算になります。
……という計算を、毎回します。
実際にやってみると、それなりに大変です
ここまでの流れを、もう一度並べてみます。
- フィボナッチを引く
- どのレベルで入るか決める
- SLの価格を読む
- TPの価格を読む
- 現在価格からの距離をpipsに直す
- 許容損失からロットを計算する
- 注文画面を開いて、価格とロットを入力する
7つあります。しかも相場が動いている最中にやることになります。
反発を確認してから注文画面を開いて、価格を打ち込んで、ロットを計算し直して……そうしているうちに、足が伸びていく。私も何度もありました。
ただ、それより困ったのは別のことです。計算に気を取られていると、相場を見る余裕がなくなります。
目の前で値が動いているのに、こちらは計算や注文作業に必死。落ち着いて相場に集中できないまま、注文だけ出している。そういう状態になりがちでした。
慣れれば速くはなります。ただ、速くやろうとすると、今度は雑になります。私の場合、ロットの確認が後回しになりがちでした。とりあえず注文を出しておいて、あとで見る。よくない癖だったと思います。
これらの計算は道具に任せています
私が使っているのは、Fibonacci Trade System(FTS)というMT5用のツールです。
このツールがやるのは、上の3〜6の自動化です。
フィボナッチを描くと、設定しておいたレベル(たとえばTP=0.0、SL=100.0)にバッジが出ます。そこには価格と、現在値からのpips距離と、そのロットでのリスクリワード比が表示されます。あとは押すだけです。
つまり、判断は自分でやって、計算は任せるという分け方になります。相場を読むところまで自動化するツールではありません。ただ、私はそこが使いやすいと感じています。
私が使ってみて一番変わったのは、速さではありませんでした。相場を見る時間が戻ってきたことです。
計算に注意を持っていかれないぶん、値動きのほうを落ち着いて見ていられます。
「61.8%で入って、SLは100%、TPは0.0%」という組み合わせをプリセットとして登録しておけば、次からはボタン一つで同じ構成が呼び出せます。
実際の画面や機能の詳細は、商品ページに載っています。
→ Fibonacci Trade System(商品ページ)
次回
第2回では、「61.8%という数字は、そもそもどこから来たのか」を書きます。
今回はTP・SLの置き方という、実務の話でした。次は少し戻ります。MT5に最初から入っている23.6%や61.8%が、どういう計算で作られているのか。そして、なぜそれが相場で効くのか。
ちなみに、あの一覧の中に1つだけ、フィボナッチ数列から導けない数字が混ざっています。どれか分かりますか?
答え合わせは次回!