えんむすびAI 開発ストーリー 第9回 ― 「出遅れ」はどう測る(pipsでなくATRで公平に比べる)
前回(第8回)、えんむすびAIは3つの円クロスを横並びにして「出遅れた一輪」を買う、とお話ししました。では、その「出遅れ」をどうやって数値で測るのか。じつは、単純なpips(値幅)で比べると不公平になります。今回は、ATR(ボラティリティ)でものさしをそろえるという、地味だけれど大事な工夫の話です。
USDJPY・GBPJPY・EURJPYは、そもそも普段の値動きの大きさが違います。ポンド円はよく動き、1日で大きなpipsが出ます。一方でドル円やユーロ円は、相対的に穏やかです。
この状態で「何pips下げたか」を単純に比べると、いつもポンド円が一番出遅れて見えてしまうのです。実際には「よく動く子が、いつも通り動いただけ」かもしれないのに。これでは、公平な比較になりません。
そこで使うのが ATR(その通貨の「普段どれくらい動くか」を表す値幅)です。下げ幅を生のpipsではなく、「その通貨のATR何個ぶん沈んだか」に換算します。
こうすると、よく動く通貨も穏やかな通貨も、同じ土俵で比べられます。たとえるなら、身長の伸びを「センチ」ではなく「その人にとって普通の伸び幅の何倍か」で見るようなもの。それぞれの基準で正規化するから、公平になるのです。
生のpips:「ポンド円が80、ドル円が40下げた」→ ポンド円が出遅れ?
ATR換算:「ポンド円は普段どおり、ドル円は普段の2倍沈んだ」→ 本当に出遅れているのはドル円。
※図はえんむすびAIの「ATRで公平に比べる」考え方を示したイメージです。
ATRでそろえた物差しで3つを並べ、いちばん沈んでいる一輪を選びます。よく動く通貨が「いつも通り動いただけ」で選ばれてしまう、というブレを減らせる。だからこそ「出遅れ=いずれ追いついてくる」という回帰の発想が、より素直に機能します。地味な工夫ですが、ここを公平にできるかどうかが、出遅れ買いの土台だと考えています。
ひとつ、毎回お伝えしていることを。ATRで公平に「出遅れ」を選べたとしても、全面的で長期的な円高が来れば、3つとも一緒に沈みます。物差しを賢くしても、買い専用・損切りなしという設計の弱点が消えるわけではありません。だからこそ、必ず余裕資金で。これは、何度でも繰り返します。
- 生のpipsで比べると、よく動く通貨(ポンド円)がいつも出遅れに見えて不公平
- ATR(普段の値幅)でものさしをそろえ、「ATR何個ぶん沈んだか」で測る
- 公平に比べるから、「本当に出遅れた1つ」を選べ、回帰の発想が素直に効く
- ただし物差しを工夫しても、全面・長期の円高では3つとも沈む弱点は残る → 必ず余裕資金で
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。掲載している運用結果は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。FX・CFD取引はリスクを伴います。投資判断はご自身の責任において行ってください。