えんむすびAI 開発ストーリー 第6回 ― 機械学習を使わなかった理由(外部通信なし・EA単体で完結)
前回は「説明できるAI」にした理由をお話ししました。今回はその土台――なぜ、いわゆる“機械学習のAI”を使わなかったのか。結論から言えば、えんむすびAIは外部のサーバーにもDLLにも頼らず、ファイルひとつ(ex5)でチャートの中だけで完結する“ルールの連鎖”でできています。賢く見せることより、止まらない・同じに動く・理由を言える。その三つを選んだ話です。
AIと聞くと、多くの方は機械学習――大量の過去データを読み込ませてパターンを覚えさせるもの――を思い浮かべると思います。よく当たることもありますが、弱点もはっきりしています。なぜそう判断したのかを、作った本人にも説明できないこと。
えんむすびAIは、そちらとは別系統です。「もし○○なら、△△する」というルールを積み上げた推論エンジン(エキスパートシステム)。人間が相場を見るときの判断手順を、そのまま書き起こしたもの、と言ったほうが近いかもしれません。中身がルールだからこそ、前回お話しした「説明できる」が成り立ちます。土台からして違うのです。
“賢いAI”の多くは、外部のサーバーやデータに通信しながら動きます。便利な一方で、通信が切れれば止まり、遅れれば判断がずれ、どこかに情報が出る。動かす環境にも左右されます。えんむすびAIは、その依存を最初から断ちました。WebRequestもDLLも使わず、ex5ひとつでチャートの内側だけで完結します。
- 通信障害やサーバー停止で止まらない
- 外部サービスの費用・規約・終了に縛られない
- お客様の口座でも、私の検証と同じように動く(再現性)
- 外部通信・DLLを禁じる出品審査の基準にも素直に通る
「賢いけれど、何かに依存して止まる」より、「素朴でも、自分の足で立っている」。長く付き合う道具として、私は後者を選びました。
機械学習を相場で使う最大の危うさは、過学習(カーブフィット)です。過去にぴったり合わせ込むほど、未来でいきなり崩れる。バックテストだけ神がかって見え、実戦であっけなく溶ける――その典型を、私は何度も見てきました。
私自身の検証でも、ゴールドの“次の方向”は、どんな手法を使ってもほぼ当てられない、という結論に行き着きました(この話はいずれ別の回で)。当てられないものを、複雑なモデルで無理に当てにいくほど危うい。だからえんむすびAIは、意味の分かる少数のルールだけで組みました。つまみ(パラメーター)が少ないほど、過去に媚びず、知らない相場にも素直でいられます。
※図はえんむすびAIの考え方を示したイメージです。実際の判定項目・挙動とは異なる場合があります。
機械学習を使わないなら、なぜAIと名乗るのか。私にとってのAIは、賢さの自慢ではありません。相場と口座の状態を「知覚」し、ルールで「推論」し、「新しい買いを止める・待つ」を一貫して「実行」する――その判断の自動化(人の感情を挟まない仕組み)こそをAIと呼んでいます。
そして、その判断の理由を「縁結び処」に日本語で映し出す。中身がルールだからこそ、理由をそのまま見せられます。賢く見える黒い箱より、素直で、説明できる仕組みを。えんむすびAIの「AI」は、そういう意味です。
機械学習を使わなかったのは、能力が足りないからではありません。止まらない・同じに動く・理由を言えることを優先した結果です。外部通信なし・EA単体で完結という設計は、その思想がそのまま形になったもの。派手さはありませんが、長く付き合うほど効いてくる地味な強さだと思っています。
ただし、念のため繰り返します。仕組みが素直であることと、利益が約束されることは別の話です。えんむすびAIは損切りをしない設計のため、全面的な円高が続けば含み損は膨らみ、最悪は破綻もありうるEAです。だからこそ、必ず余裕資金で見守ってください。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。掲載している運用結果は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。FX・CFD取引はリスクを伴います。投資判断はご自身の責任において行ってください。