第0弾 なぜインジケーターで勝てないのか。FXとSMCの話【連載スタート】
はじめまして、naoです。
このシリーズでは「SMC(スマートマネーコンセプト)」をゼロから解説していきます。
この記事は書き直しています。
前の版には「大口が個人のストップロスを刈り取る」と書いていました。分かりやすい説明ですし、間違いとも言い切れません。ただ、あの説明のところで止まってしまうと、行き詰まる方もいると思います。連載の入り口なので、いちばん大事なところから直しています。
よく聞く説明は、計算が合わない
「大口が、個人の損切りを狩りに来る」——SMCを学び始めると、必ずこの説明に出会います。
連載し始めの頃なので正直、周りに合わせていました。
でも、当時から私が思っていたことを書きます。
世界の為替取引は1日およそ9.6兆ドル。そのうち個人(リテール)の取引は約2.5%です(BIS 2025年4月調査)。大口が動かしているのは、何百億、何兆円というお金です。個人の損切りを全部刈り集めたところで、その注文量には遠く届きません。
つまり「大口が個人を狙う」という説明は、桁が合わないんです。私たちを狙っても、大口には割に合いません。
では、本当は何が起きているのか
まず、大口はひとつの生き物ではありません。
銀行、ファンド、年金、中央銀行。それぞれ目的も、時間軸も、資金の大きさも違います。この大口たちは、時に仲間であり、敵でもあります。私たち個人は見向きもされない存在です。
じゃあ大口は無敵なのかというと、そうでもありません。
ここが面白いところなんですが、大口は買った瞬間に、身動きが取れなくなります。
降りようとして売れば、自分の売りで値段が下がってしまう。値段が下がれば、まだ持っている残りのポジションの評価も下がる。だから大口は、その場所を守るか、少しずつ逃げるしかありません。しかも、大きな注文は痕跡がチャートに残ります。他の大口がその痕跡を見れば、どこを守るつもりかまで読めてしまう。
大きいことが、そのまま弱点になるんです。
こうして大口が大口を食うのは、相場では日常的に起きています。2022年には、世界最大級のニッケル生産者が売りポジションを降りられなくなって、3営業日で価格が3.7倍になる事件もありました。この話に、個人は一人も出てきません。
インジケーターで勝てない、本当の理由
では、この話がインジケーターとどうつながるのか。
そもそも私たちがインジケーターを使うのは、「どこを見ればいいか」を決めるためです。移動平均も、RSIも、水平線も——値動きの中から注目すべき場所を絞ってくれる道具です。
誰が見ても分かる高値・安値。ここは、使っている道具が違っても全員が見ています。そこに移動平均が重なり、キリのいい数字が重なり、フィボが重なることもある。根拠が重なった場所ほど、確信は強くなり、置かれる注文も増えます。
そして大口は、注文が積み上がったところでしか、大きな注文をさばけません。だから大口は、そこに仕掛けてきます。
「ここは絶対だ」と思った場所、ありますよね。確信を持って入って、一度スッと抜けられて損切り。その直後に、思っていた方向へ戻っていく——「なんだよ、方向は合ってたじゃん」というやつです。損切りを食らってから、戻ってくる。
方向は、合っていたんです。ただ、絶対だと思う場所は多くの人がそう思っている場所で、その少し先には、多くの人の損切りがきれいに並んでいます。そこは大口にとって、まとまった量をさばける数少ない場所です。だから「絶対」の場所は、素直に反発する前に、一度騙しが入りやすい。
インジケーターで勝てない理由は、道具の性能ではありません。エントリーも損切りも、多くの人と同じ場所に置いていることです。
あなたは、狙われてすらいない
学術の世界には「捕食的取引」という言葉があります。ただし、獲物になるには条件が三つあります。ポジションが大きいこと。降りざるを得ないこと。そして、そのことを相手に知られていること。
私たちのロットは、この三つのどれにも当てはまりません。大口には、私たちを狙う理由がないんです。
罠は、あります。ただ、私たち用ではありません。大口用です。たまたま負ける大口と同じ場所に損切りを置いていただけ。標的ではなく、流れ弾です。
私はこれに気づくまで、ずいぶん遠回りをしました。「狙われている」と思っているうちは、相場が自分への攻撃に見えます。「撃ち合いの場所に立っていた」と分かってからは、立つ場所を選ぶという発想に変わりました。
SMCとは、痕跡を読むこと
誰が誰を狙ったのかは、チャートを見ても分かりません。
分かるのは、大きな資金が入った痕跡が残っている、ということです。
ただし同じ痕跡でも、残した大口が守る側に回るのか、降ろされる側になるのかで、先の展開は変わります。だから痕跡は「ある程度読める」が正確なところです。その精度をどう上げるか——見分け方の積み重ねが、この連載でこれから話していく中身です。
SMCは、その痕跡——市場構造、オーダーブロック、フェアバリューギャップ、流動性——から「次にどこで何が起きやすいか」を組み立てる方法です。遅効インジ(RSI・ボリバン・MAなど)のように動いたあとに反応するのではなく、動く前に用意しておく。この発想の切り替えが、SMCの本質だと私は思っています。
難しそうに聞こえますが、ひとつひとつ順番に理解すれば、必ず使えるようになります。
理解が進むと、だんだん景色が変わってきます。チャートの見え方の話ですw
まとめ:今日の3大ポイント
① 個人は市場の約2.5%。大口が狙っているのは個人ではなく、注文が積み上がった「場所」。
② インジで勝てないのは性能ではなく置き場所の問題。エントリーも損切りも、多くの人と同じ場所に置いているから、騙しに巻き込まれる。
③ SMCは、大口が残した痕跡を読み、動く前に用意する手法。
次回は「市場構造(HH・HL・LH・LL)」の読み方を解説します。自分がいまチャートのどういう場所に立っているのか——それを知るところからです。
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nao|FX専業トレーダー・EA開発者
自己流で掴んだ勝ちパターンが、あとから「SMC」と呼ばれていると知りSMCを広める活動を始めました。
GOLDのスキャ・デイトレに特化。ゴゴジャンでEA「tundereシリーズ」を販売しながら、
この連載と同じ判断基準をそのままチャートに描くSMC可視化インジ「nao_smc_mt5」を開発しました。
構造・ゾーン・0.705・次のブレイク予測まで——開いた瞬間のチャートに。