?消費税ゼロの財源は「500兆円のジャパンファンド」年利1%で毎年5兆円が勝手に湧き出る夢のような公約?!
「500兆円を1%増やすだけで、食品の消費税が永久にゼロになる。」もしこんな安易な方法で財源を作ることができるならば、増税も財政議論も不要でしょう。
投資初心者であれば、「オルカンで年1%増やせばよい」などと考えてしまう人がいても不思議ではありません。実際、SNSやコメント欄では「ファンドだから安全」「1%増やすだけなので簡単だ」といった主張が、恥ずかしげもなく投稿されています。
相場が悪ければ減る可能性があるという前提の運用益を、恒久的な税制変更の土台に据えるという発想自体が、国家財政の基本原則から大きく逸脱しているのは明らかですが、中道改革連合の政党公約として堂々と語られていること自体が、すでに異常です。
この「1%神話」は、なぜ成立しないのか。中身を一つずつ見ていくと、希望的観測では到底埋められない、厳しい現実が浮かび上がってきます。
?年5兆円が永遠に必要?「恒久ゼロ」の重すぎる現実
まず前提となる数字を整理します。食品(軽減税率8%対象)の消費税収は、財務省ベースの試算で年間およそ5兆円規模とされています。仮にこれを恒久的にゼロにする場合、景気の良し悪しに関係なく、毎年安定して5兆円を補填できる財源が必要になります。
一時的な給付や時限措置であれば、国債発行や基金の取り崩しで対応する余地はあります。しかし「恒久ゼロ」を掲げる以上、毎年必ず入ってくる安定収入が前提になります。ここが議論の出発点です。
?その500兆円、誰の金?年金・外貨・日銀を全部突っ込む構想
この「約500兆円」は、新たに税金を集めたり国債を発行したりするものではありません。すでに政府・公的部門が保有している資産を再編する、という説明です。主な内訳は、公的年金積立金(GPIF運用分)が約250兆円、外国為替資金特別会計(外貨準備)が約180〜200兆円、日本銀行が保有するETFが約70〜90兆円(時価ベース)です。
合計すると500兆円超となり、これを縦割り運用から一体運用に切り替え、GPIFのノウハウなどを活用すれば、現状より1%程度リターンを改善できる、というのが主張の骨子です。
?1%は魔法じゃない!500兆円は市場を壊すサイズ
ここで重要なのは、「1%」という数字の捉え方です。個人が数百万円をインデックス投資で運用する場合、1%の増減は珍しくありません。しかし500兆円という規模は、もはや市場に参加する側ではなく、市場そのものに影響を与える存在です。これほどの資金が一斉に動けば、先回りの買いや確定売り、価格変動が必ず起きます。
多くの場合、大口資金の流入は価格上昇を招き、その結果、既存の保有者による利益確定売りが増えます。結果として、期待したリターンが得られない、あるいはマイナスになる可能性すらあります。さらに、GPIFをはじめとする公的運用は、すでに世界的に見て効率性が高く、低リスクを重視した設計です。そこから「安定的に」1%を上乗せするのは、専門家の間でも極めて楽観的だとされています。
?触ってはいけない金に手を出す危うさ
年金積立金は、現役世代・将来世代の年金給付を安定させるための信託資産です。これを消費税減税の穴埋めに使うとなれば、「年金の私物化」「年金ドロボー」といった強い反発が起きる可能性があります。外貨準備は、為替介入や金融危機対応のための安全装置です。リスク運用を強めれば、円の信認や国際的な信用に影響を与えかねません。
日銀ETFは金融政策の副産物であり、本来は市場から段階的に縮小・売却していく性質のものです。政府がこれを財源目的で使えば、日銀の独立性に抵触するという重大な問題が生じます。
?専門家は冷ややか「楽観的すぎる」「制度的に無理」
JBpress、東京新聞、日本経済新聞など主要メディアや専門家の論調を見ると、この構想に対しては概ね慎重、もしくは否定的な評価が並んでいます。「実現性に疑問」「楽観的すぎる」「長期安定性に欠ける」といった指摘が多く、一部では「現実を無視している」「制度設計として無理がある」と踏み込んだ批判も見られます。共通しているのは、「公的資産が存在すること」と「それを恒久的な財源として使えること」は全く別の問題だ、という点です。
?なぜ騙される?「ファンドだから安全」という危険な勘違い
この政策が投資の素人からは一定の支持を集めている理由もはっきりしています。「増税せずに減税できる」「眠っているお金を有効活用する」「ファンドだから安全そう」といった、分かりやすく魅力的な言葉が並ぶからです。しかし実際には、ファンドとは単なる器に過ぎず、安全性は中身と運用目的によって大きく左右されます。
運用益はあくまで期待値であり、恒久政策に必要な「毎年必ず入る確定収入」にはなりません。この基本的な前提が十分に共有されないまま議論が進んでいる点に、多くの専門家が危うさを感じているのが実情です。
?これが公約になる政党の危険性
こうした「投資の素人でも思いつくレベルの発想」が、精査されたはずの政党公約として堂々と掲げられている点そのものが異常だ、という点です。恒久的な税制変更を、相場次第で上下する運用益に依存させるという発想は、国家財政の基本原則から大きく外れています。同じ減税でも、期間限定や条件付きといった逃げ道を用意している政策の方が、まだ現実を直視しています。
食品消費税ゼロを「恒久」で実現するというなら、ファンドや利回り狙いといった耳障りの良い言葉ではなく、確定した財源をどう確保するのかを示さなければなりません。その議論を避けたまま打ち出されたこの公約は、「言うは易し、行うは極めて難し」を通り越し、政策としての常識を疑われかねないレベルにあると言えるでしょう。
?もし分からないなら投資はしない方が良い
もし、このような話を聞いて「1%増やすだけだから難しいことではない」と感じてしまうのであれば、FXや個別株の売買のように、自分で判断とリスク管理を行う投資は慎重になった方がよいでしょう。仕事柄、多くの初心者トレーダーと接する機会がありますが、残念ながら向き・不向きがはっきり分かれる分野でもあります。
投資は才能やセンスの問題ではありませんが、最低限求められる理解力は確実に存在します。仕組みを分解して考えることや、数字の意味を冷静に捉える力がなければ、相場の世界では判断を誤りやすくなります。
そうした場合は、無理に売買を繰り返すよりも、つみたてNISAや投資信託など、自分で細かく考えなくても資産形成が進む仕組みを選ぶ方が、結果として健全で安全な選択になるでしょう。
?有権者の厳しい目で投票する
この構想は「絶対に無理」と言い切らない表現を取ったとしても、現実的には実現性が極めて低い公約です。政治的コスト、運用リスク、制度変更の難易度を冷静に積み上げていけば、ほぼ成立しない前提で成り立っていると言って差し支えないでしょう。仮に政権を担う立場になれば、時限措置への修正や規模縮小、あるいは財源不足による頓挫に追い込まれる可能性が極めて高いと考えられます。
そして最終的に、この是非を判断する責任を負うのは有権者です。メディアは「消費税を下げるかどうか」という分かりやすい論点ばかりを強調しがちですが、本来問うべきなのは「それを本当に実現できるのか」「その財源に無理はないのか」という点でしょう。耳障りの良い公約に流されるのではなく、制度や数字に耐えうる現実的な政策を示せる政治家を、厳しい目で選び取る姿勢が求められています。
最後はやはり選挙です。不満を言うだけで終わらせず、考え、判断し、必ず投票に行く。その一票一票が、こうした無責任な公約を減らし、現実と向き合う政治を選び取る唯一の手段だと言えるでしょう。
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