【介入余波Pro】三角通貨パリティ NOWCAST が見ている世界
こんにちは!TriParity Labs TokyoのKazです。今回は、介入余波Proに搭載している「NOWCAST」について深堀りしていこうと思います。過去を見るのは統計ダッシュボードですが、
トレーディングで最も重要なのが「今でしょ!」(ちょっと古いですが…)
将来の見通しを「Forecast」と言い、将来は今の積み重ねという意味で「NOWCAST」と名付けました。
その前に、三角通貨パリティとその歪みについての基本を振り返ってみようと思いますが、既に基本は十分理解されている方は第2章から読み始めていただければと思います。
1. 介入余波という発想 ― 三角通貨パリティと大口フローの関係
1-1. 三角通貨パリティとは?
FXでは、例えば
- EURUSD
- GBPUSD
- EURGBP
のように、3つの通貨ペアは「掛け算の辻褄」が合う関係にあります。この関係を 三角通貨パリティ(TriCurrency Parity) と呼びます。ごく大雑把に言うと、2つのレートから計算した「理論クロスレート」と、実際のクロスレートは、本来ほぼ同じになるはずというルールです。
しかし、現実のマーケットでは、
- 板の厚みの違い
- 約定タイミングのズレ
- 周回遅れのレート配信
- 短期的なリスク回避行動やニュースフロー
などによって、このバランスが一時的に崩れることがあります。これが「三角通貨パリティの歪み」です。
1-2. その後に何が起こるのか? ― フローと介入の役割
ここからが「介入余波」というコンセプトの出番です。パリティが崩れたあとには、通常、次のような動きが入ります。
- HFT やアービトラージャーが、「これは裁定チャンスだ」と判断して売買を仕掛ける
- 金融機関やマーケットメイカーが、在庫調整のためにまとめてポジションを動かす
- 場合によっては、中央銀行などの実需に近い介入が入る
これらのフローや介入の多くは、「崩れてしまった三角通貨パリティを、元のパリティ状態に戻す」という方向に働きます。
つまり、
- まず何らかのショックで
パリティが崩れる
- それを見た大口フロー・介入が
パリティ回復に向けて一気に動く
- その「戻していく動き」の中で、私たち個人トレーダーも一部をお裾分けしてもらう
この ②〜③の「後から入ってくる動き」こそが「介入余波」
です。
本シリーズでは、「三角通貨パリティの崩れ → それを是正する大口フロー・介入 → その余波」という一連の流れを、できるだけシンプルに捉えてトレードに活かすことを目指しています。
1-3. リアルな GAP の可視化:無料ツール「介入余波 TriParity LiveGAP」
三角通貨パリティの「崩れ具合」を、リアルタイムでどのくらいズレているか(GAP) という形で一覧表示するのが、無料インジケーター 「介入余波 TriParity LiveGAP」 です。
LiveGAP では、21種類の代表的な Triad について、
- TRIAD:三通貨の組み合わせ(AB×BC=AC)
- AB / BC / AC:3つのレッグそれぞれの Bid/Ask とスプレッド、更新からの経過秒数
- SYN:AB と BC
から計算した「理論上の AC(合成理論価格)」
- GAP:理論価格と実際の AC の差(pips)
- BAND:GAP が事前に定義したバンドの内側か外側か(IN / BAND OUT / WARN)
といった情報をリアルタイムに表示します。「今どのTriad で、どれくらいパリティが崩れているのか?」を、価格やスプレッドのレベルで直接見たいときには、この LiveGAP が最もシンプルで分かりやすいツールになります。
この記事で紹介する Nowcast や 介入余波キャッチャー は、このLiveGAPで見えているようなリアルなGAP の動きを、
- 統計的に標準化したZスコア
- ピボットポイントやフィボナッチなどの環境情報
- マルチタイムフレームでの流れ
と組み合わせて、
「その GAP(パリティ是正の余波)は、今トレードする価値があるか?」を評価するための“セカンドオピニオン”的な役割を担っています。
2. 「介入余波 Nowcast」の役割
2-1. キャッチャーが見ているもの、Nowcastが見ているもの
「介入余波キャッチャー」は、TriParity の Zスコアを使い、
- どの通貨ペアで
- どのタイミングで
「パリティ回復に伴う余波が出ていそうか」をシグナルとして表示します。
ただし、実際にエントリーするかどうかは、
- いまの相場環境がトレードに向いているか
- もう余波が終わりかけていないか
- 上位足の流れとあまりにも逆行していないか
といった “環境の質” を見て判断したくなります。
- キャッチャー:
「どこでパリティ是正の動き(余波)が出ているか」 を教える - Nowcast:
「その余波は、今トレードする価値がある状態か」を教える (「介入余波Pro」では、A評価のみシグナルを発生させるという設定も可能です。そのほか、B評価以上、C評価以上、全てといった設定もご用意しています。)
という役割分担です。
2-2. なぜ「標準ロジック」を採用したのか?
環境認識の軸として採用したのは、次の3つです。
- 日足ピボットポイント
- 一目均衡表的なマルチタイムフレームの流れ(実装は TriParity の傾きで近似)
- フィボナッチ・リトレースメント
これらを選んだ理由はシンプルで、
- 多くのトレーダーが既に知っている、あるいは聞いたことがある
- 「どこで入るか」「どこまで戻ったか」「大きな流れはどちらか」といった、環境の基本要素をコンパクトに表現できる
- 三角通貨パリティという少し特殊なロジックとも、素直に組み合わせやすい
からです。
3. 標準ロジックのイメージを掴む
3-1. 日足ピボットポイント
― 「1日の地図」を知る
ピボットポイントは、前日の高値・安値・終値から計算される「今日の基準値」です。
- 真ん中:PP(ピボット)
- 下側:S1 / S2(サポート)
- 上側:R1 / R2(レジスタンス)
多くのデイトレーダーやアルゴリズムが参照しているため、
- 価格が PP から大きく下に離れて S1〜S2 にいるとき → 「押し目になりやすいゾーン」
- 逆に R1〜R2 付近にいるとき → 「戻り売りを待つゾーン」
といった、“1日の中での位置”がざっくり分かります。
介入余波の観点では、「パリティ是正の余波が出ているとき、その動きは今日の地図のどのエリアで起きているのか?」
を確認するイメージです。
- 既に「地図の端っこ」まで到達しているなら → 無理に追いかけない
- まだ真ん中付近なら → 余波の序盤かもしれない
といった判断材料になります。
3-2. 一目均衡表的な MTF
判定 ― 「大きな流れ」に逆らっていないか?
一目均衡表は、
- 雲(先行スパン)
- 転換線・基準線
- 遅行スパン
などを使って、
「今の価格が、時間をずらした均衡と比べてどうか」 を見る指標です。
代表的な読み方は、
- 雲の上に価格があって、遅行スパンも価格の上 → 上昇トレンド優勢
- 雲の中 → 持ち合い
- 雲の下 → 下落トレンド優勢
というように、「大きな流れの向きと強さ」をざっくり捉えることです。
介入余波トレードでも、
- 大きな流れが上なのに、短期的な“下方向の余波”だけを無理に狙う
- 逆に、大きな流れと同じ方向に出ている余波を選んで乗る
では、期待値が変わってきます。
Nowcast ではチャートに一目そのものは描きませんが、
- TriParity の Zスコアの傾きを、ベース足+上位足(例:H1・H4・D1)で評価し、
- 各時間足ごとに「ロング優勢/ショート優勢/中立」をレベル化
することで、一目の“流れを見る”という役割を、近い形で再現しています。
3-3. フィボナッチ・リトレースメント ― 「余波のどの辺にいるか?」
フィボナッチ・リトレースメントは、
- 0% … 動きの始まり
- 100% … 動きの終わり
としたときの「どこまで押した/戻したか」を測るツールです。
よく使われる目安は、
- 38.2〜61.8% … きれいな押し目・戻り
- 23.6%未満 … まだ浅い
- 78.6%以上 … 深すぎて勢いが怪しい
- 100%超え … 完全に打ち消された
などです。
介入余波のイメージに当てはめると、
- 三角通貨パリティが崩れ、大口フローがパリティ回復に動く → 一方向に強く走る「ショックレッグ」ができる
- そのあと、利確や逆張りによって
押し・戻り が発生する
- 押し・戻りの深さが「38.2〜61.8%」あたりだと、「余波の2段目・3段目」に乗れそうなゾーン
というイメージです。
Nowcast では、この押し・戻りの深さと質をフィボナッチで定量化し、「今見ている余波は、まだ“おいしい押し目/戻り”の範囲にいるのか?」を判定するために使っています。
3-4. 4つを組み合わせると何が分かるのか?
ここまでの話を整理すると、Nowcastは、
- TriParity Zスコア
- 「パリティの崩れ具合」&「それを是正する動きの強さ」
- (リアルな GAP の可視化は LiveGAP、統計的な標準化は Nowcast)
- 日足ピボットポイント
- その動きが「今日のどのゾーン」で起きているか
- 一目的 MTF 判定
- ベース足〜上位足の流れに沿っているか
- フィボナッチ・リトレースメント
- 余波の押し目・戻りとして “ちょうどいい位置” か
を一つのスコアとランク(A/B/C/NG)にまとめてくれるツールです。
トレーダーから見た意味合いは、次のように捉えていただければ十分です。
- A: パリティ是正の余波も、環境も、かなり条件が揃っている
- B: 悪くはない。ルール次第で積極的に狙って良いゾーン
- C: 平均的。無理をせず、ロットを抑えるか見送るゾーン
- NG: ショックが完全に否定されている/流れに逆らい過ぎているなど、そもそも狙わない方が良い状態
3-5. 実戦での使い方のイメージ
実際の運用では、例えば次のような考え方ができます。
- キャッチャーの矢印が出たら、まず Nowcast を見る
- A のときだけ本気エントリー、B は控えめ、C は基本スルー
- エントリー後にランクが A → B → C と落ちていったら、
「余波が終盤に近づいている」と見て利確を意識する
つまり Nowcast は、「シグナルの背後にある相場の空気」を、トレーダーに分かりやすく数字で見せてくれるセカンドオピニオンだと考えていただければ OK です。
4. Nowcastパネル
最後に、Nowcastパネルの各評価項目について簡単に触れたいと思います。
4-1. Nowcast パネルの構成
オシレーター窓の左上に、次のようなボックスが表示されます。
TriParity Nowcast MTF [H1]
Z=+1.94
Thr=2.00 / 2.50
MTF(S): H1:△ H4:△ D1:△
T=+1.00 Z=+1.94 P=+0 F=-3 R=114.5%
[##########] 50/50
NEUTRAL [C] NEUTRAL [A]
各行の役割はこうなっています。
- 1行目:タイトル
- TriParity Nowcast MTF [H1]
- 「TriParity Nowcast を、H1 をベース時間足として見ています」という意味。
- 2行目:Z 行
- Z=+1.94
- just-closed バーにおける TriParity Zスコアです。
- Thr=2.00 / 2.50
- エントリー検討用しきい値(通常)と、
「かなり強い歪み」とみなす第二しきい値を表示しています。 - 3行目:MTF 行
- MTF(S): H1:△ H4:△ D1:△
- (S) はショート視点で見ていることを示します。
- H1 / H4 / D1 それぞれの傾きレベルをアイコンで表示します。
- ◎◎:かなり強い
- ◎:やや強い
- △:中立
- ×:やや弱い
- ××:かなり弱い
- 4行目:スコア行+ウォームアップゲージ
- T=+1.00 :TriParity スコア(後述の S_tri)
- Z=+1.94 :2行目と同じ Zスコア(デバッグ用に再掲)
- P=+0 :日足ピボット位置から計算した Pivot スコア
- F=-3 :Fib スコア
- R=114.5% :ショックレッグに対するリトレースメント率
- [##########] 50/50 :
- 分布型ランクを計算するためのサンプルが十分に溜まっているかどうかを示すゲージです。
- 右側の
50/50 は「必要サンプル数 50 本に対し、現在 50 本揃っている」という意味。
- 5行目:LONG / SHORT 行
- 左側:ロング方向の評価
- LONG / SHORT / NEUTRAL のステータス+ [A/B/C/NG]
のランク
- 右側:ショート方向の評価
- 例:NEUTRAL [C] NEUTRAL [A]
- 方向としてはどちらもニュートラルだが、
ランクとしては「ショートの方が A(かなり好条件)」という状態です。
5. まとめ ― 介入余波を“環境ごと”捉えるために
最後に、ここまでの流れをもう一度コンパクトにまとめます。
- 三角通貨パリティが崩れる
- それを是正するために大口フローや介入が入り、パリティ回復に動く
- その後に続く押し目・戻りや「波の2段目・3段目」こそが、私たちが狙う 「介入余波」 です。
- 無料ツール
「介入余波 TriParity LiveGAP」 では、
その前段として リアルな GAP を 21 Triad 分、一気に一覧表示 します。
- 「介入余波キャッチャー」
は、TriParity Zスコアを使って、余波が出ていそうなタイミングをシグナル化します。
- そして
「介入余波 Nowcast」 は、
TriParity Zスコアに - 日足ピボット
- 一目的 MTF 判定
- フィボナッチ・リトレースメント
を組み合わせ、
「その余波は、環境込みで見ても本当に“おいしい”のか?」 をA / B / C / NG というシンプルなランクに落とし込んでくれます。
使い方としては、
- まずは
A と B のシグナルだけに注目する
- 慣れてきたら
- ロット調整(A で大きく、B で小さく)
- 決済判断(A → B → C と落ちたら利確を検討)
などに活用していく
といったステップが現実的だと思います。
「三角通貨パリティの物理法則」と、
ピボット・一目・フィボというお馴染みのロジックを掛け合わせた
“介入余波シリーズ” の中核としての
Nowcast――
この記事が、その考え方と使いどころを
少しでもイメージしやすくする一助になれば幸いです。
よろしいですか?