米国株式投資の真実を伝える [Vol.49]2022年6月6日配信
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米国株式投資の真実を伝える
[Vol.49]2022年6月6日配信
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川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
***目次***
マーケット振り返り
今週のピックアップ記事
川田の気になる銘柄
投資のヒント
お散歩
ちょっと教えて「失敗しない資産形成のヒント」
超富裕層が実践する「プライベート投資戦略」とは
活動情報
社会人になって40年以上読み続けている日経新聞の中から気になる記事をピックアップしコメントする企画だ。毎週土曜日午前9時〜9時45分にズームへの参加形式で実施している。
参加は無料なのでご興味あるかたはPeatixでお申込みください。
以下は先週土曜日にカバーした記事の表題をいくつか。
皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。
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1.マーケット振り返り(5月23日~6月3日)
<主要指数>
・NYダウ +5.2%
・S&P500指数 +5.3%
・ナスダック総合指数 +5.8%
=駆け足バージョン=
米国株式市場は下落が続いていましたが、長期金利の落ち着きや需給面の短期的な不透明感が後退して、23日からの週は大幅に上昇しました。しかし、インフレ懸念が残ったことや利上げ姿勢を維持する当局者の発言を受けて翌週は様子見気分が強まりました。週末の雇用統計で労働市場が引き続き逼迫していることが示されると、長期金利が上昇して、再び売られる展開となりました。
=ちょっとだけ詳しく=
5月23日からの1週間は大きく反発しました。
NYダウが8週連続の下落となっていたことや、先物やオプションの清算日を前週末に通過して短期的な需給面の不透明感が消えたことが反発のきっかけとなりました。
5月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が発表されて金融政策の不透明感が後退したことや、インフレがピークを迎えたと感じられる経済指標の発表を受けて長期金利が低下したことも、成長株を中心に買い安心感につながりました。
メモリアルデーで月曜日が休場となった翌週は、週末の雇用統計を控えて様子見姿勢が強い展開となりました。
個別企業の好決算をきっかけに買われる場面もありましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)高官から金融引き締めに対する強い姿勢が示されてことなどから長期金利は再び上昇基調となりました。
週末の雇用統計では労働市場が依然として逼迫していることが示され、インフレ懸念が強まって長期金利が再び2週間ぶりの高い水準に上昇したことが嫌気されて下落しました。
S&P500指数チャート5年間
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2.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、川田が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
今週から、お散歩コーナーで本を紹介している熊倉貫宜さんのピックアップ記事とコメントも掲載します。
【1】日経新聞 車向けガラスのてこ入れ、AGC道半ば 資産縮小・稼ぐ力向上両輪 6/2
世界の新車の4台に1台で使われるAGCのガラスだが、直近の自動車生産停滞で、原料価格が高騰するも、値上げ交渉が進んでいない。
自己資本利益率:ROE10%達成には、当該分野のてこ入れが必要。
ガラス事業は連結売上高1兆6973億円(21年12月期)の43%だが、営業利益では13%にすぎない。化学品が営業利益の67%を稼ぐ。
競合の、中国大手の信義玻璃(信義ガラス)のROEは37%、福耀玻璃工業集団(フーヤオ)は13.1%だ。
同じような環境下でも中国勢は現地の車メーカーに対して適正価格で販売できているとみられ、欧米や日本のメーカーとの取引が多いAGCは車大手の値下げ要求が強く、値上げにも踏み切れていない。
化学品市況も一服しているため、継続的に10%を達成するには車ガラスのてこ入れが不可欠で、稼ぐ力と資産効率の改善が必要だが、容易ではない。
AGCは2018年、「旭硝子株式会社」から「AGC株式会社」に社名を変更し「硝子」の2文字を外した現社名に改めたが、化学品から幅広い素材をグローバルに展開する会社に生まれ変わる決意がにじむ。
成長分野の化学品やヘルスケアに投じる資金を捻出する意味でも、祖業のガラスの構造改革を着実に進める必要がある。
【熊倉コメント】
ガラス産業において板ガラスやガラス瓶等を生産する伝統的企業は、“過剰設備”等により厳しい状況の様子ですが、その一方で特殊ガラス、即ち、HOYA、日本電気硝子、岡本硝子等々が扱う機能性ガラスは、高輝度LEDのような光源の変化や、5G等の情報通信技術の進展等への対応に付加価値を見出しているようです。
ガラス産業は、高炉の鉄鋼産業等と同様、固定比率が非常に高い上に、燃料や原料を製品の生産如何にかかわらず投入を続ける必要があり、稼働率が低いと赤字に陥り易い体質です。
従って、鉄と同じく、需要が鈍い、板ガラス(海外勢の台頭)、ガラス瓶(PETボトル等への代替)については、苦戦が続くものと思われます。
ガラス業界に詳しい知人に、その産業概観を伺いましたが、簡潔にまとめると次のようになります。
1) 設備投資の観点から新規参入や既存産業の業態転換は難しい。
2) 業界では取扱い製品がコモデティ化か高付加価値化かで分化する。
3) コモデティ化商品については厳しい状況が続くものと予想される。
4) 高付加価値化商品については二つの大きな可能性あり。
①高輝度光源向け製品(配光レンズ等)
②5G以降のLTCC(低温同時焼成)等無機素材基板等)
5) 上記①②は海外メーカーのグローバルな部品調達の対象となろう。
重厚長大型の日本企業が苦戦する縮図に思えますが、やはり収益力の向上に結び付く、付加価値の創造を為した企業が勝ち組になるのは必然です。
投資のヒントも、ここに有りそうです。
【2】日経新聞 インフラ株に資金シフト 収益、景気の影響受けにくく 投資家の弱気心理映す 6/3
道路・水道・送配電などを運営するインフラ企業に投資資金が集まり、関連株価指数は過去最高値圏にある。
高成長を見込むテック企業から不況に強い守りの企業へのシフトは、弱気な投資家心理を映す。
世界インフラ株価指数(米S&Pグローバル算出)は1日、2927.70と2021年末比6%上昇、2007年2月の算出開始以来最高値圏となった。
英仏海峡トンネルを運営する仏ゲットリンクは5月31日の株価が21年末比で23%上昇し、上場来高値圏にある。送配電やガス供給の英ナショナル・グリッドは10%超高い。廃棄物収集の米ウェイスト・マネジメントも上場来高値圏だ。
業績が景気の影響を受けにくい通信株も買われている。独ドイツ・テレコムは17%上昇し20年ぶりの高値圏、日本のNTTも24%上昇し22年ぶりの高値圏となっている。
ただ、一部では割高感も意識され、投資資金の逃げ道としては限界があるとの指摘もあり、業績の悪化懸念が強まれば、売りが広がるという見方もある。
S&P グローバル・インフラストラクチャー指数 2,939.32(6月3日)
【熊倉コメント】
インフラは経済活動の基盤であり、経済成長のドライビングフォースであることに異論はありません。
新興国ではその影響は先進国に比して顕著に現れますが、先進国でもその整備、高度化は重要な課題です。
また、近年では企業の経営指針にも影響する「持続可能な開発目標:SDG」ではクリーン・エネルギー、安全な水、気候変動といった課題だけでなく、「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」と大きな目標が提示されています。
しかしながら金融市場では、このような銘柄群に注目が集まる時機は大きな相場の流れの中の幕間つなぎのような印象を持たれがちです。
私が証券の世界に足を踏み入れた1980年代には、まだ個人のお客様の間で安定的な配当を産む手堅い投資として電力株は大変人気がありましたが、バブル経済下での流動性相場、さらに東日本大震災における原発事故で、その神話も崩壊してしまいました。
この記事の指摘するように、投資資金の流入が存在するならば、まだまだ世界の流動性過剰が収まっていないのか、先進国のインフラが保守・補修時期の循環を迎えたのか、或いは新時代のインフラ投資が始まったのか、いろいろと判断に迷うところです。
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3.川田の気になる銘柄
川田の保有銘柄を始め、米国株の情報に触れている中で、気になった銘柄を紹介するコーナーです。
今週の銘柄
JPモルガン・チェース<ティッカー:JPM> JPMorgan Chase & Co.
概要
米国を中心に60カ国以上で商業銀行、投資銀行、資産運用などを展開する銀行持ち株会社です。最も古い源流となる企業は1799年にマンハッタンで設立され、現在の持ち株会社は2000年にチェース・マンハッタンとJPモルガンが合併して誕生しました。
同社の魅力
安定した事業内容
JPモルガン・チェース(JPM)は総資産が3兆7000億ドル(2021年末)で、全米で6600万世帯、フォーチュン500企業の90%以上がそのサービスを利用する大手銀行持ち株会社です。景気や市場環境全体からの影響を受け、事業部門ごとの変動は毎年あるものの、調整後収益(一時的な費用等を除外・加算したもの)は世界金融危機後に安定して伸びています。また、有形固定資産利益率でみた収益性も同業他社を上回っており、全体として収益は中期的に安定しています。
(図1:JPMの事業別収益の推移と2021年の地域別内訳(単位:10億ドル))
(AWM:資産運用、CB:商業銀行、CIB:投資銀行、CCB:個人・地域銀行事業、Corp:本部部門。地域別は、北米76%、EMEA14%、アジア太平洋8%、中南米2%)
(図2:調整後純利益の推移、貸倒引当金等を修正すると、安定した伸び)
(図3:有形株主資本利益率=ROTCE=は業界平均の15%を上回る)
割安感
このように中長期的に確実な増益基調にある銘柄であるにもかかわらず、株価は割安な水準にあります。現時点の株価に対する市場予想のPERは約10.4倍で、約10%の増配を加味した予想配当利回りは約3.0%です。
こうした割安状態にある理由として、景気後退による減益懸念、自己資本比率の水準に対する懸念、1~3月期の決算発表の時に示された経費の増加に対する懸念が市場に広がっているからだと思われます。これらは、JPMが2021年1~3月期の決算を発表した直後から広がりました。
投資家向けカンファレンスで懸念払しょく
しかし、5月23日に行われたJPMの投資家向けコンファレンスは、これらの懸念をかなり払しょくする内容となりました。
景気後退の影響については、法人部門、個人部門の2021年の貸し倒れ率は非常に低く、企業と個人の豊富な貯蓄を背景にJPMでは2022年の貸し倒れも低い状態が続くとの見通しが示されました。
(図4:貸し倒れ損失の比率はカード事業、消費者向け事業(カードを除く)、法人向けで歴史的な低水準)
自己資本比率については、好業績を背景に着実な伸びを見込んでおり、2024年には株主還元を十分に行えるほどの自己資本の充実が見込まれます。
(図5:純利益の積み上げにより、リスク資産の増加を加味しても必要な自己資本比率は規制要件を上回る水準の上昇。2年後の予想12.5~13.0%の必要自己資本比率に対して13.7%を想定)
投資家が懸念していた経費の増加に関しては、米国企業全体に見られる雇用コストの増加や経済再開に伴う出張費用等の増加が主な要因となりました。一方、投資に関連した費用の増加は各部門の成長に必要な額が配分されており、突出した支出は見られませんでした。この点から、経費の増加に関しても大きな懸念ではなくなったように思われます。
(図6:経費の増加に特殊な要因は見られず、大きな懸念には当たらず)
(出所:図1~図6は会社資料より)
リスク
今回の金融引き締めが予想以上に厳しいものとなり、金利の上昇と景気後退が重なった場合、金利上昇による保有債券の評価損と貸倒引当金の積み増しで短期的な利益水準が低下することが考えられます。
また、現最高経営責任者(CEO)であるダイモン氏の去就も中期的なリスクです。同氏の手腕に対する投資家の信頼感が大きいだけに、政界への転身などが市場で話題になることがあります。
JPMの基本データ(出所:会社データ、Yahoo! Finance)
(6月3日現在)
株価 130.16ドル
時価総額 3822億ドル
総収入 1237億ドル
予想PER 10.38倍
予想利回り 3.03%
本社:ニューヨーク州 ニューヨーク
上場:1969年3月
株価チャートは5年
チャートはTradingView.comによる
(本コーナーは一般的な情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません)
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4.投資のヒント
「投資手法」や「銘柄紹介」だけでなく、「気になった指標や発言」や「社会や政治の動き」を書くコーナーです。
先週、6月1日(水)午後8時から開催のオンラインサロン
先週のオンラインサロンで発表してくれた藤井さんの研究内容を要約してお伝えする。藤井さん自身は都銀出身で今は大手金融機関のプライベートバンカーとして活躍している。
となりの億万長者 成功を生む7つの法則
※データは1996年頃
【著者の経歴】
トマス・J・スタンリー
アメリカにおける富裕層マーケティングの第一人者
ウイリアム・D・ダンゴ
ニューヨーク州立大学名誉教授
スタンリーのパートナーとして研究調査に参画
億万長者のポートレート
純資産100万ドル以上を億万長者と定義
全米1億世帯のうち3.5%程度が該当
このうち95%が100万ドル〜1000万ドルの資産を持つ
平均所得24.7万ドル 平均資産額370万ドル
ほとんどが一代で資産を築き上げている
平均的な億万長者は1着399ドル以上のスーツを買ったことがない!(マスコミは金遣いが派手な人々を取り上げて報道するが、そうした人々は蓄財劣等生で本当の金持ちは違う)
蓄財優等生の家庭では妻が輪をかけて倹約家であることが多い
高額所得者の大半が守りに弱い(支出が多い)。億万長者は攻めも守りも強い
蓄財劣等生は世間から認められるためにお金を使う
7つの法則 (アメリカの金持ちの8割は一代で富を築いている)
①収入よりはるかに低い支出で生活する
②資産形成のために時間、エネルギー、金を効率よく配分
③世間体を取り繕うより、お金の心配をしないですむことの方が大切
④社会人になった後、親からの経済的援助を受けていない
⑤子供たちは経済的に自立している
⑥ビジネスチャンスを掴むのがうまい
⑦ぴったりの職業を選んでいる
投資アドバイザーの質は蓄財に多大な 直接的なインパクトを与える
良いアドバイザーの見極め方①
「君の過去何年かの確定申告の写しと過去3年間に個人で投資した株のリストを見せてくれないか。私以上に株で儲けているようだったら君にお願いするよ」
良いアドバイザーの見極め方②
税理士が良いと認め、その顧客が優秀だといった投資アドバイザーは投資に関して信頼できる相手だろう。いい加減なアドバイスをしたら紹介元の税理士に苦情を持ち込むだろうから。
優秀な投資アドバイザーは紹介を受けた顧客には特に気をつけて丁寧な対応をする。
億万長者の株式の売買頻度
出所:となりの億万長者
億万長者の95%が株を保有
大半の人が資産の2割以上を上場株に投資
億万長者の42%は過去1年間株を動かさない
億万長者はじっくり研究して株を購入し、長く持ち続けることを勧めるタイプを好む
資産家の子育てガイドライン
子供に両親が金持ちだと教えない
子供や孫に何を遺産に与えるつもりかなるべく話さない
子供はそれぞれ独立した人間であることを忘れるな!
成功をもので計るのではなく、何を達成したかで計るように教育
お金よりも大切なものがあることを教える(健康、長寿、楽しい生活、愛する家族、自立心、良い友達)
経済的援助を与えれば与えるほど子供は資産を蓄えず、援助が少なければ少ないほど資産を築くようになる
①与えられた金は貯蓄よりも消費に使われる
②親から援助を受ける人は自分の財産と親の財産を同一視する傾向がある
③親から経済的援助を受ける人は投資に回す金額が少ない
非常に成功した子供は親から何ももらわないことが多い。
子供に魚釣りの仕方を教えなさい。
その後のとなりの億万長者
※2016年頃データ
【著者の経歴】
トマス・J・スタンリー
ジョージア州立大学教授
ニューヨーク州立大学教授
2015年飲酒運転による事故に巻き込まれて逝去
サラ・スタンリー・ファラー
個人投資家と金融アドバイザーが富を蓄積する上で重要となる行動を支えるツールを開発するデータポインツの会長
トマス・J・スタンリーの娘
蓄財はマラソンである
典型的な億万長者は59800時間働いて初めて7桁の純資産を手にしている。(1日8時間労働で28年)
となりの億万長者は雇う側であって、雇われる側ではない
経済的成功の要因は規律(倹約)、多大なる努力、忍耐
過去の失敗や痛みを乗り越えて目標を追いかけ続ける意志
何が成功する投資家を生み出すのか?
リスクに対する姿勢(正確な結果があらかじめ分からない時でも投資判断を下すことができる)
高いリスク選好(株式を好む人は投資に関して優れた判断を下す傾向)
投資対象と投資に関する判断と知識(投資商品の潜在的な上下動、株式市場のシクリカルな特性に関する知識)
冷静さ(市場の変化をやり過ごすことができる能力)
資産型(BS)富裕層と収入型(IS)富裕層
お金持ちのような服を着て、お金持ちのような車に乗っている人は実際にはお金持ちではないことが多い。
アドバイザーの違い (ジャック氏とジェンキンス夫人)
アドバイザーズアルファ(アドバイザーの価値)
ポートフォリオに3%ほどの追加リターンがある
ポートフォリオのリバランス
ポートフォリオ構築
投資行動の改善 (例:高値で買い、安値で売るようなことはしない)
今日のファイナンシャルアドバイザーが提供できる本当の価値は顧客が蓄財劣等生から蓄財優等生へと進化を遂げる手伝いをすること(行動の変化)
会計・税務・ファイナンス・投資のスキル+コーチング、人生設計のスキル
寄付について
遺産規模が大きくなるに従い、慈善事業への寄付が劇的に増加
ブルームバーグ氏は母校のジョンズ・ホプキンス大学に累積で33億ドルを寄付。
他人を助けること、将来世代の成長や発展を支えることで得られる満足 > 自己顕示欲
マイケル・ブルームバーグ
ブルームバーグの創立者で第108代ニューヨーク市長(2002-2013年)。ニューヨークタイムズの論説において、学生への学資援助ができるように母校ジョンズホプキンズ大学に18億ドルの寄付をすると発表した。これは一大学が得る寄付としては史上最大。
【川田コメント】
資産家の行動様式は日米でも共通していることが多いと感じていると、藤井さんは言う。例えば自分が価値を認めたモノやサービスに対しては惜しみなく対価を払うが、他人の目を気にしていたずらに奢侈に走る人は余りいないそうだ。
『となりの億万長者』では純資産100万ドル以上を富裕層と定義しているが、同書の発行はいまから26年も前だ。ちなみに1995年年末のS&P500指数は615で、直近は4100程度なので今の7分の1程度だ。仮に100万ドルの半分、50万ドルがS&P500指数だとしたら、それだけで400万ドルになっている勘定だ。
彼らは右肩上がりの米国株式市場のトレンドを利用し、福利でゆっくり資産を増やしていると思われる。
日本でも米国株式投資への認知が高まっている。私は米国で主流のエクイティを複利で運用する手法で日本に無数の富裕層を創出できると考えており、それを実践する覚悟だ。
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5.お散歩コーナー
◇◇最近行ったお店、映画、美術館、書籍編◇◇
~熊倉 貫宜の巻~
元証券マンで読書家である熊倉貫宜さんの寄稿です。
夏の課題図書(?)
アメリカの金融大手JPモルガンは毎年、顧客向けに「夏の課題図書Summer Redaing List」を発表しており、今年も5月24日付で第23回目の発表がありました。
https://www.jpmorgan.com/news/jpmorgan-launches-23rd-annual-summer-reading-list
顧客である“超富裕層の夏休みのお供に!”という趣旨ですから、例年、大変興味深いリストが挙げられます。
トレンドとなりそうな経営上のアイデア、時事的なトピックス、文化文明に対する考察、エンターテインメント、精神修養等々、相当に幅広い分野から10冊、毎年唸りながらリストとにらめっこするのが私の習慣です。
しかしながら、私は決して全ての書籍に目を通すわけでも、目を通そうという意志もございません。(そもそも、そんな語学力もありません。)
ただ、そのリストを眺めるだけで、その年の“世界の重要課題”と言っては大袈裟ですが、少なくとも米国の大手金融機関とその顧客の問題意識が共有できるような感を強くするのです。
このように、米国株投資家のヒントとなるようなリストですが、日本ではどなたも注目されないのか、メディアで見かけることがありませんので、ここにご紹介させていただきます。
さて、詳細は後述致しますが、本年はこんな内容の10冊です。
①尊敬される大企業経営者の心構え
②気候変動問題への取り組み
③人間関係の仲で自己管理
④非代替トークン(NFT)の解説書
⑤「後悔しない」という生き方へのアンチテーゼ
⑥芸術を通した問題解決
⑦宮崎駿の芸術
⑧黒人のアイデンティティを探求した写真集
⑨慈善活動のあり方に関するドキュメンタリー
⑩ギリシャ神話集
昨今の混迷する世界情勢から“基本に帰れBack to Basic!”という10冊ではないでしょうか?
今ではAmazonに発注すれば原書も容易に入手できる時代ですし、翻訳も出版される可能性もあります。
それでは一冊づつ、JPモルガンの解説を要約しながらご紹介いたします。
CEO Excellence: The Six Mindsets That Distinguish the Best Leaders from the Rest
by Carolyn Dewar, Scott Keller and Vikram Malhotra
CEOの優位性:最高のリーダーの六つの心構え
byキャロリン・デュワー、スコット・ケラー、ヴィクラム・マルホトラ
Netflix、JPモルガン、ゼネラルモーターズ、ソニーの首脳やリーダーへの面談から、世界的大企業のリーダーが如何にして大変革のビジョンを確立し、読者が如何にその最高のリーダーシップを身に着けることが出来るかを提示します。
Race for Tomorrow: Survival, Innovation and Profit on the Front Lines of the Climate Crisis
by Simon Mundy
明日への競争:気候危機の最前線における生き残り、革新、そして利益
byサイモン・マンディ
26か国と6大陸を巡る驚くべき旅の中で、フィナンシャル・タイムズのサイモン・マンディは気候危機の最前線を旅し、対応するための闘いが既に私たちの世界を大きく変えていることを示しています。
Being Present: Commanding Attention at Work (and at Home) by Managing Your Social Presence
by Jeanine W. Turner
存在すること:あなたの社会的存在を管理することによって、職場(および自宅)で注意を引く
byジャニーヌ・W・ターナー
錯乱する世界で私たちの集中力は、日毎に困難となっています。では、どうすれば私たちの存在を脅かすデジタル機器から離れることができるのでしょうか。ジョージタウン大学のジャニーヌ・W・ターナー教授は15年にわたる研究、面談、学生や経営者への指導経験から、ソーシャルプレゼンス(会話や交流の中でつながっている感覚)を頼りに、家族、友人、同僚とより効果的かつ意図的にコミュニケーションする枠組みを提供します。
The Comprehensive Guide to NFTs, Digital Artwork, Blockchain Technology
by Marc Beckman
NFT、デジタルアートワーク、ブロックチェーン技術の包括的ガイド
byマーク・ベックマン
非代替トークン(NFT)は、ブロックチェーンと暗号通貨の開発以来、最も重要なデジタルイノベーションの1つです。しかし、それらは正確には何であり、それらは私たちの世界にどのような影響を与えるでしょうか?
The Power of Regret: How Looking Backward Moves Us Forward
by Daniel H. Pink
後悔する力:過去を振り返り前進するには
byダニエル・H・ピンク
「後悔なし」は使い古された人生哲学ですが、ダニエル・H・ピンクは彼の最新の本でこの考えを否定し、私たちに後悔を受け入れ、私たちがより充実した生活を送るために創造的な方法で考えるよう問いかけています。ピンクは心理学、神経科学、経済学、生物学の研究を利用し、より賢明な意思決定を行い、仕事でより多くのことを達成し目的意識を深めることで「後悔」を前向きな力に変えることができると主張しています。
Fixed.: How to Perfect the Fine Art of Problem Solving
by Amy E. Herman
修正済み:問題解決のファインアートを完成させる方法
by エイミー・E・ハーマン
弁護士で美術史家のエイミー・E・ハーマンは、ニューヨークのフリック・コレクションThe Frick Collectionで教育を担当していた時、医学生の観察力とコミュニケーション力を高めるため、「知覚の技術 Art of Perception」セミナーを開発しました。以来、FBI、フランス国家警察、国際刑事警察機構など、失敗が致命的となる多くの組織のリーダーや専門家を対象に、国際的な講演を続けています。ハーマンは、アートを通して私たちの既成概念に疑問を投げかけ、普段は見過ごしてしまうような可能性を見出すために、心を開くことを勧めています。問題の規模や複雑さにかかわらず、ハーマンのレンズは、あらゆる問題にアプローチし、効果的な解決策を生み出すための強力な新しい視点を提供してくれます。
Hayao Miyazaki
by Jessica Niebel, Daniel Kothenschulte and Pete Docter
宮崎駿
byジェシカ・ニーベル、ダニエル・コテンシュルテ、ピート・ドクター
宮崎駿のアニメーション映画の芸術的ビジョン、職人技、そして人間的なテーマを賞賛します。アカデミー映画美術館が東京のスタジオ・ジブリと共同で出版した本書は、アニメーターの創造的なプロセスと見事なストーリーテリングについての洞察を提供しています。彼の刺激的な自然の設定と強い性格、それらの多くは若い女性と少女であり、文化の境界を超え、若者と人類の普遍的な探求を提供します。
As We Rise: Photography from the Black Atlantic by the Wedge Collection
私たちが立ち上がる時:黒大西洋からの写真、ウェッジ・コレクションより
トロントにあるケネスモンタギュー博士のウェッジコレクション(アフリカ系の芸術家に捧げられた黒人所有のコレクション)から選ばれた本書は黒人のアイデンティティを探求します。カナダ、カリブ海、イギリス、アメリカ、南アメリカ、そしてアフリカ大陸全体の黒人アーティストによる100枚以上の写真を集めた本書はコミュニティ、アイデンティティ、権力などのテーマを通じ黒人の生活の多層的な側面を検証しています。
Between the Mountain and the Sky: A Mother’s Story of Love, Loss, Healing, and Hope
by Maggie Doyne
山と空の間:愛、喪失、癒し、そして希望の母親の物語
byマギー・ドイン
アメリカの慈善家でありブリンク・ナウ財団(Blink Now Foundation)の創設者であるマギー・ドインが50人以上のネパールの子どもたちの世話人となる旅の物語。ドインは自身の貯金で土地を購入し子供たちの家を開きます。山と空の間で彼女が家を開き、最終的に女性のセンターと学校を立ち上げることで経験する愛、喪失、癒し、希望を共有して、一人の人間が行動を起こすときに如何に善と変化が可能であるかを思い出させます。
Greek Myths
by Gustav Schwab
ギリシャ神話
byグスターフ・シュヴァーブ
ドイツ人作家グスタフ・シュヴァーブの代表的なアンソロジーから47の物語を収録した本書は、ギリシャ神話の魅力的な世界を現代に蘇らせました。神々と人間離れした英雄たちの物語を通して、シュヴァーブはペルセウスの勇気、イカロスの野心、ミダスの強欲など、人間の持つあらゆる偉業、怒り、欠点を明らかにします。豊かな挿絵とともに、古来より伝わる人類の真実は、今日もなお、あらゆる年齢層の読者を魅了することでしょう。
【熊倉 貫宜】
1980年大和証券入社。企業派遣留学としてシカゴ大学経営大学院にてMBA取得。シンガポール、香港駐在を通しアジアビジネスに関わる。
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6. ちょっと教えて「失敗しない資産形成のヒント」
ファイナンシャルアドバイザーの本橋竜一さんが、中長期にわたる着実な資産形成のために大切なヒントをお伝えします。
着実な資産形成に成功している方々には、ある共通した思考法がありそうです。ここでは、私がプライベートバンカーとして、長年近くでお仕えしてきた「超富裕層」と言われるご資産家の方々のアタマの中に垣間見られた、そのヒントをご紹介します。
◆超富裕層の思考法:3つのポイント
①「殖やす」よりも「減らさない」に焦点
②「投機」と「投資」を分けている
③オススメ商品情報に振り回されない
実は、①の「殖やす」よりも「減らさない」は以前本メルマガでも紹介しました。詳しくはVol.41号:複利運用で大切なのは「大きく減らさない」をご参照ください。
今回は②の「投機」と「投資」を分けている、③のオススメ商品情報に振り回されないにフォーカスします。
さて、ここで質問です。
皆さんは「投機」と「投資」、違いが分かりますか?
◆投機はギャンブル、投資はインベストメント
投機(ギャンブル)は誰かが敗者になって、誰かが勝者になります。
よく言われるのが、ギャンブルでは最後は胴元だけが儲けて、参加者が負けてしまう…というものです。Loser or Winnerの構図です。ゆえに投機は、別名「ゼロサムゲーム」とも言われます。
【ギャンブルのイメージ】
これに対して、投資(インベストメント)は参加者の皆が豊かになれる「プラスサム」で、Win-Winの構図です。これは皆さまが既に実践済みの長期での資産運用ですね。
資本主義経済の下では、昨日より今日、今日より明日のより良い暮らしを皆が望み、社会生活や経済活動を営もうとするからこそ、世界のGDPは拡大していくのです。これが世界経済の成長なのです。
【 世界の名目GDPと米国株式(S&P500指数)の推移】
出所:野村アセットマネジメント
この成長はゆっくりですが、着実に成し遂げられます。世界経済の成長に投資することにより、皆が豊かになるインベストメントなのです。
私が敢えて「長期で」としているのは、世界全体での経済成長はスローペースだからです。※経済発展著しい新興国は急速に、成熟期に入った先進国はゆっくりと、地域差こそありますが…
◆オススメ商品情報に振り回されない…
今が旬のテーマですよ!と勧められる新(金融)商品は、ストーリーが魅力的で、投資意欲を掻き立てらるものばかりです。しかし、こうした旬のオススメ商品ほど、買った途端に価額が下がる危険があります。
皆が「いいね」と話題にしているテーマは、既に割高になっている可能性が高いのです。
私が資産運用をサポートしている超富裕層とよばれるご資産家のお客さまには、この手のご提案(という名のセールス)がたくさんあります。
お客さまは「ちゃんと理解できて、まあこれなら損してもイイか…というテーマに、お付き合い程度にしておこうかな」と言って投資します。
実際、自らビジネスを手掛けている事業家であれば、ワクワクできるテーマに、万が一損しても良い金額で… というのも何となく理解できます。
ビジネスや投資におけるリスクの取り方に慣れているとも言えますし、その思考回路は「オススメの商品情報」には振り回されていないのです。
◆オススメ商品誕生の裏側…
以下は私が実際、金融機関の勤め人として、金融商品開発と投資信託の販売戦略を手掛けていた時の、オススメ投信誕生までのサイクルです。
【オススメ商品(テーマ型投信)誕生の裏事情】
出所:筆者セミナー資料より
縦軸は旬のテーマに関する経済状況の温度差(ここではイメージしやすく株価としました)です。横軸は時間の経過です。その時々旬の話題の投信のテーマも…いろいろ(右の例)ありました。
※今でもESGやSDGs、リスク限定型ファンド、トレンドをフォローする機動的運用スタイル、◯倍三分法バランスファンドなど、雨後の筍のように新商品が開発されます(笑)。
昔も今も、概ねこのサイクルで「オススメ商品」は誕生しています。
そして、、、「オススメ商品誕生」のフェーズ別に起こっている舞台裏は以下のような感じです!
A:最も鼻が利く運用会社が着目し始めるのですが、まだ話題性がないので、商品化しても売れません。いち早く商品化できた投信は先行者メリットとして、ヒット商品の可能性はありです。このスピード感は勝負です。
B:徐々に世の中の話題を集め、証券会社等のリサーチに投資テーマとして掲載され始める。証券会社の店頭に新テーマ型の投信:新規設定として大きなポスターが掲載。この段階では、銀行の店頭ではまだお目見えしていません。
C:マネー雑誌等にも特集が組まれ、各銀行の店頭でも同じようなテーマ投信が乱立・乱造され「今売れています!」の売れ筋ランキング上位を占める。
このCのフェーズになると、新商品導入の担当者であった私には、商品戦略ラインの専務から「他社に販売で劣後しないように急いで新投信を導入して、現場に販売目標の割り振りをしろ!」と命が下り、一応形式上のコンペで是々非々での商品選定とすべく、運用会社から同じテーマの同じような商品のプレゼンを毎日受ける日々、そして社内稟議と関係部署との会議にたくさんの時間を費やした結果、基本は系列運用会社の「新商品」か、時々は系列運用会社には気を遣いつつ、外資系運用会社のテーマ型投信を導入となるのです…。
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昔の実体験が走馬灯のように蘇り、少々脱線してしまいましたが、旬のテーマ型投信と言えども、いち早く目を付けて商品開発したマーケター的な起点からではなく、他社の販売動向を横目で気にしつつ、ある程度の販売に確信をもってから一斉にプロモーションされてくる、テーマとしてはピークを過ぎた代物(シロモノ)なのです。
であるからこそ、第一線で、本物のビジネスのネタをいち早く見つけてきた事業家等のご資産家の方は、オススメ新商品に振り回されずに、程々のお付き合いにするのでしょうね(笑)。
【本橋竜一】
1998年に大学を卒業後、横浜銀行にて金融業界でのキャリアをスタート。その後、外資系金融機関のプライベートバンカーへ転身。間もなく世界を震撼させるリーマンショックが勃発し、第一線のセールスとして成功を諦め、正統派な資産運用を伝えるファイナンシャルアドバイザーを目指そうと決意。数名の顧客を頼りに約20年の金融機関勤務から独立。信用・人脈ゼロながら、海外のPB・FAビジネスモデルを徹底研究、顧客体験の向上に資する創意工夫を重ねる日々。
現在は、特定の金融機関に属さず、真にお客様の価値観を大切にした資産運用・形成サポートを専業とする、独立系ファイナンシャルアドバイザーとして、お客様へのプライベート金融コンサルティングに従事している。
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7. 超富裕層が実践する「プライベート投資戦略」とは
IFAに特化した営業支援を行っている市川宏さんが、超富裕層が活用している投資戦略を、皆様に簡単にお伝えするコーナーです。
今回は、超富裕層の投資における「ホームカントリーバイアス」についてお伝えします。
ホームカントリーバイアスとは
ホームカントリーバイアスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、投資家が海外投資に慎重になり、国内資産の投資に偏ってしまう傾向のことです。人間はどうしても自分の国を基準として優先的に考えてしまうので、自国の投資に偏重してしまいます。
ホームカントリーバイアスにかかりやすい理由としては、まず、海外よりも国内に関する情報の方が身近であるからでしょう。例えば、国内投資の期待リターンが外国投資に比べて同じくらいであれば、国内投資のほうが安心と考えるはずです。
また、国の文化の相違も関係します。さらに、投資家のリスク許容度が高くないため、海外投資に消極的になるといった理由も考えられます。
これ以外にも機関投資家の運用などでは、外貨建て資産に関する運用規制がかかっていることもあります。これについては、ホームカントリーバイアスを無くすために規制を緩くしているところが増えています。
自分の国を好きでいることはとても大切ですが、投資の世界においてはその固定観念は一旦リセットする必要があります。特に、投資を成功させ続けている超富裕層などは、ホームカントリーバイアスが特に少ない傾向にあります。
圧倒的にバイアスのかかりやすい日本人
日本人は、特にこのホームカントリーバイアスにかかっています。例えば、確定拠出年金の運用商品選択状況を見ると、投資信託に占める国内株式型の投資比率は企業型で59%、個人型で54%と、外国株式型よりも投資比率が高いです。
日本に住む個人投資家にとって、土地勘や企業文化に関する知識があり、為替リスクを直接受けない日本株の投資比率を高くすることは自然だとは思います。しかし、投資の世界では明らかに「過剰投資」であり「偏重」しています。
MSCI全世界株指数における日本株の構成比率はわずか7%であり、これは世界の名目GDPに占める日本の名目GDPの割合とほぼ同じです。
時価総額や経済規模で見れば、世界における日本の占める割合は10%にも満たないです。なので、日本株の投資比率が過半数を占めていることは、明らかに過剰投資です。
ホームカントリーバイアスを排除すべき理由
日本人にとって、日本株や日本国債が海外の資産に比べて期待リターンが高いのであれば、日本偏重の投資でも全く問題ありません。
しかし、投資には様々な尺度がありますが、過去のパフォーマンスを見る限り、日本株のパフォーマンスよりも米国株の方がはるかに高いパフォーマンスを出していることは明らかです。
日本の株式市場は平成の30年間で約0.7倍と30%近く下落しましたが、米国は同期間に12倍まで値上がりしています。
また、過去10年間のリスク・リターンを計測すると、全世界株のリスクは日本株と大差ないものの、リターンは長期にわたって日本株を上回っています。日本株を中心に運用してきた個人投資家にとっては、本来得られたであろう世界の株式の相対的に良好なリターンを享受できなかったことになります。
ホームカントリーバイアスは日本だけでなくどの国でもあるものですが、このように、過去の投資パフォーマンスから見れば、日本株偏重の投資は避けるべきだと言えます。
【市川宏】
株式会社Winviser代表取締役。SMBC日興証券にて茨城、福岡、東京の各支店にて資産運用コンサルティングに従事した後、超富裕層向け金融商品のマーケティングを行う。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)業者に転籍し、超富裕層の資産運用のアドバイスを行った後、日本の金融業界の発展のためIFAに特化した支援会社を設立。現在は、IFAを支援する傍ら、自身の経験を元に個人投資家に資産運用のサードオピニオンを行っている。
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8. 今後の活動情報
◇ストックボイス:6月15日(水)11:00~
◇日経CNBC:6月29日(水)電話インタビュー(改野さん)
6月30日(木)大倉さん電話インタビュー(改野さん)
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