【9月6日~9月10日】日本の政局混乱とECB理事会を考慮したトレード戦略
先週の為替相場レンジ(変動範囲)
| 始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 109.86 | 109.58 | 110.42 | 109.73 | ▲0.12% |
| EUR/USD | 1.1791 | 1.1783 | 1.1910 | 1.1882 | +0.77% |
| EUR/JPY | 129.54 | 129.49 | 130.77 | 130.38 | +0.65% |
| USD/CNH | 6.4605 | 6.4233 | 6.4721 | 6.4344 | ▲0.40% |
| CNH/JPY | 17.0056 | 16.9648 | 17.0954 | 17.0457 | +0.24% |
先週の為替相場サマリー
USD/JPY
- 先週のドル円相場は、1ドル=109.86円からスタート。月曜日は輸出の持ち込みが多かったのかドル円はじりじりと下落し、今週安値となる109.58をつけるも、月末火曜日にはドル買いが優勢となり110.42の高値をつける。注目された水曜日の8月ADP雇用統計が+37.4万人と弱くドル売り優勢となると、その後は金曜日の米8月政府部門公表の雇用統計を控えて110円を挟んで小動き。発表された金曜日の政府部門雇用統計も+23.5万人と弱く、週末もドル売り優勢となったが、クロス円の上昇に支えられて、ドル円は大きな下落を避け、109.73レベルでクローズ。
EUR/USD
- ユーロ相場は、1ユーロ=1.1791ドルからスタート。週初は1.18前後で揉みあいの展開が続いたが、水曜日に欧州8月消費者物価が+3.0%と発表されると、早期の金融緩和縮小観測が広がりユーロ買いが優勢の展開となる。その後も米経済指標が芳しくなかったこともあって、ほぼ一本調子でユーロはじり高の展開となると、金曜日の雇用統計後に1.1910の高値をつけたあと、1.1882でクローズ。
USD/CNH
- 人民元相場は1ドル6.4605元からスタート。火曜日に弱い中国8月PMIが発表になると一時的に人民元売りが強まる局面もあったが、週を通じてみるとドル売りに押されて人民元高が進行した。週末の米8月雇用統計では、一時6.4233の安値をつけたのち、6.4344でクローズ。
先週のできごと
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値30日
- 欧州8月消費者信頼感 ▲5.3
- 欧州8月経済信頼感 119.0
- 米国7月住宅販売保留指数 ▲1.8%
31日
- 日本7月失業率 2.8%
- 日本7月有効求人倍率 1.15倍
- 日本7月鉱工業生産 ▲1.5%
- 中国8月製造業購買担当者景気指数(PMI) 50.1
- 欧州8月消費者物価指数(HICP) +3.0%
- インド4-6月期四半期国内総生産 +20.1%(前年同期比)
- 6月ケース・シラー米住宅価格指数 +19.1%(20都市、前年同月比)
- 8月シカゴ購買部協会景気指数 66.8
- 米国8月消費者信頼感指数 113.8
1日
- 豪州4-6月期四半期国内総生産 +9.6%(前年同期比)
- 中国8月Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI) 49.2(弱い)
- 欧州8月製造業購買担当者景気指数 61.4
- 欧州7月失業率 7.6%
- ブラジル4-6月期四半期国内総生産 +12.4%(前年同期比)
- 米国8月ADP雇用統計 37.4万人
- 米国8月製造業購買担当者景気指数 61.1
- 米国8月ISM製造業景況指数 59.9
2日
- 欧州7月卸売物価指数 +12.1%
- 米国前週分新規失業保険申請件数 34.0万件
- 米国7月貿易収支 ▲701億ドル
- 米国7月製造業新規受注 +0.4%
3日
- 中国8月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI) 46.7(弱い)
- 欧州7月小売売上高 +3.1%
- 米国8月雇用統計 非農業部門雇用者数増減+23.5万人 失業率5.2%
- 米国8月サービス部門購買担当者景気指数 55.1
- 米国8月ISM非製造業景況指数(総合) 61.7
- 菅義偉首相が、任期満了に伴う自民党総裁選に出馬しないと表明した。
- ロシアのプーチン大統領は、極東ウラジオストクで開催中の東方経済フォーラムで演説し、北方領土に日本企業など外資を誘致するための特区を創設すると表明した。フォーラムの議論の場では「日本との平和条約がないことはナンセンスだ」とも述べ、平和条約締結交渉の進展に意欲を示した。
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Price(国内総生産);高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Indes(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):50が基準
- NAHB=National Association of Home Builder:50が基準
- ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
- 住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
注目の経済指標と政治イベント
6日
- 米国祝日(Labor Day)
- ブリンケン米国務長官がカタールとドイツを訪問(~8日)
- オースティン米国防長官がカタール、バーレーン、クウェート、サ
ウジを訪問
7日
- 時間未定 中国8月貿易収支
- 08:50 日本8月外貨準備高
- 13:30 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
- 14:00 日本7月景気指数
- 18:00 欧州9月ZEW景況感調査
- 18:00 欧州4-6月期四半期域内総生産(GDP、確定値)
8日
- 米主催のアフガンに関する国際会議(オンライン)
- 08:50 日本4-6月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
- 08:50 日本7月国際収支
- 14:00 日本8月景気ウオッチャー調査
- 20:00 米国MBA住宅ローン申請指数
- 23:00 カナダ銀行 政策金利発表
- 27:00 米地区連銀経済報告
- 28:00 米国7月消費者信用残高
9日
- 北朝鮮の建国記念日
- 08:50 日本8月マネーストックM2
- 10:30 中国8月物価指数
- 20:45 欧州中央銀行(ECB)政策金利
- 21:30 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
- 21:30 前週分新規失業保険申請件数
10日
- 18:30 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
- 19:30 ロシア中銀政策金利
- 21:30 米国8月卸売物価指数(PPI)
- 23:00 米国7月卸売在庫と売上高
来週以降
- 9月11日:米同時テロから20年
- 9月11日:上海協力機構(SCO)の対テロ合同軍事演習(ロシア・オレン
ブルク州、~25日) - 9月21日―22日:日銀金融政策決定会合
- 9月21日―22日:FOMC
- 9月26日:ドイツ総選挙
- 9月29日:自民党総裁選
- 10月27日―28日:日銀金融政策決定会合
- 10月28日:ECB
- 10月30日―31日:G20首脳会議
- 11月2日―3日:FOMC
- 12月14日―15日:FOMC
- 12月16日:ECB
- 12月16日―17日:日銀金融政策決定会合
先週の対ドル及び、対円通貨強弱
ドル安が優勢
- 円安、クロス円上昇
- 引き続き新興国通貨の巻き戻しが目立つ(南アなど)
- オセアニア通貨も大きく買戻された
- 引き続き人民元やロシアルーブルは安定して推移
- まとめると通貨強弱は右記の通り 新興国 > オセアニア > ロシア > ユーロ > 人民元 > 円 >ドル
グローバルマクロ環境の整理
- アフガニスタン地域の情勢を引き続き警戒。過激派組織「イスラム国」とタリバン、さらに米国による混乱拡大に注意したい。
- 中国景気に折り返しの動きが見られている。アンケート調査はコロナ危機直後以来となる基準の50を下回るなどじりじりと米中対立の影響が出ているもよう。人民元安要因。
- 菅総理の総裁選不出馬が決定し、日本の政治が揺れている。基本的に円安要因と捉えておきたい。
- 2週間続いているリスクオン相場が本流になるかどうか注目。鍵は米金融緩和の長期化とコロナ収束の兆し。
- コロナ再拡大は一旦折り返しに入っている可能性に留意する(下に添付したチャート Daily New Cases は 7日間の移動平均で横ばい~下向きになりつつある)
- 投資家の米金融政策見通しは年内のテーパリング決定、2022年末に利上げ開始がコンセンサス。弱い米経済指標を受け先週より利上げ観測は後ろ倒しになっている。
- 8月を明けて方向感が出始める可能性と、一方で9月&10月も8月のような相場が続く可能性の双方に留意しておきたい。米株は8~10月のパフォーマンスは例年芳しくない傾向(シーズナリティ)がある。
COVID-19 新規感染者数, Worldmetersより抜粋
市場参加者のFOMC利上げ予想, CME Group より抜粋
チャート分析
USDインデックス(日足)
- 米経済が弱いわけではないが、ドル高は続かず
- 中長期的なドル安局面に入っている可にも留意しておきたい
USD/JPY 中期(日足)
- 広いレンジでは107.50~111.65
- 直近は109.00~111.00のレンジ相場と判断
- 引き続き方向感が出にくい可能性には留意
- 一方で円安圧力も強く、どちらかと言えば上昇圧力が強くなってきたと見ている
USD/JPY 短期(時間足)
- さらに細かいレンジで109.20~110.20
- レンジ切り上げなるか、注目
EUR/USD 中期(日足)
- 広いレンジでは1.1630~1.2250
- ドル安と相まってユーロ買いが強まってきている
EUR/USD 短期(時間足)
- 1.1800のレジスタンスをブレイク
- 1.2250まで特段大きなレジスタンスはない
USD/CNH 中期(日足)
- 6.35~6.60のレンジと判断
- 直近はドル安人民元高の傾向が続いている
USD/CNH 短期(時間足)
直近安値の6.40を試す展開になってきている
- 一方で中国景気に不安材料もあり、人民元安への推移も警戒したい
今週の戸田の取引戦略
全体方針
- 引き続き中国と日本の株式市場の動向に目を光らせ、リスクオフの兆候を早めに感知できるよう努める
- Covid-19の新規感染者数カーブの上昇が緩やかになってきていることを意識する(リスクオンが続く可能性に留意)
- 徐々に投資家が戻ってきて、方向感が出る可能性に留意しておく(リスクオンか、利食い先行か見定め)
- 米ドルは弱い米8月雇用統計を受けて、利上げ織り込みが剥がれていることを認識する(ドル安継続の可能性)
- 菅総理の総裁選不出馬による政局の混乱と、金融緩和の長期化を見込み、円売りを先行させる
- 人民元は米中対立と権力闘争による国内景気落ち込みの可能性を念頭に入れて、人民元保持を継続する(必要に応じてポジションを落とす)
- ユーロは経済指標に持ち直しの動きが見られており、買いを先行させる
USD/JPY
- 先週末の終値:109.73
- 目線:横這い~上
- 想定レンジ:109.00-111.00
- 現在ポジション:USD/JPY + 2.0
- 方針:ドル円よりもユーロ円の方が地合いが良いと判断し、週明けにEUR/JPYのロングへと変更予定
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.1882
- 想定レンジ:EUR/USD 1.1800~1.2000
- 目線:EUR/USD 横ばい~上 EUR/JPY 上
- 現在ポジション:EUR/USD ±0 EUR/JPY ±0
- 方針:EUR/JPYのロングを造成、週をまたぐ可能性のあるポジションとして保有していく
CNH/JPY、USD/CNH
- 先週末の終値:USD/CNH 6.4344
- 想定レンジ:USD/CNH 6.4500~6.4000
- 目線:USD/CNH 横ばい~下、CNH/JPY 横ばい~上
- 現在のポジション:USD/CNH ± 0.0 CNH/JPY +3.0
- 方針:CNH/JPYの買い持ちを保持。
- 中国景気の悪化には要警戒
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