【欲と嫉妬】爆上げ相場で大損した「意外な偉人」
こんにちは、下山です。
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東京証券取引所によると、
2019年度の個人株主数は延べ5672万人と、過去最高だった。
2020/7/6 11:00日本経済新聞 電子版より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61174710U0A700C2000000/
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と日経新聞にありましたが、
たしかに株を始める方は年々増えているように感じます。
株アカデミーで教えていてもそのことは肌で感じます。
初心者の方も多く入学されています。
ちなみに、初めて投資を始められる方にとって
1つの大きいハードルは
イライラです。
想定外の動きに対するイライラです。
「下山さんはトレード中、
どうやってイライラとか怒りを
コントロールしているんですか?」
と質問を受けることもありますが、
自分はそもそもトレードでイライラしません。
自分にとってトレードで
利益が出るのは当たり前ですし、
誰かと対戦して勝ち負けが決まるわけでもありません。
それに、物欲もそれほど無く、
「利益が出ているのならそれで良しとする」
くらいのスタンスでトレードしていますので
失望してイライラするようなことは基本的にありません。
特に初心者の方ほど
「イライラ」が原因で失敗することは多いと思いますが、
まずは意識改革をすることが必要です。
大金を稼げないと
満足できない方も多くいらっしゃいますが、
「金額に関わらず利益が出ているのならひとまず満足する」
そういう意識を持つことが大切です。
そういう意識で
普段から負けないトレードをしていれば、
時に大きい利益が舞い込んできます。
逆に一攫千金を普段から狙っていると、
足元をすくわれ、必要以上に資金を奪われます。
歴史を振り返っても欲張った結果、
相場を去っていく人間が
どれだけ多いことか・・・
いくら頭が良くても欲や嫉妬と
うまく付き合うことができなければ
結局相場から堕ちていくのです。
たとえば、アイザック・ニュートン。
リンゴが木から落ちるのを見て(?)
万有引力の法則を発見した、あのニュートンです。
歴史に名を残す天才ニュートンも
実は株で大損していた、という記録があります。
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『南海泡沫事件』でイギリス大混乱
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18世紀のイギリスで、
世界3大バブルの1つに数えられる
『南海泡沫事件』が起こります。
このバブルで
ニュートンも多額の損失を出してしまうのですが、
どんなバブルだったのか、まずは簡潔に紹介いたします。
当時のイギリス政府は借金地獄におちいっていました。
戦争でお金を使いまくっていたんですね。
イギリス政府はどうにか借金から逃れるため、
ある秘策を考え出します。
「南海会社」という会社を作り、
政府の借金をその会社に移す、という策です。
南海会社に借金を移して
チャラにしようというわけですが、
この時点でかなり怪しい話ですよね。
で、実際に政府の借金が南海会社に移されたわけですが、
先に『南海泡沫事件』の顛末を言ってしまうと、
南海会社の株価が暴騰した後、一気に暴落。
6ヶ月で8倍になり、
その後わずか4週間で75%暴落しました。
まさにバブルです。
結果、南海会社の株に手を出した
大勢のイギリス国民が路頭に迷い、
怒りまくった挙句、暴徒と化し、
イギリスは大混乱に陥ります。
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なぜ南海会社の株価は爆上げしたのか?
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南海会社の株価は、なぜ暴騰したのでしょう?
儲かっている会社だったから?
もちろん違います。
ひとことで言えば
「南海会社の株を買えば儲かる!」
という熱狂を生み出し、大勢の人を混乱させ
株を買いに走らせることに成功したからです。
では、具体的にどのようなやり方で
人々の欲望を刺激したのか?
全てを説明すると複雑なので
要点だけお伝えします。
南海会社は考えました。
「南海会社の株とイギリスの国債を
交換することが許可されたら儲かるじゃん!」
と。
たとえば額面100ポンドの南海株と
額面100ポンドの国債を交換しても
何の得もありません。
しかし、もともと額面100ポンドだった南海株の
株価が200ポンドになったとしたらどうでしょう?
南海会社は国債200ポンド分を受け取る代わりに
額面100ポンドの南海株を差し出せば良いわけです。
そしてその計画が発表されます。
(もちろん裏の事情は隠して。)
「国債を南海会社の株と交換します!」
という計画が議会に発表された時点で
期待感から株価は上昇し始めます。
そして実際に
南海会社の株式と国債の交換が認可され、
有利なレートで株と国債を
交換することに成功した南海会社は
多額の利益を得ます。
かなり省略した説明なので
分かりづらいかもしれませんが、
とにかく自社の株式と国債を交換することで
利益を出します。
さらに、人々の欲望を刺激して
株を買わせるため、
「20%の申込金さえ払えば、分割払いで株買えます」
といったキャンペーンも打ち出されます。
そうこうしているうちに人々は熱気に流され、
実態のない南海会社の株価は爆上げします。
ちなみに、『南海泡沫事件』
という名前がつけられていますが、
この「泡沫」が何を指すのか気になりませんか?
実は、この南海会社フィーバーに乗じて
「泡沫会社」、
つまり実態のないペーパーカンパニーが沢山作られ、
株の買い手を募集していたのです。
イギリス全土が株取引の熱気に包まれ、
人々の欲望は最高潮に高まります。
日本がバブルに踊ったあの頃のように・・・
「とにかく株を買っとけ!」
と。
しかし、
南海会社の株価が暴落し、
全てが一瞬でパーンと弾けます。
ニュートンもその波に飲み込まれ、
多額の損失を出します。
その顛末が書かれた一節を
引用させてもらいます。
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1720年、
イギリスの南海会社の株価が上がり始め、
興奮状態がロンドンの街中を席巻すると
(南海泡沫事件)、
ニュートンの気分も落ち着かなくなり、
南海会社株の売買で資金が2倍になった。
ところが、南海会社以外の株は
6ヶ月以内に8倍となり、
ニュートンが利益を確定した後も
止まる気配を見せなかった。
彼は悔しい気持ちを抑えきれず、
当初の購入額の3倍をつぎ込んだ。
ところが相場の天井近くで参入したため、
バブルがはじけると、
わずか4週間で市場が75パーセント急落。
資金を倍にするどころか、大半を失ってしまう。
マイケル・バトニック
『ビッグミステイク(日経BPマーケティング)』
2019年9月24日 第1版第1刷発行
P.63より引用
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天才も「欲」や「嫉妬」には勝てませんでした。
いや、もしかしたら天才だからこそ、
他人に負けることを
プライドが許さなかったのかもしれません。
時代が変わっても人間の本質は変わりません。
今でも
人々の欲望が刺激されてバブルは起こります。
記憶に新しいところで言えば
ビットコインが暴騰しましたね。
その後のストーリーはご存知の通りですが・・・
どうかあなたは「バブルのトラップ」に
ひっかかることのないようお気をつけください。
本日も最後までご覧いただき
ありがとうございます。
下山敬三