4分で解説!米イラン関係悪化の歴史
こんにちは、下山です。
アメリカとイランの関係悪化に対する
不安が消えないトレーダーの方も
いらっしゃると思いますが、ニュースを見ていて
ちょっと分かりづらい部分、ありませんか?
中東情勢は複雑ですし、アメリカとイランの
歴史的背景も分かりにくいですよね。
そもそもなぜアメリカとイランは仲が悪いのか?
そのあたりの歴史的背景を知らないと、
ニュースを見ても内容が
スーッと頭に入ってこないかもしれません。
そこで本日はアメリカとイランの関係について
歴史的背景を簡潔にまとめてみました。
メルマガでお伝えできる情報は限られますが、
「中東の話は複雑で分かりづらい」と考え、
避けてこられた方が、事情を理解する
1つのきっかけになれば、うれしく思います。
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緊迫感がエグい!「アルゴ」
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2012年に公開された「アルゴ」という
映画をご存知でしょうか?
「アルマゲドン」にも出演した
ベン・アフレックが監督・主演をつとめた映画で、
アカデミー賞作品賞も受賞しているので
ご覧になった方も多いかもしれません。
この映画は、1970年から1980年にかけて、
イランの首都・テヘランにあるアメリカ大使館が
反米デモ隊によって占拠された、
その歴史的大事件を描いた作品です。
ハラハラドキドキ、
最後まで飽きさせない映画として評判も高い映画です。
映画としても面白いと思いますし、
何よりストーリーが史実に基づいているので
この映画を観ると、アメリカとイランの
歴史的背景が垣間見れます。
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あることが原因で溝ができる
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でも、そもそもなぜアメリカ大使館が
占拠されなければいけなかったのでしょう?
実はその昔、
アメリカとイランの関係は良好でした。
今の状況からはイメージできませんけどね。
関係良好でしたが、あることが原因で
ケンカが始まります。
その理由を一言でいえば「原油の利権」です。
アメリカは原油利権を手に入れるために親米政権を立て、
パフラヴィーという人物を国王に擁立します。
パフラヴィー国王は西欧化を目指し、
自分は贅沢三昧の生活を送る一方で
国民には恐怖政治を行います。
結果、国民は疲弊し、不満爆発!
ついにパフラヴィー国王は
追放されることになります。
「アメリカの犬め!」という感じでしょうか。
追放されたパフラヴィーはアメリカへ亡命。
すると、「いやいや、逃げるなよ。
おれたちが裁いたるから戻ってこい!」
ということでパフラヴィーを
アメリカから取り返すためのカードとして、
反米デモ隊がアメリカ大使館を占拠し、
52人のアメリカ人を人質にとります。
「人質を解放して欲しいならパフラヴィーを引き渡せ」と。
余談ですが、今年1月4日にトランプ大統領が
この52人という数字を使い、
「イランが報復したら52の場所を攻撃する」
とツイートしていました。
忘れることのない歴史的大事件として
アメリカ人の心に深く刻みこまれていることが伺えます。
アメリカ大使館の占拠は444日も続いた後、
ようやく解決に向かいます。
しかし、一度生まれた憎しみはそう簡単に消えません。
アメリカ大使館占拠は1979年から1980年にかけて
起こった事件ですが、それからずっと
アメリカ・イラン両国の関係は悪いまま。
2000年以降、イランが核関連施設を作っていることが発覚し、
それをやめさせるため、イランに経済制裁が課せられ
関係はドロ沼に・・・
ところが、ある人物がその状況に一石を投じます。
一石を投じたのは、オバマ前アメリカ大統領です。
2015年、オバマ大統領は
「イラン核合意」にこぎつけます。
「イラン核合意」は、
「イランは核開発を控えめにしてね。
その代わり、経済制裁は解くよ。」
という内容です。
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トランプ大統領が決めた12兆円のビッグビジネス
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しかし!
それをぶっ壊したのが、現トランプ大統領。
2018年5月、「イラン核合意」から離脱し、
再び経済制裁をはじめます。
ちなみに、「イラン核合意」から離脱する1年前、
2017年の5月に、1つ大きな出来事がありました。
イランと敵対関係にあるサウジアラビアに対し、
アメリカがなんと約12兆円分もの武器を
輸出することで合意したのです。
ビッグビジネスですね。
トランプ大統領は選挙キャンペーン中から
「イラン核合意」を批判していましたが、
サウジアラビアへの武器輸出からも分かるように
最初から「イラン核合意」を離脱する気満々
だったようですね。
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トランプ大統領の本音はどこに
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いかがでしょう?
ここまでの話から、アメリカとイランの関係について
大まかな流れがお分かりになりましたか?
映画「アルゴ」もご覧いただくと、
米イラン関係についてよりリアルに
イメージできるでしょう。
そして歴史的背景を大まかに知っているだけでも
ニュースの内容が入りやすくなるはずです。
ただ、今後の米イラン関係を予測することは
お勧めできません。
トランプ大統領が今後イランに対して
どういった態度を示すのかは全くの未知数だからです。
トランプ大統領の本心は
イランに対する軍事攻撃を
あまりしたくないようにも見えますが、
心の奥で何を考えているのか、
専門家から見ても意見が割れる部分があります。
トランプ大統領はビジネスマンですから、
もしかしたら「とにかくお金になれば良い」
と考えているのかもしれませんが、
よく分かりません。
株トレードもそうですが、何事も決めつけず
できるだけフラットな目で情報に触れることが
あなたに利益をもたらします。
本日も最後まで
ご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三