今週(5月5日~5月9日)のFX相場の見通し
先週(〜5月2日)のFX相場の振り返り
(1)株式市場の動き
米国: 4月下旬から5月初めにかけて、米S&P500は9日連続の上昇を記録し、約20年ぶりの連騰と報じられました。米中通商協議の進展期待や主要企業の好決算が投資家心理を上向かせたことが大きいです。
一方で、1〜3月期のGDP成長率がマイナスとなるなど、景気減速のシグナルも出始めており、「リスクオンと景気不安」のせめぎ合いが続いています。日本: 日経平均株価は4月末から堅調に推移し、約33,000〜34,000円台を回復しました。米株高に加え、米追加関税が一部緩和されるとの期待感から輸出株を中心に買いが入っています。
また、為替がドル安・円安方向に動いていたことも輸出関連の採算改善を意識させ、株式投資家のリスク選好姿勢を後押ししている格好です。
(2)債券市場の動き
米国債: 10年国債利回りは4月末にかけて4.30%前後まで上昇しましたが、景気指標の弱さを受けて一時的に4.20%台前半まで低下する場面も。
市場では「年内利下げ3~4回織り込み」という極端な観測が続く一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)がここからさらに踏み込んだ緩和を行うかどうかは不透明感が残っています。日本国債: 日銀が4月の金融政策決定会合で超低金利を維持すると再度示唆したことで、金利水準は1.30〜1.35%付近のレンジに留まりがち。
リスクオンによる売り圧力はあるものの、日銀の大規模緩和姿勢が相殺し、金利変動は比較的小幅にとどまっています。
(3)為替市場の動き
ドル全般: 1-3月期の米GDPがマイナス成長だったことや、FRBが年内に早期利下げへ転じるとの思惑が広がり、4月下旬にかけてドルインデックス(DXY)は100前後まで弱含みました。
もっとも、米労働市場が依然堅調であること(4月雇用統計が予想超)などから下げ渋りもあり、乱高下気味の展開。円: ドル円は4月中旬に145円台後半まで円安が進んだ一方、その後は米景気懸念や米中通商リスクの再燃でリスクオフ気味となり、5月2日時点では144円台前半へと円高に戻っています。
日銀が緩和を継続する構図は円売り要因ですが、「リスクヘッジとしての円買い」も根強く、方向感を探っている状況です。ユーロ・ポンド:
ユーロドルは1.13ドル台を回復。ユーロ圏のGDPが底堅さを示す一方、米利下げ観測が台頭したことでドル高一服→ユーロ高要因となっています。
ポンドドルは1.33ドル台で推移。英国BOE(イングランド銀行)が利下げを検討している可能性があるにもかかわらず、ドル安の影響でポンドもしっかり。
本日(5月5日)の東京市場の値動きと注目点
祝日で参加者が少ない中での円買い
5月5日は日本が「こどもの日」で株式・債券の現物市場が休場。閑散相場ながらドル円は一時144.00円付近まで下落し(円高方向)、ユーロ円やポンド円も小幅安となっています。
米中問題に楽観的な見方はあるものの、地政学リスク(ウクライナ情勢など)や米政権の次の関税カードへの警戒が残っており、安全通貨として円が買われた形です。FOMC前の様子見
今週7日(日本時間8日早朝)のFOMCを控えて、米金利の行方が確定するまでは積極的にドルを買いづらいとの見方も強まっています。
FRB議長の会見で「利下げを急がない」となればドル買い戻しが起こりやすい一方、「景気下振れを注視」との発言があればドル売りが強まる余地があり、参加者は手控えムードです。
今週(5月5~9日)の主な注目イベント
下記の通り、金融政策絡みのビッグイベントが連続する上、米経済指標も相次ぎ発表されるため、為替相場は“イベントドリブン”の値動きが予想されます。
(1)5月7日(水):FOMC政策金利発表・パウエル議長会見(米)
シナリオ:
据え置き+会見タカ派(引き締め維持) → ドル買い・株安(利下げ観測が後退)
据え置き+会見ハト派(早期緩和示唆) → ドル売り・株高(年内利下げ4回観測が再燃)
(2)5月8日(木):日銀金融政策決定会合 議事要旨(日本)
4月会合分の詳細が明らかに。
低金利維持を改めて裏づける内容に終始するとの見方が大勢で、円相場への影響は限定的か。
一部委員がインフレ鈍化を懸念し、追加緩和に前向きな発言をしていた場合は円売りを誘う要因になる可能性もあるが、サプライズ度は低そう。
(3)5月8日(木):BOE政策金利発表・ベイリー総裁会見(英国)
0.25%利下げが有力視されており、ポンドにとってマイナス材料。
もし「利下げ据え置き(見送り)」ならサプライズでポンド買いが急速に入る可能性がある。
総裁の会見で「今後も追加利下げの可能性を排除せず」など踏み込んだ緩和論が出れば、ポンドドルやポンド円での下落余地が拡大する。
(4)その他の米指標:ISM非製造業(5日)、新規失業保険申請(8日)など
ISM非製造業(サービスセクター)が好調を維持すれば米景気の底堅さが改めて意識され、ドルを下支えする可能性。逆に大幅悪化なら利下げ期待がさらに強まってドル売り要因に。
新規失業保険申請件数は労働市場の先行指標として毎週注目度が高い。ここ数週はやや増加傾向にあり、ここが急増すれば“雇用ピークアウト”とみなされドル安方向へ動くシナリオもあり得る。
(5)日本の家計調査・勤労統計(9日)
個人消費や賃金動向の指標。弱い結果が出ても日銀の金融政策変更を引き出すほどのインパクトは乏しいと見られ、円売り材料としても限定的にとどまる可能性が大。
ただし株式市場にマイナス要因となり、株安 → リスク回避 → 円高に振れる可能性はゼロではない。
主要通貨ペアの短期見通し
以下では、ドル円・ユーロドル・ユーロ円・ポンドドル・ポンド円の5つを中心に、1週間程度を目安としたファンダメンタルズとテクニカルのポイントをまとめています。