月末・指標・金融政策に要注意!今週の見通し
先週まで(4月25日まで)の市場動向総括
(1)通商リスクを背景に大きく動いたドル円
4月上旬~中旬にかけて、米追加関税の強化方針が世界的なリスク回避を誘発し、ドルが主要通貨に対して下落。特に円は安全資産として急騰し、4月22日にドル円は一時139円台後半まで円高が進む場面がありました。
その後、米当局が対中関税の一部緩和姿勢を示唆し、さらに加藤財務相と米ベッセント財務長官との会談で為替水準について具体的な要求がなかったことが確認されると、過度な円高圧力が後退。週末にかけてドル円は143円台半ば付近まで反発しています。
(2)ユーロ・ポンドも対ドルで上昇、クロス円は円安主導
米政権の通商政策リスクや利下げ観測により、ドル全体が弱含み。結果、ユーロやポンドは対ドルで上昇。ユーロドルは1.13〜1.14ドル台、ポンドドルは1.33ドル前後まで年初来高値圏を維持。
対円では、ドル円の巻き戻しを上回る勢いでユーロ高・ポンド高が進行し、ユーロ円は162円台後半、ポンド円は190円台後半まで上昇。クロス円全般が強い。
(3)債券・株式市場:リスクオンへの巻き戻し
米国債は一時大きく買われ(利回り低下)たが、追加関税緩和やFRBの動きへの修正観測から金利が再びやや上昇。日本国債利回りも1.30%割れから1.33%前後へ戻しています。
世界の株式はリスクオフ局面を脱し、日経平均は4月下旬に大幅続伸。米S&P500も底堅く推移。市場のリスク選好が回復し、円安・株高が顕著となりました。
直近イベントを経たアナリストやストラテジストの見方の変化
米国の経済指標を受けたFRB観測
米雇用や個人消費は底堅い一方で、インフレ高止まりが確認され、FRBの利下げ観測は揺れ動いています。
1-3月期GDP速報値やPCEインフレ率が「低成長・高インフレ」を示唆する流れから、市場はインフレ動向をより注視。想定より弱い成長ならドル売りが加速しやすいが、インフレ粘着性が確認されればFRBの利下げ余地は小さいと見られ、ドルが買い戻される可能性も。
欧州:ECB追加緩和の可能性 vs. ドル安追い風
ECB内でレーン総裁などが「必要なら追加利下げも排除せず」と発言し、ユーロ売り要因となり得る一方、米ドルに不透明要因が多くユーロ高基調が続くとの見立ても増加。
一部ストラテジストは「ユーロは安全通貨化している」とし、米発のリスクオフ時にもユーロが下がりにくい点に注目。
日本:日銀の金融政策、追加利上げは慎重も「タカ派的据え置き」観測
インフレ率が3%超で推移する中、日銀植田総裁が「企業の値上げ一巡」を示唆しつつも、「金融正常化への含み」は残す姿勢。
市場では「4月末の日銀会合でのサプライズはないが、経済・物価見通しの内容次第で円安 or 円買いが動き得る」との見方が多い。
対中関税の緩和期待:ドル売り・リスクオンへの追い風
トランプ政権が中国への大幅関税を一部引き下げるとの報道を受け、アナリストは「最悪シナリオ回避」と評価。追加関税リスクが後退すると世界的リスク選好が再び高まり、ドル安・円安につながりやすいと見られています。
本日(4月28日(月))の東京市場動向
リスクオン継続: 先週末からの買いムードを引き継ぎ、日経平均は+0.9%前後の上昇。ドル円は143円台後半で推移し、株高・円安が進行。
米財務長官による「円高要求」報道を日本側が否定: 安心感が広がり、円安基調が継続。中国の対米関税一部撤回検討の思惑も材料視され、投資家心理は改善傾向。
週後半のイベント待ち: 日銀会合・米GDP・米雇用統計などを控え、ポジション調整の動きも見られ、午後はやや様子見ムード。
今週の主要イベントと展望
米国指標(4月末〜5月頭)
4/29:米JOLTS求人件数・消費者信頼感
4/30:米GDP速報値(1-3月期)、PCE価格指数、ADP雇用統計
5/1:ISM製造業景況指数
5/2:米4月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・賃金)
→ いずれも結果次第でドルの方向感を大きく変える可能性。総じて雇用が強ければドル買い、弱ければ利下げ観測→ドル売り。インフレが高止まりなら利下げ難、ドル買い戻しも想定。
日銀金融政策決定会合(5月1日)
政策金利の据え置きが大勢予想。注目は経済・物価見通しの修正幅、植田総裁の会見。
「タカ派的据え置き」(将来の利上げ可能性は示すが今回は静観)とのシナリオが有力。サプライズあれば円が急変動しやすい。
その他欧州関連
4月消費者物価・PMIなどの結果次第でECBの追加利下げ思惑が台頭するか注目。ただ、米ドルの動向がより大きく影響しそう。