今週の為替マーケット動向と見通し(2025年4月14日)
先週(4/11まで)と今朝の市場動向のまとめ
■貿易戦争リスクの高まり
米トランプ政権が関税を一段と強化する方針を発表し、市場はリスク回避ムードへ。
世界的に株価が下落し、日経平均は4月11日に-3%超(-1023円)の急落。
安全資産への逃避が進む中で、米ドルは主要通貨に対して売られ、ドル指数が6カ月ぶり安値水準へ。
一方で円やスイスフラン、ユーロなどが買われ、ドル安・円高が鮮明に。ドル円は150円近辺から142~143円台へ大幅下落。
■インフレ・金利観測の変化
米3月PPI・CPIが予想より伸び鈍化 → FRBの追加利上げ余地後退 → むしろ「年内利下げ」思惑浮上 → ドル売り継続。
同時に関税による「物価上昇リスク」と「景気減速リスク」が併存し、株価が不安定化。投資家心理は弱気に傾きやすい状況。
■4/14(月)東京時間の動向
前週末の米株小反発を受け、日経平均はやや反発。
しかしドル円は1ドル=143円前後と円高方向を継続。急激な円高に対する日本当局の牽制期待も高まりつつあるが、今のところ実弾介入は想定しづらい。
市場は今週の主要イベント待ちで様子見ムード。
直近のイベントを経てアナリストの相場の見方の変化
■関税ショックが想定以上に広範囲
トランプ政権の追加関税が米輸入品全般に及ぶとの報道で、「世界経済に重大な打撃となり得る」との声が急増。
多くのエコノミストや著名投資家が「経済の核の冬」「雪崩はまだ始まったばかり」など強い表現で警戒を表明。
企業収益の下振れリスクやサプライチェーンの混乱を懸念するレポートが急増し、株式などリスク資産には弱気が優勢となる。
■FRB利下げ観測が急拡大
米3月CPI/PPIの鈍化でインフレ圧力が予想ほど強くないことが判明し、「今後の利上げ余地は限定的」との見方が一気に広がる。
同時に、関税による景気減速リスクが強調され、「早ければ年後半に利下げへ転じる可能性」を指摘するストラテジストが増加。
ドルは“避難通貨”として買われることが多かったが、「今回は米国発の貿易戦争」という特殊要因でドルが売られやすい構図に変化。
■円高リスクは意外に限定的との指摘も
円はリスクオフで買われる一方、ドル売りの受け皿がスイスフラン・ユーロにも回り、円高ピッチ自体は緩めとの分析もある。
日本当局による急激な円高への牽制を意識し、「142〜143円台ではいったん様子見」という見方のアナリストが増加。
一方で「トレンドとしては円高方向を維持しやすいが、急なショートカバー(ドル買い戻し)も随時起こり得る」とする慎重論も多い。
■ECB・BOE(英中銀)への視点
ECBは追加利下げを検討中だが、米国ほど金利を下げる余地が大きくないことから「ユーロ高が続く」との予測が主流化。
英国は対米関税の影響が相対的に小さいとの評価が強まり、「ポンドは対ドルで底堅く推移する」とのレポートが増えている。
ただし、欧州側も米国の追加関税対象に含まれており、今後のユーロ圏景気次第で急変もあり得る、と警戒する向きも少なくない。
こうした背景を受け、直近では「米ドルが下落しやすい構図」が鮮明になり、アナリストは「ドル売り目線」を強調するケースが増えています。
ただしリスクオフ時の円高やユーロ買いも一服する場面では、短期的なドル買い戻しが入りやすいとの指摘もあり、相場は神経質に振れやすい状況です。
今週の注目イベントとポイント
◯4月16日(火)イギリス3月CPI発表
英国のインフレ動向がポンド相場を左右。
予想下回り→BOE利上げ観測後退→ポンド上値抑制の可能性。
逆に高インフレ持続→追加利上げ余地でポンド堅調か。
ただし現在は「ドル安トレンド」の影響が大きく、CPIサプライズがない限り大きく動きにくいとの見方も。
◯4月16日(火)米3月小売売上高 & パウエルFRB議長発言
米小売売上高: 消費の底堅さを確認する重要指標。弱ければ景気懸念→ドル売り・円買い要因。強ければ一時ドル買い戻しも。
パウエル議長発言: 「関税インフレ」をどう評価?「年内利下げ余地」についてのスタンスは?
ハト派→ドル売り加速 / タカ派→利下げ期待後退→ドル買い戻し。
市場は「利下げ寄り」見方が強く、小売指標・議長コメント次第でボラティリティ拡大の可能性。
◯4月17日(水)欧州中央銀行(ECB)政策金利
0.25%利下げが有力視。既に織り込みが進む。
ポイントはラガルド総裁の会見:
「今後もデータ次第で追加利下げ」→ユーロ売り材料。
「今回で一服・打ち止め」→追加緩和観測後退→ユーロ買い戻し。
対ドルでは米ドル安主導でユーロ高継続しやすいが、声明内容で短期的変動に注意。
◯4月18日(木)日本3月全国CPI
生鮮除くコアCPIは前年比+3%程度の鈍化予想。
日銀の追加利上げ観測がさらに後退しやすいが、現状為替は「米要因・リスクオフ」が主導。
もし予想外に高インフレなら日銀政策修正思惑→円高要因となる可能性。
基本的には外部要因の方がインパクト大。
今週の主要通貨ペアの短期見通し
■ドル円(USDJPY)
ファンダメンタルズ:
「米景気後退&FRB利下げ余地」観測でドル売りが強く、円はリスクオフ買いが入りやすい。
日本当局の円高牽制に警戒も、すぐに介入するハードルは高い。
短期見通し:
下値は142円前後が重要サポートゾーン。
戻り売り優勢で、145円台では上値が重い。
米小売売上高・パウエル発言でサプライズがあれば一時的に上下振れやすいが、基本はドル安・円高を意識。
