中原駿の「推奨どうでしょう」 その2 7月14日更新
メルク(MRK NYSE)
目標価格 105ドル
<概要>
メルクは米国の医薬品大手。医薬品、ワクチン、動物用医薬品、コンシューマーケア製品の発見、開発、製造、販売を行う。循環器・糖尿病、がん、骨・呼吸器、皮膚科・眼科、感染症、中枢神経、女性疾患の分野でブランドを展開。ペット用ワクチンや予防薬を提供。抗ヒスタミン剤「クラリトン」や便秘薬「ミララックス」などを扱う。NYダウにもSP500 にも採用されている銘柄。本社所在地;ニュージャージー州ローウェイ。
<指標>
時価総額236,696,150千ドル(7/12)発行済株式数2,528,805,025株(7/12)
PER(実績)(連) 18.14倍(20:04)PBR(実績)(連) 6.19倍(20:04)
EPS(実績)(連) 5.16(2021/12)BPS(実績)(連) 15.11(2021/12)
<ニュース・材料>
・コロナ新薬
米製薬大手メルクは7月9日、同社が開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬について、米当局から承認を得られれば、政府が170万回分を約12億ドルで調達することで合意したと発表。メルクが開発中の経口抗ウイルス薬「モルヌピラビル」は、新型コロナ感染症の症状の進行を抑えることを目的に感染初期に投与。インフルエンザに対する「タミフル」と類似した働きをする。メルクは現在、5日間にわたり12時間ごとに患者に経口投与、効果を確かめる臨床試験(治験)を世界的に1850人の対象に実施した。結果は秋に判明する見通し。メルクは、治験で効果が確認されれば、下半期にも緊急使用許可を申請するとしている。メルクは当初、新型コロナワクチンの開発を手掛けていたが、効果が確認できなかったため1月に断念していた。現在は治療薬の開発に注力している。
米製薬大手メルクががん治療薬に強い同業の米シージェンの買収へ向け交渉していることが分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが6日報じた。買収総額は400億ドル(約5兆4000億円)に達する可能性がある。
・買収
メルクはシージェン株1株あたり200ドル以上での買収案を提示。5日終値は176ドルだった。同紙によると、両社は数週間以内に交渉をまとめる方向で調整しているが最終合意に至らない可能性もある。1990年代後半に創業したシージェンは、がん治療薬を中心に2021年通期の売上高約16億ドル。がん免疫薬「キイトルーダ」など大型薬を抱えるメルクは、シージェンの買収によってがん治療薬の製品群を拡充する狙い。
<ギャン理論による株価分析・目標>
非常に長い歴史のある銘柄でサイクル分析もやりやすい。有効な12年サイクルとそれを3分割した4年サイクル、そして2分割した6年サイクルで構成される。パターとしては3位相で形成されるのが75%、2位相パターンが25%とセオリー通り(おおよそ2/3が3位相、1/3は2位相となる)の分布である。過去の最高値は00年11月の92.19だったが、6月に一度抜け、7月12日現在再び高値を更新している。こうした全体の相場場環境の悪い中、新薬発売見込みやM&Aは非常に強気となり得る材料であり、また医薬品関連としてはまだバリュエーション上も買える銘柄である。
もう少し短い月足を見ると、09年3月に始まった12年サイクルは二つの解釈が可能なようだ。すなわち、2020年3月がボトムとする見方と21年3月をボトムとする見方だ。20年3月をボトムとした場合、第一16カ月サイクルは21年9月に18カ月でボトムアウトし、現在第二16カ月サイクルの10カ月目となる。一方、21年3月をスタートとすれば、第一16カ月サイクルの16カ月目となる。20年3月ボトムとみれば、まだ上昇の時間は僅かながら残っている可能性が高い。しかし、21年3月をボトムとすればいつでも下落に転ずる可能性がある。週足で支配的なのは1年を3分割する17週±3週または2分割する26週±5週のようだ。22年2月22日の週から6月13日の週で16週となり現在新PCの4週目でまだまだ上昇の余地がある。一方26週パターンを取るのであれば、すでに20週でありピークアウトが近いとなる。価格が最高値近辺にあるため判断が難しいが、突破を条件に判定する(完全に突破できなかった場合はサイクルが反転下落するとみなす)
96ドル以上の終値を条件に:
目標価格は①100②105③111である。
【中原 駿 プロフィール】
「週刊中原駿レポート」毎週月曜日執筆中。
祖父はソニー、母はパイオニアで財をなした投機の家系で育つ。
相場歴20年以上の知る人ぞ知る本物のトレーダーであり、ラリー・ウィリアムズ、トム・デマークの戦略にも精通、その技術は誰もが認める。「ギャン理論」はその投資メソッドに門外不出のものが少なくなく、米国では授業料が高額な「ギャン・セミナー」を受講しなければ取得できないものも多数。中原氏はこのセミナーを受講した日本でも数少ないギャン理論研究のスペシャリストとしても知られる。また、表舞台にはめったに登場しない事でも有名である。