米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.19]2021年10月18日配信
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米国株式投資の真実を伝える
川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」
[Vol.19]2021年10月18日配信
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***目次***
マーケット振り返り
今週のズバリ!
今週のピックアップ記事
投資のヒント
川田のお散歩
活動情報
質問コーナー
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
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1.マーケット振り返り(10月11日~10月15日)
<主要指数>
・NYダウ +1.6%
・S&P500指数 +1.8%
・ナスダック総合指数 +2.2%
=駆け足バージョン=
週前半は様子見姿勢が強く軟調でしたが、消費者物価指数や生産者物価指数が落ち着いていたことなどから長期金利が低下したことに加え、水曜日以降の主要企業による決算発表が好調だったことから大幅高となりました。
=ちょっとだけ詳しく=
債券市場が月曜日に休場だったことに加え、物価統計の発表や業績発表の本格化を前にして、週前半は様子見姿勢が強く軟調でした。しかし9月の消費者物価指数と生産者物価指数がともに落ち着いており、インフレ懸念は後退しました。また、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の公開を受けて金融政策に対する不透明感も和らぎ、これらを受けて長期金利が低下して株式市場の下支えとなりました。主要銀行株から始まった決算発表では市場の予想を上回るものが多く、見通しに関して投資家の懸念が高まることもなく、全般に好調でした。金曜日に発表された9月の小売売上高は前月比減少の市場予想に対してプラスとなったことも投資家心理にプラスに働きました。
S&P500指数チャート 過去1年間
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2.今週のズバリ!
これだけは知っておいてほしい情報をお届けするコーナーです。
久しぶりの大幅上昇
先週は週後半に上昇してS&P500指数の上昇率は1.8%となり、7月23日に終了した週以来の大幅上昇だった。金曜日には50日移動平均線を上回った。改めて見ると9月2日に付けた史上最高値まであと1.4%の水準にある。その時の長期金利は1.2%台だったから、1.5%の現時点まで戻ったのは企業業績に対する期待だろう。
業績発表はこれまで好調
その業績発表は先週の水曜日から本格化した。いつも通りに最初のセクターは大手銀行で、景気回復を受けて好調な決算だった。増益要因の中で特徴的だったのは「貸倒引当金の戻し入れ」が大きな比率を占めていたことだ。貸出金に対して見込んでいた一定比率の損失が必要なかったということであり、各行でそういう状況だったということは、マクロ経済的に見て好景気が裏付けられたことになる。リフィニティブIBESによると、S&P500指数の第3四半期の利益は前年同期比で32%の増加が現時点で見込まれている。最終的に40%台になれば同指数の史上最高値の着地もあり得る。
米国専門家の見方
さて、今週号の「バロンズ」では、半年に一度、米国の運用担当者に対するアンケートをまとめた「ビッグマネー調査」が特集されていた。詳細は本誌(英語)か「バロンズ拾い読み」(日本語)を参照してほしいが、運用担当者の懸念材料としては金融政策、財政政策が大きなもので、インフレ、債券利回りの上昇、増税、景気鈍化なども挙げられていた。新型コロナウイルス感染再拡大への懸念は小さく、米国債のデフォルトや中国不動産企業の問題への言及は記事にはなかった。日本のメディアでは、こうした懸念材料を重要度に関わりなく同列に並べて書いてある記事をよく見かけるが、重要度を勘案しながら記事を読んでほしい。
発表予定
今週の注目発表は、マクロ経済関連では月曜日の鉱工業生産、水曜日の地区連銀経済報告(ベージュブック)、金曜日のIHSマークイットの購買担当者景況感指数(PMI)速報値だ。ベージュブックは11月のFOMCでの議論のたたき台で、金曜日のPMIは10月の指標としては最も早い。業績発表では、火曜日のネットフリックス(ストリーム配信)、水曜日のASML(半導体製造装置)、テスラ(自動車)、木曜日のインテル(半導体)が投資家心理に対する影響の観点から注目される。
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3.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 〈データが問う衆院選の争点〉日本の年収、30年横ばい 米は1.5倍に 新政権、分配へまず成長を 10/16
衆院選(31日投開票)に向けた論戦が本格的に始まった。経済政策での重要な論点は、成長と格差是正のどちらに軸足を置くかだ。
経済協力開発機構(OECD)調べの年間賃金データでは、日本は30年間ほぼ横ばい。購買力平価ベース(20年米ドル換算)の実質系列で30年前比で、日本は4%増の3.9万ドル(440万円)、米国は48%増の6.9万ドル。
企業に賃上げ?容易ではない。海外現地法人の売上高は20年間で2.2倍に膨らんだ一方、国内は7%しか伸びていない。なかなか成長しない。
そのためにも国は、規制緩和や企業の新陳代謝の促進などで積極的に成長を促し、分配の元手となる経済のパイ拡大を進めなければならない。
衆院選で分配や格差が焦点となるのは「現時点の単純な所得の不平等ではなく、低い階層から高い階層に行きにくいといった階層移動の難しさ」。こうした「格差の固定化」への対策も欠かせない。
【川田コメント】
伸びているのは海外で国内はほんのわずか。これで賃上げは確かにおかしい。自分で会社を経営していてわかるけど、販売商品やサービスに相当デフレ圧力がかかっている。そして合理化するには一定以上の事業規模がないとそのメリットを享受できない。あのデービッド・アトキンソンさんが指摘するように、
中小企業は、小さいがゆえにさまざまな問題を引き起こし、低生産性を招いています。中小企業は、小さいこと自体が問題。
生産性が上げられない中小企業は、どうすべきか。消えてもらうしかありません。
とくに数を減らすべきは小規模事業者でしょう。人口減少の観点からして、小規模事業者の中でも中堅企業にはならない、なろうとしない、慢性的な赤字企業はただの寄生虫ですから、退場してもらったほうがいい。
経済効率や生産性の観点からすると、小規模事業の寄生虫には存在意義はないと言い切っている。私もやっていてそう思うことがある。ただし私の会社の事業のように成長戦略を取るだけのサイズがない事業領域もある。事業で貢献出来なきゃ、私は米国株式で儲けて、その分消費で経済成長に貢献するから許してアトキンソンさん!
【“分配”と“成長”】
【2】衆院選へ 与野党幹部 コロナ対策などめぐり議論 NHK日曜討論
「衆議院選挙が19日に公示されるのを前に、NHKの「日曜討論」に与野党の幹部が出演し、新型コロナウイルス対策や今後の経済の立て直しに向けた取り組みなどをめぐって議論しました」
【川田コメント】
日曜午前9時から80分の番組を視た。経済政策については「分配があれば成長できる」なのか「成長があるから分配できる」の二通りに収斂される。では分配すれば、そのお金をなにか成長のエンジンとなるようなことに使うのだろうか?それとも将来に備えて、新たに死に金として退蔵されるだけなのか?
いまの日本人に必要なのは、人間が本来持っている、そしていまの日本人にはわざと発現しないように巧妙に仕組まれて
いる、“闘争本能”を解き放ってやることではないかと思う。(おっと暴論だ!)
では何を発現するのか?個々人が持っている“プライド”だ。現代の日本人はその“プライド”が発現しないように教育されている(アブナイなあ!)。
私の身の回りでいえば、やはり大企業のサラリーマン諸氏がその典型でなんとも可哀そうな人たちだ。打開策だが、やはり45歳あたりで一端全員解雇して従業員に選択肢を与え、採用内容を見直し、互いに納得の上で再度雇用関係を結ぶことではないか。
そうでないと18歳までの学業エリートに、試練の場が無さすぎだ。これでは自分が何者かを証明するチャンスがないままに闘争本能が衰えていく。この闘争本能の減衰がこの国を活力減退の大きな要因に見える。
プライドをぶつけ合うにはその競争条件がフェアでないと組織やコミュニティの活力が維持できない。ただし、完全にフェアな競争環境などあろうはずはない。それでも戦い続ける理由がいまの日本にあるのか?
ところで今日の番組で各党幹部の発言を聞く限り、日本人に対しもっと頑張ろうとencourage(エンカレッジ、鼓舞)しているのは自民党が一番だ。ただし、そう言っている今日の甘利明氏も、また世襲だ。
日本維新の会も良い事を言うと思った。他の党の言い分だと頑張っている人がdiscourage(ディスカレッジ、落胆)すると思う。この地上のどこにも野党が理想とする楽園はないと思うが...?ここらへんで辞めとかんと炎上する?
■(「創造的破壊」で有名な)シュムペーター
ところで国民民主党の大塚代表代行が下記の本に言及した。
資本主義・社会主義・民主主義 | JA シュムペーター, Schumpeter,Joseph Alois, 伊知郎, 中山, 精一, 東畑 |本 | 通販 | Amazon
原文は1942年が初版で和訳本は1995年版だが、いまでも5000円近い。大塚さんは「資本主義=成長、社会主義=分配、そして民主主義=国民の合意?」だっけ?上手い事言うなと思った。
【行動心理】
【3】日経新聞 努力すれば夢はかなうのか? スポーツの教育的価値とは 10/13
アスリートは「努力すれば夢はかなう」ことを示すロールモデルとして称賛。ただし勝者の裏には大勢の敗者。夢がかなわなかったのは努力不足?それはない。
必死で頑張っても目標が達成できないことは人生で何度も経験。生まれながらの能力や環境によって生まれる違いを学び、相手の状況を想像し、自分の限界や可能性についての考えを深めるきっかけ。
大竹文雄・大阪大学特任教授の著作から。「一時、小学校で運動会の徒競走の順位をつけないで全員が一緒にゴールする学校があったが、そんな教育慣行を受けた人たちは、競争を嫌うどころか、利他性が低く、やられたらやり返すという価値観を持つ傾向が強く、弱者への再分配政策にも否定的な可能性が高い」
競争しないで一緒にゴールするのは、生まれながらの能力や素質、育った環境に関係なく、誰もが横並びになれるのが当たり前という考え方が根底。スポーツとは相容れない。
【4】日経新聞 「競争社会 前公正取引委員会委員長 杉本和行」 6/17
同じ主旨のエッセーがあったのを思い出した。この問題提起はいまの日本の社会、経済を考えるうえでも参考になる。
競争を否定する教育を受けた人たちは、利他性が低く、協力に否定的で、互恵的ではなく、やられたらやり返すという考えを持つ傾向が強い。
このことについて私は、「競争によって個人の能力を磨くインセンティブが与えられる。それが他の人の能力を評価することにつながり、それぞれに異なった能力を持った人たちが力を合わせることの必要性が認識されるようになる」ということではないかと解している。
【5】反競争的な教育が助け合いを減らす? | 公益社団法人 日本経済研究センター
今回のこの「徒競走」のもとになっているのが大竹文雄教授の論考(大竹文雄のホームページ)だ。発表から時間が経っているが、とても面白く、考えさせられる内容だ。
競争社会?何かとても悪いもののように私たちは感じてしまう。競争があれば、競争に直面している生産者は、いつも油断することはできない。つまり供給者にとっては、競争はない方がいいけれど、消費者にとっては、競争があった方がいい。
平等主義教育:「『ほとんどの子が100点をとるような力を本来もっている』のだから、やり方次第で『全員が100点』。それが『正しい』教育でそう『しなければいけない』」と指摘する。
「このように能力=素質決定論を否定する能力=平等主義は、結果として努力主義を広め、『生まれ』によらずだれにも教育において成功できるチャンスが与えられていることを強調した。・・・(中略)・・・だれでも、努力すれば、教育を通じて成功を得られる。
だからこそ、だれにでも同じ教育を与えるように求める。その結果、より多くの人びとが同じ教育の土俵の上で競争を繰り広げることになった。教育における競争を否定する一方で、皮肉にも、能力主義教育を批判する議論が、教育における競争に人々を先導する役割を果たしたのだ。」
反競争主義的で協力をもたらそうと考えた教育が、能力が同じという思想となって伝わると、能力が同じなのだから、所得が低い人は怠けているからだという発想につながったのではないだろうか。
能力が同じなら、助け合う必要もない、所得再分配も必要がない、ということになってしまったのではないだろうか。やり方を少し間違えると、教育は意図したものとは異なる価値観を子どもたちに与えてしまうかもしれない。競争と助け合いの両方が大切だという価値観をうまく伝えていく必要がある。
【川田コメント】
「競争否定すると弱者への再分配政策にも否定的」。ここの理屈は分るだろうか?競争を経験していないと個体差を見極める機会がないから、他者を思いやり、尊敬しそして優しさを注ぐ機会がない。そうすると「あの人は単に怠けているのだから、それで自分と同じ待遇はおかしい」ということか?市場経済が作り出す格差拡大にはとにかくいろいろ考えさせられる。この次の記事も同じ視点で選んでみた。
【6】日経ヴェリタス 異見達見 金満「孟母三遷」が国を滅ぼす 10/10
「共同富裕」を掲げる中国が、巨大ITや教育産業への締め付けを強めている。格差の拡大は決して中国固有の問題ではなく先進各国にもあてはまる。
各国で高所得者間の結婚が増え、子供の教育を通じた格差固定が懸念される。教育格差は日本も同様。問題を放置する我々の社会を心配すべきかもしれない。
ご参考
チーフエコノミスト 河野 龍太郎、2020年度優秀フォーキャスターに選定 – 日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」 - BNPパリバ
【川田コメント】
河野さんは「かつては富裕家庭もそうでない家庭も同じ地域に住み教育に大きな格差はなかったが、現代は高所得家庭がその地域から抜け出すと地域の教育レベルは低下する。」
この記事では「高所得の家庭の子供が成績優秀」という前提で議論が展開している。
しかし私の時代だとそうとも言えなかったのではないか?富裕な医者の子弟とは小中学校では重ならなかった(というよりまわりに医者がいなかったな、そういえば)。金銭的に余裕があったのは商家の子供だが、彼らと学業成績との相関関係は危うい。また銀行員や公務員もいたのだろうが、その子供が特段成績が良かったという記憶はない。
それより、まわりの大人は成績優秀な子供の親もまた学業成績が優秀だったと知っていた。つまりは遺伝?だからといってそれと所得の相関はそれほど意識していなかったと思う。
それから時代が下り、それも全国から人が集まる東京の話だ。所得と学業成績は強く相関しているに違いない。そうなると「孟母」にならねば子供の未来は拓けないし情操教育にも悪影響がある。それよりなにより場所によっては安全が確保できない地域もあると聞いている。
■学業成績は親からの貰いもの
学業成績は個人が頑張れば何とかなる、がいまの日本の前提だ。川田理論では肯定はできない。学業成績の良し悪しは多くが親からの貰いものだ。つまり遺伝的な要素に加え、小さい時からの家庭環境だ。異論はあるだろうが、世の中にはそう実感する事例に事欠かない。
河野さんも「高等教育を受け高所得を稼ぐ人々の間で同類婚が増え、スーパーカップルに富が集中する」と述べ、そして彼らの子弟の教育を通じて経済格差の固定化が進むのが社会的な問題だという。
■つまりは『実力も運のうちだ』なのだ
この学業成績の差が社会的格差の固定にまで大きく深くつながってしまうのは世界的に共通の課題だ。この問題をもう少し深く考えてみたい人にうってつけの本が『実力も運のうち 能力主義は正義か?』マイケル・サンデル (著)、 本田 由紀(その他)、 鬼澤 忍(翻訳)だ。
私も河野さんと同じくこの「教育と格差」には随分興味を持っている。そしてこの格差が株式市場を通じて増幅され固定化する現状を目の当たりにして思うところがある。
■今年6月の川田のオフ会企画
そこで今年6月に私は当社のプレミアム会員向けに『オフ会企画 サンデル教授新著「実力も運のうち」に学ぶ格差固定社会の問題点と株式市場への影響』と題してオンラインセミナーを開催した。
私の長年の疑問は
米国株式市場はなぜ長期上昇が可能?そして、なぜそれが許されるのか?だ。そう日本人的感覚ではなぜ株式市場だけが上がっていいのか疑問に思うだろう。
米国の社会システム「民主主義と資本主義」にはどのようなパターンがあって、どんな条件が揃えば株式は上昇が許されるのか?
社会システムが変質すれば株式市場の上昇基調も変調をきたすか?
私の興味は米国株式長期上昇の背後にある社会システム、人間の本能、本質についてだ。そしてサンデル教授のこの本にはその疑問に対するヒントがある。それらを本の目次から拾ってみると
■P17 序論ー入学すること
・P20 大学入試の倫理学
■P29 第1章 勝者と敗者
・P36 出世のレトリック
・P39 能力主義の倫理
第2章「偉大なのは善良だから」ー能力の道徳の簡単な歴史ー
・P53 果てしなき能力主義
・P62 神の摂理という思想ー当時と現在
・P68 健康と富
・P73 リベラルな摂理主義
・P76 歴史の正しい側
いかにもアメリカの学者が書いた書物だ。ところでサンデル教授にエリートの傲慢さを語らせると以下のような描写になる。
P89「 出世のレトリック」
“われわれが成功について取る見解は、かつてピューリタンが救済についてとったものと同じだ。つまり、成功は幸運や恩寵の問題ではなく、自分自身の努力と頑張りによって獲得される何かである。これが能力主義的倫理の核心だ。
この倫理が称えるのは自由(自らの運命を努力によって支配する能力)と、自力で獲得したものに対する自らのふさわしさだ。私が収入や富、権力や名声といった、現世の資産の少なからぬ割合を自らの力で手にしたとすれば、私はそれにふさわしいに違いない。成功は美徳のしるしなのだ。私の豊かさは私が当然受け取るべきものなのである。”
彼らエリートの言い分は、自分が人一倍努力した結果今の地位、名声がある。そしていま自分にある富は当然の帰結なのだ。
富を創造する一番フェアで効率的な仕組みは株式市場だ。その株式市場で彼らは自分の当然の権利として富を獲得する。そのためにも株式市場は上昇することが前提だ。
競争そのものが悪いわけではない!
サンデル教授は現在の米国エリート、勝ち組には極めて厳しいスタンスだ。しかし、米国ではエリートではなくても株式市場に参入すれば富を創出できる。富を持っているなら格差固定のための条件が整う。
この勝ち組になるための挑戦そのものが否定されるべきだろうか。生存本能、認知願望そして対等願望はいつ、どんな人間にも備わっている本能だと思う。それら人間の本能を使って自己実現に励むこと自体が全否定されるなら、自己実現のエンジンの存在も認識せずに人生を終えていくことになり、また悲劇だと思うが...皆さんどうか?
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4.投資のヒント
「投資手法」や「銘柄紹介」だけでなく、「気になった指標や発言」や「社会や政治の動き」を書くコーナーです。
■米国株式投資本の読み比べ
米国株式関連の本が出版されると購入するクセがついている。過去に何十冊買ったか覚えていない。この類の本にはいくつかのタイプがあり、基本的には米国株式の投資魅力を伝える内容だが、銘柄の紹介が売り上げに寄与すると聞いたことがある。
以下、気になる書籍をいくつか紹介する。
■今日から始める! 米国株投資超入門: 松本大がやっぱり勧めるこれだけの理由 松本 大 (著)2021/10/8 1650円
この本は出たばかりだが、2013年に出版された『世界のマーケットで戦ってきた僕が米国株を勧めるこれだけの理由 』単行本 – 2013/11/29 松本 大 (著)、 マネックス証券株式会社 (監修)の改訂版の位置づけだ。
この本1冊あれば米国株式投資の未経験者でも投資を開始するところまではたどり着ける。個別銘柄の紹介や推奨はないが、同社のウェブサイトにはその関連情報がふんだんにあるので問題ではない。
投資するなら日本株ではなく米国株式と断定的だ。日本の経済成長率の鈍化や人口減少、そして株主軽視が投資のネックになると言い切っている。同社は日本株式関連のビジネスが大きいはずだが、日本株によほど不満がたまっているのか?
同社ではチーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎さんが熱心に、そして的確にアドバイスしている。松本さんや岡本さんは米系証券で大活躍した方々で、米国株式への考え方は私と随分似ている。日本人的な思考回路が招く米国株式投資の“落とし穴”を良く分かっている。
■ご参考“アマゾンのレビュー”
「米国株のことを全く知らない、わからない人には良いかも。小一時間で読めてしまう。日本の市場と違って大きなクジラ(年金)と引っ掻き回す機関投資家もいない。個別企業の財務内容と将来性を考慮すればまず上がっていく。米国市場は素晴らしい。」
■目次
プロローグ:米国株式を勧める3つの理由
第1章:マクドナルドは日本株ではなく米国株で
第2章:「松本流」投資の極意
第3章:円安リスクから資産を守る
第4章:米国株投資5つのシナリオ
第5章:米国株投資の基礎知識
第6章:ネット証券で始める米国株投資
第7章:米国株投資お役立ちツール
第8章:米国株投資の税金とNISA
■気になる箇所
第1章:株価を意識した経営
米国株式市場は“資本主義の考え方を徹底”していると言っているからには日本のマーケットはそうではないことになる。だから投資マネーは米国に向かうというのだ。
p36 で政権のことを「アドミニストレーション(=行政、執政)」という、との解説があり建国や開拓の経緯を語っている。
その後に“米国では、国民一人ひとりが国を支えているという意識が強烈です。だからこそ、企業を支えている株主の存在も、尊重される”。
【川田注釈】
ここの「だからこそ」の理屈は分かりにくい。私なりの理解は:
米国は私有財産制だ。そして企業という財産も個人(株主)の所有だ。つまり株主には企業が自分のもの、という強い意識がある。企業も誰が所有者なのかを強く意識している。だから経営を任された経営者は所有者(株主)を尊重し忠誠をつくす。こういう風に理解している。
p37、38 日本企業は株主を意識してこなかった。
この小見出しのあと“国家資本主義的な投資活動が戦後、長年にわたって続けられたことによって、本来、資本主義の中核であるはずの企業株主の意識は、逆に弱体化した”。
つまりは国家資本主義的な要素が強まると、企業は株主ではなく生殺与奪を握っている国のほうばかり見て経営する。こうなると株主軽視だが、それを止められない。
【日本の企業組織論】
私は株式市場を分析する時には、経済学や金融論以外に社会学的視点を重視している。我々の経済行動には米国の経済の理屈では理解できない社会学的な力学が強く作用している。その意味で米国の理論で「日本人はヘン」と言ってみても始まらないことが多々ある。
さて、日本の企業は株主のものである以上に“みんなのもの(公共物、公器)”のいう色合いが強い。だから“みんな(=世間とかまわりの目)”(=これは川田理論!)は、企業に雇用も納税も、そして社会な安定装置としての責任も強く求める。
明治以降の日本の社会のしくみの多くは西洋の“ものまね”だ。その“ものまね”の中で、我々日本人に都合の悪いものは取り入れて来なかった。株式会社制度もその例に漏れない。日本には日本社会に適した企業組織がある。そして、その企業組織の立ち振る舞いに対しては“世間の目”が鋭く注がれるので、経営幹部は米国ほど株主に“フレンドリー”にはなれない。そう!簡単に解雇できないし会社を売り渡すことなどできない!世間が許さない!それだけのことだ。だから私は日本株を買わない。おっと、ここら辺までにしておかないと!!
【関連書籍】 「世間」とは何か (講談社現代新書)新書 –1995/7/20 阿部 謹也 (著)
1935年生まれ。一橋大学経済学部卒業、同大学院社会研究科修了。専攻はドイツ中世史。著書に『ハーメルンの笛吹き男』――平凡社、後にちくま文庫所収、『中世を旅する人びと』―平凡社、『西洋中世の愛と人格』―朝日新聞社、『ヨーロッパ中世の宇宙観』―講談社学術文庫―など。
このブックレビューが面白い。「政治家・財界人などが汚職・スキャンダルで騒動になると「自分は無実だが、世間をお騒がせしたことをお詫びし、責任をとって辞職します。」と言います。(以下続く)」
ところで、本書(マネックスの本)では一貫して『株主主権』や『株価至上主義』的なアプローチで読者を米国株式投資に誘導しているが、ここが私と似ている。
【関連動画】
参考に私がマネックス証券でセミナー講師を勤めた動画2編をご紹介する。(と、自己PRを怠らない)
S&P500の魅力を解説!米国経済を味方につける資産形成術~2021年も米国経済に注目!誰でもできる人生100年時代の資産作り~(講師:川田 重信 氏)
老後資金もFIREも!米国市場でお金を作る資産運用とは?~60分でマスター!S&P500で2000万円を目指す運用方法を伝授~
【ドル高で円建て資産増加】
第3章:従来は円高になるとドル資産が目減りするから米株投資に懸念を覚える人が多かった。しかし、昨今は円安で資産が目減りするリスクから自分の資産を守るには米国株式だと言っている。これまでは円高によるドル資産目減りを恐れていたので懸念の方向が真逆だ。
そう言っている間に随分円安になっている。年初1ドルが103円20銭だったのをご記憶だろうか?直近114円台なので年初来10%以上の円安だ。本書の懸念がまさに現実になっている。
長期ドル円チャート
■p91「米国株式投資のコツ②」
“自分が勤めたい会社に投資しよう”はいい。ではどんな会社?SNS、金融、医療関連、宇宙ビジネスあたりが列挙されているが、具体的な社名はない。
ただし該当する企業にはハイフライング銘柄も多いので、株価はとんでもなく割高になっている場合がある。キャシー・ウッド氏が経営するアーク社の投信・ETFに組み込まれている銘柄あたりがその代表だが、株価パフォーマンスには冴えないものも多いことを断っておく。
第4章ではインデックスもいいけど個別株が面白い、と(p104)。しかしp44の第1章ではちゃんと「コア・サテライト戦略でバランスよく投資しよう」とも。マネックス証券は頻繁な売買が手数料収入にはプラスだ。しかし、売買頻度が高いと投資家のパフォーマンスも劣化する事実は指摘しておきたい。
■投資シナリオ
5つのシナリオ(p108)
シナリオ1:バイデン大統領にインフラ投資
シナリオ2:クルーンエネルギー
シナリオ3:EV(電気自動車)
シナリオ4:米国内の製造拠点の増加
シナリオ5:GAFAM系
最後の“シナリオ5 GAFAM系”(p116)では、GAFAMはまだ将来が期待できる。ただしこれら中国に対する競争力を維持するためにもプラットフォーマーにだけ規制をかけて、体力を弱めることはしないと言い切っている。これは私が日ごろ訴えているのと同じ理屈だ。このあたりはアメリカンの発想だ!
■結論
この1冊で米国株式投資にデビューできる。
表現が分かりやすい。
日本人が陥りやすい米国株式への誤解を解くにはいい。
とにかく米国株式投資を始めたいひとにはうってつけだ。
他にいま手元にある関連書籍をいくつか手に取ってみた。
■No.1 ストラテジストが教える 米国株投資の儲け方と発想法 菊地 正俊 2021/1/26
著者は私の知り合いで、日本株では長年トップのストラテジスト。彼の専門は日本株式の投資ストラテジーだ。2、3か月前に私のプレミアム会員と一緒にこの本をテキストに勉強会を開催した。証券会社出身の私が皆さんの手元において欲しい本だ。
菊地さんは日々、機関投資家向けに「早起きコメント」と題するメルマガを配信しているが、そのカバレッジが広くて深い。この人のおつむはとにかくマルチだ。
本業の投資ストラテジーや講演、専門誌、週刊誌の評論、そしてレストランや気になる食材の探訪。さらにTV、映画、ファッション、恋愛などの若者事情にいたるまで、全ての事象を“言葉”に置き換え評論できる、特異な能力がある超人だ。
その超人が米国の株式市場と銘柄について、歴史、制度、日米比較といった多角的な切り口で米国株式市場を解説している。米国株式ブロガー等の安直な本と異なり、ファクト(事実)の裏取りがしっかりしているので安心して読める。
ある書評には「興味があり購入しましたが、儲け方なんて書いてありません。」とある。“答え”だけ欲しい人にはあまり役立たないだろう。しかし本格的に米国株式投資を勉強したい人には必須の本だ。
■今こそチャンス! 資産を増やす米国株投資入門 岡元 兵八郎(著)2020/12/3
岡元さんのこの本も良い。ソロモン・ブラザース・アジア証券(現シティグループ証券)に新卒で入社し、その後一貫して米国株式のセールス部門を歩んできた“レジェンド”だ。いまはマネックス証券で米国株式投資の魅力を個人投資家に伝えるのが彼のミッションだ。この本には彼の長年の想いが充満している。
同じセールスのバックグラウンドなので伝え方の思考方法が随分似ていると感じる。
■「世界一やさしい 米国株の教科書 1年生 はちどう (著)」 2020/6/2
以下レビューから
0時限目から8時限目に章立てし広く書かれていて丁寧だ。投資を始める前~投資中級者ぐらいにはオススメか。
米国株への投資の仕方を一から知りたい初心者には、とても親切な記述だ。何もできない状態から投資が開始できるところまで進むことができると思います。
10年くらいかけて利益を上げるという内容なので、1年でまとまった利益を上げたいなどと考えている人には合わない投資方法です。はしゃいだ記述がなく著者は真面目な人だと思いました。
意外と真面目な本だが、米国株式市場の本質に理解が深まることはない。
バフェット太郎 (著)、2018/4/28
この人のブログは見たことがないが、ブログと同じ内容らしい。
何人かが書評欄でコメントしているが
*ネットの個人サイトを丹念に調べた方がまし
*やや毒舌
これと同様の辛辣なコメントが多い。
題名の「バカでも稼げる」の“バカ”は読者の底辺を広げるマーケティング上の戦略だと聞いたことがある。
この本は本当に米国株式で資産形成をしたい人には必要でないかも知れない。それでもこの本が16万部も売れるのだから、この本が必要な投資家層がそれだけ存在するということだろう。
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新連載「これでばっちり!米国株式を使った資産形成術のすべて」
はじめに
今回、資産形成に必要な基本的な内容を網羅した連載シリーズを始めます。全体の構成は以下のように考えています。
我々はどのような時代に生きているのか?全二回
日本人の自立には投資活動が不可欠
株式市場は米国にしかないの?
日米株式文化の違い
知っておくべき米国市場の特徴
S&P500とは
なぜ米国は強いのか
おすすめの投資戦略~コア・サテライト投資~
コア部分の投資戦略
サテライト部分の投資戦略
何を買ったら良いのか
情報源と投資
第2話:自立した日本人と自立に欠かせない資産形成 その2
前回、日本人は資産防御が必要なのにその対策を怠っている人が多いと申し上げました。
なぜ日本人は各自が自分の夢を実現するための行動をとらないのでしょうか?それは各自が「自立」していないからです。そして、これからの日本には多くの「自立」した日本人がいないと、世界との競争ではますます劣後します。
さてこの「自立」した日本人といった時にいつも思い出すのがこの1枚のチャートです。
■なぜ日本人はかくも無邪気に高値を買い上がったのか?
第1話でお話したとおり、私は証券マンとしてビジネスマンキャリアをスタートしました。
この変化の時代に我々が自らでできることを考える場合に参考になるのは、やはり80年代のバブルの教訓ではないかと思います。この時の我々日本人の行動パターンに、今後を考えるヒントがあるのではないかと思います。
日経平均過去40年のチャートです。
この時のチャートを見てください。私はこのチャートを見ると本当に情けなくなります。
1989(平成元)年12月29日、年内最後の取引日「大納会」で日経平均は史上最高値は38,915円87銭を付けました。
その後の株式市場は皆さんご存知の通りです。バブルの過程でだれもかれもがこぞって株を買い上がったのです。それは個人に限らず、大量のマネーを動かす法人もまた然りです。
誰もが深く考えもせずに単に上がれば買う、買うから上がる、のマネーゲームに興じているうちに4万円弱まで上がりました。
内心は「これはおかしいんじゃないか」と思っていた人もいるでしょうが、それでも圧倒的大多数はいわゆる「空気」が支配する相場の熱狂に抗うことなく株価を買い上がりました。なぜ日本人はこうも付和雷同なのか?
それがピークをつけたのちに暴落し、低迷してそれを30年も放置しています。経済活動の中枢である株式市場が株式市場本来の機能を果たさずに30年経っています。もっとも、こういう株式市場の姿そのものが日本経済の写し絵だという意見もあります。
その後、2012年のアベノミクスを境に株価は上昇していますが、それでもこの長期にわたり低迷相場が続きました。これだけ株式市場を放置できるのは、経済運営に株式市場の機能がそれほど重要ではないということでしょうか。日本における株式市場の位置づけや日本人の市場経済に対する意識が端的に表れていると思っています。
■自立した個人がいなかった
しかし、なぜこうも荒んだ市場になったのか。投資家に焦点を充てれば、自分で投資判断できる「個人」、つまり自らが判断できる、私の言葉で言えば、「自立した個人」があまりに少なかったからです。冷静で常識的な視点を持った「自立した個人」がもう少しいたなら、あのバブル相場は違った形になったのではないかということです。
「自立」した個人とは単にへそ曲がりとか、独りよがりとかいう意味ではなく、社会と国に個人が自らの責任で行動できる人、という意味です。
自立した個人を輩出するためには金銭的にも自立しなければなりません。そのためには自分の生活を支える「資産」の裏付けが必要です。
つまり、自分の意思で生き方を決めることができて、しかも社会に迷惑をかけない生き方をするにはある程度の資産の裏付けが必要なことは論を待たないでしょう。
自分の稼ぎでそれに必要な資産を作れるなら、それはそれで結構なことだと思います。我々が生きている今の日本は、「ヒト・モノ・カネ」が有機的につながることでより効果的により多くの経済的付加価値を生み出せる仕組みです。それが「資本主義」の特徴です。
■資産を作るのになぜ投資が必要なのか?
この「資本主義」の仕組みについては、前回(10月11日号)でおさらいしておきました。そしてこの仕組みの中では労働より資本、つまりおカネにおカネを稼いでもらったほうが効率がいいのです。だから資産形成には株や不動産でリスクを取って「投資」するほうが資産は増えやすいのです。
労働より資本、つまりおカネのほうが効率よく稼ぐということを、今更ながら、そして学問的にも証明して話題になったのがトマ・ピケティ(*)の「21世紀の資本」ですね。しかし、この本ももう2014年のことなんですね。時が経つのは速いです。
(*)トマ・ピケティ(パリ経済学院)「21世紀の資本」(Capital in the Twenty-First Century、2014年)21世紀の資本
長期でみると、資本から得られる収益率は経済成長率を上回り、富は資本家に集中する。所得格差や貧困が加速し、社会や経済が不安定になる。
■「r > g」
「r」は金利や利回りのことを指します。不動産や株式から得られる配当金、貸金によって生まれる利息など、いわゆる「金融収益」や「不労所得」と呼ばれるもの。こうした不労所得が得られる資産は、お金持ち(資本家)でなければ手に入れられないため、「不労所得」はよく「お金がお金を生み出す(お金に働かせる)」などと言い表されたりします。
一方で、「g」は経済成長率。言い換えると、労働によって国民が豊かになっていくことであり、「所得の増加率」と言えるものです。
「21世紀の資本」では、資本収益率(投資利回り、つまり不労所得から得られるリターン)の方が労働によって経済が豊かになるスピードよりも速いことを示しています。
つまり、資本家が得る「投資から得られる収益」は労働者が得る「給与所得や事業所得」よりも常に大きいため、これが格差をさらに広げていきます。そしてこれは、現在もこれからも変わらない公式であるということです。
本書の説明では、戦争や恐慌が起こった場合は一時的に資本収益率が鈍化し、経済成長(労働者)の方が成長率が高くなるものの、長期的にみれば「r > g」の公式は変わらないと説明しています。
本書によれば、少なくとも現時点では資本家が有利であり、何も変わらなければこれからも資本家が有利であり続ける、ということです。(続く)
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5.川田のお散歩
◇◇最近行ったお気に入りのお店◇◇
弊社の若者が飲みたそうにすり寄ってきたので、久々に夜に出かけた。店は西荻窪なので帰宅には便利。ワイン屋でマスターが1人で切り盛りしていた。料理もワインもどれも美味しい!!
翌朝土曜日の朝は小雨だったので、普通ならカッパ着てでも井の頭公園に出かけていたところ。その気にならなかったのはワインの杯数が予定を一杯だけ超えていたためか。コロナ前の常態を少し取り戻した。
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6.今後の活動情報
◇10月20日(水)午前11時 ストックボイス
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7.質問コーナー
質問(要約)
アメリカ人は余裕資金を預金ではなくS&P500指数などの株式にとりあえず放り込むということを聞いたことがあります。確定申告の還付金などあるタイミングで株に資金が流れるという話しを聞いたことがありますが、年間で他にどのようなタイミングで個人に余裕資金が生まれやすいのでしょうか?ボーナスは6月12月と日本と同じ?年1回?駐在経験もあり家まで購入されたことがある川田社長さま、いろいろ教えてください。
答え
①「アメリカ人は余裕資金を預金ではなくS&P500指数などの株式にとりあえず放り込む」
→そういう傾向は強いと思います。とにかく給与天引き、会社補助、さらに税制優遇も日本と比べれば凄いです。なので株式でリスクを取る事を奨励していると思います。一番大事なのは、米国人が株式市場の上昇を信じて疑わないことです、ここが日米の最大の違いかと思います。
②「確定申告の還付金などあるタイミングで株に資金が流れる」
→アノマリーの一種ということでよく聞きます。他には今年もそうですが秋は資金が移動しやすいとも聞きます。というのも、その年のパフォーマンスにもよりますが、投信やヘッジファンドを換金して資金が流出する。そしてその後再度市場に流入するのが10月、11月でしょうか?しかし私はこの資金の流出入については毎回同じと決めつけるのは間違いだと思っています。
③「ボーナスは6月12月と日本と同じ?年1回?」
→これもどうでしょうか?業態によってもまちまちですが、ボーナスは通常は年に1回の会社が多いのでは?日本の年2回は業績給より生活給の色彩が強く、昔からある「盆と暮れ」に合わせたものかと思っています。米国では、ボーナスは業績と本人の貢献度で各人大きく違います。だから、その年の自分への評価が不満なら、これが会社からのメッセージと明確に分かります。日本の大企業のような忍耐強さで我慢する人は少ないと思いますよ。私の限られた外資系証券時代もそうですが、ほんとにドライ。「金の切れ目が縁の切れ目」そのものです。
④駐在経験
→これは随分前のことなので参考にはなりません。でもあの経験(=仕方なく解雇を通知した)は大事ですね。面談室にはティッシュペーパーの箱が置いてありました。涙ぐむ社員がいるのですが、すぐに次の職場を見つけるのもいいし、これを機会にスキルアップを目指すのもいいし。これは香港でも事情は一緒でした。とにかく皆さん逞しい!!
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