【フジトミ】海外石油市場とシカゴコーンが急伸
(NY貴金属)
10日のNY金は反発するものの、1220ドル割れをみせるなど、上値の重い展開を強いられた。NY金期近6月限は前日比ドル高のドル、NY白金期近7月限は同9.0ドル高の909.9ドル。
前日の大引けにかけて、NYダウの値崩れやドル安を好感してNY金は1220ドル台を回復し、再開したアジア時間帯では安値から10ドル以上の切り返しもみせた。アジア時間帯で1220ドル台を維持する動きをみせたこともあり、欧州時間帯に1225.8ドルの高値を示現。しかし、ドル高再燃を嫌気して、ズルズルと値を消し、米国時間帯に1220ドル割れを演じた。上値の重い展開を改めて認識することに。市場では米利上げ警戒から1200ドルを意識した下押しもまた警戒されている。白金とパラジウムは自律反発の動きをみせた。
(WTI原油・NY石油製品・北海ブレント)
10日のWTI原油は強気の米EIAの在庫統計を好感して急反発を演じている。WTI原油期近6月限は前日1.45比ドル高47.33のドル、北海ブレント期近7月限は同1.49ドル高の50.22ドル。RBOBガソリン6月限は同5.01セント高の153.96セント、NYヒーティングオイル期近6月限は同3.33セント高の147.54セント。
注目の米EIAの在庫統計で原油在庫は前週比524.7万バレルの大幅減少となった。ただ、米APIの在庫統計ですでに580万バレルの減少が指摘されていただけに、水準的には織り込み済みだった。ガソリン在庫は同15.0万バレル減で、米API発表の320万バレル増とは対照的に。ガソリン需要が5週間振りに改善したこともあり、ガソリン需要の回復期待も手伝って、原油在庫の大幅減少が改めて見直され、WTI期近6月限は一気に47ドル台を回復した。週明けの戻り高値である46.98ドルを上抜いたことで、ストップロスの買いがヒットし、チャート上での底入れ感がより鮮明になったといえる。ガソリン需要は改善したものの、原油生産はさらに増加しており、米国の増産基調に変わりなく、48ドルはまだ厳しいとの見方も多い。NYガソリンが本日の上げのリード役になっており、今後ともNYガソリンの値動きから目が離せないという。
(CBOT大豆)
10日のCBOT大豆は一時急伸したが、その後大きく値を崩し、期近中心に反落している。期近7月限は前日比3.75セント安の970.25セント、新穀11月限は同0.75セント安の966.75セント。
米農務省の需給報告で、2016年度の米国の期末在庫は4億3500万ブッシェル、2017年度は4億8000万ブッシェルといずれも事前予想平均を下回った。一方、世界の在庫は2016年度が9014万トン、2017年度が8881万トンとしており、いずれも事前予想を大幅に上回る弱い内容となった。発表前から期待先行で急伸していたが、世界的な供給過剰の拡大が否めない状況も認識された結果、高値から大きく値を崩している。実勢悪に関係なく急伸してきた反動安はこれからとも考えられる、高値からの値崩れだった。
(CBOTコーン)
10日のCBOTコーンは米農務省の需給報告を受けて急伸している。期近7月限は前日比6.50セント高の373.00セント、新穀12月限は同5.50セント高の390.50セント。
注目の米農務省による需給報告で、2016年度の米国の期末在庫は22億9500万ブッシェルで、前月の23億200万ブッシェル、事前予想平均の23億2600万ブッシェルを下回った。今回初めて発表された2017年度の期末在庫は21億1100万ブッシェルも事前予想平均の21億2000万ブッシェルを下回った。世界の在庫に関して2016年度は2億2390万トンで、事前予想平均の2億2332万トンを大きく上回ったものの、2017年度は1億9527万トンと、事前予想平均の2億0972万トンを下回り、2億トンを切ったことが評価されたようで、全般に強い内容と評価され、その後のシカゴコーンの上伸をもたらした。上伸後、世界的な供給過剰に変わりないとの観測もあり、上げ幅を縮小したが、期近7月限が3.70ドルを維持したこともあり、テクニカルな買いにその後、上げ幅を拡大。ただ、大豆の値崩れもあり、また米コーンベルトの作付に理想的な天気も予報されており、その後、期近7月限は再び3.70ドルを下回り、上げ幅を縮小した。しかし、WTIの急伸を好感する恰好で買い戻され、期近7月限は改めて3.70ドル台へ。米コーンベルトの今後の天候を加味すれば、やや買われ過ぎともいえるが。
https://www.fujitomi.co.jp/?p=15031