過去7年、『年末に円高』わずか1回のみ。
こんにちは、下山です。
相場の世界には『傾向』が存在します。
たとえば有名な傾向でいうと
「セルインメイ」が挙げられますね。
5月は株価が下落する可能性が高いことを示す
相場傾向ですが、このように時期によって
相場がこう動きやすい、という「傾向」があります。
そして、そういうネタはトレーダーの目をひきやすいため、
メディアでもよく取り上げられます。
ここ最近もロイターのサイトで下記のような記事を見かけました。
“10月から12月は例年、円安が進みやすい傾向がある。
第2次安倍政権が発足した12年から18年まで、
ドル/円は昨年を除く7回中6回、12月末のレートが
10月月初を上回った。今年も現時点では10月月初の
108.09円を上回っている。”
(ロイター:
https://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-wklyoutlook-idJPKBN1XW0IJ
より引用)
「7回中6回」ですから、相当な確率ですね。
過去7年、年末、ドル円相場が円安になる確率、
およそ85%です。
これを聞けば
「今年の年末も円安傾向で終わる可能性が高い」
と考えるのが、ごく自然でしょう。
あなたも
「そうか、円安なら今のうちにドル円の
買いポジションを仕込んでおこう」
と思うかもしれません。
でも、ご注意ください。
こういう傾向を知り、「思い込み」にとらわれて
トレードしてしまうトレーダーは必ず消えます。
「もし傾向が外れて円高にふれてしまったら?」
ということを考えられていないトレーダーは
必ず相場から敗退します。
ですから、あなたもこれから
何らかの「相場傾向」を目にする機会が
たくさんあるかと思いますが、
そういう話を聞いて絶対そうなると思い込まず、
真に受けないのが賢明です。
いえ、一度見てしまった興味深い情報を
真に受けないことは容易ではありませんので、
そもそも最初からできるだけ情報を
シャットアウトするのが良いでしょう。
多くの方は
「できるだけ多くの情報を集めることが利益につながる」
と考えていますが、
思い込みのトレードに繋がりやすくなりますので
必要以上の情報を手に入れることは、避けるべきです。
情報が無いと不安に思うかもしれませんが、
「思い込みの影響力」を甘く見ないでください。
投資とは関係ない話ですが、
ここで1つ、「人間の思い込み」に関する
興味深い話を紹介させてもらいます。
「お酒」にまつわる話です。
==========================
「お酒」にまつわる思い込みの話
==========================
そろそろ忘年会シーズンで、いつもよりも
お酒を飲む機会が増える方も多いでしょう。
「お酒の失敗」が増える時期でもあります。
最悪な気分で2020年を迎えることの無いよう
「お酒の失敗」にはぜひ気をつけていただければと思いますが、
特にお酒を飲んだ後のトレードはご法度です。
ただでさえ欲と恐怖のコントロールが
難しい世界なのにお酒を飲んで自制心を保てるはずがありません。
それはさておき、「お酒」にまつわる思い込みの話を
紹介させてもらいます。
あなたは「人間の思い込み」って
どれくらいのパワーを持っていると思いますか?
多くの方は
「思い込むだけじゃ状況は大して変わらない」
と考えているのではないかと思います。
でも、実は思い込みには
あなたの身体に大きな変化をもたらすほどの
パワーを持っています。
例えば、
「自分はアルコールを飲んでいる」
と思い込むだけで人はノンアルコールドリンクを飲んでいても
酔っ払った時と同じ状態になる、
ということが報告されてます。
人は、一滴もお酒を飲まなくても酔っ払うのです。
実際に、
「アルコール度数ゼロだけど、
味も匂いもアルコールそっくりのドリンク」を使い
行われた実験があります。
まず、学生の被験者が集められ、
2組に分けられました。
1組目の学生には赤いバッジが渡され、
本物のお酒が出されます。
もう1組の学生には青いバッジが渡され、
こちらの学生にはお酒そっくりの
ノンアルコールドリンクが出されます。
さて、青いバッジをつけた学生はどうなったか?
==========================
だが、アルコールを一滴も口にしていないにもかかわらず、
青いバッジをつけた学生たちは、
ごくふつうの飲みすぎ状態と同じ症状を示した。
たんに酔ったふりをしていたのだろか。
答えはノーだ。
彼らは自分が酒を飲んでいると思い込んでおり、
その思い込みが脳と体に
「酔っぱらい」として考えたり行動したりさせたのだ。
その会の終わりに、私たちはしかけをばらした。
青組の学生たちは大笑いし、たちまち酔いから醒め、
しゃきっとして楽しそうにバーをでていった。
リチャード・ワイズマン
『その科学が成功を決める(株式会社文藝春秋)』
2012年9月10日 第1刷
P.202より
==========================
なんと、
「自分はお酒を飲んでいる」という思い込みによって
身体が酔っ払った時と同じ状態になったのです。
思い込みの力、恐るべしです。
そういえば、
「お酒を飲んでいなくてもお酒の席にいるだけで
雰囲気に酔うんだよね」
という人もいますが、
これも、お酒を飲んでいないとわかっていても
周りがお酒を飲んでいることで
自分自身もお酒を飲んでいる、
と脳がだまされてしまい、
実際に身体に変化が起こる、ということでしょう。
「プラシーボ効果」
といって、実際には何の効果もない
ニセモノの薬を飲んでいるのに、
「本物の薬を飲んでいる」と思っていると、
病気が改善してしまう、という話もありますね。
==========================
思い込みに繋がりそうな情報は
できるだけ遮断する。
==========================
今の話から、「思い込みの影響力」が
いかに強力か、感じていただけたかと思いますが、
「投資の世界」ほど思い込みによって多くの人間が
大損している世界はありません。
「上がるだろう」
「下がるだろう」
この思い込みによって資金を奪われ
苦しんでいる方が
どれだけ多いことか・・・
一度生まれた思い込みは
そう簡単に消えるものではありません。
上で紹介したように
思い込みはあなたの身体の状態を変えてしまうほど
強力な影響力をもちます。
ですから、トレードする際は、
思い込みに繋がりそうな情報は
できるだけ遮断するべきです、
ということを改めてお伝えしておきます。
信号のない交差点で
「右からも左からも車がくる可能性がある」
と注意しないで運転される方はいないと思いますが、
それと同じように思い込みを排除し、
常に、上昇相場と下落相場を想定しながら
相場がどう動いても対処できるよう
トレードされてください。
本日も最後までご覧くださいまして
ありがとうございます。
下山敬三